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谷口吉生さんの京都国立博物館「平成知新館」を見てきたよ4

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谷口さんの目地解説まだまだやりますよ~。


3で見た外部庇のところの柱
まあ、この付き方も凄いんですけどね。
これほどの大判のアルミ板のド真ん中に柱をセットしている。
これはホントたまげる処理なんです。



このことの何が凄いかといいますと、まずこの庇下のアルミ板がセットされる前に何があるかといいますと、当然鉄骨の構造柱があります。

なのに、アルミ板がガシっと入っている。
ありえない。


柱の前にアルミ板を付けて、穴に柱を通している。
仕上げ材が先、おそらく。
しかも、ちょっとでも傷付けたら、速攻アウトの生地アルミ。
値段だけじゃない、工事が止まる。
やり直しとなると、アルミ加工再発注、運搬、再セッティング。
相当な緊張感走ったと思いますよ、この取り付け時。

デザインのせいで施工の段取りまで決まってしまう。

で、そんなギリギリの施工部位にまたしても逃げ場のない目地。


均等幅でセット。
誤差1ミリ以内。

東西総長50mの建物で誤差1ミリとか、クレージーな指示です。

普通コンクリート打ち放しの建物で相当ピン角まっすぐに見えて誤差が5ミリから10ミリというのが建築的スケール感なんです。

そのままスケール比較していいかどうかわかりませんが、

50mの物体で誤差1ミリというのは、5mくらいの自動車でボディの誤差で100ミクロンってことですよ。50センチのアタッシュケースで10ミクロン、5センチで1ミクロンの誤差、ブレゲとかの高級腕時計みたいなもんです。

わかっていただけますか?

それを入口の庇でシャアシャアとやってる。
しかもそんなムチャクチャなデザインとはまったく感じさせない。
爽やか過ぎる処理、サラサラ過ぎる処理、見えない神業。

じゃあ、中に入ってみましょう。


このエントランスまでは誰でも写真撮影可です。

この空中廊下と階段も凄いんですが、内部まで石が貼られています。
暖色系のベージュの石、化石混じりのジュライエローだと思いますが。


ダーっ!と。
逃げ場なく隙間なく。

いえ、隙間はあります。
石と石の間、ここにも目地です。



もう、ね
これは、もう
本当の意味で、真に「なんということでしょう!」です。


この石は「ジュライエロー」というのですが、恐竜好きならよく御存知のジュラ紀の石なんですね。
ドイツ産です。
ドイツのバイエルン地方にホルツマーデン(Holzmaden)というジュラ紀の地層が露出する化石で有名な街があります。
おそらくその周辺で産するのだと思います。


一般的に大理石の名前は、色+産地で表されているんです。
「ロッソベローナ」といえば、イタリア「ベローナの赤い石」という風に


そのジュライエローという石灰岩質の石をカッキカッキに厳しく加工してあると見ます。


ひとくちに大理石といってもその主成分はほぼ同じなのですが、熱による変性を受けて再結晶化したものが艶々して透明感のある大理石です。
この「ジュライエロー」はその前段階だから、そうでなくても通常の大理石より鋭く加工するのが難しい石なんです。

なので、「本磨き」というツルテカテカではなく、「水磨き」という微妙にマット感のある処理にしてあります。
おそらく、コンクリート打ち放しの肌合いと木部との「なじませ」を狙ったものだと思います。

形状はカッキンカッキンなのに肌理は少ししっとりさせてあるわけです。

出来上がった建物を見れば簡単にすっきり石張りしてあるとしか見えませんが、ただ単に石加工を精度よくやって目地を綺麗に通せばいいかというとそうではありません。

それは、模様シートを貼ってるわけじゃなくて、本物の石だから、重たいから、建築だから、です。

元々、石は積んでいたわけです。
重たいものを下から順々に。

それが、だんだん様々な工法や簡便な工法が生まれ、普通の建物でも石積みのテクスチャーだけを取り入れたいということで、石風味、石をかたどりした軽い素材も生まれました。

結果、積石構造でない場合にも石積み表現をしようということで、積むのではなく「表面に貼る」というやり方が出てきたんですね。



ビルなんかの場合では、この接着工法では万一剥がれてきた場合の心配があります。
また、薄いといっても大判の石だと厚みが3センチから5センチくらいになってきて、重量も100㎏を優に超えて数百㎏になってしまいます。

そこで、ビルでは壁から引っ掛ける、壁に一枚一枚が固定されながら上下にも荷重を受ける乾式工法が一般的なんです。
地震時の揺れや、施工時の出入りや隙間の調整もできますからね。



この「調整しろ」として、石と石の間に目地があり、そこは目立たないように埋めて隠すんです。「調整しろ」としての目地は幅が広ければ広いほど浅ければ浅いほど、目立たないのでゴマカシが効きます。

そういった石の施工知識をもってもう一度谷口さんの石壁を見てみると



このアソビのない自然石で真っ平らの壁の凄さが分かってきますよね。
おそらく、下図のようなやり方だと思います。


ほとんど、「アソビ」がない収まりです。


一番コントロールが難しい再重量自然素材の石でここまでやってあるわけですから、他のところも厳しい収まりをとっています。

旧館とつながっていく廊下のところです。


整然と並ぶ柱とサッシですが、、


床の溝は空調の吹き出し口ですね。


床の石にはもはや目地すらありません。
こういう石と石を目地なしで「突きつけ」ることを「眠り目地」と言います。

で、柱に合わせてくり抜いたところにも目地やシーリング(ゴムみたいな接着剤の隙間埋め)がありません。
で、空調吹き出しのグリルのところにもありません。

この石仕上げは黒い御影石ですが、真っ黒ではないですよね。
なぜでしょうか?
サッシ枠と柱とグリルとこの石はチャコールグレー(墨色)で統一されているように見えますが、どうやっているのでしょうか。

この石の処理は磨きではなくバーナー仕上げです。
石の表面を高温のバーナーで焼いたものです。
すると表面の結晶が弾け飛びながらとろけて固まり「ゆず肌」をつくります。その分マットな感じに発色は弱くなって渋い感じに仕上がるのです。

そして鉄骨の丸柱もマットに仕上がっています。

で、バック側の壁面は木ですが、この木部も尋常ではない。


壁面に消火器と表示された扉があるのですが、、、、
丁番とかの金具がまったく見えません。


この木はですね、おそらく塩路(シオジ)か
佛(タモ)だと思うのですが、、
シオジとタモは区別がつきにくいんですが、ジュライエローに合わせる意味で、黄味がすくなくより明るめで肌色に近く、木目の筋々の巾が多少広めなシオジを採りたいところです。
タモという木は、野球のバットにする木(特にアオダモ)ですね。
シオジもタモも植物としてはトネリコ種の木です。



エレベーターの内装も、同じ雰囲気にしてありました。


と、部材やディテールの話ばかりになってしまいましたが、、
続いて、プランと空間構成のことも解説します。

なんか谷口建築の解説がいつまでたっても終わらないですね。
ま、オタクの会話なんてそんなもんでしょうが、お茶室とかをされている数寄屋系の人達はもっとうるさいですよ。
現代建築系の人でここまで話しの合う人がなかなかいないのが残念なんです。


新国立競技場説明会にて

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昨日のことですが、千駄ヶ谷駅前の津田ホールにて近隣住民への説明会がありました。

出席されていたのはJSCの方々、そして設計者を代表して日建設計の右高博之氏でした。
同時に、日本青年館の解体工事説明も兼ねて田中建設工業の鈴木正毅氏
司会はJSCの高崎氏でした。

この説明会というのは、なにも親切心で開かれたわけではなく、皆さんも道を歩いててみかけると思うんですが、マンションなんかの「お知らせ看板」。
そのルールにのっとっておこなわれたものです。
ほとんどの建築設計者なら経験のある確認申請を出す前にやっておく儀礼的なものです。


東京都では、昭和53年7月に「東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」を制定しているんですね。
 この条例とは、10m以上の高さのある建物(中高層建築物と呼びます)の建築計画に関し、
まず
1.標識を設置して
2.近隣関係住民に対する説明会の開催をし
3.発生した建築紛争についてはあっせん又は調停を行う

この場合の近隣住民とは
「計画建築物の高さを2倍した距離の範囲内にある土地または建築物の権利者及び居住者」
を指し。

紛争の内容も定義されていて
「日照、通風、採光の阻害、風害、電波障害、プライバシーの侵害等や、工事中の騒音、振動、工事車両による交通問題等の周辺の生活環境に及ぼす影響」
についてとされています。


この近隣住民説明会というのは、おそらくほとんど大半の設計者にとってイヤなものだと思います。

なぜなら、この会は「話し合いの会」ではなく、「説明会」であって、近隣の方々から何を言われてもやり過ごすしかない、とりあえず話を聞いたで済ませるものなので、たとえば施主に対しても強制力はないし、行政が何かをしてくれるものでもないからです。この会を開いて報告書を出さないと建築確認申請には進むことが出来ないからです。

大規模計画ならともかく、個人邸で数十坪の土地で近隣住民説明会を開くと(その時点で役所には計画図を提出済みなので)、もう一度計画の変更届けを出して報告書書いて、、となってしまうので、
街場の設計士さんたちは通常の小規模ビルやマンションの計画では、4階をやめて10m以下の計画になるよう説得していると思います。
僕も必ず「多少の容積の増加程度なら、一部半地下にしてでも10m以下にしませんか?」と施主さんには言ってます。
ただし、周辺地域の方々が非常に気にされるようなケースでは、2階建て木造建築の個人邸でも近隣住民説明会を開いたこともあります。

と、いうわけで3月4日の津田ホールでのJSCによる「説明会」は、「問題の多い物件なので皆様にご理解を求めて開催した」のではなく、計画を前に進めるための通常の手続きです。

日建設計の右高氏の説明では1年前とな~んも変わってないのに「ポケットパークにより緑を増やし、歩行者の回遊性を高めたプランを心がけた。」と何度もおっしゃっていたのが大変印象に残りました。

まあ、違うな。
何言ってんだか、なんですが、
大体そういう解説をしますね設計者は、するしかないんです設計者は。

たとえ高いビルであっても
「敷地をずべて建物で占めるのではなく、高層化することで設置面積を減らし、足下空間を残しポケットパーク化し、緑のオアシスとしての公開緑地が環境や歩行者へ街並み空間に配慮して計画しています。」
と解説しますね。

話し合いじゃないから、とにかく印象を軽くしてやり過ごすしかないんです。

住民説明会も大荒れ ゴタゴタ続く新国立劇場の前途多難
http://nikkan-gendai.com/articles/view/sports/157781/1

そして!同日には

「聖地」鉄筋むき出しに、国立競技場の解体工事を公開
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2015/03/05/kiji/K20150305009920280.html

うわー!!



やっちまったなあ!




あああ、やっちまったかあ

というのもですね。

しょうがないんで漢は黙って
配布資料の新国立競技場の図面関係を眺めていたんですが、、

いつものことですが

あれっ!なんだこれ?
という部分をまた発見してしまったんですよ。

漢は

新国立競技場説明会にて 2

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新国立競技場計画について現時点で何がわかったか
の続きです。


まず、このお知らせ看板で「えっ?」ってなったのが、ここです。



「直接基礎」って書いてありますよね。
なんなの?直接って?じゃあ「間接基礎」はあるの?
と思われるでしょう。

間接基礎はありません。
「直接基礎」に対する基礎は「杭基礎」です。

国立競技場の解体工事が決まらない理由
国立競技場の解体工事が決まらない理由 2
国立競技場の解体工事が決まらない理由 3
国立競技場の解体工事が決まらない理由 4
国立競技場の解体工事が決まらない理由 5
国立競技場の解体工事が決まらない理由 6

でやったように、この敷地は20~30メートルくらいまで地盤がよくないんですね。だから今解体中の国立競技場の基礎下には杭が打ってあった。

新国立競技場では「杭基礎」でなく「直接基礎」だという。

「直接基礎」というのは何も難しい話じゃなくて、
「固い地盤の上に直接基礎を置く」という意味で、埋め立て地でずぶずぶじゃない限り、住宅とかの「ベタ基礎」がそうです。
それに対し、上のほうが軟らかくて支持地盤が深い場合に杭を打つんです。


と、なると、
新国立競技場の場合の地下30メートルなのに、、、
直接基礎というのは、、、、


「なっにー!」

「やっちまったなー!!」の2です。

現場は黙って「総掘り」
現場は黙って「総掘り」

なぜなら、新国立競技場の配置計画はこうでした。



ええっと、、
敷地面積11万㎡の8割くらい掘ってるから、、、
約9万㎡を「総掘り」すんのかあ、、、深さ20~30メートル

少なく見積もっても180万立米(りゅーべい、立法メートル)

残土を運ぶのに使うダンプですが、
4トンダンプで約2立米、10トンダンプで5立米くらいと言われていますから、、


ええーっ36万台?
1日100台が稼働して3600日!10年!
1日1000台が稼働しないと1年じゃ終わらない残土。



土を触る工事のことを「土工事」といいますが、
ただ掘るだけじゃないんです。
一番やっかいなのは「残土処分」というやつです。
この処分費用がけっこうかかります。
㎥(立米)あたり1万円くらい、しかもその土が良好で普通に埋立地とか掘削の埋戻しで処分できればいんですが、、、含水して粘度土状や、ヘドロ状だったりすると、、、「産業廃棄物」です。「処分場行き」です。

180万立米×1万円として、、、180億円
もしかして、産業廃棄物だったら4万円以上はかかるぞ処分費
720億円だぞ、土処分費だけで!

ということが、お知らせ看板を見ただけで判明するわけなんですが、

私が気付いたのは、配布資料の図面の中に専門家ではないと絶対に気付けないある表記を見つけたんです。

「やっちまったなー」の3

は、また後程

新国立競技場説明会にて 3

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この一両日、下記のような記事が出ました。

新国立競技場脅かす「三重苦」 19年春完成、今秋着工

野村周平、編集委員・稲垣康介2015年3月8日13時00分

国立競技場(東京都新宿区)の取り壊しが本格的に始まった。その跡地に建てる新スタジアムは、2019年春の完成をめざし、今年の秋に着工する。わずか3年半の工期は綱渡り。日本スポーツ界の「聖地」には、巨額の建設費と、完成後の維持費という二重の財源不安ものしかかる。

■工期 入札不調で半年遅れ

 幾多の名勝負を観客たちが見つめたスタンドを、圧砕機が崩していく。

 国立競技場の解体工事は週末の7日も進み、すでに観客席の一角は、がれきと化した。入札不調で工事開始が予定より半年遅れた。新競技場本体の着工が今秋に迫る。現場の担当者は「資材を集中投入して、期限に間に合わせる」。

 完成期限まで、あと4年しかない。東京五輪の開会式は20年7月24日だが、前年9月のラグビーW杯で、新国立は開幕戦と決勝の舞台となるからだ。機材搬入や芝生の養生を考えると、19年春がタイムリミット。日本ラグビー協会と、東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長職を兼ねる森喜朗氏は、「タイトロープ(綱渡り)。つつがなく作業を進めてほしい」。

引用ここまで

http://www.asahi.com/articles/ASH365Q4HH36ULZU007.html

で、上記の「朝日新聞」サイトに無料登録して皆さんぜひ続きを読んでください。

引用開始ここから

老朽化した国立建て替えの突破口は、ラグビー界が開いた。11年、「ラグビーW杯2019日本大会成功議員連盟」が建て替えを求める決議をした。「ラグビーがあったから新国立は実現した。五輪ありきじゃない」は、森氏の口癖だ。

 実際、東京が16年五輪招致に手を挙げた時は、湾岸部の晴海にスタジアムを新築する計画だった。20年五輪に再挑戦を申請した12年2月、主会場は新国立に書き換えられた。

 その年の11月、新国立のデザインは公募46作品からイラク出身で英国在住の建築家ザハ・ハディド氏の案に決まった。

 しかし、かつてその奇抜さと建物の実用性を度外視したデザインで「アンビルト(建築されない)の女王」とも称されたハディド氏の案は越えるべきハードルが多く、修正を強いられたのが誤算だった。

 森氏は今年1月、新国立競技場の事業主体となる日本スポーツ振興センター(JSC)の新年会のあいさつで、苦しい胸の内を明かした。「私もあのデザインが好きなわけじゃない。でも、仕方がないんだ」。ラグビーW杯に間に合わせるには、今から設計をやり直す猶予はない。

 ■建設費 予算超過で設計縮小

 ハディド氏のデザインを採用したのは、建築家の安藤忠雄氏を委員長とする審査委員会だ。その審査結果を確定した12年11月の有識者会議での安藤氏の発言が、議事録に残る。

 「この建築はかなりスケールが大きいのと同時に、技術的な課題もたくさんあります。そのような課題を解決できるのは日本の国の土木建築技術力でしかなかなかつくり得ない(以下略)」。熱弁に他の委員も賛同し、全会一致で決まったが、技術的にも難工事が予想された。

 有識者会議はスポーツ団体や音楽業界の代表者らで構成されたが、「サッカーW杯をもう一度」「コンサートを催すには屋根が不可欠」など、それぞれの主張を反映させる利益代表者の側面もあった。建築の専門家は、安藤氏ただ一人だった。

 当初のデザインで試算すると、予定した建築費1300億円では足りなくなった。3千億円まで膨れ、下村博文文部科学相が「計画を縮小する」と軌道修正を指示せざるを得なかった。

 お金以外の理由でも反対論が沸き上がった。「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を受賞した建築家の槙文彦氏らは「巨大すぎる」「歴史ある外苑地区の風景になじまない」などと指摘。文化人からも賛同する声が相次ぎ、反対運動は盛り上がった。

 こうした懸念を反映し、基本設計では規模を約2割縮小。総工費は1625億円とした。

 しかし、これは消費税5%時の試算だ。昨今の資材費や人件費の高騰を考えると、「実施設計で精査中だが、さらに増える可能性はある」とJSCも認める。

 ■維持費 年間35億円、赤字を懸念

 巨大スタジアムは、完成したらハッピーエンド、ではない。毎年の維持費も膨大になる。今の国立競技場は7億円前後だが、新国立では年間35億円が必要との試算が出た。それでも、JSCは年間約3億円の黒字を見込む。ロンドンのウェンブリー競技場などを参考に、年間700万円のボックスシート販売など「プレミアム会員事業」で、約20億円の売り上げが得られると見込む。だが、世界のスポーツ事情に詳しいテレビプロデューサーの杉山茂氏は、「富裕層や企業が得意先をもてなす社交場として活用するにしても、料金に見合う質の高いイベントを定期的に催せなければ需要はない」と指摘する。

 12年ロンドン五輪の主会場は、今年のラグビーW杯、17年の世界陸上選手権の舞台となり、16年からはサッカーのプレミアリーグ、ウェストハムの本拠になるなど後利用に成功している。新国立の場合は、国の施設だけにJリーグクラブの本拠にすることは想定されていない。

 スポーツイベントだけでは赤字になるのは自明で、JSCは人気アーティストのコンサートを年12回程度開く計画だが、そこから見込める収入は年間約6億円。近隣住民に配慮するため、遮音装置を兼ねた可動式屋根を造るコスト、維持管理費を考えると、割に合わない。

 自民党の無駄撲滅プロジェクトチームの河野太郎座長はJSCの担当者を呼んだ会合で、完成後の維持費について「国費はむろん、サッカーくじからの助成金による穴埋めも認めない」と念を押している。現在、サッカーくじの売り上げの最大5%を国立競技場の改築に充てる法律があり、13年度の売り上げからは約54億円が改築費に充当された。

 完成後も赤字が膨らみ、仮にサッカーくじの助成金が充てられることになれば、スポーツの普及・振興に使われるべき財源が、ハコモノの維持費に消えることになる。

 (野村周平、編集委員・稲垣康介)

 ■新国立競技場建設を巡る経緯と予定

2012年11月 ザハ・ハディド氏のデザインが最優秀作品に

  14年 5月 約2割規模を縮小した基本設計を承認

     10月 大成建設、竹中工務店が施工予定者に

  15年 9月 実施設計完了

     10月 本体工事着工

  19年 3月 新国立競技場完成

      9月 ラグビーW杯日本大会開幕

  20年 7月 東京五輪開幕

      8月 東京パラリンピック開幕

引用ここまで

さらには、次のような記事


「新国立競技場を水素社会モデルに」森喜朗会長が構想


2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は9日、大会のメーンスタジアムとして建設される新国立競技場(東京都新宿区)と周辺の明治神宮外苑地区一帯を、水素をエネルギー源として活用する「水素社会」の「モデル地域にしたい」との構想を明らかにした。

 日本スポーツ振興センター(JSC)が新競技場での先端技術導入に向けて設置した検討会議で座長を務める森会長は同日、安倍晋三首相に官邸で検討内容を報告した。安倍首相は「国立競技場が日本の技術を集め、日本のイノベーションの力を世界に発信していくチャンスと捉えている」と述べた。(産経新聞)

http://www.sankei.com/sports/news/150309/spo1503090037-n1.html

う~ん、もうね、なにをかいわんや

国破れて山河あり
諸行無常の響きあり
月日は百代の過客にして
よどみに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて
つれづれなるままに、
えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけ
山椒魚は悲しんだ、名前はまだない。

そして俺は激怒した。

水素エネルギー活用と新国立競技場問題とは、
なんっの関係もねえから。
水素活用とは経済産業省が5年ほど前から取り組んでいる政策目標のひとつだけど、水素もってきたからって、バカ建築の構造が整合したり、残土が消えたり、芝生がちゃんと根づいたり、サブトラックが生じたり、周辺環境に好影響を与えるわけでもなんでもねえ!
水素は水素!建築問題は建築問題。

理数系に弱い政治家の先生に誰がわけのわからんこと吹き込んでんだよ!ちゃんと教えてあげなさいよ。

というわけで、新国立競技場計画の問題点についての続きだ。

第三の「やっちまったなー」はこの断面図に隠されている。


前回で見つけた基礎の下にあるなんか変なもの

これ、実は南北断面にも書いてあるんだ、分かりにくく点線で。


分かりやすく青く染色してみたよ。
あれっ?
これ、一年前にやったよね。
輪ゴムだよ。

新国立競技場の基本設計が終わらない理由1
新国立競技場の基本設計が終わらない理由2
新国立競技場の基本設計が終わらない理由3

この屋根は自重でつぶれてしまうんだ。


となってしまうから、
どうすんだ?
とけんじろう先生が仕掛けを解説してたやつ。


結局解けなかったんだあ、、
やるのかあ、、


バカアーチにバカ基礎。
スラスト止める方法がなかったのか、、、orz。

これか、斉藤公男先生が突如「建築ジャーナル」で、微妙な記事を書かれてた理由は。おそらく、斉藤先生がやめさせようとした部分。

「タイバー」の登場です。
しかも基礎下で。

競技場の必要機能とはまったく無関係なのに、この計画のアホウさを拘束して、健全に計画され得る建築を弱らせるためだけに存在する寄生体、実施設計者たちを心底困らせている部分です。

そして、森喜朗元首相にその真実が知らされていない、無意味なキールアーチとタイバーのセットです。

こいつがあるせいで施工費が下がらない、そして設計も工事も間に合わなくなってしまうという元凶の満を持しての登場であります。

この寄生虫の卵にはザハ・ハディドのDNAが入っていますが、国立競技場計画に産み付けたのは安藤忠雄さんたちです。


新国立競技場説明会にて 4

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なぜ、1年も前に問題視していた無意味なキールアーチの存在を消去できていないのか?
設計に取り組んでいる日建設計がバカなわけでも、構造エンジニアリングのオブアラップがバカなわけでもありません。

その辺は以前にも解説していますが、
むしろ、日本の、いえ地球上で最も優秀な建築設計集団、エリートです。

日建設計とはどんな会社?→新国立競技場の基本設計が終わらない理由2

今回、説明会でどこか自信なさげに、「緑を増やし歩行者の回遊性を確保した、、、」と無難発言されていた日建設計の右高氏など、野球でいえばレギュラーで先発4本柱のおひとりといってもいいでしょう。
日建設計の先発ピッチャーということは、日本の建築界の先発投手陣の一角を占める、そんな選手なんです。

名古屋駅前にある、トルネードなビルをご存じでしょうか


モード学園スパイラルタワーズ 
時代の接点に立つ建築 [設計者は語る]
http://www.nikken.co.jp/ja/archives/00003.html

これ設計した人です。

谷口吉生さんの京都博物館も㎜精度の建築でしたが、このスパイラルタワーは、そこに垂直荷重がかかって二重螺旋になっていますからね。
構造エンジニアにとっても鉄骨加工の面々にとっても相当難しかったと思います。ただし、こういった螺旋状の構造物は自然界にも見られます。
ある種の蔓性植物とか海藻とか巻貝なんかもそうですしね。

建築には大きくふたつの流れがあって、人が雨露をしのぐための簡易な三角屋根の人工的組み合わせから進化発想したものと、自然界に存在する生物の形態から翻案進化したものと、です。

このスパイラルタワーはその両者の系譜に属するものでしょうね。
元来人は自然に存在するものに美を見出してきました、一方、人工物は人工物における美というものがありますが、このスパイラルタワーではその両方を目指されたのでしょう。

それが、なぜ新国立競技場では鈍重な動きになっているのか、爽やかな工学的息吹が感じられないのか、間に合わないかもしれないという焦燥感が支配的になっているのか。

そして、右高氏だけじゃない、日本の建築エンジニアのトップランカーたちが集まっているはずなんですよね。

しかしながら、技術者というのは「何をやるのかを決める立場」にはなく、「やると決まったことをやる立場」だから、おかしいと思ってもそれを言う立場にない、否定するなら受注するな、ということになる。

そして、無意味な偽構造の寄生体であるライズの低いキール梁や地下にうごめくタイバーの存在だけでなく、制度運用上の問題でもあります。

巨大な建造物ゆえ、建築の法律だけじゃなく、都市開発関係の法律ともリンクしているからなんです。

下記に手続きの流れ、フローチャートを掲載しますが

この、フローが
「間に合わないんではないのか?」という不安感を呼び、
「もう、このまま一切の見直しなく突き進むしかないんだ!」と、
森喜朗元首相に言わせしめて

まるで、宝暦治水事件の薩摩藩総奉行平田靱負や
硫黄島の栗林中将のような状況を、
現場の責任者に強いている原因のひとつです。

現行の制度がどのようになっているか、なるべくわかりやすく解説しつつ
キール梁をやめて設計をやり直す方法を探ってみたいと思います。

で、現在どのポイントにいるか?といいますと
ここです。

つづく

新国立競技場説明会にて 5

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この10日あまりの間にも新国立競技場や建築業界を巡る様々な話題がありましたね。

3月9日 
平成27年3月9日、安倍総理は、総理大臣官邸で「新国立競技場を日本の新技術のショーケースにする勉強会」による表敬を受けました。
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201503/09hyoukei.html

スポーツのための施設ではありますが、「新技術のショーケース」にするんだそうです。

3月11日
新国立競技場で水素エネ活用 新技術発信へ構想 
日本スポーツ振興センターは11日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)に、水素エネルギーの活用システムや顔認証による観客の入退場など最先端技術を導入し、「世界一のスタジアム」を実現させる構想を発表した。
 客席で食事を注文して決済できるサービスや座るだけで体温や体脂肪率を確認できるトイレなどのアイデア、非常時には水素燃料で電源を確保する「世界最大のシェルター」として機能し、周辺地区への乗り入れは燃料電池車に限定する案も盛り込んだ。
 協力する企業はキヤノンと東京ガス、東芝、東レ、トヨタ自動車、NTT、パナソニック。今後広く参加を募る。現在の競技場は9月末に解体工事を終え、約8万人収容の新競技場として19年3月に完成する予定。
 同センターは、新技術を世界に発信する「ショーケース」と捉え、民間企業とともに勉強会を重ねてきた。東京都内で記者会見した座長の森喜朗・大会組織委員会会長は「実現したらすごいものになる。(企業には)金もうけでなくお国のために一翼を担うと肝に銘じ、ご協力いただくようお願いする」と話した。〔共同〕http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H92_R10C15A3CR8000/

スポーツのための施設ではありますが、「水素エネルギー」と「生体認証」を含めた「新技術のショーケース」にするんだそうです。

3月12日
新国立競技場、客席に360度観戦モニター 最先端技術

観客席ごとの専用モニターで、試合を360度の視点で楽しめる。トイレに座れば、血圧や体温から健康状態が測定できる――。2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場への導入を検討している最先端技術が11日、発表された。

 電機メーカーなど国内7社から、選手のパフォーマンス向上、会場の安全、多様性など5項目に分類されるアイデアが集まった。

 プレー映像に技術解析を加え、場内だけでなく学校教育にも活用する▽多言語翻訳システムを使った情報提供▽8万人がインターネットを同時使用できるWiFiの実現▽水素エネルギーの活用▽災害時に避難施設に使う、などのアイデアが紹介された。http://www.asahi.com/articles/ASH3C4QBNH3CUTQP00X.html

スポーツのための施設ではありますが、「専用モニター設置」と「トイレに座れば血圧や体温が測定できる装置」を含めた「新技術のショーケース」にするんだそうです。

3月18日
新国立競技場:サブトラックは仮設 東京五輪・組織委
 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の布村幸彦・副事務総長は18日、国立競技場の練習会場として使用されるサブトラックについて「新国立競技場の近くで整備することになるが、仮設の可能性が高い」と語り、当初の想定通りに仮設で進める方針を明らかにした。国際大会などの開催にはサブトラックの設置が不可欠で、日本陸上競技連盟は大会後にも利用できる常設とすることを求めてきた。http://mainichi.jp/sports/news/20150319k0000m050064000c.html

スポーツのための施設ではありますが、「新技術のショーケース」として、(燃料電池車しか駐車できなくする)水素エネルギー活用と、観客の生体認証に専用モニター、(座ると血圧や体温を測ってくれる)トイレの設置はしますが、正式な陸上競技大会を開催するためには必須の「サブトラックは仮設」にするんだそうです。

サブトラックはないけど血圧を測れるトイレや座席モニターにキヤノンと東京ガス、東芝、東レ、トヨタ自動車、NTT、パナソニック等の日本を代表する一流企業が提案するんだそうです。

アシックスやミズノやゼットやダンロップやデサントやヨネックスも、まだなんっの発言もさせてもらってないというのに!です。

「新技術でこんな競技のこんな見所をリアルタイムで世界中の人々にお伝えします!テロや経済戦争で疲弊した世界中の方々に日本から平和や健康の素晴らしさをアピールします!」ではなく、「高い高い入場料を払ってくれるであろうコンサートのVIP席のご観客様の血圧や体温を(ウンコ中に)測ってさしあげます!そのためにはプロ野球でも博打が打てるようにクジの発売もします!(キリッ!)」


「黒い霧事件」なんていうのは今の若い人は知らないでしょうね。
僕もリアルでは知らなかったんですが、池永選手のことは、沢木耕太郎さんの小説で知りました。



とか、東京五輪・パラリンピック組織委員会もそうだけど、わざわざ官邸発表する話なのか、、、

森元首相が「実現したらすごいものになる。(企業には)金もうけでなくお国のために一翼を担うと肝に銘じ、ご協力いただくようお願いする」と発言されたそうですが、、、

俺もね、実現したらすごいと思うよ、ここまでの本末転倒は聞いたことがない。

なんていうのか、オリンピック施設、ラグビーワールドカップのための施設に必要なものは後回しにして、妙な健康器具とモニターの8万台設置を実現させるんだとしたら、そりゃもうすごい酔狂なことです。

なんだろう、、例えていうなら、例えることも難しいんだけど、F1車のコックピットの中に携帯の充電器やマグカップホルダーをくっつけたり、カーステレオやカーナビを充実させたりするようなもの?


血圧や体温を測ることが、燃料電池車しか駐車できないようにすることが、どういう論理でお国のためになるんだろうか?

本当に元首相や現文部相が真剣に考えた結果なんだろうか?
なにか切羽詰まって思考がショートして何が大事なことなのかまったく判断つかなくなっているように見受けられますね。


また、次のようなニュースもありました。

3月21日
大谷石、新国立競技場採用を要望 栃木県、宇都宮市が初の合同PR
福田富一知事と佐藤栄一宇都宮市長は20日、文部科学省を訪れ、東京五輪に向けて整備する新国立競技場の建材に大谷石を採用するよう下村博文文科相に要望した。計画縮小などで大谷石の採用は難航していたが、発注者の日本スポーツ振興センター(JSC)が可能性を示唆するなど実現の兆しが見えてきた。また県は、2022年に本県で開かれる秋季国体に向け財政支援を求めた。
 県と市が合同で要望活動をするのは初めて。今夏にも旧競技場の解体が終わり、新競技場整備が始まるため要望活動を本格化させた格好だ。いずれも自民党の船田元衆院議員と、上野通子、高橋克法の両参院議員も同行した。
 福田知事は「吸湿性や消臭など内装材として見直されている」と大谷石の有用性をアピール。下村氏は「(関係者に)よく伝える」と応じた。
 終了後、船田氏は下野新聞社の取材に対し「2月にJSCに要望した際に『確定したわけではないが可能性はゼロではない』と回答を受けた」と好転の兆しを説明。佐藤市長は「(県との合同要望は)大きな1歩。採用が決まるまで気を抜かず努めたい」と述べた。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20150321/1904237

建築に詳しくない方々からすると、何を突然宇都宮市が「大谷石を使え!」とPRするんだろう?
宇都宮といえば餃子なんだから、


「新国立競技場のレストランでは餃子を出せ!」とPRするならまだ分かるけど、「おおたにいし」って何?
と思われたでしょう。

「おおやいし」と読みます。
宇都宮近郊に採掘現場がありますね。


じゃあ、新国立競技場には各地の名産物産を使ってほしい!というわけで、秋田なら「いぶりがっこやきりたんぽ」、宮城なら「ずんだ餅や牛タン」、山梨なら「ほうとう」、福島なら「浪江焼きそばや喜多方ラーメン」、青森なら「ホタテに林檎にニンニク」に!と各地からPRに殺到してもよさそうですよね。

実は、大谷石の産地が陳情にうかがったのには理由はあるんですよ。
それは、解体されつつある国立競技場には全面採用されていたんですこの大谷石が。

大谷石というのはどういうものかといいますと、、、

つづきはまた後ほど

新国立競技場説明会にて 6

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大谷石の解説は 
新国立競技場説明会にて 5に加筆するとして、
最近世間を賑わしている建築業界の話題。
「免震装置の偽装問題」です。

「偽装」という言葉を聞くと思い出しますね、姉歯建築士事件を。
あれからもう10年もたつのか、、と感慨深いですが、あの事件後の建築基準法改正の問題や混乱についても俺は当時各方面とやりあってた。

あの事件は正しくは「構造計算書偽造問題」と呼ばれてますが、こんな難しい専門用語よりも、
事件の当事者である一級建築士の名前が、姉歯秀次。
前半の苗字が「姉の歯」でシュールレアリズムの詩、
そして後半の名前の「秀次」は戦国、しかも豊臣秀吉の甥。
そして、構造計算書とへアスタイル。


その名前とキャラがあまりに立っていたため、もうそのまま「姉歯事件」で通じるようになりました。

日本の姓というのは、多分にコピーライティング的要素がありまして、行った先々の地名や行動や役職なんかを元に、時代時代ごとにその都度考案してきているので、諸外国と比較して非常に多種多様です。

戦国および珍名さん好きの私でも、
この事件が起きるまでは「姉歯(あねは)さん」は知らなかった。

陸前国栗原郡姉歯村が起源(ルーツ)であり、桓武天皇の子孫で平の姓を賜った家系である平氏の一族なんだそうです。
しかも姉歯城も存在している。
それでけじゃない、伊勢物語の在原業平が詠んだ歌に姉歯は登場する。
「栗原やあねはの松の人ならば 都のつとにいさといまわしを」
宮城県の金成という場所に、姉歯の松という松があったんだそうです。

姉に歯、葉ではなく歯、人体の一部。
「お姉さんの歯」と書いて「姉歯」
The teeth of sisters
「シスターズオブマーシー」を彷彿とさせパンクバンドなみにかっこいい。


知ってからも、この2文字をもって苗字となすネーミングセンスの凄さには何度見ても、感無量というか、何かシュールな詩のような、サルバトール・ダリの絵画を見るような、蛭子能収さんの漫画を読むような、感じを受けますね。

その姉歯事件で広まった「偽装」という2文字。
2005年から、様々な業界で発覚し続けている「偽装」。
「間違い」とか「ミス」ではなく、「偽りの装い」と書いて偽装。

またか!と
また偽装か!と
東洋ゴムが偽装かよ!と

正確には「建築構造設計において水平変位の負荷を低減させるために導入される免震装置のアイソレーターおよびダンパー」なのですが、

そんな難しい専門用語じゃわからないので「ゴム偽装」となった。
そうかあゴムかあ、、ゴムかあ、、
ゴムなんていうかなり世俗に近いものまでが偽装されているとなると、日本社会全体にどんよりとした不安感、やるせなさ、じっとり感といったものが漂ってきますよね。

私の感想はですね、、やはり、
やっちまったなあ!
です。


実際にどういう経緯で何が起こっているのかといいますと、
なぜ、今、森山が「ゴム偽装」を気にしているのか、
そしてこのゴム偽装がどのように新国立競技場計画にからむのかといいますと


つづきです。


http://diamond.jp/articles/-/69240

東洋ゴム工業は3月25日、免震装置のゴムの性能を改ざんしていた問題で、震度5強程度の揺れでも倒壊や崩壊はしないという検証結果を発表した。

 ところが同じ25日、国土交通省は国の性能基準を満たしていない同社製品が設置された建築物の棟数は、さらに拡大する可能性があることを明らかにした

「う~ん、どうなんだろう」この東洋ゴムさんからのコメント。
建築に詳しくない方々からすると、
25日にいったん「倒壊しない!(キリッ)」の東洋ゴムに対し、
同日に監督省庁の国土交通省から「まだいっぱいあるぞ、ゴルァ!」
と言われたことについて、
「大丈夫らしいけど、まだまだ隠してたんだね。」と
不信というか、なにやってんだ、とかそういった気持ちが沸き起こると思います。当然です。

ですが、一応建築専門家の端っこも端っこ、エッジもエッジ、建築家の極北に位置する5等星、昴(すばる:ボサボサの髪が元意)、限界建築家、マージナルアーキテクトである私からするとですね。

「震度5強程度の揺れでも倒壊や崩壊はしないという検証結果を発表」

という部分が、「ふざけんな、ゴルァ!」なんです。
真面目に事態を呑みこんで謝罪も解説もしていない!

そもそも「震度5強がどう」とか「倒壊」とか「崩壊」は、免震装置の範囲じゃないですからね。

免震くん。
そこまでじゃねえだろ、そこまで君、背負ってないわ。

倒壊や崩壊は構造全体の話なんであって、
もし、「免震装置に偽装があったから倒壊」なんていうなら、
実は免震装置があってもなくても、その前に倒壊、崩壊の危険があるくらいに危ない構造ということです。

「震度5強程度の揺れでも倒壊や崩壊はしないという検証結果を発表」
この東洋ゴムの記者会見を

やはり偽装後の対応がひどかった船場吉兆で例えるなら


「(産地偽装や賞味期限切れ、食べ残しを出していたけれども)腐ってはいなかったんで、食中毒や死亡することはないという検証結果を発表」

いや、料理屋としてのモラルや偽りの装いを問題にしているのに
「そんなことでは死なない!(キリッ)」って発表されてもねえ。

つまり、どういうことかというと

「免震装置」というのは、
地震に真正面から向き合う、対処する、強くする、建築構造のメインキャラではなく、
地震の揺れによる急激な水平変位、地震の影響を低減し、高層ビル等の内部空間での揺れの初速を抑えて家具の倒れや吹っ飛びを抑制する。
建築全体でいえば、メインの構造のサポートをしている役目なんです。

だから、「免震」が出来ているなら、メインの構造が少し軽く出来る、耐震要求水準からくる柱や梁の大きさや接合部の強度設定を下げることができるわけです。

つまりは、震度5でも、倒壊はない、とかいった言い訳をしているうちは、東洋ゴムも船場吉兆の女将となんらかわならい対応なんだ!
ニュースを見ている大衆は、どうせ建築の専門家じゃないから分からんだろう?という舐めた対応をしています。

しかしながら、姉歯建築士と同様に、船場吉兆も、誰も、まさか!やらんだろうということをやって、陳謝の後も進んで偽装し続けたわけなんですが、

免震ゴムのケースはちょっと弁護したいんですが、設定した機能をうまく生産するのが難しいという事情はあります。
ただ、東洋ゴムが供給している免震装置のゴムの製造は非常に難しいものであることは事実なんです。

ブリヂストンが救済に乗り出す「免震ゴム」不正事件:矢来街ぐるり(新潮社)
http://www.gruri.jp/article/2015/04080800/

一部抜粋

認定取り消しとなったのは、SHRB-E4とSHRB-E6の2種。前者が2045基、後者が7基納入され、55棟の建物に使用されている。
 東洋ゴムは25日、問題の免震ゴム装置を全て交換すると発表したが、問題は“時間”だ。
「私どもの生産能力ですと、2000基の装置を新たに作るのに、少なくとも1年はかかります。しかも、代替品を開発して新たに大臣認定を取らなければならず、これにも時間を要してしまう」(東洋ゴム)

抜粋ここまで


免震装置への設定要求水準と生産現場での齟齬がみられる。
そもそもこのジャンルに見切り発車の感が強いのも事実なんです。

で、この「免震装置偽装事件」と新国立競技場問題がどう関係してるんだ?なんですが

もういちど発表された断面図見てみましょう。

7につづく

新国立競技場説明会にて 7

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ここで再度、発表された現時点での新国立競技場断面図を見てみましょう。

で、私が注目していた部分

なんだこれ?のところ

これが一体なんのか?という分析をおこなって
結果、競技場機能にまったく必要のない寄生虫的構造キールアーチのためにさらに寄生虫化するタイバーという名の「ネジレバネ」だと解説しました。

断面図の左側にある階段みたいな横棒の羅列が、
1階ごとの高さを示しているのですが、
じゃあ、こいつ、なんかデカくね?

ということで大きさを調べてみました。
8m角くらいありますね。

えっ?
家よりもデカいタイバーだって?

なんだこれ?

電車が2本入るじゃん。
銀座線の青山1丁目、外苑前駅とほぼ同等



そんなものを新国立競技場計画は地下に通そうとしている。
なんの役にも立たないものを

そして、このタイバーは輪ゴムだと解説した。
この弓型のゆるいアーチ構造はタイバーでもっている。

輪ゴムがビンビン伸びて引っ張り戻ろうとするから成り立っている。



この輪ゴムの意味はスラストを止めるためだと。
それは氷上での股裂きを止めるようなもの。

そこに致命的な弱点があるんだ。


それは、このタイバーは建築構造として、
「しっかり固定できないんです!」

新国立競技場の構造的な最大の問題点がこの
「しっかり固定できないんです!」なんだ。

もう少しイメージしやすいように言うと、
キールアーチの規模は永代橋の2倍の規模の巨大な地上の橋。

そして構造システムでいえば、弓矢の弓と同じようなテンション構造。
この新国立競技場計画に巣食う寄生虫構造部分は巨大な弓です。

タイバーを構造的に効かせようと思うと、自由に動ける状態にしなくてはならないんです。

8m角で長さ400mの鉄の筒が動く、常にビンビン振動している状態。

だから、四角い断面の中が二重になっている。
周囲を鞘でかこってその中をシュルシュル動けるようにしてある。


じゃあ、タイバーの下にある黒い物体。
これ、なんだろうねえ。

これこそが、今回世間にさっそうと偽装デビューしたニューカマー。
挙動を抑え挙動に追従する装置。
免震装置系の何か。
軟らかくで固い振動を抑制しつつ動きにも耐えうるもの
免震ゴムなんじゃない?

そして、それは弓の根本にも設置されなければならない。

しかも、地震対策とか耐震強度のためですらない。
無駄装置。

スタンド部分には免震装置入ってないですから
アーチの根本にしか入ってないよ、ゴム。

そしてあいかあらず建築専門家から騙されているJSC。
もしくは、わかっていて国民を欺いているJSC。
もしくは、今日このブログを読んで、JSCは初めて知ることになる。
この事実に。

その頼みのゴムが
業界シェア5割の東洋ゴムが
「偽装」による撤退。
もしくは「偽装発覚」により新国立競技場計画に消極的態度をとらざるを得ん状況が予測されるわけです。

さらには、ではブリジストンはといえば
東洋ゴムの偽装ゴム交換に協力せざるを得ない状況。

という事態が予測されるわけです。

さらには、実は
テンションとか関係なく
鉄は動く、熱で、太陽の光で
スペインでも鉄板が動きまくって、外壁がボロボロ

新国立競技場の未来?スペインでの建築問題どんどん悪化中


スペインでは20mで2センチ動いていたと聞く。

では、新国立競技場のキールアーチなら
総長約400m
なら、動く。40センチは動く。
何もしなくても夏と冬で、昼と夜で
アーチの弓も弦も動きまくる

どうするんですか?



新国立競技場説明会にて 8

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平成が生んだ、生もうとしているキチガイ建築・新国立競技場についてですが、
キールアーチとタイバーについてさらに掘り下げていきたいと思います。

そういえば、国立競技場の地上部構造がほぼほぼなくなったと聞きます。

解体始まったころには、結構かかるんじゃないの?
と思っていましたが


いまは、もうこのとおり
ほぼ更地です。


日本青年館がよく見えておりますが、この日本青年館も取り壊すんですよね。
日本青年館がどういった経緯で建てられたものなのかについては以前解説したとおりです。
東京の森④競技場の話
これを読んでいただければ、なぜ文科省の外郭団体であるJSCが我が物顔でこの辺を自由に触りまくっているのか、まったく理解できないことが分かっていただけると思います。

多くの批判の矢面に立っているJSCですが、本来JSC単独で全部決められるわけではないのです。

俗に「フロント」とか「企業舎弟」とかいう用語を聞いたことがないでしょうか?

元々はある種の専門用語でしたが「闇金融ウシジマくん」や「東京闇虫」「ギャング―ス」といったようなアンダーグラウンドにおける社会悪といったリアリティを描いたマンガの登場で一般にもよく知られるようになりました。

闇金ウシジマくん


東京闇虫


ギャングース


かっての犯罪ドラマはもっと悪が単純でしたから、警察と暴力団の抗争も勧善懲悪でしたよね。


刑事ドラマ「太陽に吠えろ」なんか見ててても

ボスが  「何?アイアシー産業は企業舎弟?」とか
山さんが取り調べで「お前はただのフロントだってことは分かってるぞ」

とか聞いたことなかったですもんね。

そう考えてみれば、この30年間で本当に社会悪は見えにくくなった。
最近ではタイアップ記事やバラエティ番組をつかって、最初はむしろ良いモンとして悪が堂々とマスコミに登場して人生を語ってたりする。

本体は後ろに控えて、裏で前面の組織をコントロールしていく仕組みが発達したんですね。


つづきは後程


世界のセレブだからこそ分かるオークラの価値

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ホテルオークラ本館建て替え。 希少な伝統美、セレブ「待った」。
世界で保存運動「日本的モダニズム建築」
(5月13日付)東京新聞朝刊


以前、togetterでもまとめておきましたが、



007ジェームス・ボンドも泊まったホテルオークラ、日本を代表する建築を取り壊そうとする話が進んでいます。ところが海外の著名人からこの馬鹿な計画に警鐘が鳴らされていることをご存知ですか?日本建築の価値は時と共に増しているからです。

ホテルオークラに限らず日本建築は年月が経過しさらに価値を出すのが本筋。寺社仏閣も新築時は全然ダメで木の色も枯れ瓦も苔むしてからが本領発揮なのです。現代建築にはそういう経過価値を生みだしてるものは圧倒的に少なく、稀有な例がオークラです。

特にオークラの茶室や和の空間は、素材が擦り減り、色も焼け、やっと風格が出てきた、これからなのです。ホールの備品も日本の工芸意匠技術の粋を集めたもので、再調達は難しいものばかりです。今後は金を積もうとも入手不可能なものがほとんどです。

日本の現代建築ではこれ以上のものはもはや作ることはできないにも関わらず、「新奇性こそがデザイン」というドグマに囚われ、その真の価値に気付いていません。
教養の厚みが違うので谷口吉郎以上のものは現在の建築家では設計できないでしょう。

今の建築情勢には、商業デザイナーとデベロッパーと投資家という構造しかない。学生を教える教授陣も力量不足、設計事務所は零細経営で人材をまったく育てられていない。ということはオークラを超える建物は今後成立することはないと断言できます。

ホテルは歴史と文化が載ってこないと、50年経過してきたからこそ、これからクラッシックな価値を目指せるんです。ここで建て替えても、顔を失った名前がオークラというだけの劣化した新築ホテルが出来るだけなんです。



時と共にその価値を増すホテルオークラは稀有な現代建築の事例なのです




ホテルオークラの建築空間における「和の意匠の見どころ」については、お茶室や数寄屋建築にお詳しい京都の設計事務所である岩崎建築研究所さんのブログに素晴らしいレポートがありますよ。

ホテルオークラ東京 前編
ホテルオークラ東京 後編
ホテルオークラ東京 茶室編

真国立競技場へ

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相変わらず出口不明の新国立競技場問題ですが!
なんと!本日、「号外」といってもいいような話題があったんです!

これです!



スポーツ報知一面です。

この2年間、もめにもめている。
この1年間、しこってしこってしこりまくっている。
この2か月でさっさと壊しちまった国立競技場。
その赤茶けた土も無惨な更地の写真と共に踊る文字。

新国立競技場計画を見直す可能性です。


いやあ、驚天動地とはこのことでしょう。
約1年前に新国立競技場コンペにも参加された建築家の伊東豊雄先生が、
「国立競技場の改修案出すぞ!」のときも地鳴りがしましたが

今回は晴天の霹靂
晴れ渡った青空に突如雷鳴のとどろきを聞きました。

う~ん、どうなんだろう。

そもそも、報知新聞あらためスポーツ報知からというのが不思議です。

新国立競技場、950億円で造れる 東京五輪へ“格安”案
2015年5月15日9時0分  スポーツ報知


引用ここから

 
2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場(8万人収容、東京都新宿区)の建設費を抑えるなどした新たな建設計画案が民間会社から文科省などに提出されたことが14日、分かった。政府関係者が明らかにした。計画案では、座席の大部分を仮設席として建設し五輪終了後に座席数を削減するなど合理性を重視した建築方式。現行案での着工予定は10月だが政府内では、この計画を支持する声が広がっており今後、新計画案が採用される可能性が浮上してきた。

 新国立競技場の建設費を抑制するなどした新たな計画案は、民間会社から文科省や複数の閣僚経験者、自民党幹部らに提出された。中身は競技場のイラスト、運営費の試算など具体的な内容で政府関係者はスポーツ報知の取材に「現行案からの大幅な変更となるが、問題山積みの現状を打開するには、この計画しかないと思う」と明言。「メイン会場の建設方法を変更する場合、国際オリンピック委員会(IOC)への説明や大きな政治決断が必要になる」とも述べた。

 新国立競技場は文科省の外郭団体、日本スポーツ振興センター(JSC)が建設・運営を行う。現行案の新国立競技場は屋根部分の建設に高い技術が必要となり、資材の高騰などを受け、建設費は一時3000億円とされた。識者らから批判を受け、競技場の大きさなどを2割削減。現在は1692億円から2100億円と試算している。また、年間の運営コストについてもJSCは「約3億円の黒字」としているが、複数の政府関係者は「現行案のままでは、五輪後数年で赤字になる」と指摘。東京五輪の前後は“特需”で数億円の黒字になる可能性はあるものの、年間維持費の40億円がネックとなり、20億円以上の赤字が継続する可能性があると試算した。

 こうした状況を改善するために民間から新たな建設計画が提出された。この計画案によると、新国立競技場の収容人員8万人のうち、5万5000人分を仮設席として建設する。また、現行案では行われる屋根の開閉はやめて、客席部分のみを覆う形で設置するなど建設費用を削減する。東京五輪終了後には、この仮設席を撤去して別の競技場に再利用する。現行案の工期は約42か月となっているが、新計画案では約30か月で大幅に短縮される。

 仮設部分を撤去した新国立競技場は、約350億円をかけて5万人規模となるように座席を増築。その後、収益性の高い様々なスポーツなどのスタジアムとして活用する。競技場単体の建設費は、約600億円と現行案の約3分の1となり、運営費の削減も可能となる。増築費と合わせても約950億円で2100億円とされる現行案より1000億円以上もスリム化される。

 国立競技場は昨年12月から解体工事を行い、今月11日に地上の構造物などが完全に撤去された。現行案のままで建設するのか、今回提出された新計画案を採用するかは今夏をメドに最終計画案をまとめる見通しで10月からの着工を目指す。JSCは新国立競技場の現状について「建設計画を進めている段階。最終案を出すかどうかはまだ決まっていない」と説明した。


引用ここまで

この記事で注目すべきは第一番目まずここです。

政府内では、この計画を支持する声が広がっており今後、新計画案が採用される可能性が浮上

政府内で―――――支持する声が広がる
新計画案が――――採用の可能性

という部分。

その裏には、
コンペで選んだザハもどき新国立競技場案に―――問題があり
日建設計が取り組んでいる修正案でも――――――解決できない

ということに政府が気付いている、認めている。
ということだからです。

誰かが、政治家にも信頼されうる建築の専門家の誰かが
そのことを説得し、批判するだけでなく代替案を示したということになります。

注目すべき第二は

JSCは「約3億円の黒字」としているが、複数の政府関係者は「現行案のままでは、五輪後数年で赤字になる」と指摘

JSC――――コスト黒字としたが
政府関係者――――赤字になる

の部分です。

JSCを政府関係者が否定した。という事実です。
いやあ、これ官僚社会でいえば死刑宣告ですからね。

よくステレオタイプな権力批判、政府批判や官僚批判がありますが、彼らにとってそうした小市民からの文句というのはまったく痛くないんです。市民からの批判でクビになることはありません。

特にキャリアは

彼らの敵はむしろ内輪なんです。

常にお互いがお互いを監視し合う、足を引っ張り合う、騙し合う、そして同期の出世の芽を摘む。

そうでなければ、自分がヤられる。

基本、いわゆる優等生、秀才、頭のキレル連中です。
お互いに大した能力差はない。
その中で、成果による評価よりもむしろ、失敗による降格的人事。
上役からの、業務能力に好悪や運も含めた全人的な明文化されない評価の仕組み。

そして同期の中からは一人しか事務次官までは到達できません。
そんな人生ゲームなんです。

そのあたりを非常につぶさに分かりやすく描いて面白い作品に、

原作:田島隆先生、作画:東風孝広先生コンビによる

「激昂がんぼ」(ブチギレがんぼ)というマンガがあります。
これ、すっごい面白いんです。

主人公、下の表紙の向かって左は、アンダーグラウンドの事件屋(表に出てくるときは当然コンサルタントを名乗ります)である神崎守。
右側が地方二流国立大学卒のキャリア官僚の二宮亮です。

この二人が芸南市の港湾開発を巡って、一時は反目し合いながら共通の目的をもって共闘していくうちに互いの境遇から友情が芽生えるというお話しなのですが、その中で描かれるエグイ官僚世界の描写が非常にオススメなんです。

特に国土交通省と総務省の縄張り争いや、上司がコケたら部下まで全員が左遷出向になってしまうくだりなど、官僚の行動様式を理解するためにはうってつけの素材です。


私としましては皆さんに、新国立競技場問題を通じて建築知識に通じてほしいのですが、同時に政治システムや官僚システム、そしてそこで起こる人間ドラマにも通じて欲しいと思っています。

そうすることによって、問題に対する「思考停止」の状態、ステレオタイプ化された「効力の薄い怒り」から離脱し、
実行力のある批判や冷静で正しい現状認識に至ることができるからです。


話はJSCと政府に戻りますが、
これまでJSCの中の人は政府推進派の先兵として新国立競技場問題に身を粉にして取り組んでいたはずです。
それは、文科省からの指示は絶対命令だからです。

それが、記事をそのまま読むなら「政府関係者から否定」されてしまったわけです。トカゲのシッポ切り、もしくは戦場に置き去りです。

JSCの運営試算(デタラメ、でも指示をこなしただけのはず)をした人間は丸つぶれということです。

なかなかやらないんですよ。
官僚社会では
そういう目に見えるようなことは
知らず知らずに本人と周辺だけに分かるように切り捨てられるんですけどね。

そこが画期的な部分です。



そして、もっとも説得力のある部分

現行案の工期は約42か月となっているが、新計画案では約30か月で大幅に短縮される。

早い!
1年分早い!
なぜ速くなるのかも解説します。

そして最後に極め付け

政府関係者は「現行案からの大幅な変更となるが、問題山積みの現状を打開するには、この計画しかないと思う」と明言。
大きな政治決断が必要になる」の部分です。

かなり、かなり、踏み込んでいる。


「間違いを正す!という政治的判断」という一番美味しいところは誰がもっていくのか!
河野太郎先生なのか、下村博文先生なのか、
それとも、まったく別の先生が登場するのか、

興味深い展開です。


真国立競技場へ2

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なんと!
報知新聞が続報です。

新国立競技場、プロチーム誘致で収益改善へ2015年5月16日6時0分  スポーツ報知http://www.hochi.co.jp/topics/20150516-OHT1T50037.html

引用ここから

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場(8万人収容、東京都新宿区)で民間会社が文科省などに提出した建設費を抑制する新たな計画案に、五輪後に野球あるいはサッカーの専用スタジアムに改修する運営方法が盛り込まれていることが15日、分かった。政府関係者が明らかにした。計画案はすでに政府、文科省に提出され、検討が始まっている。現行案では、五輪後に野球を開催するプランはなく、新計画案が採用されれば、20年以降に新国立競技場でプロ野球の開催も視野に入る。

 新計画案で示された運営方法によると、東京五輪後に新国立競技場の座席を大幅に削減し、5万人規模に改修する。その後、収益性の高いプロ野球、あるいはサッカーのいずれかの専用スタジアムとして使用する。

 五輪のメインスタジアムが特定のプロスポーツ専用スタジアムになった例では1996年のアトランタ五輪がある。大会後に大リーグ、アトランタ・ブレーブスの本拠地となり現在も使用されている。今回、提出された計画案もアトランタをモデルにしており、利用率を上げることで継続した黒字化を図り、建築費の回収も可能と試算している。政府関係者は「専用スタジアムとすることで、健全な収益構造を構築できる」と分析している。

 新国立競技場の建設・運営を行う日本スポーツ振興センター(JSC)が昨年8月にまとめた現行案では、五輪後もプロチームの本拠地とはしない方針で、サッカー日本代表戦やコンサートなどを行うとしている。一方で新計画案では、野球、サッカーの2大スポーツは年間を通じて定期的に試合が行われ、集客が見込めることから、関係者は「安定した賃料収入が確保できる」と話している。

 また、複数の政府関係者によると、現行案では年間約40億円の運営費などがネックとなり、長期間にわたり約20億円の赤字が継続する可能性があると試算。新計画案で集客力のあるプロ野球が開催されれば、収益の向上や建築費用の回収が早まることも期待できる。

 新計画案の建築方法は、8万人分の座席のうち5万5000人分を仮設席として設置。五輪終了後に3万人分を増築して5万人台としても合計で建築費は約950億円と試算、最大で2100億円とされる現行案より、1000億円以上の削減が可能となる。さらに今回、明らかになった五輪後の運営方法で一層の収益の改善が見込まれる。

引用ここまで

昨日までは、半信半疑だったんですよ、報知の報道。
特に、下村文部大臣も案外落ち着いて「知らない」とか答えてましたしね。

まあ、私も賢しらぶって
「国民の反応を見る観測気球」とか
「飛ばし記事で、揺さぶっている」とか
言ってみたりしてたんですが、、、

連発となると、一記者の勇み足とかスクーププレイで部数稼ぎとはいえないですよね。なんらかの確証をもった記事なんではないでしょうか

この続報で特に注視すべきは、ここです。

「五輪後に野球あるいはサッカーの専用スタジアムに改修する運営方法が盛り込まれている」

1.専用スタジアムにする。
2.運営方法もある。


そして、
「日本スポーツ振興センター(JSC)が昨年8月にまとめた現行案では、五輪後もプロチームの本拠地とはしない方針で、サッカー日本代表戦やコンサートなどを行うとしている。」

けれど、

政府関係者は
「専用スタジアムとすることで、健全な収益構造を構築できる」
と分析している。

昨日のJSCを全否定に追い討ちをかけるように、またしても全否定。
その言葉は提案を作成した謎の民間会社じゃないですよ、
政府関係者が、分析しているんです。

「政府関係者」とはいったい誰をさすのでしょうか、、


通常、報道上で現役総理や官房長官あたりの発言は「政府首脳」といいます。
「政府閣僚」なら大臣たちも含まれますね。
「政府関係者」といった場合は、内閣官房、総理秘書、そこに連なる官僚です。
「政府筋」も同様でしょう。

ということは、各大臣はまだだけど、内閣官房で話し合っている、という意味です。

私の場合は戦国の織田信長軍でたとえた方がわかりやすいと思うのですが、


織田信長の配下である各方面軍の隊長の羽柴秀吉や明智光秀、柴田勝家らにはまだ伝えていないけれど、

信長の御側集である秘書官スタッフの
森成利、蒲生氏郷、村井貞勝、池田恒興、堀秀政らと話し合っている。ということです。

戦国に詳しい人ならわかると思うのですが、

信長が、森成利(森蘭丸)、堀秀政(久太郎)らと図り、新国立競技場計画に疑問を呈し、怒ったなら、もうダメです。


新国立競技場方面軍は、終わりです。
蘭丸と久太郎がキチっと引導を渡すでしょう。

多少でもそれに物申せるのは竹中半兵衛くらいでしょうけれど、それでも一部修正もしくは命乞いくらいなんではないでしょうか。

と、いうわけで見直しはどうやら規定路線のようですが

そもそも、朝日新聞も読売新聞も産経新聞も毎日新聞も東京新聞も報じていない。つまり、情報をもらっていない状況下で、報知新聞もといスポーツ報知のみが、ガンガン先導しています。

報知新聞とはいったいどういう組織なんでしょうか

創刊は明治5年(1872年)といいます。
西南戦争の5年も前ですから、まだ抜刀令も出ていない。
みんな腰に刀を刺している、江戸時代のような状況、幕末みたいなもんです。

そんな時代に先駆けた新聞です。

明治から大正にかけては東京5大新聞(東京日日・時事・國民・東京朝日・報知)

のうちのトップセールスだったんです。


ちなみに、上記五大新聞社には読売も産経もいませんね。

報知新聞ってすごかったんですね。

つづく












真国立競技場へ3

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「新国立競技場、950億円で造れる 東京五輪へ“格安”案」という報道について

建築界では様々な反応があったようです。
いわく

「それはいい」
「いや、デザイナーをないがしろだ」
「安ければいいのか」
「中身はどうなんだ」
云々

特に目立った、といいましても所詮建築設計者連中の集まりですから、専門的なマイナーな世界、井戸の中の蛙たちのつぶやきなのですが、目だった論調としては、

「格安」って言うな!のようです。

これには二つの意味がありまして、他のスタジアムと比較してみても決して格安なんかではない!

大分ビックアイ。収容4万人→250億円 
新潟ビックスワン。収容4万人→300億円 
神戸ウイングスタジアム。収容4万人→230億円 
ユアテック仙台。収容2万人→130億円 
ガンバ新スタジアム。収容4万人→140億円

国内でも格安どころか、「格高」。

世界で比較してみると
「格高」でみれば

ウェンブリースタジアム。収容9万人→1500億円
ヤンキーススタジアム。収容5万人→1400億円
オリンピックスタジアム・モントリオール。収容6万人→1350億円
マディソンスクエアガーデン。収容2万人→1000億円

上位5位くらいにはいってしまう勢いです。

だから、「格安」って言うな!というご意見と同時に散見されたのが、建築様に「格安」とかいう下世話な語彙を使うな!というものでした。

え~っと、「格安じゃないじゃないか!」は理解できるのですが、
「建築という尊い高尚なものに「格安」とかいう、安売りの酒販チェーン店みたいな語彙を使って欲しくない」という建築家諸氏のご意見には、
まだあんたらそんな意識でいるのかよ、、と呆れました。

結論。
950億円というのは決して格安ではない。

それ以前のザハデザインの3000億円でも不可能な計画に続き、ダウングレード版における1700億円~2100億円でも不可能な計画があったので、それらと比較してコストダウンになっているというだけです。

そして、もう一点分かりにくかったのが、謎の民間会社が提案したといわれるスタジアム座席数の推移。

最初は
ラグビー?とオリンピックで8万席(仮設が5万5000席)を600億円で建設する。
その後
5万5000席を撤去して、(2万5000席は残し)
2万5000席の席を350億円かけて追加して
5万席のスタジアムにする。

という流れのようです。

う~ん、作って壊してまた作る。
そしたら600億円が950億円かあ、、
そんなん、アリなんでしょうか

実はロンドンオリンピックではそうしていたということを以前レポートしましたよね。
オリンピックは大丈夫なのか?6


メインスタジアムですが


上部のリング構造が脱着可能になっていました。

パーマネント席が2万5000席ですから、数字的にはまったく同じです。
今回の謎の民間企業は、このロンドンオリンピックのスタジアムを前例として検討しているようですね。
もしかしたら、設計図を借りてきて参考にしているかもしれませんね。
もしくは、このロンドン五輪スタジアムを設計したPOPULOUSに頼んじゃってるとか、、、
http://www.populous.com/>
POPULOUSというのはアメリカの設計事務所HOKのスポーツ施設部門が分離独立した会社です。
HOKとは、創立者(ヘルムース氏、オバタ氏、カッサバウム氏)の頭文字を合わせて命名されたアメリカの設計事務所です。

HOKのOはオバタのOなのですが、アメリカの建築設計事務所なのにオバタ?と思われたでしょう。
そのとおり、オバタとは小圃さん、日系人です。日本ではほとんど紹介されていませんが、ギョウ・オバタは、世界的大建築家なんです。


ギョウ・オバタの父親が、渡米した日本人画家小圃千浦(おばた ちうら)なんです。


幼小時からその才能を認められ、最年少で日本画の賞を受け、天才と謳われた将来を嘱望されながらも、日本の画壇の偏狭さに反発、英語も出来ないのに筆一本だけ携えて渡米したという、今でいえば、バット一本で全米を席捲したイチローみたいな人です。


日本画の技法を駆使してアメリカの大自然を描きました。


出身は、岡山県井原市、彫刻家の大家である平櫛田中と同じです。
日本に居た時には天才少年であった小圃千浦でしたが、徒手空拳でアメリカに渡った時点で、なんにもなくなりました。
画家で生計を立てようにもどうにもならず、ただ日々の糊口をしのぐだけで精いっぱい、社会の底辺で苦しんでいます。
そんな時代に息子さんのギョウ・オバタは生まれています。

アメリカの画壇で自分にしかできない表現をもとめていた小圃千浦は、あるとき友人と出かけたヨセミテの雄大な自然を目の前にして、「ヨセミテシリーズ」といわれる、日本画でもなくそれまでの西洋絵画にも見られなかったような作風に開眼します。


ちょうど、風景や花、骨などの、具象的モチーフを用いながらも抽象的表現に昇華させた、有名な画家ジョージア・オキーフにも通じるような作風です。


スケッチ中の小圃千浦


そのように、画家としての成功を掴んだところで、またもや小圃千浦に不幸が襲います。

小圃千浦だけじゃなく、世界の人々を不幸に陥れたのですが、、戦争です。
当時56歳になっていた小圃千浦でしたが、全米に居住していた日系人と同じように、財産も没収され敵性民族として収容所に入れられました。


そこで、意気消沈するどころか、小圃千浦は収容所内で美術学校を開き、子供達に絵を教え始めたのです。

「いかなる状況下にあっても、教育は食糧同様に重要だ。」
との信念のもと

戦争中に収容所で芸術なんて、、という反対意見もあったと聞きます。

「そして芸術は、もっとも建設的な教育だと信じる。」

という収容所内の美術学校「タンフォラン美術学校」は、6歳から70歳まで、600人もの方々が受講していたといいます。

そして、この収容所内美術学校から育った芸術家も数多く輩出しています。

そのように、家族が厳しい状況下の中で、若きギョウ・オバタは建築の道を志していました。



真国立競技場へ4

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さきほどまで国立競技場の解体現場に居ました。


すっかり地上構造物がなくなっております。


解体され産業廃棄物となった国立競技場の躯体を搬出するトラックが約2分おきくらいに出入りしております。そのたびにゲートが開くのですが、撮影をしておりますと、そそくさと閉めてしまいます。


台湾のTVBSさんの取材のお手伝いだったのですが、

じゃんじゃか、ほうぼうよりビックリするような連絡が入りました。

それは!

STARWARSでいえば、デススターが堕ちた!

ガンダムでいえば、ガルマが死んだ!

ドラゴンボールでいえば、フリーザが死んだ!


新国立競技場、東京五輪は屋根なし 「間に合わない」
http://www.asahi.com/articles/ASH5L3CDQH5LUTIL006.html
朝日新聞DEGITAL 2015年5月18日13時39分


2019年春の完成を目指す新国立競技場(東京都新宿区)について、下村博文・文部科学相は18日、都庁での舛添要一知事との会談で、当初計画にあった競技場の屋根は大会後に整備し、8万人の観客席の一部を仮設とする考えを明らかにした。それぞれ20年東京五輪・パラリンピックに工期が間に合わないことや建設費の削減の必要性を理由に挙げた。

 会談は、下村文科相が都に建設費の一部負担を求めるのが目的で設定された。下村文科相は500億円を競技場の周辺整備費用とし負担を要請したが、全体の建設費の見積もりを示さず、舛添知事は「全体のコストがどうなるのか、都民に説明責任を果たせるように示してほしい」と求めた。

 新競技場は19年ラグビー・ワールドカップの会場としても使われる。下村文科相は「19年春には、競技場そのものは間に合わせるが、全てをやっていると間に合わない。屋根なしなら間に合う」と説明。仮設席は20年大会終了後に撤去し、観客席の規模を縮小するという。




東京五輪に間に合わず、新国立競技場「屋根無し」開催
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2494705.html
TBS i (18日13:47)

2020年の東京オリンピック・パラリンピックで、メイン会場の新国立競技場の屋根の建設が間に合わず、屋根が無い状態でオリンピックを開催することが分かりました。

 「2020年はもう屋根無しでやるということは決定ということで」(舛添要一 都知事)
 「そうですね、コストと期限の問題で」(下村博文 文科相)

 これは18日午前、東京都の舛添知事との会談で下村文部科学大臣が明らかにしたものです。オリンピックの開会式などでメイン会場となる新国立競技場は、流線型のデザインの屋根が特徴でしたが、下村大臣は工事が間に合わないことなどから、オリンピックは、屋根が無いまま開催し、オリンピック終了後に屋根を建設する考えを示しました。

 また、スタンドは維持費用などを考慮し、これまで収容人数8万人規模だった計画のうち3万人分を仮設とし、オリンピック終了後、5万人規模に縮小する考えも示しました。


そうかあ、そうかあ
遂に気付いたかあ、理解したかあ、思い知ったかあ
あのクソアーチがリアリティゼロだったということに!

まあ、この1年半ほどの間に、
ここに来る皆には常識になってましたよね。
なにも高度な建築的理論がなければ分からない話ではなく、
中学校の物理や技術家庭レベルで理解できる内容。

「アーチのライズがゆるくてスラストが止められない。」
「馬蹄形状の屋根は平行移動ができないので開閉もできない。雪が溜まる。」
「影の出来る屋根は芝が育たない。腐る。」
「屋根の膜を軟らかいC種にすると燃える。」
「陸上競技と球技の併用スタジアムは観客席が遠くなる。」
「国立競技場の解体は地下構造物の方がやっかい。」
「日建設計は都市計画法との摺合せで実施設計に着手できない。」
「コンペ審査員も有識者会議も建築の素人ともいうべき無責任者」
「政治家は本当の事実を伝えられていない。」

それを繰り返し解説しつつ、新国立競技場問題を通じて建築全般の知識をもっと皆が身に付ければ、公共建築に物申すこともできる。

政治家といえども建築の素人なんです。
それゆえ、アドバイスする建築専門家が能力不足かつ嘘つきだと、国家的な施設ですら大間違いを起こしてしまうんです。

「知識は武器、知力は戦闘力、教養こそが己が真の領地也」

です。

ただ、この報道で誤解を生みそうなのが「屋根なし」という表現ですね。

客席には「屋根」必要です。
いらないのはザハの残滓、クソアーチです。

ここまできて、もしザハ監修料を支払うためのクソアーチ温存の算段をJSCがしているとしたら、何かブラックなことを迂回しようとしていることが明らかになるでしょう。

「屋根」とはどこのことを指すのか、
はたまたすべてを白紙に戻して、いかなる建築物の計画が再構築されうるべきなのか、緊急解説します。

というわけで続きです。


その後の報道

新国立競技場:全体像定まらず 東京五輪、相次ぐ計画変更
毎日新聞 2015年05月19日 東京朝刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20150519ddm041050109000c.html


 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場として建て替える新国立競技場(新宿区)で18日、再び計画見直しが浮上した。13年9月の開催決定時に国際オリンピック委員会(IOC)から「安心、安全」と評された大会は開幕まで約5年になっても、全体像が定まらず、どたばた劇が続いている。

 この日、下村博文文部科学相が舛添要一知事を都庁に訪ねたのは新国立競技場の費用負担要請が目的だった。だが、舛添知事から説明不足を詰め寄られると、下村文科相が突如、見直しを口にした。春に工期が間に合わないことが分かり「国家プロジェクトで失敗は許されない」(文科省幹部)と水面下で検討した打開策だった。

 経費節減に向けて下村氏が「誠意」を見せるための踏み込んだ発言だったが、根回しがなかったため周囲は慌てた。組織委員会の森喜朗会長も「とにかく物価高騰だけ(が原因)じゃないぐらい(建設費が)すごいんだ」と説明に苦労した。

 一方、バスケットボールなどの会場予定だった「夢の島ユース・プラザ」(江東区)も建設費が招致時に見積もった364億円から880億円に上る試算となり建設が中止された。既存施設の活用が検討され、全体の会場計画も変更が相次いでいる。招致時の最大の売りだった競技会場の85%が選手村(中央区)から半径8キロ圏内の構想も崩れさった。

 それでもIOCはバッハ会長が進める中長期改革「アジェンダ2020」で掲げた経費削減策のモデルと期待しており、東京を支持する。IOCにも開催費が高騰して招致を希望する都市が減り、五輪ブランドが低下しつつあることに危機感があるためだ。招致に関わった関係者は計画の見直しが続き「日本への信頼感が揺らがないか心配だ」と懸念する。【藤野智成、田原和宏】

引用ここまで

文科相「五輪開催に支障はない」 新国立競技場の屋根先送り
2015/05/19 11:38   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201505/CN2015051901001292.html

 下村博文文部科学相は19日の記者会見で、新国立競技場(東京都新宿区)の開閉式屋根の設置を2020年東京五輪・パラリンピック後に先送りする方針に関し「(屋根設置は)コンサートなどに競技場を有効活用するためであり、五輪や19年のラグビー・ワールドカップ開催に支障はない」との認識を示した。

 フィールド部分を覆う開閉式屋根を当初の計画通りに設置した場合には、工事が数カ月遅れると建設業者から指摘されたと説明。「19年の完成を厳守するための判断だ」と強調した。


引用ここまで

なんと!下村文部科学大臣、いまだに事態を十分に把握していないことがわかります。
どうやら、
一昨日からの
「新国立競技場計画見直し」
「屋根やめる」
「950億円で出来る」

という報道を受けて、大慌てで東京都に無防備に手ぶらで無心に行ってしまったのでしょう。500億円出せ!と。

舛添東京都知事はまってました!とばかり下村文部大臣を詰めまくったんでしょうねえ。

今の若い方は、政治家としての舛添氏しか知らないと思うんですけど、舛添さんはですね百戦錬磨ですからねえ。
なんと!あの「朝生」出身なんです。
正確には「朝まで生テレビ」というバトルロイヤル的な時事討論番組です。


最近でこそ、大人しい雰囲気になって面白くありませんが、
かつては映画監督の大島渚が後半になると「バカ野郎!」と怒鳴りだしたり、そこに野坂昭如も応じたり、猪瀬直樹は爽やかに嫌味を言ったりして、議論によるプロレスの体を示して面白かったんです。

そこに突如現れた、ディベート王が、若手の国際政治学者時代の舛添さんだったんですよ。
この初期朝生では、いきなり新人がリングに上がってもなかなか発言することはできません。
それは、人の発言中でもかまわず、大御所がかぶせるかぶせる。
大声を出す出す。
人の揚げ足も取る取る。
ちょっとした修羅場を演出する番組ですから、1回こっきりで出なくなってしまう文化人も多かったんですが、そのようなバトルを経て生き残ったのが舛添さんです。

ええーっ!ていうぐらい外見違いますね。


このころはすでにTV番組の司会とかもされてたはずです。
幼少の折から秀才の誉高く、エリート街道を他人をなぎ倒してでも押し進み、大衆番組の中でも目立つ、相手をとにかく言い負かす、そこに快感を覚える、そんな喧嘩屋です。

つまり、塾講師から政治家になり、最近マスコミに登場したにしても、礼儀をもった大人しい記者からのマイクにしか答えたことのない、いわば言論格闘技経験のない、庶民派の下村大臣では、絶対やめておいた方がいい相手。

報道に慌てて、なんの策略もなく手ぶらで向かっていく先としては、
勝ち目のない最悪の相手です。


案の定、ガンガン追い込まれ、情報もないまましゃべったのが、「屋根はなくす」であったようです。

さっそく日記に書かれていました。


「【舛添都知事日記】新国立競技場の建設について、誰が最終的に責任を持つのか!?
2015年05月19日(火) 舛添 要一
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43364

新国立競技場の建設は間に合うのか
2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会まで、あと5年。主催都市として、東京都は全力をあげて、その準備に取り組んでいる。競技場施設の見直しなど、困難な課題にも挑戦し、2,000億円もの経費を節減することに成功した。競技団体などから、さまざまな批判が寄せられたが、情報を広く開示し、都議会でもきちんと説明して、合意形成を図りながら、一歩一歩、前へ進めてきた。

現在も、大会組織委員会と協力しながら、競技施設のさらなる見直しや追加種目の選定などに取り組んでいる。もちろん、道路や交通機関の整備、宿泊施設の建設、セキュリティ対策、ボランティアの養成など、主催都市として必要な機能を果たすため、都市整備にも力を注いでいる。さらには、国際金融センターや国際ライフサイエンスセンターの創設、水素社会の実現など、グローバルな経済競争に勝ち抜き、東京を世界一の街にするための努力も展開している。
このように精力的に2020年大会の準備を進める過程で気になるのが、新国立競技場の建設である。「国立」である以上、国が責任をもって建設すべきであり、都がとやかく言う問題ではないが、これは開会式を行うメインスタジアムなので、その建設の行方には、重大な関心を持っている。

しかし、建設費や工期などについて、国民に十分な説明はなされておらず、責任の主体も明確ではない。建設についての国民的合意を形成する前提となる、情報公開もなされていないとなれば、議論のしようもない。しかも、旧競技場の解体に至るまでに、入札不調で時間を浪費してしまい、建設のための時間が少なくなっている。果たして、建設は間に合うのか、屋根を付けるところまで辿り着けるのか、さらには、1,692億円という整備で済むのかといった、さまざまな疑問が湧いてくる。

引用ここまで

これにはまだ続きがあるのですが、リンクをお読みください。

続いて気になる記事です。




新国立」屋根先送り 文科省「見通し甘かった」
東京新聞朝刊 2015年5月19日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015051902000143.html

シンボル的存在だった開閉式屋根の建設を先送りするなど、新国立競技場の建設計画が見直されることになった。

十月の着工予定まで五カ月を切った土壇場での軌道修正は、計画にいまだに問題が山積していることを物語る。(森本智之)

 「ぎりぎりの時期での変更だが、背に腹は代えられない」。文部科学省関係者が漏らした。
 複数の関係者によると、計画変更の検討を始めたのは今年三月ごろ。ゼネコン側が示した見積もりで、四十二カ月の工期をオーバーし、二〇一九年のラグビー・ワールドカップ(W杯)に間に合わないことが明らかになったためだ。建設費も想像以上に膨らむことが分かった。

 新競技場計画はもともと、森喜朗元首相らが音頭を取り、ラグビーW杯誘致のために検討された。その後、五輪の主会場にすることが決まったという経緯もあり、別の関係者は「W杯に間に合わないのでは意味がない」と話した。

 急転直下の状況に、文科省側は次官自らがゼネコンとの交渉に乗り出したほどだったという。だが、今回の変更でも工期はギリギリで、建設費も現在公表されている千六百二十五億円を上回る見通しだ。
 そもそも工期や建設費の問題は、計画に反対する建築家らが再三、指摘してきた。
 新競技場は、「宇宙船」と揶揄(やゆ)された特徴的なデザインのために構造が極めて複雑で、開閉式屋根や、用途に応じて移動する可動席など、高い技術力を要する難工事がめじろ押し。事業を進める日本スポーツ振興センター(JSC)自らが「規模や複雑さで過去に例がない」と認めるほどだった。

 建築家の槇文彦さんらはこうした難工事の問題点を先んじて指摘。「建設費は最大二千五百億円以上」「工期は五十カ月以上」などと独自の試算を行い、計画の修正を求めていた。

 「見通せなかったといえばそういうことになるのかもしれない」。計画の変更について、文科省の永山裕二スポーツ・青少年企画課長は十八日、見通しの甘さを認めた。だが、計画の見直しは一連の批判に応えた抜本的なものではなく、対症療法的な変更にとどまる見通しだ。批判の中心にあった五輪史上最大規模のサイズなどは維持される可能性が高い。

 槇さんとともに試算を行った建築家の中村勉さんは「小手先の修正では、コストの削減や工期の短縮はたかがしれている。これを機に抜本的な修正に取り組むべきだ」と話す。


引用ここまで

なにかですね、下村大臣は「屋根の開閉をやめればなんとかなるのでは?」といまだに間違った認識でいるようです。

アーチがアウトなんだ!と口を酸っぱくして言っているのに、なぜ文科省もJSCもそれにこだわるのでしょうか?常軌を逸しているということがわからないのでしょうか?
きっとわからないんじゃなくて、わかりたくない、認識したくない、という脳内の情報フィルターが働いているんだと思います。

大島渚監督みたいに「アーチやめろ!バカ野郎!」と怒鳴ってもいいのですが、
人の行動や発言には当事者にとってはなんらかの合理性や便益があるはずなんです。

ということは、アーチにこだわらなければならない事情があるのかもしれません。
ならば、そこいらを引き続きエグッていこうと思います。


5につづく



真国立競技場へ5

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新国立競技場問題に関して引き続き報道が続いています。
なにやら、この件ではスポーツ報知が急浮上してきていますね。



舛添知事、屋根なし新国立に危機感「豪雨の時どうするの」
2015年5月20日6時0分  スポーツ報知
http://www.hochi.co.jp/topics/20150520-OHT1T50039.html


東京都の舛添要一知事(66)は19日の定例会見で、2020年の東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の整備計画が大幅見直されたことに「強い危機感を持っている」と表明した。18日に下村博文文部科学相(60)と会談した際、フィールド部分を覆う開閉式屋根や座席が一部仮設化されるとの報告を初めて受けた。「(屋根がないのは)青天の霹靂(へきれき)だった」と振り返り、官邸などにも情報公開を求めていく姿勢を示した。

 「国民にとって青天の霹靂だった。みんな、ガッカリした」。五輪開催時に開閉式屋根を断念するなど大幅に見直されることになった新国立について、舛添氏は「開会式で集中豪雨になった時に、行進しているアスリートはどうするのか? 私の悪夢は、メインスタジアムができないから、五輪もできなくなることだ」と批判した。その上で「開催地の首長として大会は成功させなければいけない。打開策をみんなで考えるしかない」と訴えた。

 五輪の招致活動では新国立のフィールド部分を覆う屋根が滑らかに開閉する動画などを「近未来型のイメージを再現する」などとアピール。だが、基本設計の段階から建築上の問題点が続出。建築家からは「景観を損ねる」「粗大ゴミになる」などの批判もあった。整備費用は最大3000億円まで膨張。13年11月には、規模を2割削減するなど当初の計画は大きく後退しており、「屋根を削っても1000億台は確実」(政府関係者)という。

 舛添氏は18日の下村氏との会談で、開閉式屋根の断念や座席の一部を仮設席とする方針を初めて示された。周辺の整備費用約500億円を求められたことについては「法的に認められた支出を集めてもせいぜい50億円程度。500億円という数字の根拠は全く理解できない。都民に500億円の拠出をお願いするだけの論理が必要だ」と指摘した。

 舛添氏は五輪後の新国立の運営方法についても言及。かつて視察した08年北京五輪のメインスタジアムが赤字が続いているとして「責任と能力がある人が運営すべき」と指摘した。文科省などは安倍晋三首相(60)ら官邸にも説明をしてこなかったとして、「国は危機感を持っている」とも述べた。


なるほど、さすが喧嘩屋舛添知事という発言内容です。

1.
計画が大幅見直されたことに「強い危機感を持っている」

2.
「屋根を削っても1000億台は確実」

3.
「責任と能力がある人が運営すべき」
「国は危機感を持っている」

以前、悪い例として内藤廣さんの「諸氏へ」を研究素材として、ディベートでレトリックに失敗すると詭弁となるという特集をやりましたよね。

逆に、この舛添氏の論旨はレトリックを効かして攻撃力を10倍くらいにしている例です。

1.
計画が大幅見直されたことに「強い危機感を持っている」

で個人的意見、感想として危機感をもっている。
当然です、急に聞いた話なのですから、そこで「びっくりしています」と日常語に流れるのではなく、「晴天の霹靂」というちょっと難しい文語調の慣用句を用いるのも、折り目正しい印象です。

2.
「屋根を削っても1000億台は確実」

次に、「屋根を削っても」と、
「屋根を削るんで安くするんで金をくれ」と言いにきた下村大臣の論旨の立脚点を破壊しています。
同時に具体的数字をあげて下村大臣以上の情報をもっていることを示唆しています。
下村大臣は足場が崩れてフラフラの状態です。

そして、畳み掛けます。

3.
「責任と能力がある人が運営すべき」
「国は危機感を持っている」



「能力ある人がすべき」これは「今の人は能力なし」と言っているのといっしょなのですが、
反語になっているのでさらに立派に聞こえます。

そして、1.と呼応するように「国は危機感を持っている」ですが、

これは正確には
(舛添だけが危機感をもっているのではなく)

「国も」、「危機感を持っている」

つまり、内容の論旨は
「下村大臣は無能である。国が危機感をもっているのだから」
です。

東京都知事として、当事者に成り変わろうということなのでしょうね。

ただ、都知事ならずとも世の中のみなさん全員が心配していると思います。
「何だって?2019年っていえばまだ4年もあるんじゃないの?」
「何が間に合わないの?」


この意味はですね、「今の路線でいるともう間に合わない」と、
解釈すべきです。
電車と同じです。
途中で事故があった、もしくはこの先に線路がない、障害物があるのでこのままこの電車に乗っていても目的地に間に合わないんです。

ならば電車を乗り換えればいい。

もう一度以前解説した流れを確認してみましょう。
新国立競技場説明会にて 4

で、今どこかというと



上記文章書いた3か月前となんにも変っていない。
元の国立競技場を壊しただけ。

実は新国立競技場計画は、
1年前から何ひとつ前に進んでいないんです。
てことは2年間なんにも前に進んでいないんです。

前に進められないんです。

でも、みんな真面目というか、ロボットというか、羊というか、自己保身というか、無責任というか、いろんな言い方があります。

外野はなんとでも言えますが、関わってきた中の人には職務と権限範囲があります。生活があります、家族もあれば、借金もある、子供の学費も払わなければならない人もいるでしょう、生きていかなくてはいけません。

しょうがないといえばしょうがない。
組織内部の人間が反乱したり異論を述べたりするなら、脱藩と引き換えです。

逆に、それぞれのパートで文句ばっかりつけるような組織では全体がおかしくなりますよね。

結局、ヤバいと言えない雰囲気と仕組みを作り出した今回の組織構造のトップがいいかげん、フロントが阿呆なんです。

誰とは言いませんが、ていうかいつも名指しで言ってますが。
もうそんな人は後でみっちり皆で叱り飛ばすとして先を急ぎましょう。

今の新国立競技場の路線は目的地に着きません。
運転手と車掌さんから車内放送がありました。

だから、今から電車を乗り換えよう!
今スグこの目的地に行きつくことのない妄想列車から降りよう。

そして、もっとも速く到着する列車に落ち着いて乗り換えれば、十分間に合います。

間に合わせるための計画案を考えていきたいと思います。

まず、ですね。
条件を整理します。

規模
久米設計の既存改修案時代からの一番の難問だった8万人収容ですが、これはもはや条件から外されています。
5万人+オリンピック時は仮設3万人となりました。
つまり5万人規模です。

ま、悔やんでもしょうがないでしょうけど、(一番悔やんでるのは私なんかじゃなくて、当事者JSCの施設監理者、特に芝の育成に関わっていた方々でしょうし)

元の国立競技場のままです。

続いて、施設機能

オリンピック後は(どこかのプロチームの)本拠地にする。
陸上と球技場の併設はどちらでもよい。

となってしまっています。

すっかり合理的な考え方になりました。

新国立競技場コンペを通じて、本当に必要な真の機能や規模に目的が絞られました。
つまり、世界中から応募案を募集したコンペイベントによって、新国立競技場に関わる様々な人々の思惑が一掃されています。
同時に、このコンペ大失敗、実施設計失敗、計画失敗を通じて、

日本国民全員が、「建築計画に詳しくなった。」
日本国民全員が、「公共施設工事の流れに詳しくなった」
日本国民全員が、「官僚や政治家といえども自分らと同じと理解した。」
日本国民全員が、「建築家にもいろいろあるということを理解した。」

ということならば

雨降って地固まるの言葉どおりに受け止めればいい。

大雨が降って、嘘つきは流されていったが、

固まった、地が
定められた、目的が

2019年ラグビーワールドカップまでに、芝生が根付いていること

です。

これからは間違わない。
もう迷わない。
もう逃げれない。

新国立競技場コンペ失敗ありがとう。


真国立競技場へ6

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また、出ましたね。

新国立「ウソいけない」サッカー協会、屋根付き8万人要求
スポーツ報知 5月21日(木)7時4分

日本サッカー協会は20日、計画の大幅な見直しが検討されている新国立競技場について、JFAハウス(文京区)で建設・運営を担当する日本スポーツ振興セ ンター(JSC)の担当者から事情を聞いた。JSC側は「まだ何も決まっていない」と説明したが、協会側は「現行案からの大幅な修正は国際的な信用を失 う」と主張。現行案通り、開閉式屋根の設置と仮設席を設けない8万人収容の競技場とするよう求めた。

 かつて新国立の「将来構想有識者会議委員」を務めた日本サッカー協会の小倉純二名誉会長(76)はFIFA(国際サッカー連盟)、IOC(国際オリン ピック委員会)に対し、新国立の画像などを提出していると説明。<「そういうふうにやってくれないと困る。ウソをつくのはいけない」と批判した。

 現行案では10月に着工、19年3月に完成するとしているが、文科省とJSCは開閉式屋根の設置を五輪後に先送りして、一部を仮設席とする方針。文科省 では、今月中に修正案を示すとしている。政府内ではコストを大幅に削減し、機能性を重視した「新計画案」への検討が始まっている。


せっかくみんなが、問題に気付いてどうにかしようとしている矢先に。
無知蒙昧な意見が

う~ん、、、有識者会議の中の人物がこれじゃねえ。


「エイリアン」という映画があります。
過去記事で少し触れたこともあるのですが、もう40年近くも前の映画ですが、SF映画のスタイルを塗り替えた金字塔のような作品です。
ブレードランナーのビル 近未来SFにはなぜ様式美が必要か

この映画、何か画期的だったかというと
敵がいないんです、いえ、正確にはいるのですが、いわゆる悪意をもって地球を侵略とかイジワルするとか、そういうのではないんです。

科学者が調査に向かった惑星で、人類とはまったく異なった謎の生命体と出会ってしまうんですね。

その生き物が、単純に生き残ろうとしているだけなんです。
狭い狭い宇宙船の中で。

宇宙の話なのに密室、その密室の中でエイリアンが生き抜こうとしているだけ、大げさなビーム砲とかエイリアン軍とかそういうのは無し。

偶然宇宙船内に紛れ込んだ生物が
ただ、生きる生きる生きる、死にたくない死にたくない、という行動をとっているだけなのに、それが実に恐ろしい。


暗い宇宙船のダクトや床下、天井裏に潜みます。
鉄みたいに固い、体液は強酸性、さわると人類の体が溶けます。
調査隊は皆死にます。

リプリーという女性科学者を残して


リプリーにとってはエイリアンに宇宙船から出て行ってほしいだけなんですが。

エイリアンには目的がないから、交渉の余地がない。

まあ、一度見てみてください。

この映画の凄いのはですね。
エイリアンを倒すんです。リプリーが。

やった、やっと倒した!とホッとするんですが、、
エイリアン死なないんです。
それでも倒す、ギリギリで
やっと倒した!とホッとするんですが、、
エイリアン死なない
どうにか、エイリアンを船外に追い出す、ヤッタ!
とホッとするんですが、、
エイリアン死なない

という最後の30分間が凄い、手に汗握る。

今ですね、新国立競技場はそういった事態になっていますね。
屋根がない、間に合わない、金額が足りない、大変だ!
これまでの責任者、関係者、推進者は無能だ!出てこい!
と世間が大騒ぎになりました。

だから、これまで関わってきた人達が逃げ惑うどころか、
最後の悪あがき、「これまでどおりにやるべきだ!」と言い出しているんです。

その心は
今の地位を死守、左遷されたくない、飛ばされたくない、生き残りたい、生きたい生きたい生きたい。
生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい。

こうなるとですね、非常にやっかいですよ。

で、問題の「屋根がなくなる」について、そこまでのことを言っているのか情報が混乱しています。
果たして屋根を取ったら間に合うのか、予算が合うのか

その辺を解説してみます。

まず、こういった混乱した事態においては、基本に戻る。
「屋根とは何か」です。
そして、スタジアムとか難しそうなところから入るのではなく、身近なものから入る。
「普通の家」で考えてみましょう。

屋根っていうのはこういうものですね。
基礎があって床があって柱があって壁があって屋根がある。

これを取ると、ずぶ濡れですね。
でも、スタジアムは屋根のないものも多いです。
ヤクルトの神宮球場、広島カープのホームもそうです。


ここまではわかった。

では、見直しが決まった新国立競技場の妄想計画はどうなっていたか?

こうなっています。


基礎があって? あるのか?
壁があって? あるのか?
柱があって? あるのか?

屋根はある。

そういう計画ですね。

基礎から壁になり屋根になる。
むしろ全部が屋根。


あんまり見たことないかもしれませんが、、、
登山道とかにある避難小屋
農作業小屋とか


ほぼこれらと同じ構造システムです。
ただ、大きさが、、
100倍?

この基礎から壁になって屋根になるアーチ構造の全てが屋根
屋根を取る=すべてご破算にするしかない計画なんです。

だから!これまでの妄想推進派である無識者どもは、屋根を取る=自分らが追い出されてしまう、と必死の抵抗を開始しているわけです。

で、この屋根が成り立っていない!ということは再三再四説明しましたよね。

新国立競技場の基本設計が終わらない理由3

けんじろう先生の建築教室のみんなはよく知ってるよね。
輪ゴムとティッシュの箱を準備してくださいね。

でも、もう一回いきますよ。




ティッシュの箱蓋だけだと、こうなってしまうから
輪ゴムが必要だよね


はい、おさらいするよ~!


質問:アーチにかかる力は何だったかな?

ちびっこ達
「スラスト!」
「股裂き!」
「開き力!」

はい。みんな正解

質問:どうすればスラストは止まる

ちびっこ達
「タイバー!」
「スラストブロック!」
「輪ゴム!」
「杭!」

質問:それは出来るの?

ちびっこ達
「地下鉄に当たる!」
「地下が深くなる!」
「地下に人の乗れない地下鉄ができる!」

質問:このアーチのことを先生はなんて呼んでましたか?

ちびっこ達
「寄生虫」
「寄生虫」
「ネジレバネ!」

はい。
皆、よくできました!



屋根が寄生虫、そこにこだわるやつも寄生虫なんだよ!


真国立競技場へ7

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以下のような記事がありました。
スポーツグラフィック誌 Number Webです。

新国立競技場の迷走はチャンスだ!「聖地」に相応しい設備と思想を。
松原孝臣 = 文
http://number.bunshun.jp/articles/-/823372

一部抜粋いたしますが、ぜひこの松原記者の勇気あるご意見を全文お読みください。
この新国立競技場計画について問題点を指摘したり取材したり報道したり、についてはこれまで様々なメディア関係の皆さんとお話し合いしてきました。

しかし!やはり!国家的プロジェクトに物申すには勇気がいる。

皆さん、これまで実直に真面目に職務をまっとうしてきた人達ばかり、であればこそ、なおさら今回の計画のいい加減さ、杜撰さ、泥縄、間違いに早くから気がついている。

ところが、優秀な人間であればあるほど、どうしても社内でも、組織でも一歩も二歩も早い。

つまりは、周りがいまだについてきていない。

そういった段階で意見するのは、なかば博打。

一か八か、報道に踏み切るには勇気が必要なんです。

ましてや、人の意見をコピペして、匿名の元に隠れてネットで茶化したり揶揄したりするのとは違う、記名アリ、意見者は特定。

己のスタンスの明示。

しかしながら、

そういった葛藤を経て出された己の意見は撃つ!多くの人々を。

松原孝臣さんの入魂の記事です。


引用ここから

新国立競技場の建設計画が迷走している。

 5月18日、下村博文文部科学相と舛添要一東京都知事との会談の際、計画の大幅な見直しが明らかになった。

 当初の計画では、開閉式の屋根を設置することになっていたが、それをやめて、競技場の屋根の一部は2020年の東京五輪後に整備するとした。また、観客席のうち1万5000席を大会後に取り外せる仮設にするという説明もあった。したがって、サッカーのとき、陸上のときなど用途に応じて動く伸縮型の可動スタンドもなくなることになる(会談では屋根なし、3万席を仮設にするという趣旨の発言があったが、のちに屋根は観客の上には設置すると訂正された)。

 大きな変更である。

 原因となったのは、1つには、現行のままでは完成が間に合わないという見通しにある。最初にザハ・ハディド氏のデザインが採用されたときから、そこで描かれた屋根の工事は難しいのではないかと指摘が出ていた。

 また、当初の見積もりから建設費用が増大するのが見えてくると、それを抑えるために修正を試みてきた。それでも、費用はふくらみこそすれ減る気配はなかった。工期の問題とあわせ、今回の見直しの大きな理由の1つだ。

計画の見直しは「新たなスポーツの聖地」の始まり。

 世界的にみても、このような変更は珍しいことではない。1976年のモントリオール五輪のオリンピック・スタジアムは、開閉式屋根を完成させることができなかった。2008年の北京五輪メインスタジアムとなった北京国家体育場も、コストを抑える、安全面への配慮から当初のデザインにあった開閉式の屋根を中止した。新国立競技場もその轍を踏むことになった。

 ただ、これを1つの機会と捉えることはできる。

 従来の国立競技場は、今回の建設計画の前から老朽化や設備面などの問題ですでに使用できない競技があることが問題となっていた。例えば陸上競技の場合、国立競技場のトラックは8レーンで、オリンピックや世界選手権の基準である9レーンに足りない。そのため、基準が制定される前の1991年に世界選手権を開催したのを最後に、これらの大会を開催する資格を得られていないままだった。

 また、2002年のサッカーワールドカップ日韓大会でも、国際サッカー連盟の基準に達していなかったため、会場に立候補していない。その結果として「東京に新たなスポーツの聖地を」という声もあったし、新国立競技場建設への期待も大きかった。

イベント活用を重視することは大事だが……。

 しかし、新国立競技場のもともとの計画案は、「新たなスポーツの聖地」になるためには微妙なところがあった。

 オリンピック後の運営において、音楽コンサートなどのイベント活用も重視されてきたのだ。開閉できる屋根はそのために重要だったし、音響などの設備も、スポーツ以外の利用に配慮したプランになっていた。

 確かに、集客力のあるスポーツの大会は決して多くないし、多角的な運用ができるのはのちのちの運営にメリットがあるだろう。

 一方で、例えば陸上大会を開くにはサブトラックが必須だが、その設置は計画に含まれていなかった。オリンピックの際は仮設トラックを設置する予定だが、それではオリンピック後は陸上大会に使用することができない。新たな聖地として長期間位置づけられるスタジアムとしては、不足している点が多かったのだ。

本当に知恵を出し切ったのか、やり尽したのか。

 そして現在、計画は再び変更を余儀なくされた。これを逆にチャンスと捉え、新国立競技場を新たなスポーツの聖地にするには何が大切なのか、あらためて考え、新たな計画へ向けて訴える機会でもある。

 現状はスケジュール最優先で妥協を図り、後退を続けているように見える。取り壊された国立競技場をはじめ、周囲に位置する代々木体育館の存在は、今日までスポーツ界にとって大きな意味を持ってきたはずだ。オリンピックの先を見据えたとき、つまり未来を考えたとき、どのようなスタジアムが必要なのか、そうした視点が失われている気がしてならない。

 日程のみを考えて未来に視線を向けないのは、挑戦しない姿勢を意味する。ほんとうに知恵を出しきったのか、やり尽した上での現状なのか。もう一度チャレンジする機会でもあるのではないか。

抜粋ここまで

ついに!スポーツ界から真っ当な正しいご意見が出た!といってもいいでしょう。

テーマは「新たなスポーツの聖地」です。

「聖地」とは何か

元々は、宗教用語ですね。The Holy Land
宗教の重要拠点、総本山、創始者にまつわる聖なる地を指します。
それが転じて、特定の文化や事業における重要な場所を表現する言葉になりました。

たとえば、高校野球の聖地、オタクの聖地、ラグビーの聖地、俳句の聖地、等々。

はじまりの場所、大事な場所という意味です。

この国立競技場が立地する場所の歴史は以前やりましたよね。

東京の森①聖地だからこそ緑の空間が残った
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11793751612.html
東京の森②神宮の森は献木でできている
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11795282081.html
東京の森③聖徳記念絵画館とは
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11797678496.html
東京の森④競技場の話
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11798436816.html
東京の森⑤表参道のケヤキと建築
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11799712310.html
東京の森⑥日本の都市が空襲された理由
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11801415005.html
東京の森⑦だからこそ主張し続けよう
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11802818203.html
東京の森⑧みんなの森
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11805407136.html

松原さんは記事の中で、「~現状はスケジュール最優先で妥協を図り、後退を続けているよう~」とおしゃっていますが、違います。

現状はスケジュール優先で妥協しているのではなく、これまでの新国立競技場計画が、妄想計画であることをJSCはじめ文部科学省や有識者会議含め関係者が、とうにそのことに気付いていたくせに、認めず、隠し、ごまかし続けたため、内閣から舛添知事からも怒られただけなのです。

しかし、そのことで1年は無駄にした。
ならその1年を取り戻せばいいんです。

なぜなら、もっとも進行に支障をきたしているのが計画案自身なのだから。

捨てれば早くなる。妄想を
正気に戻る。

では!
十分時間的に余裕のある計画にしていくためにはどうすればいいのか!

俺はただの反対屋じゃないよ。

まず、現時点を再確認しましょう。

今、敷地は上部構造が取り去られた状態
元の国立競技場はもうない。
国立競技場ちゃんは死んだ。

設計図はない
みんなの心配はある。

ここからスタートです。

今あるものは、解体中の敷地だけです。


この上からの敷地状況を見ますと、べたっと広がる敷地に赤土が露出しているだけ、そう見えますよね。

しかしながら、現地を歩いてみるとわかるのですが、結構起伏があるんです。


ちょうどゆるゆると坂道になっている。
その段差はといいますと


10m弱ありますね。
3階建てくらいの段差が。

建築計画には基本がありまして、なるべく敷地条件を活かす。
ということです。

今でこそ工事重機の発達でなんでもかんでもバリバリ進められるように見えますが、手仕事時代と同様です。


敷地条件に無理をして手をつけないことです。

つまりは、

今後、工事を迅速に進めていくとしたら、この敷地の段差を活かせ、ということになる。

この段差を活かした計画がかつて存在していたのです。

東京の森④競技場の話
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11798436816.html
で紹介しましたよね。

これです。

初代の国立競技場です。


敷地を掘りぬいて造られた競技場です。

これがまず合理的な計画のベースになるんではないでしょうか

つまり、初代国立競技場、国立競技場1964、そして建設不可能となった幻の妄想建築・新国立競技場に続き

再度、初代が帰ってくる。

帰ってきた国立競技場、真・国立競技場です。

この考え方をベースに据えるといろいろとメリットが出そうなんです。
メリットだけじゃない。

死んじまった国立競技場ちゃんでしたが、
初代が、新しいかたちで復元される。
再生、リインカーネーション
これぞ聖地にふさわしい建築なんではないでしょうか

蘇る国立競技場、真・国立競技場です。

今のグダグダを打破するひとつの可能性として、次回から具体的な検討に入ってみたいと思います。

まず、敷地を削ってみます。
下部スタンドになる部分


なんか!
いいぞ、これ

8につづく

真国立競技場へ8

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新国立競技場問題の報道はやっと日経新聞紙上でも始まりました。


「支離滅裂」都知事が批判 新国立競技場580億円負担めぐり 

日本経済新聞 

(2015/5/26 13:30)

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO87331630X20C15A5CC1000/
2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場(東京・新宿)の整備費をめぐり、国が東京都の負担分を約580億円と試算していることについて、舛添要一知事は26日の記者会見で、「全くいいかげん。支離滅裂だ」と厳しく批判した。

 知事は「都に一言の相談もない。数字をでっち上げ、官邸に持って行っている」と指摘。「いいかげんな数字なら、(文部科学省は説明に)来る必要がない」と話した。

 新国立競技場をめぐっては、文科省が18日、都に整備費の一部負担を正式に要請。都側は「都民税を使うのであれば、明確な根拠が必要」と、国に詳細な説明を求めていた。

 一方、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は26日、都内で「思っていることは半分とか3分の1くらいに抑えて言わないと」と舛添知事の発言に苦言を呈し、整備費について「私は(舛添知事に)経緯を全部話している」と話した。


舛添都知事が「支離滅裂」といっていますね。

「支離滅裂(しりめつれつ)」とは、ばらばらでまとまりがなく、筋道が立っていないさま、だそうです。「支離」がバラバラで、「滅裂」もキレギレ、離ればなれ

つまり、新国立競技場計画は、「バラバラでバラバラなのだ」と言ったんです。

それに対し、森喜朗オリパラ会長は、「思っていることは半分くらいで、、」と言いました。

えっ?「バラバラじゃない!大丈夫だ!気合いだ!」じゃなくて、
森会長自らが「そこんとこ半分くらに言ってよ。」です。

じゃあ、やっぱり新国立競技場計画はバラバラじゃんか!

1日たちますと、こんな記事でございます。


新国立競技場の整備費概算額、文科相「6月中に公表」 
日本経済新聞 2015/5/27 1:50
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO87331640X20C15A5CC1000/

下村博文文部科学相は26日の参議院文教科学委員会で、新国立競技場の整備費の概算額について「業者との協議が整い次第、公表すると聞いている」などと話し、6月下旬までに公表する考えを示した。文科省は今年10月の工事着工に向け、施工予定業者と7月初旬頃までに正式契約を結びたいとしている。


ほう?
下村文部科学大臣
「業者との協議が整い次第、公表すると聞いている。」

う~ん、政治家として根性なしですねえ。
ここでも「大丈夫だ!バラバラじゃない!」ではなくて、
出ました!曖昧迷彩、「~次第、~すると聞いている」

主語がないぞ!

政治家なのに主語をなくす発言しだしたら末期だぞ!

気持ちが、心が、不安が、脳から、口から漏れ出しています。

聞いている?誰から?
文部科学事務次官の山中さんだろ?
じゃあ、山中さんは誰から聞いてるんだ?
JSCか?JSCは誰から聞いているんだ?業者か?

業者から聞いてんじゃん、
業者と業者が協議して業者から聞いてんじゃん。

もうね、アホかと

じゃあ業者って誰なんだよ!

と怒ってばかりいてもしょうがない。

下村文部大臣だって代替案をもっていないから追い詰められちゃってるわけですし、業者呼ばわりされているおそらく日建設計、大成建設、竹中工務店、そして今構造アドバイスしているはずの斎藤公男先生だって、今のザハ改悪案をどういじってもどうにもならんってわかってるんだ。
それが1か月先送りしたからといって、いきなり金額が収まるわけもない。
また下村大臣は舛添知事の前でしどろもどろ嘘に嘘が重なってしまう。

そこでだ!
真国立競技場計画を急ぎ検討してみようと思います。

この初代国立競技場を復元したうえで最新式にバージョンアップする計画です。


もう、まったく人手が足りないので、ネットで協力してくれる方々を募集してます。

アイデア的にはこうですね。

まず、こうでしょう

つづいて、こうなる。


ここからオリンピックやワールドカップ、そしてその後の活用を踏まえると、観客席の増強や、屋根、ガラス張り化、そして低層の商業スペースを通りにそってコリドールとする。

スタンドの上部は、アスリートホテル、アスリート病院、オフィス

災害時の拠点施設としても使用する。

この方向でプレゼン資料を作成してみたいと思います。



真国立競技場へ9

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すごいニュースが飛び込んできましたね!


新国立競技場、アーチ中止を提言 建築家槙文彦氏らのグループ

http://www.47news.jp/CN/201505/CN2015053001001791.html

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)の建設計画で、建築家の槙文彦氏らのグループが30日、屋根を支える2本の巨大なアーチ構造が巨額の建設費と工期の長さの要因になっており、取りやめるべきだとする提言を発表した。アーチの間の開閉式屋根も不要とした。

 槙氏らは観客席のみを屋根で覆い、約8万席のうち2万席を仮設にする代替案を提示。現計画では建設費が2700億円を超えるが、代替案なら1千億円程度に引き下げられ、予定の19年3月までに完成させることも可能とした。

2015/05/30 23:24   【共同通信】


今の新国立競技場計画が破綻していること、それはもう、あらゆる面で破綻していること、その結果そこに関わってきた文科省はじめ審査員や有識者の精神が破綻しつつあること、を指摘してきました。

間に合わない、作れない、どうしよう、、
今の立場から逃げたい!と右往左往し始めている。

それに対し、大丈夫!出口はある!と真国立競技場計画というのを大慌てで検討し始めているところだったんです。

それは、先日の報知新聞で報道された950億円の提案をしている民間業者がどこか分かったからなんです。


その民間企業とは!
建築業者じゃありませんでした。
設計事務所でもありませんでした。
日本の企業でもありませんでした。

アンダーアーマーでした。

アンダーアーマー!!???
ユニフォームの?

と思われるでしょう。

彼らはユニフォームだけではないのです。
スポーツマネジメント事業にも大きく乗り出しています。
読売巨人軍ともコンサルタント契約をしているようなところです。
そこが一部の政治家と積極的にロビー活動に入っている。

やばい!

苦し紛れにこれに飛び付く、一部の政治家や官僚も!
何かとバーターでアンダーアーマーの案を自らが準備したかのように装う可能性。
FIFAの事件のこともある。

やばい!やばい!やばい!

日本の、東京のオリンピック。
そのメイン会場である競技場について、ここまでのグダグダを生み出した日本の建築業界。有名建築家たち。
その軌道修正は絶対に日本の建築業界でおこなわなければなりません。

そうでないと、いくら安藤忠雄氏がすべての元凶だとしても、これまでそれを野放しにして、いまだに捕捉できないでいる、問いただすことができないでいる、日本の建築業界全体が無能ということになるわけです。

だから、焦っていた。

新国立競技場というスターウォーズでいえばデス・スター。
あと一歩のところで墜とせそうと、ルークがデス・スターの弱点である溝の中の廃熱口にプロトン爆弾に照準を合わせたそのときに

背後から、ダース・ベーダーが飛来してきたような最悪の気分

ところが!キター!
ミレニアムファルコン
ハン・ソロ船長とチューバッカ


それが、槇先生のグループによる代替案

磯崎さんじゃない、槇先生がハン・ソロだった。

と、いうわけでちょっと落ち着いて真国立競技場計画を進めていきましょう。

初代の国立競技場に学べ!です。


まず、前提条件は敷地を活かす!でした。


この初代競技場の優れている点は敷地形状を活かすだけではないんです。


敷地形状に対し建築物を最小限にとどめている点です。

上図で黒く塗られた部分しか建築しません。
後は敷地の段差を利用している。

競技場の配置レイアウトを見てみましょう。

非常にうまく収めてあります。

まず、初代の方が森が多い。

そして入り口のポジション取りがトラックセンターとあわせてあり、非常に導線計画もよい。

そして!当時よりも有利な条件がある。

西側が川じゃなくなった。
外苑西通り、キラー通りとなっているんです。

じゃあ、この建物部分は外苑西通りに平行に走ってどこからでもアプローチできるビルみたいなものです。

そのビルはこんな形状をしています。

構造断面図でわかりにくいと思いますので、周辺状況を含めるとこんな感じになります。



ねっ?シンプルでしょう?

観客席の形状に合わせて作られた細長いビルなんです。
この斜めの階段状のビルが、戦時中の学徒動員の映像に出てくる国立競技場です。


両サイドを折り曲げて時計台にしている点でも、意匠上非常に上手いのですが、初代国立競技場デザインの真骨頂は、この斜め階段上のビルの逆サイド。

外苑西通り側のファサードなんです。

じゃーん!

えっ?
競技場っていうより、なんかホテルとか大学とか東京駅とかみたいな。
重厚さというか気品というか、素敵な感じ。

すごくキャラの立った近代建築だったんですよ。

これをね、復活させる。
外苑西通りに面して。

なんかバブル以降建築ってとにかく新しい奇抜なものをつくる、作らなければならない、作らなければ褒められない。
ほとんどの日本の建築家は、そんなドグマに脳を侵されている。

でも、みなさんも、そんな古い建築をまたつくるってあるの?って思われるでしょう。

ありまくりです。
特にヨーロッパでは。

古い建物を新しく建てている。

ドイツのドレスデンなんかでは大戦でほぼ破壊された街を、皆で古い写真を持ち寄って、それ見ながら、人々の記憶もたよりに、戦後再生したんですよ、昔の姿に。

だから

国立競技場が壊されてしまった今

真のレガシーを再生する。
初代国立競技場をもって。

その再生した初代国立競技場をさらにバージョンアップする。

新国立競技場のグダグダの根本原因のひとつには、建築家の職能の評価基準があまりにが自己表現に移行しすぎたことにもよります。
とにかくアートとしての自己評価しかないんじゃないかと、大学教育でも建築雑誌の誌面でも、建築業界の人間にこの30年間思わせ過ぎました。


はぐれ雲を描かれているジョージ秋山先生のマンガに登場する毒薬仁太郎という人物がいるのですが、さしずめみんな

俺が俺が俺がオリがオリが、オリはダリなんだよう?病なんです。

それらを総称して私は「ドヤ建築」と名付けました。

「ドヤ顔」ならぬ「ドヤ建」について


川越で見た「ドヤ建」


新国立競技場問題を克服して計画をもう一度立て直すには、別のどこかの建築家が何か自分汁のアイデアを出す、そんな解決方法ではもはや誰も納得しないでしょう。

レガシーの継承はレガシーの再生
もはや、それしかないと思います。


真国立競技場へ10

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真国立競技場計画とは!
初代国立競技場にリスペクトする。
初代国立競技場を再生する。
初代国立競技場が帰ってくる、50年の時を越えて。

というわけで初代とはこのようなものです。




そして!真国立競技場計画こそみんなで作っていく。
という呼びかけに勇者が現れました。


永井豪魂、石川賢魂、「悪を許すな!ゲッター魂」が乗っかったものです。


UCHIDA Akira (3.1)画伯の作品です。


場のところが日の丸なんでは?
ということで届いた修正はこちら


後ほど加筆更新します。

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