さて、病院の空間管理をどうするか…についてなのですが、現在の院内感染の原因は、おそらく空間の「入れない」「出さない」が明確になっていない。入れないつもりが、出してたり、出さないつもりが、入れていたり、そもそも病院建築が感染を防御制御できる構造になっていない。 まず、フルオープンな受付。入り口の自動ドアを抜けたら、どこまでもフラットでつながる病院内。 そのまま、エレベーターで病室にも向かえます。そもそもエレベーターは各階をつなぐ竪穴の煙突の構造をしていて、空気はツーツーに抜けています。 エレベーターの呼び出しボタンは不特定多数が触るところです。 病室のある階のナースステーションで、申し込みをしたりしますが、大体はナースステーションも開放的に出来ています。 病室まで直接行くことができますよね。 病室までそのまま行けてしまう。 そして、お見舞いして帰りますが、外部からの来訪者が何かを持ち込むこともあれば… 逆に、病院に行って付けて帰ってしまう。 なぜなら、ウィルスは空気中にも漂っていますが、そののほとんどは床に落ちているから。 特に、樹脂の床ではウィルスの生存時間は長い。 CDCが発表している新型コロナウィルスの寿命(不活性化するまでの時間です。) 床の上で2~3日も生存しているということです。 そして!空調です。 私が、このブログを通じて出す結論を先に書いておきますが、院内感染の原因は空調と床です。 大事なことなので、もう一度書きますよ。建築エコノミスト森山が分析した、新型コロナウィルスが広まっている理由の結論。 病院で、新型コロナウィルスの感染者が発生する理由は、 空調で、ウィルスの汚染空気と清潔空気を混ぜている。床で、ウィルスの付着したまま清潔空間と行き来している。 この2点です。 それを理解するためにも、建築空間の衛生管理の基本。「陽圧管理」と「陰圧管理」について解説します。 陽圧というのは、プラスの圧力、その部屋の圧力が強いこと、高気圧といっしょです。ある部屋の室内の圧力が、周囲よりも高い。パンパンに膨らんでいる風船のようなもの。巨大な例では、東京ドームがそうです。なので、陽圧室とは機械を通じて空気が送りこまれている状態の部屋をいいます。当然のことながら、そういう部屋には周囲の空気が入ってこないんですね。 だから、清潔を保ちたい部屋は必ず陽圧ということです。なので、食中毒を防ぐために細菌を入れない食品工場の調理室や、埃がアウトな半導体工場などのクリーンルーム、これらは絶対に陽圧にして管理運用されます。 続いて陰圧。マイナスの圧力、低気圧、つまりは吸い込みです。周囲に部屋の中の空気を出さない。この部屋の中にある物質を部屋の外に出さない。常時、機械を通じて吸い出している状態をいいます。陰圧のことを負圧ともいいます。身近な例ではトイレの臭いを外に出さない、お風呂の湯気を部屋に出さない換気扇の役割。塗料や有機溶剤がまき散らされないように、吹付塗装をおこなう工場も陰圧です。また、たばこの煙や臭いを周囲に出さにように仕切られた喫煙ブースも陰圧です。 部屋の空気を抜き出して外に出さないために動いているのが陰圧ユニットで、部屋の中にいる人が感染症であるとか、危険な物質を取り扱うような部屋でも採用されます。 なので、結核患者さんとかは陰圧室管理です。特に、抗生物質やワクチンで克服されていると思われていた現代医学に登場した、恐ろしい新結核。さまざまな薬剤への耐性を備えた多剤耐性結核の患者さんは絶対に陰圧室管理が必要なんです。 この、陽圧と陰圧の管理がうまくできていないと、出してはいけないモノが出て、入ってはいけないモノが出てしまいます。 通常、続きをみる
『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』