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新型コロナウィルスにおける建築的考察①

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新型コロナウィルスの話題が出ない日がなくなりました。

この一か月間、徐々に徐々に感染者も増えて、いったいどうなるものか…と。

特に、ダイヤモンドプリンセス号で感染者が増えていったときには、

私は、こう指摘しておりました。

 

換気が出来てるのか

還気してるんじゃないのか

 

どちらも「かんき」なんですが、交換の換の方の換気は、空気を入れ換えるという意味での換気。

還流の還の方の還気は、空気を還すという意味での還気。

 

これは、どういうことかというと、空調するとき(空調とは空気調和設備の略なんですが)に必要な要素とは、

温度、湿度、新鮮空気の3つなんです。

 

温度は、これはそのまま、極寒の地でも暖かく、灼熱の地でも涼しく、そういう風に温度を変化させることですね。

湿度は、これは結構難しくて、人間にとっての快不快、また健康にとってのカビや微生物の繁殖を抑える。

新鮮空気は、人間は呼吸をしていますから、呼吸によってガス交換というものが起きています。酸素を吸って二酸化炭素を出す。

酸素をどんどん吸って二酸化炭素を吐き出して二酸化炭素の濃度が高まってくると死んでしまうので、

一定の量で新鮮な空気と入れ替えなければならないんです。

 

この3つの条件を、うまく調和させる、ハーモニーさせることが空気調和、略して空調なんです。

空調は英語ではAir Conditioningなんですが、学術的にはHVAC空気調和工学といいます。

 

 Heating, Ventilation, and Air Conditioning (暖房、換気、および空調)の頭文字。

 

といいうことから、ダイヤモンドプリンセス号の中で感染者が増えていると聞いたときに…

「空調を切れ、少なくともレタンダクトを封鎖しろ」と思ったんです。

 

それはですね、通常大型の建築物や船舶の空調というのは、各室が個別に空調するのではなく、

各室を全部まとめて中央でコントロールしているからなんです。

 

同時に、空調では温度を上げたり下げたりするのですが、外が0度で凍える寒さのときに室内を20度にしようとするわけで、

最初は室内も0度だったものを温めて20度にする。

 

で、閉め切って温めていれば20度で維持されるのですけれども、そのままだと人が呼吸している限り、

二酸化炭素が増えてしまうから、換気しなくてはいけない。

 

でも、せっかく20度に温めた空気を、また0度に冷やすのはもったいないし、

外気0度の空気を再度20度まで上げるのはエネルギーのロスですよね。

 

だから、いきなり全部交換はしません。

一部だけ、3割くらいしか新しい空気を入れない。

 

 

そうすれば、室内空気を還流させて新しい空気と混ぜて温度を高めるときにも、

0度からじゃなく、15度くらいだから20度まで温めるにも無駄がない。

循環装置付きのお風呂の追い炊きみたいなものですね。

 

そういうことをやっている。

 

それが、まあ、当たり前なんです。

 

そもそも、空調機の仕組みは、建築よりも船舶の方で進化したともいえます。

 

まず、我々の生活の中に、空調設備が登場して、まだ数十年しか経過していない。

それまでは、近代になっても、空調は諦めていた。

 

寒いときには、火を燃やす、暖かいものを呑む、食べる、暖かいモノを近くに置く。

暑いときには、日陰に入る、水を飲む、風通しをよくする、汗を流すか、汗を拭く。

 

これくらいしか対処の方法はなかったんですよ。

 

それが、部屋全体を温めたり冷やしたりできるようになった。

それが普通になって、まだ、100年も経っていないといってもいいでしょう。

 

空気調和とは、温度調整と湿度調整と新鮮空気の採り入れの3つの要素だといいましたが、

 

我々が通常、「空調」、「エアコン(エアコンディショニング)」と呼んでるものは通常こんな仕組みだと思います。

 


 

室外機というのが熱源で、そこからパイプを通じて(温か冷かの温度の媒介物が流れてくる)室内の空気を冷やしたり温めたりする。

そのときに、室内機が空気を吸ったり出したりしてる、と思い込んでらっしゃると思いますが、

正確には、室内の空気を回しているだけです。

 

新鮮空気の交換は出来ていないんです。

 

今回の新型コロナウィルスの感染クラスタなんていう言葉が出ていますが、

こんな記事がありました。

 

「高リスク3条件」そろうライブハウス…混雑・近くで発声・密閉空間 読売新聞3月11日 

 

大阪市内のライブハウスで新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。10日午後10時半現在、4か所で感染者は15都府県計79人に広がった。ライブハウスでの感染者は、クルーズ船を除く国内感染者の1割超を占め、政府の感染症対策本部の専門家会議もリスクが高い場所の一つとして注意を呼びかけている。
■3条件
 最初に感染者が確認された「大阪京橋ライブハウス アーク」(大阪市都島区)は、4階建て雑居ビルにある。アークが入る1階部分の広さは約200平方メートルだ。大阪府などによると2月15、16両日それぞれのライブ参加者は、客やスタッフ、出演者を合わせて約130人。ステージは午後6時頃始まり、複数のバンドが登場した。座席はなく、立った状態で楽しむいわゆる「スタンディング」のイベント。肩が触れあうほどの混雑の中で観客らは約3時間、ドリンクを片手にロックやポップスを楽しんだ。

 専門家会議は、クラスター(小規模な感染集団)発生の条件に「密閉空間で換気が悪い」「手の届く距離に多くの人」「近距離での会話や発声」の三つが重なることを挙げている。これまでスポーツジム、屋形船などで発生が報告され、カラオケボックスなども危険性が高いとされるが、近畿大の吉田耕一郎教授(感染症学)は「密閉空間で、大勢が声を出してかなりの時間を過ごす点で、ライブハウスは中でも高リスクだ」とする。

 

■高い感染率
 アークの感染者数は30人で2日間の参加者の1割超が感染した計算だ。高い感染率の背景に指摘されるのが、狭い空間で唾液などの飛沫ひまつが微粒子として空中を漂って感染拡大を招く「エアロゾル感染」の可能性だ。
 新型コロナウイルスは日常生活では、せきやくしゃみの飛沫を直接吸い込む「飛沫感染」、ドアノブなどを介した「接触感染」で広がるとされる。一方、エアロゾル感染が閉鎖空間で起こった場合、集団感染につながりやすいとみられる。
 ライブハウスは遮音のため窓がなかったり、地下にあったりする施設が多い。大阪府の吉村洋文知事は「(エアロゾル感染の)一定の条件が整ってしまったのではないか」とし、厚生労働省の対策班と分析を進めている。

 

感染が複数の施設に連鎖したのは関係者が移動したことが大きいとみられる。
 業界関係者によると今回の4か所のような小規模なライブハウスは自前の音響・照明スタッフがおらず、外部に委託し、出入りのスタッフは複数施設をかけ持ちすることが少なくない。

 今回の感染者のうち、二つ以上の施設に足を運んだ人が少なくとも8人おり、1人は三つの施設に出入りしたイベント関係者。複数のライブを渡り歩いたとみられる客らもいる。目当てのバンドのため遠方から駆けつけたファンもおり、全国に感染者が広がった。
 ライブ参加者の家族や同僚らの感染者は少なくとも22人に上り、吉田教授は「さらなる連鎖を抑え込むには参加者全員に検査を呼び掛け、感染の有無が確認できるまで慎重な行動を促すことが重要」と強調する。
 特定されていないライブ参加者も多く、大阪府や大阪市はライブハウスのイベント参加者に最寄りの保健所などへの連絡を呼びかけている。

 

読売新聞 2020/03/11 11:01
 

密閉、近距離、声出しを、3条件としていますね。

 

また、次のような記事も出ました。

 

新型コロナ 空気感染ないのに「換気を」なぜ? 中日新聞 3月10日

 

新型コロナウイルスの感染対策で、手洗いなどに加え、厚生労働省や専門家らが「換気」の重要性を指摘し始めた。屋形船やライブハウスなどで感染が広がった事例の分析から、閉鎖空間ではごく短時間、ウイルスが空気中に浮遊する可能性があるためだ。

 新型ウイルスはインフルエンザなどと同様、せきやくしゃみのしぶきに含まれたウイルスが直接口などに入る飛沫(ひまつ)感染、飛び散ったウイルスが手などを介して体内に入る接触感染が起きるとされてきた。

 ところが二日の政府専門家会議の記者会見で、委員の一人の押谷仁・東北大教授が「二つだけでは説明できない事例が出てきている」と言及。ウイルスが空気中に長時間漂う空気感染は否定しつつも「近距離でせきやくしゃみをする人がいなくても感染が起きている可能性がある」と述べた。

 日本感染症学会なども同様の見解で、二月末にホームページで公開した資料には飛沫感染と空気感染の「中間」のようなケースをイラストで例示。会話などで出たつばがウイルスを含んで飛んでいる可能性を示唆し、その場合、飛沫よりも水分が少なく小さいため通常のマスクで防げないことも説明している。

◆「降車のたびに」タクシーも強化
 地下鉄やバス、タクシーといった交通機関で、車内の空気を入れ替える「換気」対策を強化する動きが広がっている。

 名古屋地区で約九百台走らせる大手の名鉄タクシーホールディングス(名古屋市中川区)は、乗客を降ろすたびに窓を開けるなどして車内の換気をするよう運転手に指示している。担当者は「これまでも乗客から求めがあった場合には乗車中に窓を開けたりして対応していたが、降車後に一律に換気することにした」と説明した。名古屋近鉄タクシー(同市中区)も二月中旬から、乗客降車後の車内換気を運転手に求めている。

 一方、名古屋市交通局は、市営地下鉄と市バスの全車両を対象に常時換気扇を回して運行している。担当者は市内で感染者が増え続けていることから「感染防止に向け、やれる対策はすべてやっていこうと判断した」と話した。

◆手洗い同様徹底 2カ所定期的に
 愛知県立大看護学部の清水宣明教授(感染制御学)は「屋内でできる対策はとにかく換気だ」と強調する。仮にウイルスが空気中を漂うとしても、その「濃度」を下げる分だけ感染リスクは減るとして「手洗いと同じくらいに徹底した習慣づけを」と訴える。

 空気の流れをつくることが重要なため、可能なら窓を一カ所だけではなく、対角線上にある二カ所を定期的に開けると効果的だという。清水教授は「病院や学校などでは今までも意識して換気をしていたと思うが、それは感染対策の意味もある。家庭や職場でも『よどみ』を感じる前に空気を入れ替えるように心掛けてほしい」と話す。

 職場によっては窓がなかったり、高層階などで開かなかったりすることも。その場合、換気扇や空調で代替が可能だが「点検を長年していないと適切に稼働していない可能性もある。故障や不具合が起きていないか確認を」と呼び掛ける。

 (安藤孝憲、西川聡史)

 

う~ん、どうやら、やはり換気が重要だ、という結論ですね。

 

なぜ、そこまで換気が重要か、というとですね。

 

 

ウィルスは結構、空気中に広がるからなんですね。

ウィルスはこんなに小さいからです。

 

 

で、ライブハウスで感染が広がった…っていう報道がなされている。

そんなにライブハウスが問題なの?ということですが、そもそもみなさんライブハウスって行ったことありますか?

人気歌手や、グループ、アーチストのコンサートなんかは、まあ行ってる人いると思うんですけど。

東京ドームとか、横浜スタジアムとか、コンサートといえば武道館ですよね。

何万人とか入って、ワーッとやる感じ。

 

ライブハウスというと、もっと小さくて地下室で、怖くて暗いところ…

そういうイメージなんじゃないですかね。

 

私は、しょっちゅう行ってましたけども、なぜなら、自分が好きだったバンドがライブハウスでしか見られないからですが、

普通はあまり行ったことなんいんじゃないでしょうか。

だいたい、数十人から入っても200人くらいじゃないでしょうか、ビルの一室にあったり、たいがい地下にある。

 

我々が20代の頃は、渋谷の屋根裏、ラママ、エッグマン、クロコダイル、アピア、新宿のロフト、JAM、ルイード、アシベ、原宿のピテカントロプス、目黒鹿鳴館、吉祥寺シルバーエレファント、曼荼羅、西荻窪アケタの店、高円寺JIROKICHI、江古田マーキーとかでしたかね。

ちょっと大きめのとこで、インクスティック芝浦とか、川崎クラブチッタとか、日清パワーステーションとかもできたな。

 

狭いところに、大音量。

 

私がそういうのが好きだったからであって、ライブハウスだから大音量ってわけではありませんよ。

もっと、しっとりおしゃれな音楽をやってる人達も、もちろんいた。

 

だけれども、私が行っていたのが、大音量だったんですけど。

音、というか空気の圧を感じに…ですかね。

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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