この2週間ほど、東京五輪の会場の見直し議論が話題ですね。
事の発端は、今月の16日の夜のニュースで、突如、「札幌での開催を検討」と報じられました。
まだ二週間も経っていないんです。
東京五輪 マラソン・競歩「札幌での実施を検討」IOC発表 2019年10月16日 21時14分
東京オリンピックのマラソンと競歩について、IOC=国際オリンピック委員会は16日、猛暑の対策として会場を札幌に移すことを検討していると発表しました。
来年の東京オリンピックでは、猛暑の対策が大きな課題でなかでも屋外で長時間、競技が続くマラソンと競歩は大会の組織委員会が開始時間を招致段階の計画から前倒しするなど、さまざまな対策を検討してきました。
これについてIOCは、16日、マラソンと競歩の会場を札幌に移すことを検討していると発表しました。
理由として、オリンピック期間中の気温が札幌では東京に比べて5度から6度低いことをあげています。
また、今月30日から東京で行われる大会組織委員会と準備状況などを確認する調整委員会で、東京都や国際陸上競技連盟などと具体的な話し合いをすることを明らかにしました。
マラソンと競歩は、今月まで中東カタールのドーハで開かれた世界選手権で、気温が40度を超える日中を避けスタートを午後11時半すぎに設定して行われましたが、女子マラソンでは68人のうち完走したのは40人で、4割を超える選手が途中棄権となるなど、猛暑の中で競技が行われることに選手や関係者から不安の声が上がっていました。…
一部抜粋
NHKに続き時事通信でも
マラソン、競歩の札幌実施検討=東京五輪、IOCが猛暑懸念 2019年10月16日21時29分
【ロンドン時事】国際オリンピック委員会(IOC)は16日、猛暑下での開催に懸念がある2020年東京五輪のマラソンと競歩について、会場を札幌に変更して実施することを検討すると発表した。IOCは既に大会組織委員会や国際陸連に変更の提案を伝えている。
IOCは変更理由として、大会期間中の札幌の気温が東京より5~6度低いことを挙げている。30日から11月1日に東京で予定されているIOCの東京大会調整委員会で、この問題について議論する。
東京五輪のマラソンは女子が8月2日、男子が同9日、競歩は7月31日と8月7、8日で、いずれも都内での実施が予定されている。暑さを考慮して、当初の計画からマラソンが午前6時、男子50キロ競歩が午前5時半のスタートに早められるなどの対策を取ったが、選手や関係者への健康面の影響を懸念する声が絶えなかった。
9月から10月にかけてドーハで開催された世界選手権では、気温30度超、湿度70%超の環境下で行われたマラソンで棄権者が続出する事態も生じていた。
というわけで、このニュースはロンドン発だったんですね。
なぜ、いきなり会場の変更を検討しなければならなくなったのか…
IOCバッハ会長は、こう言ってます。
「(変更の検討について)…われわれが暑さに関して深刻な懸念を示している…」
セバスチャン・コー国際陸上連盟会長は、
「「今回の提案についてIOCと大会組織委員会と緊密に連携し検討していく。…マラソンと競歩の最高のコースを作るために尽力する…」
と、歩調を合わせていますね。
それに対し、日本の関係者のコメントが以下なんですが…
みなさん、この段階では「情報収集」、「情報収集」と、突如降ってわいたような話となっていますが…
この、最初のニュースの時点で、すでに東京都のコメントがありません。
ロンドン発のIOCの発表を受けて、同じように「情報収集」と答えるはずの東京都の関係者コメントがないんです。
つまり、報道前の時点では、東京都や都知事には取材もしていなかったんでしょうか
このニュース報道を受けた形で約1時間後に以下のニュースが出ました。
小池都知事「多くの課題残す」=東京五輪マラソン2019年10月16日22時58分
東京都の小池百合子知事は16日、国際オリンピック委員会(IOC)が東京五輪のマラソンと競歩を札幌に移して実施する検討をしていることを受け、「計画が唐突な形で発表された。このような進め方については、多くの課題を残す」とのコメントを発表した。
さまざまな暑さ対策はハード・ソフト両面から講じてきたとした上で、「各自治体が準備に励んできたところでもあり、組織委員会とも連携しながら、関係者に対する十分な説明を求める」とした。
そして翌日の報道
小池都知事「ベストな形話し合う」=「光栄」と札幌市長-東京五輪マラソン会場変更 2019年10月17日15時48分
東京都の小池百合子知事は17日、国際オリンピック委員会(IOC)が東京五輪のマラソンと競歩の会場を札幌に変更する検討に入ったことについて、「アスリートファーストは重要だ。どのような形がベストなのか話し合っていきたい」と述べた。都庁で記者団の取材に応じた。
小池知事は「コースとなっている各自治体は盛り上がって、準備をしてきたという事実もある」と指摘。IOCに対し、変更計画について十分な説明を求める考えを強調した。
一方、札幌市の秋元克広市長も同日、市役所で取材に応じた。「IOCから札幌という具体的な名前が出て驚いた。光栄に思う」と歓迎の意を示すとともに、「東京五輪の成功に最大限協力したい」と述べ、受け入れる姿勢を改めて示した。
また、札幌市で実施すれば、市が目指している2030年冬季五輪招致の後押しになるとの見解も示し、「五輪にふさわしい町と認識してもらうことが、30年招致につながるのでは」と語った。
北海道の鈴木直道知事も同日、都内で記者団の取材に対し、「仮に札幌で開催されることになれば、北海道を挙げて短期間にさまざまな体制を整えていかないとならない」と述べた。
小池都知事のコメントが出ました。
「アスリートファーストは重要だ。ベストな形を話し合っていきたい。」
そして、当の秋元札幌市長は
「札幌という具体的な名前が出て驚いた。光栄に思う…東京五輪の成功に最大限協力したい」
とのことでした。
ということでしたので、10月17日の時点では、
「ああ、そうなんだ、札幌に移るんだ。まあ、それはしょうがないよね」って、
「すんなり決まって良かったね」って思ってましたよ。
だって、そもそも東京都の夏の平均気温は8月で、最低気温が26℃、最高気温が31℃にまで上がっています。
平均では27℃近い。
環境省は熱中病の予防のために指針を出していますが、この表を見てわかるように、
原則的に運動は中止ですよ。
毎年のように、夏休みの野外活動で警戒をおこたったスポーツの現場での、子供の熱中症被害も出ています。
こんなスポーツ時の熱中症データもあって、温度と湿度の両方が高いケースはさらに危険でしょう。
そもそも、通常の生活でも危険なレベルの暑さが続くのが、日本の夏。
特に、緑地や河川からの涼風がのぞめない、蒸し暑くカンカン照りが続くのが都心の夏です。
だから、スポーツ選手だけではなく、大会委員やボランティアスタッフ、観客の方々にとっても危険な暑さなんです。
上記表を見ればわかるように、普通の生活でさえ要警戒なんです。
しかも、日本で一番暑い時期である7月後半から8月前半に、
さらに日本の中でも夜間・日中ともに温度が下がらない都市で、
その都市の中でも、コンクリートやアスファルトに囲まれ、風も吹かず空調機からの排熱の激しい東京で、
マラソンをやることは狂気の沙汰と言われてきました。
だから、会場を移すか時期を移すかは、最後まで検討されるべき問題だったんですね。
ところが…なんです。
10月17日の報道で徐々に変更までの経緯が明らかになってくると…
森会長「受けなくては」=マラソン、競歩の札幌開催案-東京五輪 2019年10月17日19時32分
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は17日、暑さ対策のため五輪のマラソンと競歩を札幌で開催する案を国際オリンピック委員会(IOC)が示したことに関し、「組織委としては受けなくてはいけない」と語った。
森会長は都内で報道陣の取材に応じ、「IOCがバッハ会長の判断で札幌に移すしかないと決めた。暑さ対策の一環で、やむを得ない」と述べ、IOCの強い意向が働いたことを明らかにした。バッハ会長の判断にはドーハで行われた世界陸上で酷暑のため棄権者が続出したことが影響したという。組織委は東京都と日本陸連の考えも尊重し、30日から都内で開かれるIOC調整委員会で協議する。
IOCが札幌を提案したことについて、森会長は「国際マラソンの経験もあり、過去に五輪も開催している。30年冬季五輪への意欲もあり、ここにしたいと思うのも無理はない」と話した。
マラソンの発着点だった新国立競技場の販売済みチケットについては「基本的に代金をお返しする」とした。会場変更に伴って追加の経費が発生した場合は、IOCに負担を求める考えを示した。
森会長は、まったく聞き分けがいいんですね。
「IOCが決めた…暑さ対策が…やむを得ない。札幌にしたいと思うのも無理はない。」
橋本聖子五輪担当相は18日の閣議後記者会見で、猛暑への懸念から東京五輪のマラソンと競歩の会場を札幌に変更する計画が示されていることについて「(選手は)コースをイメージしながらトレーニングしてきていたと思う。戸惑いは誰もがあると思う」と述べた。その上で、この問題が議論される30日からの国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会などでの協議で「納得のいく説明」がされることに期待した。
スピードスケート、自転車の選手だった橋本五輪相は「元アスリートという立場からすると、(会場が)どういう結果になっても受け止めなければならない」との認識も示した。
橋下聖子オリンピック大臣も
「(会場が)どういう結果になっても受け止めなければならない…」と、聞き分けがいい。
なんだかですね、急に聞いた、ビックリした、えっ?って思った…、けど、いいんじゃない?受け止めようやむを得ない。
って落ち着いていますね、皆さん。
ところが、この17日のみんなの落ち着きぶりを見てからの、この方の反応が凄いです。
まずは、こちら
東京都の小池百合子知事が17日、2020年東京五輪のマラソン、競歩の会場を札幌に移す案を国際オリンピック委員会(IOC)が発表したことに関連し、「涼しいところなら『北方領土で』と声を上げていただければ」などと発言していたことが分かった。小池氏は同日、記者団に対し「今回突然の札幌と、北の方だったので、一案として申し上げた」と説明した。
同日午前、都内で開かれた連合東京の定期大会でのあいさつで発言した。関係者によると、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長についても言及し、「(ロシアの)プーチン大統領と親しいので、『平和の祭典を北方領土で』と呼び掛けてみるのもありだ」と語ったという。
いやあ、ダメでしょう、この発言。皮肉にもなっていない。
ヤケクソの憎まれ口を叩いてしまいました。
その意は、
「涼しいところがいいなら、『北方領土』でやればいいじゃない?森さんロシアのプーチン大統領と親しいんでしょ!」です。
さっそく怒られました。
ロシア外務省から
東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を札幌に移す案について、東京都の小池知事が「北方領土でどうか」などと発言したことに対し、ロシア外務省は、北方四島はロシアの領土だと強調したうえで、「スポーツは対立を引き起こすような冗談に使うべきではない」と批判しました。
東京都の小池知事は17日、連合東京の定期大会に出席し、東京オリンピックの猛暑対策としてマラソンと競歩の会場を札幌に移す案について「涼しいところと言うんだったら『北方領土でやったらどうか』ぐらいのことを、連合から声を上げていただければと思う」などと述べました。
この発言に対してロシア外務省や東京のロシア大使館は18日、公式のツイッターやフェイスブックなどで「小池知事にご参考までに申しますが、日本には気候の涼しい土地が十分にある。しかし、ロシアの南クリルの島々は日本のものではない」とコメントして、北方四島はロシアの領土だと強調しました。
そのうえで「スポーツは結び付きをもたらすべきで、対立を引き起こすような冗談に使うべきではない」と、小池知事の発言を批判しました。
ロシア外務省は、これまでに東京オリンピック・パラリンピックの公式ホームページについても、北方領土が日本の領土として地図上に表示されていることを取り上げて批判していて、領土問題で改めて日本をけん制した形です。
いやあ、危ねえ!!
今、ロシアとの外交における日本の北方領土問題は暗礁に乗り上げており、政府としても懸念事項なのに、
余計なこと言って揚げ足とられたらどうするつもりなんだよ!
相手は歴史的に見ても外交交渉ではいつも性質悪いロシアなんだぞ!と思いました。
で、ロシアから怒られたから、次はこうですよ。
東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を巡り、IOCが札幌での開催案を提示したのに対し、東京都が東日本大震災の被災地での開催について検討を進めていることが関係者への取材でわかりました。
マラソンや競歩の開催地を巡っては、IOCのバッハ会長が10月16日に暑さ対策として開催場所を札幌に移す計画を発表しています。これに対して東京都はスタート時間を早めることなどを検討していますが、関係者の取材で東日本大震災の被災地での開催についても検討を進めていることが新たに分かりました。 小池知事は、被災地での開催について明言を避けましたが、関係者によりますと東京都側からすでに宮城県などに対し開催の可能性について相談しているということです。
東京都は10月30日から都内で開かれるIOC調整委員会で、東京開催を軸に複数の案を提示するものとみられます。
これもですね、いきなりというか単にその場だけ勝ちたいのか、実にいいかげんな発言です。
そもそもですね、復興五輪でボート会場を東北の長沼に移転しようとして調査入っていたのに、
宮城県知事も準備と誘致の検討に入っていたのに、あっさりぶん投げたやん。
しかも、「被災地」って言葉を使えば、みんなが黙ると思ってやがる。
あんなあ、ここ数年は毎年のように災害の規模が大きくなって、正直、日本中が被災地やねん。
この発言後にもなあ、千葉では大雨の被害が広がっているんだ!
その場しのぎで適当なこと言って、周囲を巻き込むな!バカめ。
ロシアも東北も怒らないので私が怒っておきます。
その次に出てきたのが、早朝というか夜中の3時にスタートという提案。
これを東京都が出しているという噂が流れました。
小池百合子都知事「とくダネ!」生出演でマラソンの午前3時スタート報道に「それはないですよね」
東京都の小池百合子知事が25日放送のフジテレビ系「とくダネ!」(月~金曜・前8時)に生出演した。
IOC(国際オリンピック委員会)が提案した東京五輪のマラソンと競歩の会場の札幌開催案を聞いた時の心境を「青天の霹靂というのはこういう時に使うんだなと思いました」などと振り返った。
小池知事はこの日午後、IOCのジョン・コーツ調整委員長と面会する。番組では、東京都が東日本大震災の被災地での開催、あるいはスタート時間を早めることなどを検討していることを報じた。
こうした報道に小池知事は「そういう案もあります。一部報道で午前3時なんてありますけど、それはないですよね」と述べた。さらに「被災地については都庁の中にも復興五輪って言っていたんだから被災地でっていう声もあります」とした上でコーツ氏との会談で「ただ東京で準備をしてきたわけですから、やはり東京でこれだけのことをやっていてというそのところについてしっかり伝えたいと思います」と明かしていた。
そもそもですねえ、東京オリンピックにおける夏の暑さ対策って、ほんとに心配されていたんですよ。
にもかかわらずですね、
こんな傘をかぶればいい、とか
こんなもんを首に巻けばいい、とか
手桶にヒシャクで打ち水をすればいい、とか
しまいには、アサガオを見ればいい、とか
まあ、この3年も4年もの時間がありながら、なんの有効な対策も取ってこなかった。
だから!こういう事態になっているんです。
…暑さを考慮して深夜に開催されたが、男女のマラソン、20キロと50キロの競歩では棄権者が続出。高温多湿の悪条件下で、選手が続々と車いすやカートで運ばれていくシーンは衝撃的だった。…
まあ、そんなこんながあって、週明けの10月30日の会議で正式に決定するといわれております。
私の聞く限りにおいては札幌にほぼなるだろうといわれておりますが、どうなることやら…
札幌にするにしても、早く決めないと11月に入って雪が積もってしまうと、コースの調査等ができなくなってしまうんですよ。
まあ、今回はマラソン会場についてでしたが、他にも東京オリンピック会場には、
まだまだ問題を抱えて放置されているものがありますから、引き続きそれらの問題を紹介しつつ解決策はあるのか…
考えていきたいと思います。
2につづく