新型コロナウィルスの世界的蔓延
もう、1日でずいぶんと情報が変わってしまう。
3日たつと前の情報は古くなってしまう。
1週間で社会の状況も様変わりしてしまうという印象ですね。
というところまで書いたのが3月19日のことでしたが、その後も刻々と状況は変化していて、
こんな情報が出ました。
ついに!政府も、換気しかねえ!!と認めた。
ただ、この厚生省のチラシを見ても、なんのことやらわからんと思うんですね。
今、一番、みんなが知りたいのは、「換気、換気いわれても、換気ってどの程度なんだよ?」ってことだと思うんです。
普段、換気ってあまり意識したことないですよね。
換気は目に見えるものじゃないし、そもそも換気扇ってキッチン使う時にしか回したことないとか、
昔、暖房器具が火鉢の炭とか、石油ストーブだった頃は、ちょっと意識しました。
冬場、閉め切って石油ストーブの部屋にいると…あれっ?なんか頭が痛い…、頭が重い…みたいな現象。
慌てて、窓を開けたり、外の空気を吸いにいったり、
あれ、相当ヤバい状態だったんです。
燃料が炭の時代には、よくそれで人が死んだんですよ。
私も、当時は幼児でまったく記憶にはないんですが、練炭中毒になりかかったことがあるそうです。
練炭火鉢のある部屋で、親子で寝てしまったらしい。
一酸化炭素で死ぬところでした。
なぜそんなことが起きたかというと、室内で燃料を燃やすと酸素を消費するのですが、
我々生き物も酸素を必要としているので、室内で酸素が足りなくなる、酸欠ですね。
それだけではなく、燃料は酸素を消費して燃えますが、代わりに別のガスを出す、二酸化炭素ですね。
これも、我々生き物とを同じです。
しかし!燃料が燃えるときにもっと危険なガスを出すことがある。
それが一酸化炭素です。
一酸化炭素というのは二酸化炭素の前身、というか二酸化炭素になりたい性質をもったガスです。
これ、すっげえヤバいガスなんです。
でも、無味無臭透明、だからヤバさに気づいたときには、すでに赤信号って感じなんですね。
なので、我が国の換気のルールというか目安は、建築の設備の基準がありまして、
このヤバいガス一酸化炭素の濃度と、二酸化炭素の濃度を、人体に害を及ぼさない程度に薄めろ!というルールで出来ています。
つまり、ウィルスの感染を意識した換気ルールというのはないんです。
一酸化炭素、二酸化炭素の即死の危険性を避けるための基準です。
だから、どんだけ換気すればいいんだよ!というみなさんの疑問に答えられないんです。
感染クラスターと呼ばれているライブハウスも、スポーツジムも、電車も、どんだけ換気したらいいの?
少し窓開けてればいいの?開け放つの?換気扇ぶんまわすの?扇風機つけるの?
と、もう皆目わからない。
そして、専門家も答えようとしない…、間違いたくないから…、
なんだそれ?たとえ間違ったとしても、俺らよりも専門知識があるのだから、目安というかどの程度か、その理由を教えて?
といっても、生真面目な専門家であればあるほど、知っていても分かっていても言わない、間違いたくないから…
圧倒的、保身、保守、利己的見解、誰かが言ってくれるなら追従、
もしくは、嫉妬心からくる揚げ足取り…間違いたくない…怒られたくない…
お前ら、なんのための専門知識なんじゃい!!!
とずっと思ってました。
換気量や換気システムや空気調和については、俺は元井上宇一の弟子なので、非常に詳しいのですが、
一定の空気中のウィルス濃度と感染や発病の目安となる論文が、ほとんどない。
つまり、1立方メートル中のウィルス量、呼気中のウィルスの量、それと罹患率の目安といった論文がない!全然、
新型コロナウィルスの感染機序はインフルエンザと同じなので、いくら新型で未知のウィルスといえども、
たとえば、インフルエンザのウィルス量と感染確率がわかれば、空気中の残存ウィルス量のコントロールの目安は出せるんじゃないのか?
と、探していたんです。
そういう論文
それに近い、論文をやっと見つけました。
緊急寄稿(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察(白木公康)
No.5004 (2020年03月21日発行) P.30
白木公康 (千里金蘭大学副学長,富山大学名誉教授(医学部)) 木場隼人 (金沢大学附属病院呼吸器内科)
登録日: 2020-03-18 最終更新日: 2020-03-18
しらき きみやす:1977年阪大卒。2013年富山大学医学部学科長,2019年4月から現職。専門は臨床ウイルス学。新型コロナウイルス感染症の治療薬の候補に挙がっている抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(商品名:アビガン)を開発
なんと、白木先生はアビガンの開発者です。
やはりこういう人じゃないと、思い切ったことは言えないんだな…と。
私が知りたかったのはウィルスの空気感染における力価というヤツです。
それが分かれば、
たとえば、ライブハウスで何分に何回くらい換気すればいいのか、
電車やバスの窓はどこを何センチくらい開ければいいのか、
空間の大きさと換気量と換気方法の最低限度の目安が出せるから、
ただただウィルス感染を恐れて何もかもイベント系は閉めて縮こまって座して死を待つのか、
もしくは無知蒙昧にヤケクソになって感染覚悟でイベント開催、死を覚悟の敢行、みたいな愚を犯さないで済む。
それをですね、分析してみたいと思います。
白木先生は、論文中でこう書いておられる。
ウイルスの感染能力の安定性
飛沫感染は2m離れると感染しないとされている。
オープンエアでは,2mまで到達する前に,種々の大きさのaerosol(エアロゾル,微小な空気中で浮遊できる粒子)は乾燥する。
60~100μmの大きな粒子でさえ,乾燥して飛沫核になり,インフルエンザウイルスを含む多くのウイルスは乾燥して感染性を失う3)。
したがって,コロナウイルスはインフルエンザ同様,エアロゾルが乾燥する距離である2m離れたら感染しないと思われる。
しかし,湿気のある密室では空中に浮遊するエアロゾル中のウイルスは乾燥を免れるため,驚くことに,秒単位から1分ではなく,数分から30分程度,感染性を保持する4)〜6)。
インフルエンザウイルスの感染能力(ウイルス力価)は,点鼻による鼻腔への感染では,127~320TCID50で,それに比べてエアロゾルでは0.6~3TCID50と約100分の1のウイルス力価で感染する7)〜10)。
5~10μmのエアロゾル(飛沫と呼ばれる)は30mの落下に17~62分を要し,沈着部位は鼻腔や上気道である。
一方,2~3μm(飛沫核)は落下せず,吸入時には肺胞に達する。このように,エアロゾルは大きさによって上気道や肺胞の標的細胞に達する。インフルエンザウイルスでは,通常の呼気の87%を占める1μmのエアロゾルも感染性を有し気道で感染する11)。
注意すべき点は,湿気の高い密室では2m離れていても,くしゃみや咳だけでなく,呼気に含まれる1μm程度のエアロゾルさえ感染性を保持して浮遊し,吸気によって上気道または下気道で感染するということである。
密室におけるインフルエンザの集団感染例としては,空調が3時間停止した飛行機内で,1名の患者から37名に感染している12)。
多くの人が密集し呼気のエアロゾルが乾燥しない空間では,感染者がいると感染は避けがたく,多数の感染者が発生する。
点鼻では感受性細胞に到達できるウイルスが限られるが,エアロゾルの噴霧は上気道・下気道の上皮細胞に直接感染するため,100倍以上効率よく感染できると思われる。一方,物を介する感染(fomite transmission)では,さらに多くのウイルスが必要と思われる。
このように,感染する場所と,感染が「上気道」あるいは「下気道」のどちらから始まるかが,ウイルスの検出部位(鼻咽頭拭い液か喀痰)と検出までの時間や感染病態に影響を与えていると思われる。
また,2009年の新型インフルエンザ流行の際に医学部生の感染機会を調べた研究によると,多くが「カラオケ」であった。このように,単に密室を避けるのではなく,湿気が多い空間・密室では換気や除湿を心がけ,飛沫が乾燥しやすい環境として,人と人の距離を2m保持することで,感染の回避は可能と思われる。
つづく