戦時中に建てられた木造庁舎、岩国市本郷町の旧本郷支所庁舎の解体問題についての続きです。
解体の事由として挙げられているのは
1.このまま使用するには、
2.耐震上の問題があり、
3.耐震工事には費用がかかる
の3つ、これ現在、日本中で起きている歴史的建造物の破壊による更地化の共通の理由なんですね。
私のように、「古い建物は、まずは壊すな!」と言ってる建築オタクからすると、
破壊を理屈づけるための屁理屈といえます。
なぜなら、
1.このまま使用するわけではない。
2.耐震上の理由は法律改正によるもので、法律の目的から解釈し直す必要がある。
3.初めから保存の気がないから、面倒くさいから、公共工事だし、高く見積もっている。
その結果、
壊してしまう、更地にする。
壊してこの先、どんなメリットがあるというのか…
実は、この3つの屁理屈で、古都京都でも重要な文化財として認められていた建築にも関わらず、
壊している例が次々と出てきているんです。
これ、大変にびっくりしたんですが
学校法人同志社(京都市上京区)が、創設期の明治時代に建てられた国登録有形文化財「フレンドピースハウス」(同)を解体撤去したことが19日までに分かった。
木造洋館の好例と評価されていたが、法人が運営する幼稚園の移転新築計画に伴い取り壊された。同志社大今出川キャンパス(同)では、大正時代のヴォーリズ建築「致遠館」の建て替えも浮上。同キャンパスは京都近代化を象徴する校舎群で名高く、法人も積極的に保存活用していただけに波紋を広げそうだ。
フレンドピースハウスは、同志社創設期のレンガ校舎造りに関わったD・C・グリーンが設計、1887年ごろ完成した。木造2階建ての瓦ぶきで、洋風のベランダなどを備え、建築面積約250平方メートル。2006年に「洋風意匠を基調とした住宅」の好例として国登録有形文化財になったが、老朽化が著しく16年3月で使用をやめていた。
マジか!!って思いましたら
マジでした。
壊してました。
この建物はですねえ、100年以上の前のものが、つい最近まで同志社大学で使われていたものなんです。
新島譲が同志社大学を設立する前からあったものなんです。
5年前のNHK大河ドラマを覚えてらっしゃいますでしょうか?
戊辰戦争の会津城(鶴ヶ島城)攻防戦で、スペンサー銃をもって抗戦した女戦士、山本八重。
綾瀬はるかさんが演じましたよね。
鶴ヶ島城の敗戦の後の、八重の旦那が同志社大学を設立した新島譲です。
八重さんの写真は残っていて、このホンワカした風貌に胆が据わっていて凄みがありますね。
▲救世軍の頃
そのような、重要な建築物でも壊してしまうその動機はいったいなんのか
御所東と呼ばれる、京都の中でも大変すばらしい場所に位置しています。
同志社のフレンドピースハウスの南にも立派な庭のある邸宅の緑がつながっていました。
どうやら、それごと無くなっています。
つづく