原宿駅のことで憤ってたら、こんなことを教えてもらいました。
京都の嵐電の駅舎の話です。
ちょっとビックリするような話なんですが、
嵐電なんて聞いても京都の人か京都通の人しか知らないと思うんですね。
京都の中心部は通っていません。
京都駅にもつながっていないので、バスやタクシーに比べて、普通に京都観光に行っても乗らないかもしれない。
東京でいえば、井の頭線とか、世田谷線のような
しかし、この停車駅名を見ていただければわかるように、京都の西側の著名な観光地や古刹を網羅した駅です。
だから、京都通には、むしろこの嵐電が好きという人もいますね。
この嵐電の一方の始発駅、北野白梅町の駅舎が建て替えなんだそうです。
まあ、確かに相当古かったしなあ…と思いました。
こんな感じ。
駅というよりも、昔の街の映画館みたいな雰囲気ですね。
だいぶ建物も古くなっているんですが、我々建築マニアにとっては、今となっては垂涎のつくりをしております。
フランスの建築家でハイテク建築の元祖、ジャン・プルーヴエとか、
戦後日本で最初の鉄骨造の住宅を手掛け、
ケーススタディハウス以上に洗練された、モダニズム建築の元祖、広瀬鎌二を彷彿とさせる、
軽量かつ無駄を省いてつくらた構造計画、既成の重量鋼材ではなく、
アングルやプレートを組み合わせて組まれたトラス梁に、
柱間に煉瓦を充填して作られた壁面処理。
そして、全面スチールサッシュ。
まあ、今の建築現場ではすべてロストテクノロジーと言ってもいい素材と処理で出来ています。
旧車をレストアするように、この建築を見ると、
いやあ、綺麗にさせてもらいたいなあ…と建築マニアなら誰しも思いますね。
錆びをケレンして塗装をし直すと相当生まれ変わるんだけどね…このころの鉄骨造は…
この駅の最大の魅力は「ターミナル駅であること」です。
ターミナル駅というのは、終着始発駅のこと。
いわゆる鉄道網の端駅を指します。
映画に出てくる素晴らしいシーンではまずターミナル駅が使われますね。
ニューヨークのグランドセントラル駅、100年の歴史があります。
ロンドンのキングスクロス駅、ハリーポッターでも有名です。
パリ北駅、旅の始まりの予感でですよね
鉄道網をどんどん相互乗り入れさせちゃってる日本では、この風情ある大型のターミナル駅が非常に少ないんです。
上野駅がかつて東北方面に向かう、東北方面から止まる巨大なターミナル駅でしたが、もはやそういった雰囲気はなくなりつつあります。
阪急の梅田駅は巨大なターミナルが健在で、あの横広がり目にすると壮観ですよ。
かつての東急渋谷駅もターミナルでした。
これでよかったのに…、相互乗り入れしてもろくな事にならなないのに…
阪急の梅田駅も昔の東急の渋谷駅も、残念なのは屋根の高さなんですよね。
ニューヨークやロンドン、パリ駅に比べると天井高さが足りない、そして頭上から明かりが落ちてこないとダメです。
その貴重な日本のターミナル駅のひとつが、嵐電の北野白梅町駅なんです。
ミニサイズですが、空間の縦横の高さの比とトップライトによる採光、という良いターミナルの条件は満たしています。
2両しか乗り入れてませんけど、非常に良い感じ。
ターミナル空間
ただし、相当古くなっているのは事実、できれば欧米のようにうまく改修して長く使ってほしい。
そしてもっともっと風情を増していってほしいところです。
いまどきの鉄道サイトの作り方さんのところにも工事準備のレポートがあります。
ですが…まあ建て替えもしょうがないのかな…と思いました。
新駅の完成予想図を見るまでは…
それが…
まさかの…
これでした…
駅じゃない…
バス停…
え?
ええーーーー!!
建屋がない…
これはイカンだろう?
嵐電廃止するのか?
それほどの手抜き…
ていうか、駅舎があるかないか…この違いは大きい。
なんでこんなことになっているのか…
鉄道ニュースで記事になっています。
嵐電北野白梅町駅2020年3月リニューアル 駅とバス停を一体化
駅とバス停を一体化…それは別にいいけど、なんで駅舎を無くす必要があるんだよ!
ってことです。
計画図らしきものもある…
どうやら、駅の一部をえぐるようにバス停を設置しようとしているんですね…
それで、駅舎を壊している…
これ、本当に駅舎壊さなきゃバス止められないのか?
という疑問です。
こういうケース、検討が不十分という場合が多い。
もう一度、初めから検証してみた方がよさそうですね。
つづく