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Channel: 建築エコノミスト 森山高至「土建国防論Blog」Powered by Ameba
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築地再生計画はじめました①

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約2ヶ月にわたり、豊洲市場とかいう巨大なポンコツ設計を見てきたわけなんですが、

じゃあ築地が今のままでいいのか?というとそれは多くの方々が認めていらっしゃるようにダメだと思います。


築地の豊洲移転問題が吹き出した約10数年前から、築地はどうせ移転なんだからさ、、と築地施設のメンテナンスも現状の修復もほぼ放置されてきた状態です。

何か抜本的に手を施さなくてはいけないのも事実。

同時に、築80年を経たおじいちゃん建築の問題だけでなく、魚や生鮮食品流通を巡る社会的環境も大きく変化してきています。

我々の身近なところで考えてみても、町の魚屋さんっていうものが猛烈な勢いで減ってきています。
魚屋さんの無い商店街もあるくらいに。
それらは皆スーパーの中に入ったり、スーパーの鮮魚部に押されてしまって後継者なく廃業したり、この10~20年間で大きく変化しました。

それには様々な理由があるのですが、大きくは衛生面での基準の強化や、大規模施設建築による消防法はじめ規制の強化です。

そのことにより、海外市場も見越した運営をしていかなくてはならなくなっているのです。

それがあるから、築地の維持、築地的空間、築地的ダイナミズムは失われざるを得ないのでしょうか、、、
それではあまりに残念過ぎる。

現代の新しい基準も抑えながら、魚市場の活気も復活させることは出来ないのでしょうか、、、

それにチャレンジした卸売り市場があります。
出来たてホヤホヤです。
しかも、非常な困難を乗り越えながら非常に短期間に実現しました。
多くの人達の地域復興の願いを担って、水産業者も市場業者も農水省も設計者も建設者も全力で頑張りました。

石巻市水産物地方卸売市場です。

東北大震災で壊滅的被害を受けてから、4年で復活しました。


世界最大級と言われております。



バースの長さは800メートルあります。


特殊爪に換装したフォークも走っている。



見学者スペースも市場全体を見ることが出来る。



屋上デッキから海を眺めることが出来ます。


夜景も綺麗ですね。

奇しくも、この建物を設計したのは、

80年前に築地市場を設計したのは伝説の「横河工務所」、現「横河建築設計事務所」です。
http://www.yae.co.jp/history/



石巻魚市場について見ていきながら、築地の再生について考えていきたいと思います。

横河工務所とは立志伝中の人物、横河民輔が1903年(明治36年)に
創設した日本で最初の民間建築設計会社です。


戦前から多くの日本の重要な建築に取り組まれていますが、横河民輔の凄いところは、耐震を重視した鉄骨造の建築を日本で最初に実現したことと、いくら設計しても鉄骨がなきゃ建築出来ませんから、そのための鉄骨会社、横河橋梁をも創業させたというところです。


戦前は、横河財閥と言われるくらいに産業界における様々な技術分野に進出されています。

私は、マイコン少年時代に、横河ヒューレットパッカードのプログラム電卓でその名を知りました。

建築家でありながら、ただ単に雇われ仕事を唯々諾々とこなすのではなく、社会に必要な事を草案し実行し、日本の産業界を牽引したという意味で、社会資本整備全体を俯瞰する建築家の中の建築家、建築王といってもいいでしょう。

その横河民輔DNAを受け継いだ、横河建築設計事務所が被災した石巻の市場の再生に携わったということは運命的とすらいえます。

そんな、横河民輔の設計事務所が存在していることすら、今のどや建築教育を受けている若者は知らなかったりするんですよねえ。
実務系で雑誌やメディアに登場しないから。

一方、デザイン性や先進性で横河民輔のリアルDNAを受け継いでいるのが、新国立競技場問題のときに、槇文彦さんといっしょに問題提起されていた、建築家の横河健さんです。

http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11735037931.html

横河健さんは、多くの斬新な建築作品で非常に著名な方ですが、横河設計事務所とはまったく別のデザイン組織を運営してらっしゃいます。
ちょうど、市販車のホンダに対する、F1レース用エンジンの無限ホンダみたいな感じです。


この石巻市場の工事に携わったのは、鹿島建設の特命チームです。

被災で全面的に壊滅した石巻市場の復興には10年はかかると言われた工事ですが、3年でやり切っています。


http://www.kajima.co.jp/tech/c_great_east_japan_earthquake/deconstruction/deconstruction06/

鹿島HPより抜粋

10年かかるとされていた建設事業をわずか3年で完成させるため、民間の高い技術力・施工能力を早い段階から活用する「アットリスクCM方式」が導入されました。

「アットリスクCM方式」では、ゼネコンをCMR(※)(コンストラクション・マネージャー)としている点が他のCM方式とは異なり、国内の公共建築工事では初採用となります。従来の設計施工と類似していますが、特別条件として「オープンブック(原価開示)方式」と「専門工事業者の選定承諾」「周辺関連工事との調整業務」を行うことが求められ、「石巻型アットリスクCM方式」と呼ばれています。

鹿島はCMRとして、調達・施工前段階において横河建築設計事務所に実施設計業務を発注。実施設計と施工の一貫体制および周辺関連工事との調整を同時に行うことで工事を効率的に進めています。



マスコミ報道等でゼネコンや建設業はブラックとか言われていますが、違います。

やるヤツはちゃんとやっています。
同時に、ゼネコンを利用してやろうとかいう政治的勢力にも大いに問題があるのです。

だいぶ話がズレてしまいましたが、この記事を見るとなんか凄そうな組織の名前が、基本設計者として載っています。

「一般財団法人 漁港漁場漁村総合研究所」
略して、「漁村総研」。
なんか、かっこよくないですか

エヴァ文字がぴったり似合う感じ

設立趣意書によれば

昭和57年9月13日農林水産大臣所管の公益法人として

「新しい時代の要請に対応して、美しい自然に囲まれたよりよい漁港、漁村を整備していくためには、漁港、漁村整備関係の研究成果及び実施例を活用しつつ、近年の大量情報処理技術等も積極的に取り入れて、計画、設計、施工あるいは管理運営等に関する実用技術を確立することが前提であり、このような問題に取り組む唯一の組織(研究機関)として設立

されたものだそうです。



と、さらにエヴァっぽくしてみました。

つづく




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