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Channel: 建築エコノミスト 森山高至「土建国防論Blog」Powered by Ameba
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中央卸売市場制度って日本人の大発明なんだぜ①

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築地市場の移転問題について、あいかわらず森山さん延々と文句言ってるよね。

という人がいます。

同時に、築地市場は移転して欲しくないですよー、今日も場外で買い物してきたよ、森山さん。

という人もいます。

 

いずれにしましても、

築地市場移転問題に関する記事のまとめ
築地市場移転問題に関する記事のまとめ②

これを読んでいただければ、

ああ、なんだ、反対だとか賛成だとかの前に、個人的思惑とか意志の強さ弱さの前に

 

全然、移転なんで出来ないわ

 

と皆さん一瞬で理解できると思います。

 

ちょっと長すぎると言う方は、この記事だけでもダイジェスト的にわかります。

築地市場移転の前に豊洲市場問題はまったく解決していない②

 

解説動画もありますね。

 

 

まあ、これまでの議論の中で築地市場の機能面、空間面、そういったことを詳しく解説かつ
、築地市場の業者さん達、市場外の業者さん達、築地周辺の街の方々、
そして中央区から始まる東京都の食文化全般を、私なりに応援してきたわけなんですが、

 

そもそも、なんで森山さん、築地なの? 熱すぎるんじゃない?といった声を聞きます。

築地に実家でもああるの?実家が魚屋さん?
違いますが、なんだか市場はじめ築地の皆さんによくしていただいて、



お祭りにも参加してますので、御神輿も担いじゃってますので、
もはや築地は僕の第二の実家、第二の田舎なのかもしれません。

そんなにまで、築地のことが好きなのか?と問われれば、
「好きです!」と即答できるのですが、

じゃあ、俺は築地のファンなのか?と問われれば、
なんでそうなったのか分からない。
いつからそうだったのか、もう分からない。

 

 

かつて作詞家の森雪之丈が、
日本で最初のロックバンドと呼ばれるジャックスのレコードの帯に、

「今、君はジャックスにファンとして選ばれた!」って書いてましたが、

確かにそういう感じ、
 

こちらから築地を好きになったとかいうんじゃなくて、築地にファンとして選んでいただいたな!波除様に呼ばれちゃったなって感じなんです。

 

なぜ、この街がこうまで人を魅了するのか

なぜ、毎日大勢の海外観光客が訪れているのか

なぜ、ここに来ると元気になるのか

 

それには理由があります。

 

よくいわれる、日本の食文化がー、寿司がー、グルメがー、古い建物がー、

ノスタルジーがー、活気がー、とかではありません。

 

そのような様々な多元的かつ多様な評価、たくさんの食材や物量や情報、大勢の人の出入り、

活況を呈する取引、一刻を争う輸送、大量の大型から小型までの車両移動と脇目もふらない労働者、

溢れる水、流れる海水、さばかれる魚、貝、マグロ、処分される血、ウロコ、はらわた、排水、ゴミ処理、

 

それらの同時多発的労働活動を生み出し、うながし、後ろ盾し、エネルギーを注入しているのは、築地の土地や建物ではないのです。

 

目に見えないパワー、その源泉にあるのは、目に見えない仕組み・制度。

人が造り出したモノの中でも最高レベルに素晴らしいモノの考え方、思想。

それが、中央卸売市場制度、そして、市場法なんです。

 

そして、この仕組みや制度は、日本にしかありません。

日本独自の制度です。

 

かつて、我々の先人達が非常な苦しみや犠牲を経て、考えてみれば当たり前じゃん、といえる、

しかしながら、近代国家成立後でもなかなか実行できなかった、日常の暮らしの中から見つけ出したすごい仕組み。

そして、万人に幸せをもたらそうと考えた仕組みのひとつです。

 

ここ数ヶ月、築地市場ってどんなとこ?という建築家の仲間達からの疑問た質問に答えるために、

じゃあ、一度いって見るかい?と「築地と都市を考える建築家の会」を開催していますが、

 

 

やはり、優れた建築家の方々はすぐに見抜きますね、築地市場建築の独自性と普遍性を。

こんな感想をいただいています。

 

  曲面の平面計画が全体を制御する構成と動線、局部的・同時多発的に 起きる活動の自由さが相乗的に両立していて、素晴らしい。

 

  空間も風や光が抜けて、ザッハリッヒで合理的でシステマチックで ありながら、ロマネスク的な荘厳さも存在している。

 

  建築が先が人間が先か、どちらでもなく建築と人間が一体的に機能し、 人間の強さを引き出しながら、建築の存在感が伝わってくる。 

 

  築地市場、この建築は、モダニズム精神の結晶だ。

 

築地市場の建築について、さんざん説明してきましたが、そのようなモノがなぜ設計できたのか、

それは偶然ではありません、はたまた一人の天才の仕業でもない。

80数年前に、日本の社会の好ましい未来のことを考え抜いた、技術者や社会学者や経済学者が愚直かつ生真面目に取り組んだ。

その結果、世界大戦すら経た3世代も後の我々の時代に、今でも世界で唯一の仕組みと空間が残されているのです。

 

これから、中央卸売市場制度と市場法の話しをします。

かつての日本人の発明した素晴らしい制度です。


これを知れば、頭の中のモヤモヤも晴れて、今回の市場移転はいったん保留にして、じっくりと考えていこうという気になる。

 

もはや築地市場の一択しかなくなるでしょう。

 


つづく


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