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Channel: 建築エコノミスト 森山高至「土建国防論Blog」Powered by Ameba
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築地再生計画はじめました⑩

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これまでの築地計画が「再生」ではなく、「新生」になっているのではないか?

という疑問についての続きです。
 
↓以前に築地の空間構成とその意味についてやりましたよね。
 
この際、まとめておさらいしておいて欲しいのですが、
 
連載01:ターレ重量の話→http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12175575070.html 
連載02:築地が出来た頃→http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12176233153.html 
連載04:豊洲はダメかも→http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12177861238.html 
連載15:豊洲施設問題まとめ→http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12189744690.html
 
この連載7回目で使用した図、これが大事です。
「集める→広げるの法則」です。
 
 
The Low of Gather and Spread ギャザーアンドスプレッドの法則といいます、と今、わたくしが名付けました。
 
 
広げるといっても、雑然とまき散らすのではなく、綺麗に整理整頓して並べます。
なぜなら、
見やすいように、です。
何を見るのか?というと、
魚の善し悪しを、です。
 
つまり、市場というのは「見る」場所なのです。
ただ漫然と「見る」だけじゃなく、
判断のために「視る」、買い付けのために「観る」、働く人を「看る」、
同時にそれに関わる人々を、みんなが見ています。
これらを総称して「目利き」というのです。
 
売る側の人は買う側の人を見ます。
その逆もまた真なりで、買う側も売る側を見ます。
見る、視る、観る、看ることが出来る。
昨日、今日、明日、昨年、一昨年、将来なども見ることが出来るのが「市場」ですね。
 
そのために、いろんな場所から目利きに「見られる」物が集まってきます。
なるべくたくさんの種類を世界中から集めてくることが出来るのが良い「市場」です。
 
だから、モデル図にするとこんな感じです。
 
 
で、選別された魚は買い出し人、料理屋さんや小売仕入れ担当によって、市場から搬出されていきます。そのモデルはこんな感じ。
 
 
この市場機能をカタチに出来ていたのが、かつての築地市場です。
 
 
これが、築地市場の物流の空間化モデルです。
 
 
この上図での水色のアミかけ範囲が、築地のコア機能であり、
ここのプランニングがもっとも重要。
そして、入荷の触手と出荷の触手がスペースを必要とする機能です。
 
そういった視点で、62年度の築地再生計画の機能空間ダイアグラムを見てみると、、、、
どうもうまく築地に合致していないんです。
 
 
築地市場のコア機能が、十分に空間化されていない。
そこがブラックボックスのままで、輪郭のみのハコモノ。
ただの平場で、周囲を通路が取り巻いているスタイル。
 
特に荷受けスペースや待機スペースとコア機能がリンクしていない。
買い出し人の買い物品を届けておく茶屋機能も盛り込まれていない。
 
それよりもなによりも、水産と青果が重層されている事以外は、
なんかどっかで見たようなプランニング、、、
 
豊洲じゃん!これ
 
 
というか、豊洲市場の施設計画は62年の築地再生計画のプランをさらに細分化して、
一番重要な荷受けと仲卸空間のつながりを使えなくしてダメにしたものだったということです。
 
ここでもう一度、築地空間モデルを見てみましょう。
 
この図のように、築地のコア機能である目利きエリアがブルーのアミかけ部分
赤いラインの搬出入をつないでいるのがターレやフォークであり、ピンクのアミかけ部分
 
 
上図のブルーとピンクの部分を合わせもった空間としてプランニングしないと、
築地は機能しません。
 
そのような建築は果たして可能なのでしょうか、、、
可能というか、お手本になる施設として考えられるのは空港です。
 
 
 
 
つづく
 
 
 
 
 

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