ボルトがなくて日本中の鉄骨現場でみんなが困っている…の続きです。
そもそも、鉄骨造のボルトは何で出来ているのでしょうか?と聞くと、
「鉄でしょ」と答えると思いますが、「鉄製品」には成分や形状によってたくさんの種類があります。
それは、「小麦粉製品」に、パンやうどん、パスタやクレープといった食材があるのと同じですが…
しかも、その鉄製品のつくり方には大きく分けて、二種類あります。
それは、高炉製法と電炉製法です。
我々が、製鉄所といえば思い浮かぶのは「高炉」の方ですよね。
臨海部にあるのは原料の輸送に便利なことと、市街地から離れていることが理由です。
しかしながら、たくさんの人々が働く高炉製鉄所の周辺には、大きな街が形成されていきます。
いわゆる企業城下町です。
私が幼少の頃に育った広島県の福山市は、昭和40年代には完全に日本鋼管の街でした。
八幡製鉄所のある北九州、小倉も、神戸や君津、室蘭といった街もそうでしょう。
一度、火を入れたら決して休むことのない、鉄鉱石を高熱で溶かしているあのダイナミックなイメージ、
それは高炉のほうなんです。
一方、電炉はですね、リサイクルです。
廃鉄を集めて、また溶かして製品にする。
今、我が国では高炉はどんどん減っています。
現在、高炉を持っているメーカーは次の4社しかありません。
そして、4社の中で稼働している高炉も、かつての半分に減っています。
新日鐵住金系では、室蘭、鹿島、君津、名古屋、和歌山、八幡、大分の7地域。
JFEスチールでは、川崎、君津、倉敷、福山の4地域。
神戸製鋼所は昨年、神戸の高炉が廃止され加古川だけに。
日新製鋼も呉だけです。
そもそも、川崎製鉄とか、日本鋼管といった名前が消えています。
川崎製鉄は川崎重工の鉄鋼分門、日本鋼管は京浜工業地帯をつくった浅野財閥の鉄鋼メーカーでした。
参照:浅野財閥については→「機動警察パトレイバー」に関する現実的考察4
この二社が合併してJFEになったんですが、その原因のひとつは、
昨今話題のカルロス・ゴーンが日産自動車の日本鋼管への発注を止めたから…ともいわれています。
新日鉄住金も、戦前の半官半民の国策会社であった「日本製鐵」が戦後の財閥解体で新日鉄となり、
さらに2012年に住友金属を合併したことで、製鉄部門では国内で第一位の会社です。
実は!来年の4月に、新日鉄住金は「日本製鉄」に社名変更することが決まっています。
つづく