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大正ロマンの原宿駅は取り壊してはダメです④

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原宿駅の続きです。

原宿駅舎がどうなってしまうのか?どうすればいいのか?
駅舎のデザインや築100年近いといった歴史的経緯に言及してきましたが、
実際に今の駅空間、ホーム共に、ピークの乗降客をさばき切れていないというのも事実です。


駅から人が溢れている。


通り過ぎようにも、なかなか大変。
待ち合わせしようにも、居場所がない。相手の姿が見えない。
道路にはみ出す。

これでは大変です。

なんで、こんなことになっているのか?

そこで、原宿駅を簡単にモデル化してみました。

ざっとこんな感じです。
今、問題になっている駅舎ってこうして見るとずいぶんと小さい。

実は、というか、考えてみればすぐにわかることなのですが、駅というのは駅舎よりもそれ以外の部分の方が大きいんです。

駅機能だけを抜き出してみると、こうなります。


これを見てわかるように、駅の本体はホーム。
しかも、山の手線は長い。
駅舎はアタマみたいなもので、ちょうど宇宙龍、ナースのような感じです。


このナースの足に相当する部分が全部出入り口ならよかったのですが、、実際には原宿駅には出入り口改札が2カ所しかない。


だから、この改札口を増やせばいいだけじゃないか!というのが、阿部先生はじめ、我々の意見なのです。

前回で述べたように、かつては、改札キップは人力であったため、改札員さんの詰め所も一体でなければならかった、だからなるべく改札を集約していた。

しかし、今は自動改札なんだし、監視カメラで管理もできるのだから、改札は分散させて設けましょう、ということです。

実は、原宿駅に限らず、この改札が片面にしかないせいで、駅前はじめ周辺道路事情も含め、もったいない状況、不便な状況の駅は都内主要駅でも多々あります。

たとえば五反田駅。ここも品川方面口では檄込みです。
目黒側に出口がないためせっかく2国やDNPの工場のある交差点エリアが死んでいます。

目白駅。坂下の雑司ヶ谷との連続が図れていない状態。



板橋駅。ここも東武線の下板橋や北池袋側と有機的に繋げることが可能になる。ちなみに板橋駅は、板橋区にない、というトリビアがある駅です。

そして、鶯谷。この駅は田端と同様、巨大な陸橋が跨いでいるスケールのデカイ駅なのですが、、、上野側の商業ゾーンと連携できていない。

これらの駅と同様に、原宿駅も改札口を新たに設けることができれば、人の流れは分散されて、アタマの駅舎に集中することもなくなるでしょう。

さらに、原宿には既に出入り口候補があります。


普段の乗降時にはなんだろう?このホーム、という写真右側の部分。
初詣時期に開放される臨時ホームです。

ここを、常時活用にもっていくこともアリなんではなないでしょうか。

また、駅に必須の機能が「待ち合わせ」です。

これは、先ほどの鶯谷の北口を見習って、人口地盤をかけて広場にすればいいでしょう。



で、新駅舎を造るかどうか、についてはじっくり考えればいい。
今ある駅舎とどういう関係にするか、をじっくり考えればいい。

コンサルや代理店の担当者がゴリ押しする、スターバックスやユニクロを入れるためだけの駅舎なんかいらないんです。


つづく


大正ロマンの原宿駅は取り壊してはダメです⑤

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原宿駅への提案の続きです。

基本的な考え方として、出口増設だろうということでした。



と、いうのも原宿駅はピーク時に人が溢れているのは、駅舎内だけでないからです。
道にまで溢れている。


で、もう一つの改札竹下口はというと、、、

やはり溢れている。

ていうか、竹下口は駅舎すらない。


駅というより、、、土手に庇があるだけ。

屋根がねえ、柱もねえ、風雨を遮る壁もねえ、自販機ねえ、ベンチもねえ、人がたたずむ場所がねえ、三角はあるけれど、ただの飾りで意味がねえ。改札を通ってもそこにあるのは通路のみ。

そりゃこんな駅、いやだ、というのは分かる。

隣の代々木駅よりも狭い。
そして代々木駅よりも出口が少ない。

地下鉄にも直接接続していないので、大勢の人たちをいったん収容するスペースが足りな過ぎているのです。

まずは、建物の前に人が立てるスペースを確保しなきゃならないんですね。

原宿駅の立地を、地形をチェックしてみましょう。


原宿駅の線路は、表参道の地面より下、溝みたいなところを走っているんです。ちょうど目黒駅みたいな、目黒駅ほど深くはありませんが。

で、この高さはというと



ざっと、8メートルくらい。
2階建ての家くらいはあります。

この部分に蓋しても大丈夫なんじゃないですかね。

そもそも、この原宿駅の明治神宮へ行く橋のところ、神宮橋というのは昔っから原宿へ集まる若い子の、ステージみたいなところ。

南には渋谷市街を望み、代々木オリンピックプールが見える。


なんか、新宿副都心、渋谷公園通りに続き、東京に来ちまったゾ~と感慨を深くする、名シーン。


振り返ると原宿駅。

人が少ないときは明治神宮の森を背景に、遠くのDOCOMOビルが尖塔にもみえていますが、牧歌的で気持ちの良いところです。

この神宮橋を北へ数倍に拡張すると、こうなります。


なんか、良さそうなんですが

つづく

大正ロマンの原宿駅は取り壊してはダメです⑥

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原宿駅の現状略図はこんな感じです。


これが、なぜ混むのか?
目白のように出口が1カ所というわけでもないのに。

1日の平均乗降客数を見てみますと、、、

お隣の代々木駅と比較しても、あまり変わらないどころか、、、代々木駅よりも少ないんです。

少ないだけじゃない。
この25年間、ずっと7万人で推移、むしろ変化なし。
原宿駅込む込むは統計の数字では見えてこないんです。

おっかしいなあ、、渋谷駅以上の、身動きできない混雑ぶりなのに、、、と、休日に原宿を訪れた人は、そう思うでしょう?

渋谷駅の乗降客数は、、、ものすごい。

50万人以上、乗り換えもありますが、、100万人に迫る人の動きです。
例の東急地上駅廃止による地下迷路化工事によってJRの乗り換えが徐々に減ってきているのも気になる点ですが、それでも原宿の5倍近い乗降客数です。

て、ことは原宿駅の混み具合は、駅舎の大きさが直接の原因ではないことがわかります。

つまり、駅舎を大きくしても、新築の原宿駅にしても、その混み具合は解決されない可能性です。

山の手線の混み具合を調べた資料がありました。

これを見ると分かりますが、実は「山の手線は池袋から渋谷間だけが突出して混んでいる」ということなんです。

その原因はあきらかで、私鉄ターミナルの池袋、新宿、渋谷の乗り換えのせいであることが分かります。

その間に挟まれている、目白、高田馬場、新大久保、代々木、原宿の各駅は、駅に入ってくる電車が既にギュウギュウになっているということです。

さらには、原宿駅は休日やイベントによってその日の乗降客数が10数万人になることもあり、その乗降時間も午前中10時~午後6時くらいまでがピークで、偏っているということです。

にもかかわらず、この駅には大人数をさばくには、いくつかの欠陥というか、キャパオーバーに加えて、導線計画に無理があります。

たとえば、狭いホームのど真ん中に突っ込んだエスカレーター


このエスカレーターの脇には1メートルほどの通路スペースしか残っていません。
ここに電車が入ってくると、どうなるか、、
まず、電車から降りようとする人の流れ、ホームで待っている人の流れがぶつかる。
そこにエスカーレーターや階段を上ろうとする、降りようとする人の流れが合流、さらに渋滞。
そこに反対車線の電車が到着すると、同じことが両サイドで起こり膠着。
しかも、山の手線の混み具合で確認したように、乗ろうとする電車は既に満員。

逃げ場なし。というトラップが原宿駅ホーム上には、南北階段部分、エスカレーター部分、竹下降り口と4カ所あるのです。


ホームにやっと降りても難関が続きます。
最大の渋滞カ所は、川の流れといっしょで幅を絞ったところ、2階部分にあります。


わざわざ、左右からこの狭い通路で合流させているので、ホームから改札に向かう人と改札からホームに向かう人もぶつかって、流れが止まるのです。

こういうのを「ボトルネック」といいます。
なんらかのシステムの動きを制限する、隘路のことですが、物事の進行を邪魔するカ所のことですね。
コンピューターシステム等ではよく出て来る概念です。

ボトルネックというのは瓶の肩口のことですが、下記の図でも明らかなように、水の流れでも広いところから急に狭くして、ボトルネックがあると、その後を広げても、流れは速くも大きくもなりません。
渋滞したままです。


すーっと目的に近い出口に向かいたいにもかかわらず、この1メートル幅の通路を互いにすり抜けなければならないというトラップが、何カ所も仕掛けてある、造ってある。

原宿駅にはこのボトルネックがいっぱいあるのです。
いっぱいあるだけじゃない、ボトルネックどおしを掛け合わせてさらに、人の歩行を止めている。

現在の原宿駅は、観光客や若者が増えたとか、環境要因、外因、自然現象で混んでいるのではなく、わざわざ混むように導線計画をしてしまっているという、人為的要因ですね。

この流れを変えない限り、駅の機能的問題は解決しないのです。

原宿駅を普段使う方ならお気づきと思うのですが、原宿駅の西側の明治神宮の森の手前に、人が降りない謎のホームがあることはご存知でしょう。



これは、謎でもなんでもなく、年始の初詣のときにだけ使われる臨時ホームというものです。

改札もあります。


なので、原宿駅の概略図は本来以下のようなものなのです。


これを、活用しようと。

森山!なにわざわざここまで引っ張っているんだ?JRの計画でもそうなっているじゃないか!と揚げ足取りの御仁もおられるでしょうが、、

下図がJRの発表記事ですが、先ほどまでのボトルネックの解説でおわかりのように、この新駅計画では、神宮ホーム側に階段とエスカレーターを移しただけで、これまでの駅の不便さと大して変わっていない。

同じことやっているんです。

ボトルネックは温存したまま駅改札を少し広げただけ、トイレを増やしただけ、駅は龍と似ているといいましたが、新駅は「龍のアタマ」を大きくしただけで、外に出る足の数を増やせていないのです。

で、もって、現駅舎のことについては、どうするつもりなのか明示していない、「※現時点でのイメージ」と書いてあるように、今後は変わる可能性もある。


ならばよし!思い切って変えていただこうではありませんか!JRさん。

と、いうことで

原宿駅の改修計画を練るために、

交通計画コンサルタントの阿部等先生と原宿駅周辺の調査、視察といえば、なんだかかっこいいですが、、実際は付近をブラブラしてきましたよ。


▲付近にいらした観光客の人に撮してもらいました

やっぱり、平日の原宿はこんなもんでした。
天気も良くぱーん!と冴え渡る抜けた感じと緑


神宮橋の向こうは森


ちょうど、原宿駅前の交差点は、この辺で一番土地が上がっている場所なんです。

だから、東西南北どちらにも視界が抜けてて気持ちのよい場所です。


代々木オリンピックプールが見えますね。
確かに、遠目には神社の大屋根にも見える緩やかなカーブは、高度成長期のあのころの未来をいまだに感じさせてくれるものです。

昔、この交差点周辺は歩行者天国だったんですよ。


「ジュン・スカイウォーカーズ」とか、「リモート」とか、「ピンクサファイヤ」とか「ザ・ブーム」とか、「一世風靡セピア」とか、



ホコ天出身というのが、ちょうど今のニコニコ動画やユーチューブを使って楽曲をUPするみたいに、毎週いろんな若者がいろんな表現で、いろんな夢を見ていたんだよ、原宿は。

今、必要なのはビルじゃねえんだよ。



つづく

今年のマンガ学会では「SOIL」カネコアツシ

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日本マンガ学会第16回大会(東京工芸大学 中野キャンパス)
http://www.jsscc.net/convention/16
にて、論文発表してきました。

わたくしは、拙著「マンガ建築考」を読んでいただければわかりますように、マンガに登場した建築や空間について、いわばマンガにおける背景空間の研究をしているわけですが、

その理由はマンガ作品における背景には作者の無意識な潜在的な思想、作品を成立させる時代の社会的状況が如実に表れているであろうことを読み取ることができるからです。

同時に、物語の強度を高めていく意味では背景空間の表現が非常に重要です。

これまで、マンガ学会で発表してきたものは

12回大会

藤子F不二雄作品にみる住居空間の変遷
高度成長期以降の日本の住居における子供室と中廊下型プランの登場

13回大会

弐瓶勉、ブノワ・ペータース、フランソワ・スクイッテンの都市表現比較

近代都市概念の成立と垂直的空間の意味について

14回大会

「AKIRA」災害と都市、東京オリンピック

都市の構造と破壊、巨大災害と原発事故

15回大会
「ベルセルク」の都市巡礼
マンガにおける閉鎖空間とその効果

でした。

今回は、カネコアツシ「SOIL」を元に、ニュータウンの変遷と作品上の意味について発表してきました。

同時に、今後はニュータウンを背景空間とする作品、さらにはニュータウンが抱える問題が多くの作品に影響を及ぼすことになると思います。


大正ロマンの原宿駅は取り壊してはダメです⑦

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原宿駅をどうすればいいのか?続きです。

平日は案外閑散としている原宿駅


それが、休日、イベント時にもなると大変な混雑、地獄絵図。
身動きもままならない。



その原因はボトルネックなんだ、そして新駅ではボトルネックの解消が計られていない、計っていたとしても付け焼き刃、不十分、だから人々は渋滞したままになるだろう、というところまででした。

ならば、今の駅舎から新駅舎にしたところで無意味。
では、どうすればいいのでしょうか

「渋滞学」という学問があります。


これは東大の西成活裕先生が提唱された新ジャンルなのですが、
西成先生の研究室「西成総研」ではさまざまな渋滞の研究に取り組んでらっしゃいます。
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/tknishi/

高速道路の渋滞だけでなく、アリの行列も渋滞する。自然界はいつも渋滞だらけだ。とのこと。


西成先生は元々航空宇宙工学を専攻されていましたが、徐々により純粋な数理物理学の方に進まれ、一時期は非線形方程式のソリトン波の研究等もされていました。

実は、不肖、森山はずっと以前から西成先生とお友達なのです。
お友達というか同志ですね。
このブログでもたまに紹介している現代の松下村塾、パスファインダー物理学チームを主催する、物理数学の吉田松陰こと長沼伸一郎先生の門下生として、、西成先生の方が兄弟子ですね。
http://pathfind.motion.ne.jp
元々、「パスファインダー物理学チーム」は、長沼先生と西成先生の二人の間で、「ほとんどの学問が先鋭的になり過ぎタコツボ化する研究者環境の中で、現代に生きる我々はなにを成すべきか、はたして何事か成せるのか、」といったような真摯にして激烈な議論を重ねていた私塾のようなものでした。

そこはですねえ、言ってみれば頭良すぎてコジらせちゃった有為の若者が世を憂いて無聊をかこつサロンのような空間なのですが、

まあ、そこに今から15年ほど前に私もひょっこり参加してしまったというわけです。

その後、西成先生はドイツ留学を経て「学問としての渋滞研究の方法論が確立できた!」「自然や社会までつながる物理数学のすごさを実感した」とのことで、ベストセラーとなった「渋滞学」がこのジャンルの嚆矢となりました。

嚆矢(こうし)とは、音を立てて飛ぶ矢、かぶら矢、のことで、古代中国で戦いの始まりを告げるために射かけるものです。転じて、物事の最初にあること、事蹟を最初におこなった勇気ある成果のことをこう呼びます。

さて、その渋滞学をひもといて原宿駅問題について考えてみましょうか。さすれば、原宿駅以上の問題駅、異常な導線計画をもって評判を落としまくっている渋谷駅の直し方も見つかるかもしれませんよ。

つづく

「今、建築観を見直すとき」産経新聞6月13日記事

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先週6月13日の産経新聞夕刊に寄稿させていただきました。
古い建物は、ただ壊すのではなく、まず残すことを考えましょう、といった趣旨の記事です。

築地市場の豊洲移転が不可能な理由①

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築地市場というものがあります。
元々は魚のプロの方々が魚を卸し、かつ仕入れるために集まる施設です。そのため、かつては漁業関係者と魚屋さんと、こだわりの寿司屋さんや料亭の仕込みの方々しか行かない、行けない、入ると怒られそうな施設でした。

プロが集まりプロだけの用語でプロだけの動きをする。
ちょうど同じような材木市場に木場がありますが、素人がチョロチョロするには非常にハードルの高い、緊張感が漲っていました。

私が若いころ木場での出来事を書いた→ある日の斉藤ジムショ

しかし、バブル時代のころから徐々に「築地」という名が食の情報誌に紹介されるようになり、

東銀座にあるマガジンハウスのブルータス等で文化人や編集者が「場内の美味い定食を知っている」とか、「場外しか行ったことないのは素人」とかいった具合にチラチラ紹介されはじめ、「danchu」とかでは、築地巡りの特集が組まれるようになる。


「美味しんぼ」というマンガの登場により、食文化に関する蘊蓄も広く一般の趣味になりました。

テレビ番組の「料理の鉄人」で様々な食材を有名シェフが思いもよらない調理法を駆使したり、知らない食材や調味料が登場する度にワクワクしましたよね。


極めつけは、築地市場そのものを舞台にした「築地魚河岸三代目」という作品もあります。


この料理&グルメ漫画というジャンルも、「庖丁人 味平」を嚆矢とするものですが、その後ものすごい発展と広がりを見せました。


味いちもんめ 姉のおなかをふくらませるのは僕 甘々と稲妻 いいなりゴハン いつかティファニーで朝食を 一本包丁満太郎 魚心あれば食べ心 鬱ごはん 駅弁ひとり旅 駅前の歩き方 江戸前鮨 職人きららの仕事 江戸前の旬 おいしい関係 おいしい銀座 美味しんぼ 王様の耳はオコノミミ おうちでごはん 大食い甲子園 OH!MYコンブ おかわり飯蔵 おすもじっ!◆司の一貫◆ おせん 音やん おとりよせ王子飯田好実 女くどき飯 女の子の食卓 隠密包丁~本日も憂いなし~ 怪盗レシピ 華麗なる食卓 カレーの王女さま 奇食ハンター キッチンのお姫さま キッチン パレット~小麦の恋愛風味 修行仕立て~ きのう何食べた? 銀のスプーン 勤番グルメ ブシメシ! 喰いしん坊! 喰いタン くーねるまるた クッキングパパ グ・ラ・メ! -大宰相の料理人- グルマンくん 喰わせモン! 芸能グルメストーカー けずり武士 喧嘩ラーメン 幸腹グラフィティ 幸福のディッシュ 口福の人 荒野のグルメ 極道めし ご馳走さま! 孤独のグルメ こなもんっ コングルGood 最後の小料理屋 最後のレストラン 酒のほそ道 ザ・シェフ THE ポッシボー ~ロビンと魔法のエプロン~ 〆切ごはん 邪道 シュガーポットのないしょ話 将太の寿司 食戟のソーマ 食と薔薇の日々 食の軍師 ショショリカ 食キング 深夜食堂 スーパーくいしん坊 聖ジョルジュ女学園暗黒料理研究会 タベルナ 蒼太の包丁 銀座・板前修業日記 そばもん ニッポン蕎麦行脚 大使閣下の料理人 大正浪漫 鬼さんやめてえぇっ!! 格闘料理人ムサシ 高杉さん家のおべんとう ダシマスター たべるダケ ダンジョン飯 チーズの時間 チャイナガール 茶柱倶楽部 中華一番! 築地魚河岸三代目 強くなる東洋食のすすめ 鉄鍋のジャン! 鉄板少女アカネ!! デパ地下! でらぐい デリシャス! 天才料理少年 味の助 天使のフライパン てんむす どうなのっ河本さん! ドカコック トリコ とんかつDJアゲ太郎 丼なモンダイ! 流れ板七人 にがくてあまい 虹色ラーメン 野武士のグルメ 信長のシェフ のんちゃんのり弁 幕末料理侍 すずしろのボン ばくめし! 初恋ランチボックス 花形怜 華中華花のズボラ飯 パンでPeace! バンビ~ノ! パンむすめ 昼のセント酒 貧民の食卓 フードハンター双雷伝 フードファイタータベル 風流つまみ道場 文豪の食彩 文士のお取り寄せ 噴飯男 ヘルズキッチン 放課後のトラットリア 包丁人味平 包丁無宿 包丁無宿勝負旅 炎の料理人 本日のバーガー まかない君 魔法の料理 かおすキッチン マジカルシェフ少女しずる マリー・アントワネットの料理人 満天握り月太郎 ミスター味っ子 三ツ星CLUB ★★★のスペシャリテ 3つ星ラブデイズ めしばな刑事タチバナ 目玉焼きの黄身 いつつぶす? めっちゃキャン もぐささん 焼きたて!!ジャぱん 461個の弁当は、親父と息子の男の約束 ら~マニア ラーメン王子 らーめん才遊記 ラーメン大好き小泉さん ラーメン発見伝 リトル・フォレスト ワカコ酒

これ意外にも読み切りの料理漫画はたくさんあります。
それくらい、多種多様な料理の表現や蘊蓄や食材というテーマが存在するのです。


そうした非常に多くの食材流通を支えているのが、市場の仕組みです。この場合の市場(しじょう)とは、経済用語でいうところの抽象的なマーケットを指すのではありません。

交易のための市場(いちば)のことです。
出来るだけ多くの様々な物品が持ち込まれ、必要とするところに出来るだけ細かく分かれて買われていくことが可能な場所が良い市場です。
この出来るだけ多種多様というところが大事なのです。
もし、日本人の食卓に上る魚が、サーモンとサンマとサバだけであったら、市場が必要ないでしょう。
大手サーモン商社と配送センターがあればいいだけです。

豊かさとは何か?と問われたときに、それは多様なモノから選択の自由があることなのだ、といってもいいでしょう。

そういった意味で、豊かさを失ってしまったのがパソコンです。
今の若い方はご存じないかもしれませんが、かつて、パソコンにも様々なOSやメーカーが存在しシノギを削っていたのですよ。
日本のメーカーも独自OSやマシンを開発していたのです。

コンピューターの市場が活気を失ったのは、OSがWINDOWSだけになってしまったため、競争もイノベーションも多様性もなくなりました。ただの道具に成り下がってしまいました。

話しがズレてしまいましたが、同様のことが起きかねないのが築地の豊洲移転なのです。

さらには、豊洲新市場という施設が、どうやら市場として十分に機能しないどころか、もし、移転してしまったら、魚の流通がストップしかねない事態になってしまっているようなのです。

なぜ、そんなことになってしまったのか?

最初、私も事態がうまくつかめなくて、まさか?そんなバカなことが起きてるのか?と信じられない気持ちでいっぱいでしたが、、、。

どうやら、新国立競技場問題以上の大変な状況に陥っているのです。

しかし、新国立競技場問題より救いがあるのは、豊洲施設がダメなまま完成しちゃいましたが、現築地市場をまだ壊していないことです。

築地移転がなぜ不可能なのか、、徐々に紐解いていきたいと思います。

まず、豊洲新市場の衝撃的な問題点が指摘されたのは、2月のことです。


日刊ゲンダイ 2016年2月24日

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/175878

豊洲新市場に“”衝撃欠陥” 積み荷の重さで床が抜ける恐れ
開場予定は今年11月7日。豊洲新市場は、築地からの移転費が5884億円にも上る見込みだ。市民と築地の仲卸業者からなる「守ろう!築地市場パレード実行委員会」が22日、移転に関わる33項目の問題点を明記した公開質問状を舛添都知事に提出。その後の会見で、新市場の“衝撃欠陥”が明らかになった。

「豊洲新市場が今のまま開場すれば、床が抜けてしまうかもしれない」と指摘したのは、東京中央市場労組執行委員長の中澤誠氏(51)だ。新市場で仲卸業者が入る「6街区」の、床積載荷重の限度は1平方メートル当たり700キロ。築地市場を頻繁に行き交う荷物運搬用の小型車「ターレー」1台の重量は、運転者と積載貨物を含めると約2トンにも及ぶ。

「ターレーだけでなく、魚を入れた発泡スチロール容器などを何段も積めば、700キロは優に超えてしまいます。豊洲市場は『50年先を見据えた首都圏の基幹市場』と銘打っていますが、長年使っているうちに床が剥離・ヒビ割れしてしまうでしょう。築地では仲卸業者は1階に位置しており、“地べた”の上で作業しているので補修可能ですが、豊洲は2階以上の“高床”。最悪、床が抜けてしまう可能性も考えられます」(中澤氏)
実行委の賛同人で1級建築士の水谷和子氏(63)は、「ベンゼン汚染について、全700区画のうち305区画が未検査のまま」と指摘。さらに、「店舗の作業スペースが狭すぎる」と憤ったのは、築地で64年間にわたりマグロ仲卸業を営む野末誠氏(78)だ。

「一般的な魚屋には、最低約3メートル幅の間口が必要だと思うのですが、私たちに割り当てられたのはたった1メートル40です。これでは、冷蔵庫やシンクを置くとマグロを置くスペースがない。誰がどういう基準で決めたのか全く分かりません」

 残り8カ月余りで、“欠陥”を直せるとは思えない。舛添都知事はどう返答するのだろうか。


床の積載荷重が700㎏と聞いても、皆さんには専門的過ぎてなんだかピンと来ないと思います。

これは、どういう意味かといいますと、
建物が完成した後に、床にどれくらいの荷物を置いても安全か?という建物設計上の能力をいいます。

通常は1㎡に耐えられる荷重をN(ニュートン)で現しますが、それは地球の重力を考慮した表現です。

同じ質量でも、重力加速度が違うと力が違うので、厳密にはN(ニュートン)で表現するようになりました。

地球の場合、9.81なので、1㎏の質量の物体の力は9.8N(ニュートン)となります。
ちなみに、火星の重力加速度は3.71ですから、1㎏の質量の物体にかかる力は3.7N(ニュートン)です。


つまり、テラフォーマーズたちは、地球に居るときよりも3分の1くらい荷物を軽く感じるというわけです。

話しは床の積載荷重に戻りますが、これは最低基準が建築基準法で決まっておりまして、建物用途ごとに違います。

住宅1800N/㎡ 1㎡あたり1800Nの力、質量は地球上の場合には重力加速度の9.8で割るので、約10分の1と見ていいですが、
住宅の場合には、1㎡あたり180㎏までものを置いていい前提です。

以下同様に

事務室、一般的オフィスは 2900
N/㎡1㎡あたり290㎏
百貨店、店舗  2900N/㎡1㎡あたり290㎏
映画館とか集会場 35
00N/㎡1㎡あたり350㎏
自動車車庫 5400N/㎡1㎡あたり540㎏
一般書庫 7800N/㎡1㎡あたり780㎏
2段式書庫 9
00N/㎡1㎡あたり980㎏

という決まりがありますが、これは最低基準であるため、実際の運用では施設ごとに、より以上の積載荷重の設定をして設計をおこないます。

数字だけでは分かりずらいので具体的にしますと、たとえば下図のような薄型の本棚


漫画コミックスなら250冊入るらしいのですが、コミックス一冊の重量は約200グラムですから、50㎏くらいです。本棚自体の重量が30㎏くらいあるとすると、80㎏です。
住宅は1㎡あたり180㎏が最低基準でしたから、全然余裕がありそうですが、、、この本棚の底面積で割っておかなくてはなりません。
この本棚な底面が90センチ幅で奥行き30センチですから、㎡数に直すと0.27㎡です。

0.27㎡で80㎏だから、、、本棚真下の局部には1㎡あたり296㎏となりますから、、この本棚の周囲に1㎡程度の何も置いていない部分がないと、基準値を超えてしまいます。

実は、この程度の本棚でも、床一面にビッシリ置いてしまうと、住宅の床の積載荷重基準をすぐに超えてしまうのです。

なので、オーバースペックにならない程度で床の積載荷重は多めにしておかないと危ないのです。

コレクターが、大量の書籍を保管のためだけに古い木造アパートの2階を借りるのは結構危険なんです。

さあ、ではこの豊洲施設の床積載荷重、700㎏というのはどうなんでしょう?余裕のある数字なのでしょうか?

1メートルあたり700㎏を理解するtめに、1メートル角の水のキューブが基準になります。

この量の水が1000㎏=1t(トン)です。
トン、なんて単位は普段の生活であまり使いませんよね。
スーパーでも「豚バラを1トンくださらない?」て聞いたことがない。

しかし、プロの世界では案外、すぐにトンが出てくるんです。

普段の生活で出て来るトンに近いものとしては、浴槽です。
たとえば、一人ぐらしの部屋にあるような小さな浴槽、これにめいっぱい水入れたときに、内側60センチ×90センチ×深さ60センチで400㎏近くになります。


つまり、こんな極小の風呂でもそうなのだから、豊洲施設の床の積載荷重700㎏というのは、水槽やいけすを二段には出来ないということです。

さらに、市場ではこんな乗り物が走っています。

「ターレ」と呼ばれる、正式名「ターレトラック」というはたらく自動車です。元はターレメーカーの朝霞製作所の登録商標でしたが、今は一般名詞になっています。

このターレ1台で何も載せてない状態で、1トンの重量があります。

だから!このターレに魚を積み込んだり、魚の水槽を載せたり、して運んでいるときの重量は2トンを超えます。

でも、、1㎡あたりなんだから、、、、大体ターレを上から見たときの投影面積が大体、幅1メートル×長さ2メートルで、、2㎡くらいでしょうかね。
2㎡あたりで2トンなんだから、1トン/㎡。
トンは1000㎏なんだから、、、、豊洲の床の積載荷重は700㎏ということは、、、、

全然、超えてんじゃん。

豊洲の積載荷重設定は、荷物運ぶように出来ていないじゃないですか!

一体だれがこんな設計したんだよ!
と思って調べたら、、、


ヤツらでした。

新国立競技場問題のときにも、出来るのか?キールアーチ?の構造計画の説明を一度もしなかった、日本一の設計会社と言われているところでした。

なんか、ヤバイ雲行きだぞ~これ。


そういえばゲンダイの記事で指摘された、舛添東京都知事は既に居ません。

政治資金の私的流用を指摘され、政治資金規正法が記録のみのザル法で、何に使ったか?については罰されないというところを逆手にとって、高圧的な態度や言い逃れの時間稼ぎをしていることが、国民のさらなる不評を買ってしまったあげく、自分で頼んだ第三者という卑怯な手がさらに人々の怒りに油を注いでしまいました。

4ヶ月前の記事ですが、舛添氏、もはやなつかしい感じもします。

舛添知事は退陣したのですが、豊洲の工事は粛々と進行してしまって、ここまで出来てしまいました。


②につづきます。




築地市場の豊洲移転が不可能な理由②

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築地とはいったいどういうところなのか?
普通、魚市場なんて誰も行ったことはないですよね。

実家が漁師でも、実家が魚屋でも、漁村や漁港のある街に育ってもなかなか行く機会はありません。
それに、この漁業の世界は荒くれ男の職場、っていうイメージもあるし。

私は瀬戸内海の港町近くの生まれですが、幼少の頃にそうした港で見た大人達の働く姿は、一般に荒くれ男の職場と思われている建設業以上に切った張ったのイキ越しに、圧倒された覚えがあります。
さらにいえば、その後太平洋に出る東北の港町や日本海に出る九州の港町、さらには外洋に向かう船舶が停泊する港街を見ますと、瀬戸内海なんてぜんぜんヌルかったのですが、

そのせいか、今でも港が大好きなのです。
建築と港だと、どちらかという港の方が好きなくらいです。
運河も好きですが、港と繋がる運河とかが最高ですね。


港にいると、こうなんていうか海と空にもっていかれる感じがするのと、港には大型船舶から小舟まで、いつもせわしそうに動き回っている、2サイクルのエンジン音が響き、そこに一定のリズムでザザー、ザザーの低音のリズムを奏でる波が寄せては返す。

港というのは朝と夕がいい。
埠頭の灯りやブイが光る夜もいい。
夏のキラキラする水面もいい、冬の寒天に立ち上る湯気もいい、台風のときの恐ろしい感じも、春のぼんやり曇天のベタ凪もいい、というわけで、港というのは余計な人為的企てが入り込む余地がないところ、自然と人工物がギリギリで拮抗している様がいいんでしょうね。

一方、重化学工業が展開するコンビナートとしての港にも相当シビれるものがあります。諸外国からやってきたタンカー、タグボート、クレーン船や浚渫船が狭い運河をたくみに行き交う。


港湾施設が生産施設そのもの、という重工業感は昨今都市からはずいぶん離れた場所に位置してしまいました。
小さな漁村もコンビナートも一日中居ても見飽きないんですよねえ。

と、このまま延々港論に走ってしまいそうなので、ここら辺にしておいて築地市場の豊洲移転が不可能な理由の②です。

築地市場の平面配置と間取りというのは、こんなカタチをしております。

なんだか、丸いんですよ。
その丸いカタチの周囲を取り巻くように様々な建物が並んでいて、この絵だけみると、ちょうどエンジンとか油圧ポンプのような、なにやら動くものの断面図のように見えますよね。

上の写真は重機の駆動や自動車のパワステに使われる油圧ポンプといわれる機械の断面です。


で、こちらが豊洲


こちらの方は、ちょうど電子回路のような、いくつもの部品やICやLSIが載ったパソコンの基板みたいですよね。

この写真はNECがかつて開発したTK85というマイコンの基板です。


築地と豊洲には、実はこのイメージどおりの違いがあるのです。
油圧ポンプ型が築地、電子回路型が豊洲です。

この違いは空間構成や導線計画のすべてに影響してくる話しなんです。

つづきはまた書きます。


築地市場の豊洲移転が不可能な理由③

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築地市場が物流の流れをそのままカタチにしたものである、の続きです。



この扇形のプランは鉄道の引き込みのためだったのです。
築地に入ってくる列車は通称「魚河岸列車」と呼ばれていました。




貨物列車から降ろされた魚がトロ箱に入って並べられています。



築地“魚河岸列車”52年の歴史に幕

2013.12.18

1987(昭和62)年1月31日、東京・築地の中央卸売市場に52年間、魚や野菜を運んできた“魚河岸列車”がラストランを迎えた。貨物輸送は35年の市場オープンと同時に始まり、最盛期には1日に150両の貨車が出入りし、年間輸送量は50万トンを超えた。しかし、トラック輸送が主流となって取扱量は激減。最終的には広島と下関からアジ、カレイなどが4両の貨車で1日1回運ばれるだけとなっていた。http://goo.gl/MUOrCV




築地市場の配置計画には以上のような経緯があったんですね。
なるほどなっとくです。

その後、国内の物流の多くは鉄道から自動車にとって変わりました。



昭和40年には30%を占めた鉄道貨物輸送ですが、現在では1%程度ともいわれております。

この鉄道からトラック輸送への変化の中で、築地の現状の配置計画を見ますと、ちょっとうまくいってないんじゃないか。

鉄道時代の物流からトラック物流への転換にちょっと失敗してんじゃないかなあ、という気はします。


ただし、それでも、豊洲よりはマシ。

豊洲は根本的に物流とリンクしていない、というのが率直な感想です。

それは、空間のつながり、動線計画の解釈に間違いがあるんじゃないか?という意味からです。

前記事で、油圧回路と電子回路のメタファーを出しましたが、物流に限らず、人が集まる施設、建築の動線計画というのは、ただ単に通れればいいとか、つながっていればいい、というのではダメです。

繋いでありさえすれば機能する、というのは信号や情報が伝達される電子回路的考え方なんですね。

そのような単純な思考では、物体や人が流れる建築的空間では渋滞を起こします。
それだけではありません、間違ったつなぎ方とすると、溢れたり、破裂したりします。

それが、油圧回路なのです。

続きはまた書きますね。



築地市場の豊洲移転が不可能な理由④

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築地市場の移転先として準備している豊洲市場とはどのような施設なのでしょうか

そのまま「豊洲市場について」というページがあります。
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/



大きく4つのコーナーに分かれておりまして、①市場の特徴、②整備状況、③あゆみ、④データとなっております。

まず、①のどんな特徴があるのでしょうか、それは以下の4つなんだそうです。

言い分の1

食の安全・安心を確保します。

温度を適切に管理できる閉鎖型施設になることで、商品を高温や風雨の影響から守り、鮮度を保つことが可能となります。

安全と安心、これは、まあ当たり前。特徴でもなんでもありません。
注目は「温度管理が出来る閉鎖型施設」と言っているところです。

言い分の2

効果的な物流を実現します。

売り場の近くに荷物を整理するスペースや駐車場を確保することで、車や荷物がスムーズに流れる市場になります。


効果的な物流、これも当たり前。特徴でもなんでもありません。
注目は「売り場の近くに荷物整理と駐車場」と言っているところです。

言い分の3

さまざまなニーズに応えられる施設になります。

食生活の変化に合わせて変わっていく消費者の皆さんのニーズや、産地・小売店・飲食店等のニーズにしっかり対応できるよう、加工・仕訳け・包装等ができる施設を設けます。

出た!「さまざまなニーズ」、これが大概の公共施設をダメにしている多くの理由のひとつ、盛り込みです。市場としてのニーズだってけっこう厳しいのに、、ちょっと心配になってきました。

言い分の4

省エネや地域のにぎわいにも貢献します。

太陽光発電等の自然エネルギーの活用、ヒートアイランド対策として屋上緑化を進めます。
屋上の太陽光パネル、屋上緑化広場 、「食」を中心とした観光施設「千客万来」を設置します。


「にぎわい」、、ポエム来ました。すごく心配になってきました。新国立競技場問題はじめ、建築の特徴や目的の中にポエムが入ってくると碌なことにならないですよね。
さらに!「屋上緑化」、「太陽光」、「ヒートアイランド」。市場や公共施設とさして関係の無いこと言い出しています。
そして極めつけが、、「先客万来」ひとことでは具体的に何を言っているのかわからない言葉です。

以上が、豊洲の特長らしいです。

気になるのは、それぞれが断言されていない、目標とか希望みたいなところです。

食の安全・安心を確保しました、確保しています、ではなく
食の安全・安心を確保します。(そのつもりです)

効果的な物流を実現しました、実現しています、ではなく
効果的な物流を実現します。(がんばってそうします)

で、さまざまなニーズに応えます(希望)、とにぎわいに貢献します(願望)、かあ、なんだか心配だなあ。

続きまして、整備状況ですが

続きはまた後ほど書きますね。

築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑤

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ここへきて、豊洲市場について問題が噴出しています。

床の積載荷重不足の問題



各、仲卸しさんにあてがわれたブースが仕事にならないぐらい狭いんだそうです。

そして!豊洲では掃除に海水が使えないという話。


さらに、建築物の構造強度不足の問題。



続いて、製氷装置の問題。



問題が次々と発覚しております。
とりあえず、日刊ゲンダイさんがこの話題先行しております。

が!もはや、日刊ゲンダイだけに留めておくことは出来ない勢いなんですよね。

しかし、築地の機能をそのまま移してくれるもんだと思っていた豊洲が、床の積載荷重を700㎏しか見ていないって本当なんでしょうか。

なぜなら、築地に行った人は誰だって見たことあると思うんです、ターレトラック。


この写真に写っているのは、ニチユの「エレトラック」という機種ですが、築地に限らず通称「ターレ」と呼ばれる電動の運搬車両は様々な市場で使われる、はたらく自動車の代名詞。



このニチユは日輸車輌株式会社といいまして、2013年に三菱の子会社となってしまいましたが、小型搬送機械のベンチャー企業です。

グッドデザイン賞も受賞しています。


このターレトラック本体が930㎏の重量があります。
そして荷物の積載量が約1トン(1000㎏)です。
合わせて、2トン(2000㎏)の重量があります。

これが、ガンガン動きまわっているのは、建築の専門家じゃなくても、築地に出入りしている人なら、いや!観光目的の築地場外訪問者であっても、周知の事実。

にもかかわらず、豊洲の新市場は床の積載荷重が700㎏しか見ていない。

なぜなのか?本当なのか?一瞬、耳を目を疑いました。

そしたらですね、ありました。

豊洲新市場を建設するときの床荷重の設定表
ことごとく1トンを超えていません。

まったく築地の状況は無視。



ターレだけで1トンの重量がるにもかかわらず、そこに魚の箱をめいっぱい積むんですよ。
だから2トンにはなってしまうのに


建築の専門家とか関係なく、誰だって分かる話ですよね。
足し算ですよ、ターレが1000㎏、そこに1000㎏の荷物を載せる。
だから、合わせて2トン以上の重量が床にかかる。

だけど、設計したヤツは
その分を見込んで設計していませんでした!でも「にぎわい」とか、ライトアップとか、屋上緑化とかはしています!千客万来です!屋根のデザインは短冊状にしました!シンプルなカタチにしました!100年、200年は持つ施設です!
と言ったらしいけど、、、

寝言は休み休み言え!

と、いいながらも、設計事務所の仕事は提示条件の中で提案を考えるわけですから、東京都側から上記のような積載荷重条件を出されれば、いったんそれで検討せざるを得ないといえば得ない。

しかしながら、検討を進めていく過程で、打ち合わせをしていく過程で、「この積載荷重設定は運用上不足しないか?」と気付き、「荷重条件を見直ししませんか?」と都に具申するのがプロ。

それでも、都が「いや!業者はわしらの言うことを聞け!」と言ったなら、後々どうせ問題になることは目に見えているのだから、そのやりとりを議事録化しておくべきでしょう。

と、思っていましたら、、、

なんと!東京中央卸売市場の設計者選定はコンペではなく、プロポーザルではないですか!


東京都/豊洲新市場基本設計/日建設計を選定、12年度着工へ
20110304建設工業新聞

 東京都は、老朽化が進む築地中央卸売市場(中央区)を豊洲地区(江東区)に移転、再整備する計画で3日、環境配慮型プロポーザル方式を適用した「豊洲新市場建設工事基本設計」の委託先を決める公募見積もり合わせを実施し、8610万円で日建設計に決めた。4日に契約する。業務の履行期間は6月末まで。実施設計を経て12年度の着工、14年度の完成を目指す。工期は2年6カ月、施設の工事費は約970億円と見込んでいる。

 都は、プロポーザルで日建設計を特定した理由について、▽技術者の業務実績(30点)▽業務の実施方針・手法や、環境負荷低減や景観形成など設定課題への提案内容(40点)▽提案書の構成・表現や、ヒアリング審査(30点)-の各項目に分けて100点満点で評価した技術提案書が最も優れていたとしている。同者の配点や、同者以外にプロポーザルに参加した企業は3日時点で公表していない。

 新市場の計画地は東京ガス工場跡地の豊洲5~7街区(約40・7ヘクタール)。公設公営方式で5街区にSRC造地上3階建て延べ約7万平方メートルの青果棟、6街区にSRC造地上4階建て同約12万0350平方メートルの水産仲卸売り場棟、7街区にSRC造地上6階建て同約9万7000平方メートルの水産卸売り場棟とS造地上5階建て同約2万0150平方メートルの管理棟を整備する計画で、これらが基本設計業務の対象施設となる。

 新市場の整備に向けては、計画地の土壌汚染対策工事も並行して行うため、先に関連設計作業を応用地質と中央コンサルタンツに委託して進めている。土壌汚染対策工事には1年8カ月(11~12年度)を要すると見込んでいる。千客万来施設など民間が所管する施設については14年度の開場に間に合うよう、市場関係者が独自に設計、工事などを発注する予定だ。



ならば、都の条件がおかしいとはいえないぞ。

コンペとプロポーザルとはどう違うかといいますと
コンペは設計競技と言われる以上、主催者が条件をガチガチに組んで、そのレギュレーションの中で設計せざるを得ないんです。

しかし、プロポーザルというのは、応募する側に企画の自由度というか提案力を見るので、「この条件でやれ!」ではなく、「市場はどうしたらいいと思う?」という募集方法なのです。

だから!積載荷重条件といったものも設計者の側で検討し指摘し提案できたはずなんだ。


上記記事でも分かるように、設計者は提案内容で評価決定したとなっている。

ではその提案とは以下の3つになっている

1.技術者の業務実績(30点) これまで類似施設の実績があるか?

これは、日建設計いっぱいあります。
しかも、前記事でご紹介した大田市場は日建設計の仕事です。


2.業務の実施方針・手法や、環境負荷低減や景観形成など設定課題への提案内容(40点)

続いて、仕事の進め方、何人体制でどういった組織構成で仕事に取り組むか?についてですが大企業ですからその点はクリアでしょう。
環境負荷、景観と言っていますが、まあこれは昨今の流行文句ですし、豊洲は埋め立て地ですからあまり周囲を意識しないで自律型の建築提案でかまわないでしょうね。


3.提案書の構成・表現や、ヒアリング審査(30点)

これは、まあ絵が綺麗とか、提案書が読みやすいわかりやすいかといったところですね。そして、ヒアリングはコミュニケーション能力含め審査する側からの質疑応答によります。

以上。

えっ?卸売市場に関する提案力は?流通チェーンに対するプランニングや企画力の審査は評価項目に入っていないの?

それか!

豊洲市場にたとえ様々な問題や、卸売市場として機能的欠陥があっても、考えられる設計者側の言い訳は

「言われたとおりやりました!」でもない
「築地を調査検討したけど気付きませんでした!」でもない

「言われてないんで、卸売市場としての提案はしていません!」
ということなんです。

つまり、

設計者側にはなんの責任もない、卸売市場として使えるか使えないかは知らん、問われていないから、

です。


どうするんでしょう?

築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑥

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いよいよ都知事選挙が始まるようですね。
今回の都知事は東京オリンピックに関わる諸問題をいかにソフトランディングにもっていけるか?が問われることになります。
が、
それ以上に吃緊の問題がこの築地市場の豊洲移転問題です。
一応、今の予定では本年の11月7日(月)を期しているようですが、なぜ月曜日なの?という疑問があります。

なぜなら築地の休みは水曜日だから。

この一点だけみても、自分らが土日休みだから月曜にしたんだろうという、東京都の役人や大手企業奉職人の考えの浅はかさがよくわかります。

11月7日って何の日か、調べてみたところ
まず季節は立冬でした。冬の気配が近づく頃、となっています。
確かに、この頃になると紅葉も終わり、朝起きると霜が降りていたり、粉雪が舞ったりする地域もあろうかと思います。
その後、大相撲の九州場所が始まると大体、今年も終わりだなあ、という雰囲気になって来ますよね。

そんな時期。鍋の季節。11月7日は鍋の日でもある。


てことは、築地は忙しいんだよ、この頃は!
ズワイガニが解禁だしカマスやブリやウニ、ナマコやサワラとか、海から来る冬の幸たけなわなんだ。

そんなときに、季節柄も忙しいし、土日は休みでもないし、役所の都合のみで設定しているバカ日程。
しかも、既に移転はほぼ不可能という物理的問題が山積み。

卸しも仲卸もこりゃ無理なんじゃねえの?と、場外に来るお客さんや観光客も、辞めといた方がいいんじゃないの?と言い出しているぞ。

その証拠に!都知事候補者が皆、築地移転問題に言及し始めた。

というわけで、各候補者さんからも見て、読んでいただいている、という「築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑥」を始めたいと思います。

続いて!市場機能について見て行きましょう。
まず、築地のおさらい。

流通はいってみれば河の流れですから、全国から集まる魚の大河をいかに効率良く支流に分けていくか!が勝負なのでした。
そういう意味では、現築地は上図のような導線計画が素直に建築のカタチ、扇形の駅のカタチになっているということです。

それが、トラック輸送への対応不足や、長年の仮設対応を経て、導線が複雑化してしまい、建物周辺部は迷路のすり抜けのようになってしまっており、

仲卸さんのターレやフォークの長年の操作技術により、なんとかなっている、なんとかしている、という状態。

いわば、初期コンピューターゲームの名作である、「アステロイド」での宇宙船操作みたいになっているのです。


それを解決する?という触れ込みで建設されたはずの豊洲市場。
では、豊洲はどうなのか?

築地が狭くて使いにくい、駐車場も足りない、というのが、豊洲移転の理由のひとつとしてあげられていました。

豊洲は本当に広くなっているの?

ということで敷地を比較してみました。

確かに、広くは、なってる、数字上は。
23ヘクタールから40ヘクタールへ。

ヘクタールというのは面積の単位で、100メートル四方、10000㎡のことです。野球場が両翼90メートルくらいですから、観客席抜きの市民球場とかをイメージすればわかりやすいでしょう。

野球場23個分が40個分に増えた、と言っている。
しかし!

それは数字上のマジック、
現場を知らぬ者らのゴマカシ。
すりかえ、詐称。

実は狭くなっているんです。
こんな感じに

まず、これが豊洲を欠陥に導く最大要因のひとつなんです。

豊洲施設問題を理解するうえでも、この分断街区のことを頭に入れておいてください。豊洲は5区、6区、7区と分かれております。
5区は青果市場、6区は仲卸売、7区が卸売とされています。

大きさを把握するために、同じ縮尺の東京ドームを置いてみましたよ。


鮮魚の流れは、遠隔地から魚が卸売に運ばれてきて、荷さばきして、セリにかけて、たくさんの仲卸がセリ落とし、客の好みに合わせて納品する。という流れです。

築地では、扇形の円周からだんだん中心に向かって仕分けされていきました。

では、豊洲はどうなのか?

まず、青果部の5区は、分断されたうえで、まったく6区、7区と繋がっておりません。

青果?築地は魚じゃないの?と思われる方もいらっしゃるでしょう?青果は大田じゃないの?と、

築地青果市場
http://www.tsukijiseinaka.peaman.jp

ちがいます!築地には青果市場もあるのです。野菜や果物やお花とか、しかも魚市場とつながって


取り扱い量も一日1000トンを超えるものです。



徒歩1分以内、数十秒で青果と魚介は往き来できるのです。
たとえば、築地を活用する料亭さんや小料理屋さん、レストラン、居酒屋、今日の仕込みの魚を仕入れて、野菜も仕入れて、フルーツも仕入れて、午前中にお店に戻れる。

築地に行けば全部済む。
だから!築地は日本一、世界一の総合食品市場なんですよ。

ところが!なんです。
豊洲は、青果と魚介の関係をブチ切ってしまった。

徒歩数十秒の関係を、実質徒歩1時間くらいにしてしまった。
東京ドーム十個分の距離、水道橋から秋葉原までの2駅分の距離にしてしまったんです。車で移動するしかない。

豊洲の魚介と青果はもはや、別市場なんです。

これ、大問題になります。
豊洲では青果部を見捨てた格好になっている。

で、いよいよ豊洲施設の本質的な問題点、
「築地のような市場としては、まったく使えないんじゃないのか?」
について見て行きたいと思います。

まず、6区の「仲卸に」あてがわれている建物です。

いっぱい細かく線があって分かりにくいと思いますので、建物とそうでないところ色分けしてみました。

青い部分は通路、赤く塗った部分が建物です。


これで、パッと気付くのは敷地にまったく余裕がないぞ、です。

現築地市場と比較して、みますと明らかなのですが、、、、
建物以外のところ、
築地の方が広く感じてしまいますよね。

これ、非常に重要な違いでして、豊洲の通路は建物の周囲をグルグル回っているように見えますが、、、実際はグルグル回れるのではなく、上の階に上がるためや、隣の7区に移動するためのものなのです。つまりは場外です。

たぶん、これが非常に心配なところなのですが、、、、
豊洲は、築地の「場内」を箱内に入ちゃおうとしているんです。

つまり、豊洲の青い通路部分は築地場内で見られるような、仲卸さんや買出人さんの自由な動きは出来ません。


▲場内のターレやフォークの様子

築地でいえば、場外の公道に相当するようなもの、
ですが非常に狭いけど、、ただ上下に移動するために、、、
と言っていいでしょう。

場外にターレが出張っているのは、今の築地界隈ではよく目にする光景ですが、これは近隣のお店や、場内に駐車出来なかったお客さんのところに配送しているのです。

▲場外へ配達中 
デイリーポータルZ 築地市場でターレ試乗会
http://portal.nifty.com/2006/11/03/c/2.htm


つづきはまた書きます。




築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑦

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築地市場と豊洲施設の何が違っていて、何が問題か?の続きです。

配置計画を含めたプランですが、

築地市場のいわゆる場内というのは、メインの建物とその周辺にいくつかの建物が林立し、その間間のスペースを行き交っているということでした。

それが、豊洲では、行き交う部分は無くして、建物中にそれらを囲い込もうとしている。
同時に、いったんその建物の外に出ないと移動できないということがわかりました。

では、なぜそれではダメなのか?です。

それを理解するためには、築地市場内で魚荷がどのように流れていくかを知らなくてはいけません。

築地市場のHPにはその名もズバリ「市場を構成する人々」というページがあります。
http://www.tsukiji-market.or.jp/chuou/hataraku.htm

そこに、エクセルかワードで作成したであろう、こんな絵がありました。


たしかに、流通の流れを説明するにはこれでいいのかもしれませんが、、

ちょうど、プログラムや作業工程を組むときのフローチャートみたいにモデル化、単純化されています。

「生産者→出荷→(卸売→仲卸→買出人)→消費者」となっていると、

つながりはこうだ!と、だから豊洲は6区と7区は通路でつながっていさえすればいいんだと、道路をまたごうが、なんにしようが別施設でもいいんだと、、、机上で考えてやがる馬鹿者!

「6区と7区はアンダーパスでつないであります~」とか、アンダーパスとか横文字で言やあ、なんだか特別な対処をしたかのように聞こえるが、
要は狭い地下道ってことです。


漁業や魚市場の動きや空間をなんっにも知らない、
なっんにも考えない、なんっにも聞かなかった、
一度も現地を見なかった、
見に行っても注意散漫でぼけーっとしてたと、
そうとしか言いようがねえんだよ!

それじゃダメなんだ。
市場として使えないんだよ!

なぜなら、上記の流通の流れというのは具体的にはこうなっているからです。


魚っていうのは、生で、傷つけちゃいけなくて、汚しちゃいけなくて、重くて、持ちにくくて、場所を取るのです。

この具体的な流通の動き、人やモノの流れから、空間構成を考えたときに、いかに豊洲施設がヤバイかを解説します。

そして、そのことによってこれまで魚を仕入れていた、魚屋さん、居酒屋、小料理屋、料亭、レストラン、そして一般消費者まで、どういった迷惑をこうむるものなのか

その心配事を皆さんと共有したいと思います。

お魚が目の前に届くまでを、空間の変動として捉え直してみようか、なんですが、まず最初は漁獲です。


これは、もう文字通り広い範囲から集めます。
まき網漁を考えてみても広く網を張って、その中に入った魚を集めていく行為だというのが分かりますよね。
それを、港にまで運んでくるというのが漁師さんの仕事です。

下図は「まき網漁」といいまして、海の中に網を下ろし、文字通り巻き込んで一網打尽にしようという漁法です。


漁を終えた漁船が港に入りますと、漁獲は並べられて買われます。
取れたての魚をその場で買い取って出荷していくわけですが、そのときにおこなわれるのは、漁獲の分類と数量チェックも含めて港に広げられます、当然、船の中に詰めているときよりも広いスペースが必要です。


浜買人さんは仕入れた魚を出荷します。

そのときには、一定の数量ごとに発泡スチロールの箱に詰められ、冷蔵車両に積み込まれていくわけですが、そのときには配送先ごと魚種ごとに整理して集められていくというわけです。

養殖でも同じです。

一般社団法人 全国海水養魚協会さんのHPに詳しく解説されていますが、
http://www.yoshoku.or.jp

養殖場も広大なスペースを必要とする施設







これらの養殖場からは、魚を生きたまま運ぶ「活魚(かつぎょ)」という手法も採られますが、その場合は海水を満たした水槽ごとに仕分けしなければいけません。


全国の漁場、港湾、養殖場から魚は集められてきます。

ここまでで、既に集めて運んで、広げて選んで分類して、もう一回詰め直して、さらに運ぶ、そして遠距離トラックで市場に運んでいます。


こうしたトラックが全国から集まってくるのが築地です。

朝5時、いえ真夜中からこのトラック配送便を、どんどん荷下ろししていかないといけないんです。

なので、いったんトラックの積荷を広げるスペースが必須なんです。
市場には、産地も魚種も様々な貨物がひっきりなしで届きます。
いったん、積荷を広げないと何がなんだか分かりません。

なので、バースはこんな状態になります。
発泡スチロールの箱が山積みです、が、中身は各地の各種の魚が詰まっているんです。


その積荷を卸さんが受け取り、セリに向かう分けですが、築地ともなると、魚種も多様で数量も多く、行き先もその仕分けも複雑なんですね。

結果として、思いっきり広げることになります。


広げた漁荷から目的のモノを集めてセリに向かいます。
選別したものを集めて運ぶのです。
この時点ですでに時間との勝負です。

で、セリ場で再度広げます。

この写真ではマグロですが、魚種ごとに様々にセリ場ではまたもや運んできた魚荷を広げなくてはいけません。
全国から届くということはそれだけのスペースと、次々と並べていく速度が重視です。


ここまででも、集まった積荷を解く、そして下ろす、そして分ける、その後に集めて運ぶ、という仕事が待ったなしで進んでいくのが市場なんです。

しかも、漁獲の港の数倍、数十倍の量です。
その仕分けが秒単位、分単位で続きます。

なぜなら、漁獲から配送までの全事業者が、できるだけ早く新鮮に魚が傷まないように、魚の商品価値が下がらないように、ここまで全精力を通じて運び込まれているわけですから、

卸から買出人さんに渡すまでの間で、だいなしにするわけにはいかないからです。

だから、築地市場に行けばわかりますが、深夜から早朝まで活気がある、いきおい、鉄火場みたいに熱いんです。

そして、セリ落とした魚を仲卸さんは運び出します。


取り扱う魚によって、あっちへこっちへ、大きいものから小さいもの、箱に入ったモノから入っていないもの、いろいろです。

仲卸は、それぞれが取引ルートの中で得意な魚種があり、マグロばっかりやってるわけではありません。
エビが得意、底魚が得意、白身系が得意、お客さんの買い出しもそのことがわかっていて、店舗を回るのです。

この取り扱う膨大な多品種であるところが、市場では大事なのです。


この仲卸への運搬時も非常に築地らしい活気あるシーンです。


この1分、1秒の攻防が、深夜から早朝まで続くのです。
だから、見学者はこれらの仕事がすべて終わる10時まで入ってはいけない、本当に邪魔になるからです。

以上、「魚が届くまで」をざっと概観しましたが、要は「集めたものを広げて選別整理して運ぶ」ことの繰り返しというわけですね。
毎時間が引っ越しみたいなものです。

集めて広げてというのは古書店とかとも同じです。
膨大な古書市で目利きが選別し店舗に運んで整理して並べる。

しかし!築地の魚河岸では何が違うのかというと、毎日この「集めて広げて運ぶ」をおこない、時間が経てば経つほど商品価値が落ちる。そして、「商品をその日のうちに売り切る」という待ったなしなんです。

だから!仲卸の店舗をただ並べただけでは、セリ場を確保しただけでは、バースを確保しただけでは、ダメなんです。
「広げる場所」が必須、「並べる場所」が必須、しかも周囲に迷惑をかけない「逃げ場」が必須、というわけです。

実は!築地にはその、隙間というか余裕というかバッファーゾーンがあるから、狭い狭いと言われながらも、これまでまわってきた、動いてきたんです。

そのバッファーゾーンを青く塗ってみました。

この青いところで、集めたものを広げているのです。
そして、築地は昔の駅舎ですから、どこでも自由に出入りできるようになっているから、人がターレとぶつかり合わずにショートカットで動けるんですよ。

さあ、豊洲施設は、「集めて広げる」ことが出来るかな?

できなかったら市場としては欠陥です。
計画者のミス確定です。

⑧に続きます。


築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑧

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築地の作業や流通の仕組みを見てみると、魚河岸の機能が「集めて広げて、集めて広げて、、」なんだということが分かってきました。



それが、築地では出来ている。

この青い色の空きスペースを使って人々が縦横無尽に動いている。
大変だけど


取引量の増加や、周辺環境の変化、輸送システムの変化等、長い間の社会の変化でいろいろと不具合が生じているとはいうものの、
なんとか回してきた、今も回している、築地は。

では、豊洲はそれが出来んのか?の続きです。

これが豊洲で仲卸のに使うようにという6区です。


魚の流通を理解してきますと、6区だ7区だと別々にしていることが、ナンセンスだということが分かってきますよね。

卸と仲卸は待ったなしの関係でした。
そもそも、トラックからの積み下ろしの小揚だって待ったなし、セリから商品販売まで待ったなしで、動いています。

それを区画分け、別棟建て、にしようと思いつく建築計画は、どういう神経、どういう思考で出てくるのか本当に理解に苦しみます。

大丈夫か?ところが、ちょっと安心してください、
豊洲でも一応、この卸と仲卸の関係は結ばれていました、かろうじて。

下図が6区、7区を合わせた全体の平面図です。

赤いところが、豊洲の建物。
青いところは外部通路ですが、

豊洲は建物を閉め切っているため、青い通路は築地のように、トラック小揚から、卸、仲卸、セリ、店舗、という風にはつながっていません。
あくまで、上下階の駐車場移動等です。
築地でいえば場外の公道に相当するところです。

グレーの部分は、悪名高い分断道路です。
そのグレーの下をくぐるように3本で連結されています。
1本は細いのでターレやフォークの移動には使わない前提です。


確かに、つながってはいる。
かろうじて、首の皮一枚でつながっている。

いやあ、どうなんだろう?

グレーが道路で、その地下を「アンダーパス!」
幅24メートル1本と幅36メートル2本で「アンダーパス!」

24メートル、36メートルと聞くと広い通路なんじゃないか?と思えますが、それはあくまで普段我々が、道を歩いたり、オフィスの中にいて考えるからなんですが、、、

築地の幅30メートル以上ある通路ではこうです。


ターレ来ます!フォークも来ます!


ターレまた来ます!


次々と来ます!みんな急いでいます!




豊洲自慢の必殺技「アンダーパス!」

全然効き目ありません!

すぐに渋滞します、物流止まります、焦って手で運ぼうにも隙間もないかもしれません、事故も起きます。

このアンダーパスでみんなが止まった瞬間に都内の食品流通は壊滅します。

外で待ってるトラックも珠々つなぎで立ち往生することになるでしょう。
買い出しの人達も道路のトレーラー、トラックの渋滞に巻き込まれるでしょう。

そして、せっかくの魚がだいなしになる。

なんで、こんなことになっているんだ?豊洲!
築地の問題を解決するんじゃなかったのか?豊洲!
なんで築地以上に不便なんだよ!豊洲!

と、不思議な気持ちになりまして、再度よく豊洲と築地を比較してみました。

同じ縮尺で並べてみたんです。

すると!

なんと!

信じられないことに、、、、


豊洲の方が、築地より小さかった、、、、orz 。

なのに、仕事で使える通路が全然ない。



これ、オフィスとして設計したでしょ?

どっかのIT企業のツインビルかなんかの図面ぱくってきたでしょ?
本社ビルとサーバーのデータセンターみたいな。
地下だけでつながってるやつ。

あっ、でもデータセンターはサーバーが重いから、積載荷重2トンはみておかないといけないんだった。

じゃあ、一体、この豊洲施設は何に使おうとして計画したんでしょうか?

教えていただきたい。


と、設計者に悪態をついたところで、既にこの「卸売り市場としては使えない何か」はできあがってしまっているのです。

気を取り直しまして、
さらに、どんだけ使えないかの分析を続けます。


魚が築地に到着してからの流通の模式図は以下です。

1台のトレーラーから、いくつもの荷受けが派生していきます。

では、築地にはこうした輸送トラックって何台来てるんでしょうか?
データがあります。

築地市場物流動態調査 調査結果報告書 Ⅲ.水産物部搬入車両調査
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/gyosei/kaigi/shinshijo/concept/pd04/


この調査資料によると、1日に約1200台くらいが配送で来場しています。


この調査では他にも、その配送トレーラーはどこから来ているのか?とか


中身は何か?といった調査もおこなわれています。



夜の10時から、夜中の2時まで1時間あたり300台もの配送が入っています。

工事現場と比較してみても、もの凄い量です。
12秒に1台の換算です。

しかも、そのトラックやトレーラーの大半は10トン車ということのようです。

そして、それらの積み下ろしをするフォークが約440台、運搬のためのターレは2140台稼働しています。
こちらも凄い。


時間差があるとはいうものの、、、

豊洲施設ご自慢の、あの狭いアンダーパス三本に、フォークとターレが1時間あたり、4~500台以上往復することになるかもしれません。

通れるのかなあ、、、
絶対通れないでしょうね。



続きはまた書きます。




築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑨

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豊洲施設は築地の卸売り市場機能をまったく満たしてないんじゃなのか?の続きです。

豊洲を計画したときに使用したであろう、築地の現状調査書。
そのもっとも重要な入荷の来場車数の表にそもそも間違いがあったという事実。

しかも、それは小学生レベルの足し算であったという、、、

これ使って豊洲の設計に取り組んだのでありましょうか、
非常に不安な展開になってまいってまいりました。



と、いいますのも、入荷するトレーラー、トラック1台にはたくさんの荷下ろし軍団のフォークかつターレが、いっせいに取り付くからなんであります。



つまりは、
トレーラートラックを母船とするならば、積み荷を受けてタッチ・アンド・ゴーで飛び立つ姿は、さながら空母の艦載機のごときなのであります。

それが、1800チーム。

たとえば、バレーでもバスケでもいい。
市民体育館で開催されるような競技大会。
9秒に1チーム、1分間に7チーム、1時間に420チームが出場するスポーツ大会を想像してみてください。

どうなるか

それが毎日開催されているのが築地です。



では、1時間に420チームを豊洲は受け入れられるのか?検証していきましょう。

7区の卸売り側の1階平面図です。

議事録見る限り、こんな図面が配布されてやりとりされていたようです。


と、いきなりこんな細かい書き込み、線がいっぱいの図面を見せられても、何がなんだか分からないですよね。

おそらくミーティングに参加している市場の方もさっぱりわからないまま、説明を受けていたんではないでしょうか。

説明に出て来た立派そうな設計会社の人が、ネクタイ締めて、
「コールドチェーンを維持し、市場を円滑に運用できるようにしました。(キリ!)」
と言われれば、きっとうまく出来ているんだろうなあ、、、と
誰だって思いますよね。

しかも細かい細かい図面なんかあって、字も小さいし。
縮尺何百分の1です、なんて言われればますます分からん、というのが普通でしょう。

私も、パット見、図面表現になんもかんも詰め込み過ぎ、見づらい、これじゃ肝心の部分を見落とす、と思いました。

なので、プランをおおまかに色分けしてみました。



これで、やっと大体の平面構成が分かりました。

この7区の卸(おろし)が使うようにと言われている施設は、

ちょうどお寺の本堂のような空間構成をしています。


お寺のようなというのは、建物の周囲をぐるりと縁側が取り巻いているような構成を言っています。

つまり、どんどんどんどん動きづらくしている。
どんどんどんどん導線が遠回りになっていくことを意味しています。

7区の豊洲施設は水色の部屋を10度以下にしようとして、空調を効かして締め切っているのです。
そして、その周囲にパープル色の25度以下になる廊下を取り巻いて、います。
そして、ピンク部分が常温です。
緑のところは階段とかEVとか縦導線です。

赤丸してあるところが、扉と推察されるところです。


つまり、豊洲の施設は内部空間を巨大な冷蔵室としようとしているわけです。

すべてが開放されている築地でもかなり大変なところ、締め切って数カ所の出入り口に絞っている。

これは、、、、さらに、、、大変なことになるな、、、と分かりました。

なぜなら、たくさんのフォークやターレが、1800台近くのトレーラーの上げ下ろしで、延べ5000回くらい往き来するわけですが、、、


夏場になると、子供の頃、みんな怒られたと思うんです。
カルピスにするか、コーラにするか、麦茶にするか、冷蔵庫の前で悩んでいると

「冷蔵庫を開けっぱなしにするな!」と


豊洲は閉めておきたいのに、
ずーーと開けっ放しになるでしょうねえ。

なぜなら、1800台のトレーラーが9秒に1台でやってくるから
フォーク&ターレが延べ5000回くらい出入りするから、

「冷蔵庫を開けたら閉めなさい!」ってお母さんに怒られても、
閉めてるヒマなんてないでしょう。

にもかかわらず、空調はフルパワーで稼働し続けるでしょう。
いつの日か10度になることを夢見ながら。

なぜなら、開けてしまうといつまでも温度が下がらない。

夏になると10度以下なんて維持できないでしょうから



また、後ほどつづきを書きます。


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築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑩

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豊洲施設が卸売り市場として、魚河岸として設計されていない!の続きです。

築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑨で見てきたように、7区の建物は扉の閉まらない、いえ、閉めるいとまもないのに、巨大な冷蔵庫にしようとしています。
これがどういうことになるか、それによって建物断面がどうなっているのかも、順次分析することにして、

その前に気付いたアレレ?の方からいきましょう。

この部分


絵の下の方を拡大してみると、、、



縦に細長いものが並んでいる。

この細長いものはトレーラーです。
みなさんも何か、家の設計図や賃貸不動産で駐車場借りるときに、見たことあると思うのですが、建築設計図では長方形の中にV型に斜め線が入っている記号は自動車なのです。

Vの尖っている方が前です。



で、これがずら~っと並ぶと言っています。

ていうかコンピューター製図のCADソフトで配列複製して、コピペしたんだと思いますが
図面上では56台並ぶらしいですね。

あくまで机上でしょ?56台って、思ってましたら、
もう作っちゃってた。現場の声も聞かずに


うわっ!と思いましたよ。

なぜなら、もう一度詳しく図面を見てみると、こうだからです。




まず、トレーラーにフォークが付けない。

上図のフォークは2トンクラスですが、それでもプラットフォームの上で回転できるかどうか微妙。

トレーラーの車幅は2.4~くらいあるのですが、、車間が1メートルほどしかない。
扉を開けるのがやっと。

年末年始の高速道路のサービスエリアでもこんなにギチギチには並んでいないぞ。
空き地活用のTIMESでも、も少し余裕あるんじゃないのか。

それよりも何よりも致命的なのが!

!!


!!

!!


!!


トレーラー、横開きなんですけど!





トレーラー、横開きなんですけど!










トレーラー、横開きなんですけど!










トレーラー、横開きなんですけど!












トレーラー、横開きなんですけど!









男は黙って人力!ってことにならなければいいですが


心配です。





なんでこんなことになっているのかというと、
豊洲は築地が移転してくるのではなく、
要は冷蔵倉庫を造ろうとしているからなんですね。

冷蔵倉庫はコンビニはじめ小口の食品輸送の増大で、昨今需要が激増していますから、各地で多くの運送会社や倉庫会社が準備している施設です。
(財)日本冷蔵倉庫協会というHPもあります。http://www.jarw.or.jp


豊洲にそっくりでしょう?

なので、築地市場での動きをそのまま豊洲でやろうとすると、これまで見てきたように、


冷蔵庫の扉が開けっ放しで10度以下にはならない。

仮に閉めっぱなしができた場合には、
卸さんは夏でも凍えながら作業することになる。


人間の身体は5度以上の急激な気温変化には耐えられないので、ずっとそういう空間に居ると、体温を下げる交感神経と、体温を上げる副交感神経がバランスを崩して、自律神経失調症になるといわれています。

いわゆる冷房病ですね。
しかもクーラー設定温度10度です。

豊洲は、そういった異常な全体作業空間を魚河岸の人々に準備し、強要させようとしているのです。

その理由は「コールドチェーン」の実現と言っていますが、、、

「コールドチェーン」んてなんやねん、と、
地下道のことを「アンダーパス」言うたり、

ほんまこういう男の仕事場でわざわざ横文字使うな!

「コールド」の「チェーン」というのは、「冷たい」まま「つなげる」という意味です。

つまり、魚を冷たい環境のままにする。
冷房車で運び、冷蔵倉庫の中に入れることを言っています。
ところが、運用上、10度以下にはならない。
なのに、豊洲に巨大な冷蔵庫をむちゃくちゃ金かけて建ててしまったのです。

でも、築地には既にコールドチェーンありますよ。
ちゃあんと、10度以下になっている。


氷屋さんが氷柱もってきて


巨大なかき氷を作って


発泡スチロールに入れれば、10度以下じゃん。


もう一度いいますよ。
豊洲はクーラー効かしても10度以下にならない。

だから、結局発泡スチロールとかき氷が必要

じゃあ、なんで冷蔵庫やねん、豊洲!



続きはまた書きますね。


築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑪

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築地の豊洲移転に様々な問題が起こっているの続きです。
これまでいろいろと見てきましたが、

私も含めて多くの方が思うのが、なんで?こうなった?です。
なんでこうなったんだろう?

その大きな理由のひとつが、

どうやら、東京都が考えていることというのは、

「築地(でやっているコトや人)が→豊洲という新しい場所に移るんじゃねえよ!築地は捨てていくよ!」

ということのようなんです。

そして、東京都の態度は

「築地(そこでやってるコトや人)を辞めさせて、豊洲に別の仕組みの市場を作り、築地に居る人で移りたい人だけ移ればいいじゃん、むしろ築地の人は来なくてもいいじゃん、豊洲には新たな流通チェーンを設けるからよ!」

ということのようなんです。

つまり、現状を見る限り、「築地の豊洲移転」という言葉に皆、まやかされていて、
実際は「築地を消滅させ、豊洲で何をしようか?」という計画に結果としてなっているみたいなんですね。

このままいくと、「築地消滅」なんです。

なぜ消滅してしまうのか、その前に築地がなぜ特別なのか?について大まかに理解しておく必要があります。


築地というのは東京卸売市場が存在する場所の地名です。
しかし、元は一般名詞で土木・建築用語の築地(ついじ)です。

築地塀(ついじべい)という塀があるのですが、板の間に土を入れて突き固めて硬く締めて作った壁の上に瓦を葺いた塀のこといいます。

たとえば京都の御所を取り巻く壁が築地塀です。


このように作りました。


この土を突き固めて作るから転じて、そうして作られた土地、いわゆる埋め立て地なんかも、「築地」と呼ばれるようになったんです。
そうして新しく出来た町を「新地」と呼んで地名になっていたりもします。

で、東京湾の埋め立て地であった築地ですが、いつ埋め立て工事をしたのかといいますと、江戸時代です。

江戸時代も初期の頃、1657年の第四代将軍家綱の時代にとてつもない大火事があったんです。明暦の大火、別名振り袖火事とも呼ばれますが、徳川家康から第三代家光までに整備された当時の江戸の町のほとんどが灰燼に帰したといわれています。


ほぼ城下全域に及んでいます。
数万人の方が亡くなっています。


江戸城天守閣もこの火事により焼失したのです。

この火事以降、江戸幕府は防災都市計画に取り組みました。

結果、橋の架け替えや屋敷の移転、防災道路として広小路の設置。土蔵や瓦等を用いた燃えにくい耐火構造の建築を奨励、市街地や道路の区画整理を全域でおこなったのです。

そのときに、現在の浜町にあった西本願寺の別院が、幕府より復興区画整理のため移転を命じられました。


が、幕府も無茶を言ったと思いますが、移転先はその時点で未だ海の中を代替え地として与えました。

そこで自らそこを埋め立てして土地を築いたので、築地の御坊、築地御坊となったのです。


それが、現在に続く「築地」のはじまりです。


なので、築地イコール魚河岸ではなく、築地は埋め立て地、本願寺の門徒、しかも佃島の門徒衆が中心となって新たに築いた土地なのです。

佃島というのは、江戸期を通じ日本の漁業において非常に重要で面白い存在なのですが、後述します。

では、その頃の魚河岸はどこにあったかといいますと、、、
日本橋にありました。

落語の「百川(ももかわ)」等に出てくる河岸というのは日本橋のことなのです。


江戸から明治になっても、まだ日本橋にありました。


かつては、荷物は海上輸送がメインですから、運河が高速道路みたいなもので、これらの船が現在でいうトラックに相当します。


その後、関東大震災を契機として、河岸が日本橋から築地に移るのですが、
これまで300年以上も続く魚河岸の諸制度や言葉を今に引き継いできたのが、築地です。


卸(おろし)、仲卸(なかおろし)という制度がどのようになっているのかを理解しないと、築地の空間構成と豊洲のデタラメ空間の齟齬は理解できないのです。

しばしハコモノの話題から離れて、この魚河岸の仕組みを見ていきましょう。



で、これまで築地でやってるコトと人は現在どうなっているか、


また、続きを書きますね。

築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑫

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東京中央卸売市場、「築地魚河岸」とはどういったものであるのか?の続きです。

「築地魚河岸三代目」というマンガ作品があります。


築地で働く人達と魚を美味しく食べることをテーマにした作品です。

主人公の赤城旬太郎は銀行マン。妻の実家が築地の仲卸「魚辰」を、銀行を辞め継ぐことになりました。食いしん坊であること以外、魚について取り柄が無い、魚のことなんてなんにも知らない旬太郎が、持ち前の食い意地と、人への優しさから、立派な仲卸として成長していくことを通じ、日本の魚や料理について学ぶことが出来るという作品です。

いろんな巻がありますが、その中で描かれているのは、作者の一種一種、一尾一尾の魚に対する愛と漁業への造詣の深さ、働く方々への尊敬と誇りです。

この作品を読めば
豊洲施設には圧倒的に抜けている部分。
抜けているどころか初めから入れていなかった、考慮していなかった、魚河岸へのリスペクト
豊洲市場計画の失敗は必然だということが理解できるでしょう。


今から80年前の日本橋から築地の移転にはそれが在った。


豊洲にはそれがないんです。

これまで見てきたように、築地市場というのは、ただ単に土地を指すとか建物を指すとかというものではありません。

魚河岸というのは長い間の先人の努力により魚の流通の仕組みを作り出した人的ネットワークのことです。

なぜ、そのような人的ネットワークが生まれたかというと、むろん「美味しい魚を楽しく食べるため」です。

それが、目に見えるカタチになったものが築地市場です。

かつては1400社、現在でも600社以上という、なぜ、いろんな仲卸さんが築地に居るのだと思います?

それは、我々の食文化と関係があります。


魚をいかに美味しく楽しく皆に届けるか、の追求の結果が築地にたくさんの魚を集め
美味しく、楽しいから、世界中からたくさんの人が集まるようになったんです。


築地には「おさかな普及センター」「おさかな資料館」という施設もありますが
http://www.osakana-center.com/top.html


活魚水槽のシムラさんのHPには晴らしいお魚情報のページがあります。ぜひ一度見てみましょう。
http://shimura.moo.jp


水産庁によれば、世界には25000種類の魚がいて、そのうち食用魚は3000種以上といわれています。外国では食用魚は700種、日本は2500種以上も食用としているのです。

海外に行くとすぐわかりますが、魚料理のレベルの違いです。
種類だけでなく、調理法や加工方法も多種多様であり、その包丁さばきや味加減で日本にかなう国はありません。
それだけ、魚の知識も豊富、料理も豊富というわけです。

日本が育み、伝え残してきた文化はたくさんありますが、その中でも圧倒的に突出しているのが、魚料理です。


それを支えているのが、築地の仲卸さんたちなんです!

大事なことなんでもう一回いいますよ。

日本の食文化を支えているのは、仲卸さんを中心とする魚食文化の知識と、人的ネットワークなんです!

だから、漁業生産者も卸会社も仲卸業者もスーパーや小売り、割烹、居酒屋、飲食店、最終消費者は仲違いしてはいけません。
豊洲の問題で互いが喧嘩してはいけません。

このネットワークの循環が切れたときに、日本の食文化は死にます。

それを断ち切り続けてきたのが、たかが数年前に見識も品性も低い一部の政治家と一部議員と不動産屋と建築屋による豊洲計画なんです。



まさにそういったテーマに取り組んだマンガ作品が「築地魚河岸三代目」なのです。


「築地魚河岸三代目」を見ながら解説していきたいと思います。

第1巻の口絵ですが、築地の雰囲気がよく出ていますよね。
仲卸の店が並び、ところ狭しと発泡が積み重なっている。

この作品の連載が始まったのはちょうど2000年、今から16年前ですが、この頃から仲卸しさん減り始めていましたが、まだ1000社もありました。


このスーツをねじりはちまきに変えた男が三代目、旬太郎です。

旬太郎が飛び込んだ築地仲卸の世界はとっても厳しいものなのですが、それなりに頑張って素直さがあれば、一方とても暖かいところでもある。

同世代の先輩にいつも小言を言われています。


ところが、彼は築地でも一二を争う、魚の目利きなのです。
「特殊物」といって、寿司屋さん向けの魚を販売しています。
それも、厳選された商品を、違いの分かる人にだけ売るような。
主人公のライバル三代目なのです。


サケ専門の仲卸さんも出てきます。


カニ専門、マグロの切り身のサク(柵と書きます)専門


乾物の専門目利き


築地は都営ですから、当然東京都の職員さんも居ます。



つづく

築地市場の豊洲移転が不可能な理由⑬

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東京都知事選挙が終わりました。
小池百合子さんが圧倒的な得票差で勝利されました。

築地の豊洲移転を絶対に進めると言ってた増田さんが落選しましたので、まずは闇雲な政策を精査する時間が生まれるのではないか、と期待します。

で、豊洲の施設についてなのですが、実は見に行ってました。
先々週。
東京都の現地事務所にもお邪魔してきました。

見てきたうえで、やっぱりダメだ~のお話です。

つづき

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