「ボルトがない!」で建設パニック
「ボルトがない!」で建設パニック②
ご無沙汰しております。
「ボルトがない!」の続きです。
もうですね、森山!ブログ更新しろよ!との声が大きい。
ボルトの続き書けよ、とか
卸売市場法のこともはやく最後まで書けよ、とか
菊竹清訓の都城市民ホールのことも早く書けよ、とか
書きますよぅ!
でも、最近書くものが増えてんですよ。
それに加えて、メルマガも毎週月曜日に送らなきゃいけない。
そうなんです。
メルマガも始めたんです。
https://www.mag2.com/m/0001685317.html
書かなきゃいけないものだらけで、ブログ更新がついついおろそかになっておりました。
すいません、で、ボルトの話です。
年明けからいろいろと関係者の方々のお話を聞いてまわってたんですね。
鉄工所とか、建設会社とか、設計事務所とか、行政の方とか、官僚の方とか、不動産関係者の方とか。
で、それぞれの立場で状況への理解が違う。
ま、当たり前といえば当たり前なんですけどね。
戦況でも、戦場と本土では状況への理解度や緊迫度が違うのと同じ。
戦場でも、最前線と作戦本部では戦闘中の状況判断が違うのと同じ。
しかしながら、それでは、大変危険です。
目的と行動を全軍が理解していなければ敗けます。
もしくは一軍が暴走して混乱を生じ、後の外交解決に支障をきたすこともあります。
だから、戦術学でもその基本作業を明確に分けてあります。
戦術とは、つきつめれば「問題解決能力」であり、次の3つとされています。
1.状況判断:自らが置かれている状況がどのようなものであるかという状況を判断すること
2.意思決定:わが軍が選択することが可能な選択肢の中でどれが最善であるか意志を決定すること
3.作戦計画:下された決定を実行するために作戦方針を作成すること
1.の状況判断は、任務の分析、地形の判断、敵情の判断に分けられます。
任務の分析
自分に与えられたを分析し、達成すべき目標を明確化、複数ある場合には目標の優先順位を決める。
地形の判断
自分が置かれている地理的環境を分析し、戦闘地域を構成する地理的特性を解釈、重要な地形や接近経路を明らかにする。
敵情判断
敵部隊の配置、装備や補給の状況、後方連絡線を分析し、敵がどのような戦闘行動を将来実施するかを検討する。
2.意思決定は、可能的な状況を個々に分析し、それらの統合的な状況判断に基づき、行動方針を下すことですね。
可能性のある状況
これは自らと相手の実施可能な戦闘行動の組合せの数だけ存在します。
個々に分析
これらを個々に分析し個々の戦闘行動によって生じうる結果を検討します。
総合的判断
分析によって得られた個々の戦闘行動を相互に比較しながら最も危険性の高い事態を明らかにすると同時に、任務を達成するための戦闘行動を選択肢を限定していく。
行動方針の決定
少数に限定したいくつかの作戦方針の中から一つを、その選択肢の危険性と不確実性を鑑みた上で決定する。
決心が確立されれば、作戦計画の策定作業に移ることができる。
3.作戦計画とは目標を達成するために採用される行動方針、参加する各部隊の任務と個々の行動計画から成立します。
そして、目標を具体的な状況として定義することが重要です。方針が示されたら、その具体的な達成条件は何をもって判断するかを定義しておかなければなりません。そして、作戦は計画、実行、評価の三つの段階を繰り返しながら進める必要があります。
以上は、軍事学における戦術論からの引用ですが、ボルト不足で建設パニック!も、
その解決のためには、まずは状況判断の共有が、すべての人々になされないとダメです。
ボルトがない!と何が起きるのか?
ボルトがない!はいつまで続くのか?
ボルトがない!にどう対処すべきなのか?
年明けから徐々に報道もはじまりました。
まあ、私がいつものごとく、先取り情報交換会を開いていたからなんですが
口火を切ったのは、経済紙の週刊ダイヤモンド
2019.2.27
「ねじ不足」でラグビーW杯ピンチ!?人手不足に次ぐ建設業界の受難
週刊ダイヤモンド編集部 松野友美:記者
今秋開催されるラグビーワールドカップで会場の一つとなる「えがお健康スタジアム」(熊本市)で、大型ビジョンの鉄骨土台の建設が止まっている。
原因は業界が「まさか足りなくなるわけがない」と思っていた小さな部材、ねじにある。
橋や高層ビル、細長いオフィスビルなどの鉄骨をつなぐ鉄鋼製の高力(ハイテンション)ボルトと呼ばれるねじの不足が、全国各所で工事を遅延させているのだ。
不足は昨夏ごろから始まった。10〜11月時点では、高力ボルトを扱う会社の8割以上で工期に影響が出ていた(国土交通省の調査)。
そこで、年末に国交省が買いだめを控えるよう業界に要請したが、改善に時間がかかっている。
国内にはボルトメーカーが十数社あり、商社や問屋を通してゼネコンに供給される。
平時では、先々の分を注文する方法と、問屋が持つ在庫を供給するルートがあるが、後者の在庫がなくなっている。
本来は発注から1ヵ月半程度で届くはずが、半年近く待たされるケースも出ているのだ。
部材の調達力がある大手や準大手のゼネコンは「発注を前倒ししているので工事に影響はしない」と口をそろえる。
実害の中心は中小ゼネコンや、他業界の会社が自前で納入工事をする場合だ。
つづいて、週刊プレイボーイ
建築用のボルトが足りず、工事が中断したり、施工計画が頓挫したりする事態が各地で相次いでいる。
建築エコノミストの森山高至(たかし)氏がこう話す。
「不足しているのは鋼材同士を接合する『高力(こうりき)ボルト』。建築物の骨組みを組み立てる際に欠かせない部材です」
高力ボルトは高層ビルやタワーマンション、店舗物件など、鉄骨造の建築物には幅広く使用されているという。
関東圏の中堅建設会社の幹部A氏が明かす。
「高力ボルトは通常ならキロ300円程度、注文後1週間ほどで調達できますが、昨年秋頃から日ごとに納期が延び、単価も上昇。11月にはキロ400円近くまで高騰し、数量を確保できなくなりました」
ボルト不足の要因は複合的だ。前出の森山氏が解説する。
「最近は建設需要が活況を呈す一方、高力ボルトの母材である特殊鋼線材は自動車や建機、造船にも使われるため、大手鋼材商社は利幅が低い建設業界への供給を後回しにしがちです。
また、特殊鋼線材を造る製鉄所の高炉数はピーク時から半減。現存する高炉も老朽化がひどく、近年はトラブルや事故が多発して出荷量が落ち込んでいます。
さらに、昨年9月の北海道胆振(いぶり)東部地震では、室蘭市にある日本有数の特殊鋼の工場が被災し、操業が一時ストップしました。こうして昨年の秋口から"ボルト不足"が顕著に表れ始めたのです」
国土交通省が昨年秋にメーカーや建設業者などを対象に行なった緊急調査(有効回答:305社)によれば、高力ボルトの納期は6ヵ月程度まで長期化。「工期に影響が出ている」とした会社は8割にも及んだ。
この異常事態を受け、同省は発注を抑えるよう建設業界に異例の要請を出すに至ったが......。前出のA氏が言う。
「その後、大手鋼材商社がボルトメーカーから高力ボルトを買い占めました。大型案件を請け負うスーパーゼネコンに優先的に回すためでしょうが、そのせいで市中にボルトが出回らず、納期はさらに長期化。今年に入ると、問屋からは『ウチもメーカーから発注を止められている。年内に出荷するのは厳しい』と......」
その結果、建設現場ではいま何が起きているのか。
「ドラッグストアのような小型物件でも数千単位の高力ボルトが必要ですが、そんな数量は確保できず、依頼が来ても引き受けられません。すでに着工が決まっている案件でも、建材も機械も職人もそろっているのにボルトがなく工事に着手できない、という事態が起きています」(A氏)
そんななか、高力ボルト市場は"闇市"と化していた!
「メルカリなどのフリマアプリでは、相場の10倍もの価格で高力ボルトがバラ売りされています。それでも『あと100本あれば竣工(しゅんこう)できる』というような業者は購入せざるをえないのです」(A氏)
ボルト不足で混乱を極める建設市場。今後はどうなる?
「国交省の統計では、昨年1年間に建てられた建築物は約60万棟、市場規模(工事費)は約27兆円。そのうち鉄骨造の割合は4割(約11兆円)にも及ぶ。つまり、現在の建設業界は鉄骨造がメインで、その骨組みを高力ボルトが支えている構図です。
ボルト不足が長引けば、建設業界、ひいては日本経済に大きな打撃となります」(前出・森山氏)
"ボルト不況"、到来間近か?
この記事でコメントしていただいているA氏とは、年明け早々にお会いして鉄工所の様子を聞いたんです。
つづく