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「もし世界が森博嗣だったら」と題し寄稿しました。

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昨日より始まった森博嗣ミステリードラマ化「すべてがFになる」



そのタイミングに合うように、なんと
ユリイカ 2014年11月号 で森博嗣特集があります。

特集=森 博嗣 -『すべてがFになる』『スカイ・クロラ』から『MORI LOG ACADEMY』まで・・・クラフトマンの機知

長く実写化不可能と言われてきたS&Mシリーズの映像化がついに実現! 
本特集ではミステリィ作家の枠におさまりきらない森博嗣の作品とその人に迫る。

目次予定*
【インタビュー】森 博嗣
【対談】清涼院流水×杉江松恋
【イラストエッセイ】萩尾望都/山田章博/浅田寅ヲ/スズキユカ
【論考・エッセイ】よしもとばなな/円堂都司昭/森山高至/佐藤泉/河野聡子/
渡邉大輔/佐藤俊樹/西川アサキ/飯田一史…and more!!!
資料*
森博嗣主要作品解題 編=渡邉大輔

この「すべてがFになる」というタイトル。
なんだろうすべてがFって?イニシャル?藤井さんとか?

Fっていえば、僕なんかの場合は六田登先生のF1レーサーを描いた名作、赤城軍馬の「F」だよな。っていうのが普通ですよね。
「なん人たりとも、俺の前を走らせねえ!」というやつです。


バブル景気華やかしき頃、そのようなことと無縁の僕の狂人師匠の元での建築修行中に、心のよりどころとしていたのがこの「F」です。

もちろんこの「F」ではありません。


・・・・・


これです。



これはですね。
ワンボードマイコンと言われるものです。
で、表示に使われているのが赤いデジタル表示のLEDです。



ワンボードマイコンの名機、NECの「TK85」です。

TVモニタもキーボードもありません。
テンキーのみ。
分解したテレビの基盤とかでもないし、ジャンクでもないですよ。
これで完成品、これで売られていました。

これが1980年当時の中高生で手に入る唯一のコンピューターでした。
(本当は他社でも東芝のEX80とか富士通のLkit16とかもあったんですけど、将来BSボードを追加したりTVモニタ出力できる可能性が高かったのがこのNECのTKだったんです。)

当時、最先端を走っていた工学社の「I/O(アイ・オー)」という雑誌があったのですが、(今でもありますね)そこの「売りたし書いたしコーナー」に森山少年は何回かハガキを送って、当時の京都大学生の方からゆずってもらって手に入れました。

このコンピューターにプログラムを書き込むのに、今でいうOSもない、ましてや、BASICとかC+とかのプログラム言語でもない、
もっと機械に近い言葉「アセンブラ」というのをつかって命令を入力していたんですね。

機械はですね、マシン語というのをしゃべってんです。
こんな、「00100011100 0111100110 011101000110 0000110001」
二進法です。

これをもう少しだけ人間に分かりやすくしたのがアセンブラです。
このアセンブラを使うときに数字は16進法で記述したのです。



普段我々が十進法をつかっているのは数を数えるのに、手をつかってたからです。指を折って数を数えると左右で10までいくでしょう?
一二三四五六七八九十と、次が十一、十二ですよね。
この漢字表記では十に「字」があてはめられていますが、
アラビア数学の素晴らしかった点はゼロをつかって「十」の表記をしなかったことなんです。


昨今、世間を賑わす「イスラム国」そして数十年前から続く中東紛争、それらのもたらされる欧米経由のニュースから日本の一般では、イスラム世界は何か、野蛮な遅れた文明であると錯覚させられているのですが、違います。17世紀くらいまでは、特に13世紀くらいまでの科学文明はアラブ世界の方が圧倒的に進んでいました。

いまでも、科学用語や幾何学用語のその証拠がのこっています。
アルコール、アルカリ、アルケミー、アルジブラ、こういった用語の頭にある「アル」は、アラビア語の定冠詞、「al-」なんです。

で、いまでも使われている数字のことをアラビア数字というのは、アラビア起源だからなんですね。1234567890はアラビア語なんです。
ですが、ゼロの概念、桁を上げる概念はインドで発明されたものです。

「十」を使わないで「1」と「0」を組み合わせて「十」としたことが、
数学をものすごく発展させたんです。

今普通に使われている数のシステムは十進法ですが、十まで数えると桁があがる。
いくつまで数えると桁が上がるかを決めたものが進法といいます。

二進法では、2になると桁が上がるので、1までしか数えません。
1、10、11、100、101、110、111と数字が進んでいきますがこれは、それぞれ1、2、3、4、5、6、7を現しているんですね。

十六進法というのは16まで数えたときに桁が上がる数の数え方なんです。
1~順番に9まできて、まだ10にならず、Aを使い、次がb次がc、d、E、Fとなります。

「すべてがFになる」とは、この「F」なんです。つまり十進法でいう15のことです。

と、同時にLEDの表示の最後がFですから、すべてがFになるとは、これ以上先に進めない、何かの終り、つまりは世界の終りを暗示していることになるわけです。

こういった理数系雑学知識と最新の科学工学が随所にちりばめられて、物語の様々なキーになっているのが森博嗣ミステリーの魅力です。



マンガの窓表現が最近凸凹リアルになってることについて

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ツイッターをまとめることができるトゲッターという仕組みがありまして、
そこに「マンガの窓表現が最近凸凹リアルになってることについて」と題して窓の取り扱いに関するツイートをまとめたところ

高評の
ようでして、ツイッターの文字数では書ききれない部分もありますからブログの方でも加筆転載してみたいと思います。

僕らが実際の建築デザインするとき、窓回りのディテールをどこまでシャープに出来るか、というのが非常に重要な要素なんです。
僕は他の建築作品についてどう評価しようかというとき、窓の出来を最初に見るんですね
というのも建築の質というもの、予算配分、デザインセンス、機能的要求にどうこたえているのか、、が窓のディテールにすべて現れるからなんです。
人間の性格というか出来について、ことわざでは「目は口ほどにモノを言い」、とかいいますが
建築においてこの目に相当するのが窓だからです。
窓は結構勝手にしゃべるんです。

参考:悪の組織がアジトにしやすい建築

歴代の建築で一番凄い窓としてはこんなのがあります。

事例はミース・ファン・デルローエによるバルセロナパビリオン(1929・昭和4年の作)ですが、今から90年以上前の建築ですが床、壁の大理石とステンレスのシャープな線だけで構成されたモダニズム建築の代表選手であり、歴史的名作です。

もはや、窓というよりも空間における補助線といいますか、抽象的ラインです。


こんなのが理想とされています。



ところが、なんですが
現代の日本の一般建築においてミースの時代から90年後の未来にもかかわらず
日本の建築設計で一般的なアルミサッシだと、もう窓回りのディテールがどうしようなくダメなんですね。
枠周りがガッタガタで縦方向の部材と横方向の部材もデッパリとヒッコミで面(つら)がそろっていないし、溝々コキコキになっているんです。


もちろんこのガタガタ凸凹にも理由があります。

誰も好き好んでこうしたくはないと思うんですが、、
昔アルミ原料が高かった時代に、アルミ使用料を減らし強度を出すために断面を工夫したとか既存の木造住宅において木製建具枠にくっつけることを前提にしたといったあたりが理由だと思うのですが、

40年前に開発したときから大きな進化が止まっています。


こんな感じの断面形状が普通なのですが、
木枠に取り付けるためのツバだとか、、結露水をためるとか、

か雨水の逃がしのためだとかです。

しかし、日本のサッシ周りのデザインの悪さは、掃除のしにくさでもあります。


じゃあ、日本ではシャープなサッシは無理なの?というと

日本でもガタガタにならず窓ディテールをシャープすっきりにすることはできるのですが、


写真は谷口吉生さんの葛西臨海広場展望広場のサッシ割です。

サッシ枠そのものが特注になったり、細いフレームで強度を増す必要があるとか、取り付けに関してもアソビがなく非常にシビアになってきますから、コストが倍ではきかなくなります。


現実の世界の窓回りデザインはキレイな四角の枠ではなく複雑な断面形状の部材が凸凹と一筋縄ではいかないんですが、、、


マンガの世界では窓は記号化されて谷口吉生さん張りのシャープさを誇っております。

サザエさんちの居間ですが、後ろのサッシはなかなかキレイですね。

ノビ太の部屋のサッシもキレイですね。


これはですね、「二重に四角を書いたら窓に見える」記号ということもありますが、木製窓だからなのです。

昔の木製窓は枠断面を四角につくってました。
気密性には劣りましたけど

今では木製建具をつくれる建具屋さんの数がものすごく減ってしまって、製作値段も上がってしまい、中古で売買されたりもするぐらいです。



木造マンガ「ストーリーで面白いほど頭に入る木造」
でもそのあたりの木製建具事情のことを採りあげています。


マンガの窓の話に戻ると、
いわゆるマンガの絵はデフォルメされるのが普通でしたから
窓もデフォルメされているわけです。


じゃあ、劇画はどうなんだ?と
劇画って今の若い人は知らないと思うのですが、
劇画は時代劇が多かったですから、めったにアルミサッシは出ませんね。

しかし!
リアル背景の元祖とも思われる大友克洋先生です。

ところがですね、、
大友先生の場合、案外、窓回りは洗練されてキレイなんですよ。


これは童夢の1シーンですが、窓枠がすっごい細いです。
カッコいいぐらいに


刑事たちが会議している建物でも

天井ギリギリでそろえたり桟も細くてミース・ファン・デルローエとか谷口吉生並みのシャープな窓ディテールです。
そのためか、あんまり貧乏臭くないですよね。



しかし、昨今のマンガ空間において、住宅用アルミサッシの安っぽさや、ダサさのリアリティが急激に上がっています。

この絵でもそうですが、縦部材と横部材の幅が違うこと、枠が凸凹していることで、普通の賃貸アパート感が倍加してもの悲しさを補強しています。



浅野いにお先生の「ソラニン」です。

この部屋にきっと誰か住んでいたのでしょう、もしくはこれからここで新たな生活を始めるのか、、ギター一本を見つめる彼女の背景がいわゆる普通でダサい窓であることが重要ですね。

この絵を、空間を
比較の意味で建築家デザイン変換してみました。



天井ピタリで、サッシ窓枠を細く縦横同寸法で凸凹無くしてあります。また壁と床の境目にある巾木も取ってみました。なんかヴィトゲンシュタインの建築とかバラガン邸みたい、、、です。



さらに建築家デザイン変換を施してみました。サッシを壁面のセンター配置に変えて、開口幅を拡大。だんだん安藤忠雄さんのマンションみたいになってきてしまいました。

つづきます。

マンガの窓表現が最近凸凹リアルになってることについて 2

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マンガの窓表現が最近凸凹リアルになってることについて 1

現実の建築デザインの世界において
窓枠の意味を究極コントロールしようとした代表的な建築として「ストンボロウ邸」と「バラガン自邸」をご紹介しました。

で、一方マンガの窓についてなのですが

元々のデフォルメされた記号的なサッシワークから最近リアルダサさ方面にどんどん進んでいるようなのです。

マンガも進化の過程でいろいろな了解事項が作者と読者で共有されており、描き方として四角が二重になっててガラス面に斜線を入れておけば
「窓とわかる」のに、です。

事例は「GANTZ」です。

「GANTZ」はですね、奥浩哉先生の代表作ですね。
ある事情により現世で命を落としたはずの人が、現世とうり二つの世界でアクションRPG(ロールプレイングゲーム)のようなことを強制されます。

でもゲームですがただのゲームではありません。
これに参加したものの途中で失敗すると死にます。
かなり悲惨な死に方します。


なぜ?こんなことになっているのか?


なにを強制されているのか?

なんのために殺し合うのか?

さっぱりわからないままに、お話しはガンガン進みます。
容赦なく、厳しい世界です。
でも物語の舞台は現代の今のこの時代の東京の街なんです。





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オリンピックは危険なのか? 1

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実は、華々しく打ち上げられた新国立競技場のコンペによる建築計画は、グダグダでメチャクチャなんだよ、とこの1年いろいろと調べたり方々で多くの人々が発言したりしてきたわけなのですが、

つい最近、施工会社が大成建設と竹中工務店に決まったかのような報道がなされておりますが、実はこれは決まったとは言いがたい。
これについても解説いたしますが、

いまでもまだ、計画案そのもののもそうですが、解体工事の入札の問題とかあらめて施工会社の問題とか、まだまだ問題山積みなんです。

そういったなかで、ちょっとびっくりしたニュースがあります。

これまでも、さまざまな立場の方からもそういったニュースが出てきていますが、現代美術の作家で会田誠さんという方が、発言されています。
データを調べられない一絵描きが勝手にほざく「これからの日本」(feat.木村奈緒)
という幻冬社という出版社が運営するWebサイトなのですが、
一部抜粋すると


「何かいろいろと揉めていることが分かりました。~オリンピックにも建築にもさほど興味のない人間だったので、~どのような建造物を新たに作るプランが出ているのか、特に注意を払ってきませんでした。」

「僕はイデオロギーが激しく対立しているような社会問題に関する署名はたいてい躊躇する「政治びびりタイプ」です。けれど建築や公共空間に関することなら、美術家としてそれなりに重ねた経験を踏まえ、何事かのアピールの一翼を担ってもいいかと考えました。」

「僕はザハ案のデザインや機能面などに特別に反発心があるわけではなく、それを選んだ人々――社会的地位の高い中高年の日本人をある意味代表していると思い ますが――の精神構造に大いなる疑問や危惧を感じているのです。それが僕の単なる想像ではない証拠には、彼ら――オリンピック招致委員会――が2012年 に発表した公式メッセージを読めば分かります。」

「オリンピック・パラリンピックは夢をくれる。
 そして力をくれる。
 経済に力をくれる。
 仕事をつくる。
 それが未来をつくる。
 そして世界の意識をニッポンにつれてきてくれる。
 今、それがニッポンには必要だ。
 2020年までにあらゆるジャンルのニッポンを復活させるために。
 (中略)
 このままだとこの国は世界から忘れられてしまうかもしれない。
 今何かをしなければ、
 この国の未来や子供たちの自信を奪うことになるかもしれない。
 誇るべきことを誇るために、
 勝つべきものを勝ちとろう。」
感性は人それぞれだから、このポエムみたいなものを読んで感動したり奮い立つ人もいるのでしょうが、僕にはその気持ちはさっぱり分かりません。自分の姿を客観的に見れず、ただ焦燥感に駆られた人間の危険性がひたすら目につくだけです。」


抜粋ここまで


正直、、会田さん芸術家の立場からいえば相当踏み込んだ発言されてるな、勇気あるなと思いました。


というのも、これよりちょうど半年ほど前ですが、同じく現代美術では日本を代表する作家の村上隆さんがこれまた、FaceBookというSNS(ソーシャルネットワーク)を通じ非常に勇気ある発言をされています。
一部抜粋すると(2014年6月11日)



「最近、ザハハデットの新しい国立競技場の事で、施工費高過ぎるとか、実現不可能とか、建築家の別案とか、リベラル系の連中がもてはやしながらやいやいやっ てるけど、建築大国日本の技術でもって、ザハハデットの詐欺紛いと言われている形状、やってやるぜ、と、何故ならんのかね?」


「超高額な建築費、上等じゃんか!やったる!ってならない風潮が、俺は嫌だね!本質的な国際的な、勝負を放棄して何を売り込むって言うんだよ!って、思うね!かっこ悪いな!安くしたらそれがいいのかよ?ってな!」


「大体、後出しジャンケン的な日本の建築家達のザハハデット案へのカウンター案って、つまりは未来の売り込み、次のオリンピックとかの会場がもしかして、貧 しくつましくやろうとするんだったら、使ってよ、的な売り込みでしょ。そんだけなのに、それを担いで、やれ節約だ、金抑えれるだとか、ものづくりの本質論 とは別次元でチヤホヤ担ぐリベラル風情のいい気な感じ、超アホだな!」


「舛添の見直し案とか喜んでるリベラル風情の連中はクソだな!政治家ごときのシナリオにいちいち乗っかってる己の愚かさを知れってね!
未来を創る芸術には才能と狂気と金が必要なんだ!戦後の日本のちんまい感覚、ホントにダメだろ!ザハハデット案、正面からやりゃいいじゃねーか!やって、リアルマクロスフロンティアの世界観、現出させてみろって思うのだ!」


抜粋ここまで


この、村上隆さんの発言も芸術家としての立場からいえば、ひとつの真理です。

つづく


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オリンピックは危険なのか? 2

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ちょっと油断してましたら
更新をハフィントンポストさんに見つかってしまいました。

「新国立競技場は解体工事の入札問題など、まだまだ問題山積 」  ハフィントンポスト

ということで、この記事気合入れて書かないと大変なことになってしまいそうなので褌を締めなおしてかかりたいと思います。
前回指摘しました、
スタンド工区は大成建設、屋根工区は竹中工務店を特定した。(建設通信新聞 11月3日)
という大本営発表についてなのですが、何が気になるのかといいますと

「スタンド工区は大成建設、屋根工区は竹中工務店を特定した。契約は、技術協力業務と工事施工を分離。近く、基本協定を締結した上で、実施設計に対して施工者の立場から施工方法などの提案を行う技術協力業務の委託契約を結ぶ。」

上記の「実施設計に対して施工者の立場から施工方法などの提案を行う技術協力業務」という部分。

「設計に対して施工者が提案を行う」と書いてあります。

あれ?5月28日に基本設計が決まったのだから、それに基づいて実施設計が進んでいるはずで、その実施設計に基づいて施工者が入札もしくはプロポーザルしたんじゃないんですか?それで大成と竹中がそれぞれ、いくらいくらでやります!って言ったんじゃないの?違うの?
ってことなんです。


ちょっと待て待て、確か、、ザハさんの設計デザインに対しても私はじめ多くの人が指摘しているように途中で横車押せる契約だったよね。


「最優秀デザインに対して基本計画者、実施契約者が変更をおこなう」

これだけでも、デザイン監修契約という不可思議な契約であることを指摘し続けているわけだけれども

今度はなんなの?

基本設計にも実施設計にも施工者が口出しするということですか?

整理すると

1.まず、ザハがグニョーっとした凄い案を作ったけれども
2.それを日建設計がビラ取ったり曲線消し去って設計をしたけれども
3.大成建設と竹中工務店が最終的に設計提案して施工します!

っていうことになってるわけだ。
えっ!?こ、こ、これはいったいどういうわけなんだろう。
じゃあ今までのことはいったいなんだったんだ?


あ…ありのまま 去年 起こった事を話すぜ!


「おれは ザハが新国立競技場のデザインをしていたと
思ったら いつのまにか降りていた」

な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

おれも 何をされたのか わからなかった…

あ…ありのまま 今週 起こった事を話すぜ!

「おれは ザハが新国立競技場のデザイン監修をして、日建設計が設計をしていたと思ったら いつのまにか降りていた」

な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

おれも 何をされたのか わからなかった…

頭がどうにかなりそうだった… デザインだとか設計施工分離だとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

なんかもう時間的にタイムリミットが近づいているんじゃないのか?

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ



という、ポルナレフのセリフが浮かびました。

これ批判するべきなのかどっちなんだろうか、、

現場を知らないイキがったデザイナー建築家の初めての仕事に住宅の依頼してしまって、予算も具体性も破綻してしまって、工務店の大工さんに全部見直しかけて助けてもらった、、といった話を聞くことがあります。

その場合は、施工者さんに助けてもらってよかったね、で済みますが、
公共事業関係では、もはや設計・施工分離発注体制というのが常識になっていると思うのですが、、

そうじゃないと、施工会社の入札ができないと思うんですよ。

普通なら基本設計が終わって、許認可を取って、許認可後に実施設計をおこなって、はじめてここで施工会社を呼び集めて設計図を渡す。
そして、相見積もり、工事費比較、要は入札という段取りになります。

全員同一の設計図を渡されてその内容に基づいて工事費の入札をしてるとばかり思っていたんですが、、

先ほどの建説通信新聞の記事をよく読むと次のように書いてあります。

「技術協力業務は、●設計全般に対する技術検証・技術提案●施工計画の検討・提案●スケジュール管理支援・工事工程の検討・提案●概算工事費の算出●コスト管理支援●予定専門工事会社の選定●専門工事会社のパッケージングなど。」

「実施設計段階から施工者の技術者を参画させ、最良、最適な建設を見据えた技術的な検討や工法などを協議して、仕様を確定させる」


全部じゃん。
通常の設計実務でやる実施設計の内容やら施工監理業務の全部じゃん、ここでゼネコンに求めているのは。

つまり、ザハのデザインは成り立たないので、日建設計がなんとかしようとしたものの、なんともなりそうもないので、ゼネコンに実施設計まで背負わせようという、そんな恐ろしい計画の片鱗です。
でもって、そのまま施工までもやってもらおう、ということのようです。

ていうことは、まだ具体的な設計できていないのか、、
ということが自明になってきたわけなんです。

つづく

オリンピックは大丈夫なのか? 3

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次のような記事が出ました。

悪評紛々の新国立競技場で本気見せた大成、竹中の思惑
|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン "http://diamond.jp/articles/-/61615"

経済雑誌ダイアモンドのWeb版です。

「業界内では大成建設と竹中工務店が本命といわれてきた。この2社には本気で受注を狙うだけの十分な理由があった。」

と書かれていましたので、すわ!あの件すっぱ抜いたか!と思ったのですが、違ってました。
ただ、今の状況がうまくまとめられています。
ぜひ本文を読んでみてください。

一部抜粋しますと

「『あんなの絶対に受注したくない』『構造の複雑さからして、見るからに赤字になりそう』『うちは受注競争から降りた方がいい』──。ゼネコン業界関係者の間で悪評紛々なのが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる国立競技場の建て替え工事だ。計画は迷走に次ぐ迷走を重ね、五輪の歓迎ムードに水を差している。」


「解体工事の1回目の入札は不調。2回目は~談合情報が寄せられた。~談合疑惑については、国会で追及を受けた安倍晋三首相が「警察が調査している」と答弁するなど、予断を許さない。」


「そんな状況の中、JSCは建物本体の建て替え工事をスタンドと屋根の2工区に分けて発注するため、10月10日にゼネコン各社の技術提案を締め切った。ゼネコン関係者たちの間で本命として名前が挙がるのは、スタンド工区では大成建設、屋根工区では竹中工務店だ。この2社には、本気で受注を目指す十分な理由がある。」

ときて、さあさあ、どんな理由が暴露されるんじゃい!
と思っていましたら、、なんのことはない建築関係者なら周知の事実。


1.大成建設は前もやったから今回もやりたいだろう。

『大成は現競技場を手掛けた「元請け」。山内隆司社長は建て替え工事についても、これまでのインタビューなどで再三「今回も手掛けたい」と公言している。』

2.竹中はドーム屋根の実績あるし、中東で仕事やりたいんじゃない?


『~この困難なザハ氏の作品を完成させれば、今後も巨大な工事が見込める中東などに進出するための技術力のPRにはうってつけだ。竹中にとってリスクは高いが、魅力的な案件といえる。
全国各地でドーム球場を手掛けた竹中の技術力を、むしろ発注者側が求めている』

といった希望的観測的内容でした。

ただ、本来なら建築業界紙がもっともっと突っ込むべき報道に一般経済紙が踏み込んでいることは評価に値します。
しかも記名原稿ですから凄く偉いです。

今、この問題について賛否いずれにしても記名で何か言える人は全員根性のある文化人と僕は定義します。
これ書かれた「週刊ダイヤモンド」編集部の岡田 悟さん
にはエールを送りたいと思います。

さて、この記事の最大の見どころはですね
実はこの部分なんです。


『19年にラグビーW杯間に合わなければ元首相の顔に泥』

『実際に工事が始まりコストが計画を上回れば、3000億円をぶち上げた当時と同様の批判が巻き起こるだろう。工期が延びれば19年9月のラグビーワールドカップ日本開催に間に合わず、東京五輪組織委員会会長で日本ラグビーフットボール協会会長である森喜朗元首相の顔に泥を塗ることになる。』


これ、今いちばん懸念材料なんではないかと思います。
先週、あることが理由で私は国立競技場周辺に出向いていたのですが、同日森喜朗元首相も周辺を散策され誰かから説明を受けていらっしゃったようなんですね。


つまり、この報道がなされたということは、

『自民党無駄撲滅プロジェクトチーム(PT)の会合でJSCに対し、こうした点に関する質問書を出したが~、回答は得られていない。一方で文科省やJSCは、PT座長の河野太郎衆院議員に対し「計画通りの工期とコストでやり切る」と明言しているというから、よほど自信があるのか、単に無責任なだけなのか。』


この無駄撲滅PTのときに森喜朗元首相に関して、
次のような報道がありました。
http://www.asahi.com/articles/ASGB23TJJGB2UTFK001.html
朝日新聞DEGITAL(10月2日)

転記ここから

「自民党の諸君は何をやっているのか――東京五輪・パラリンピック組織委員会会長を務める森喜朗元首相が、自民党の無駄な事業を検証する部会が五輪の会場となる新国立競技場の建設を対象にしたことに、いら立ちの声をあげた。」

「 同党の行政改革推進本部(河野太郎本部長)が先月25日、競技場建設の事業主体「日本スポーツ振興センター」の幹部らから事情聴取した。」

「 これに対し森氏は2日、超党派でつくる「ラグビーW杯2019日本大会成功議員連盟」の会合であいさつし、「行革本部はなぜ新国立競技場を目の敵にしなければいけないのか。どんどん遅れて間に合わなくなる。色んなことを言って邪魔をすることをいつまでも許しちゃいかん。こんなんだったら議員を辞めるんじゃなかった」と怒りをぶちまけた。(小野甲太郎)」

転記ここまで

いやあ、これ読んで思ったことはですね。
森さんに伝わってんじゃね?ってことです。

新国立競技場がヤバイ、ゴチャゴチャ反対があるから滞ってんじゃなくて、コンペ審査や建築計画が始めからダメダメだったんでは?と森さんに伝わってんじゃね?ってことです。

おそらく森さんの心の中は、こうだったと思うんです。
(以下、妄想文責:森山)

2011年ごろ
外苑周辺の再開発計画というのがあってだね、東京オリンピック招致を組み合わせてみんかね、都知事。

2012年ごろ
どうせなら新しい建築をブチ上げてみたらどうかね、都知事。
世界の安藤忠雄さんにお任せしてみんかね、都知事。

2013年の10月ごろまで
なんだと?3000億円?そんな設計屋変えちゃえよ、安藤さん。
削れるの?ああ、削れるんだね?安藤さん。

2013年の末ごろまで
どうよ?ラグビーもオリンピックも決めたぞ!国民のみなさん。
こんだけの大仕事したんだから、もういいよね、都知事。
都知事!都知事!えっ?猪瀬くん辞めちゃうの?

2014年になって
なんか野党の諸君がうるさいなあ。
建築関係の人も文句言ってんの?
生のカキをドロッと出した感じのデザインですよね


2014年7月くらいから
なにごちゃごちゃしてんだよ
9月までは、解体工事を早く始めろ!

2014年9月ごろ
設計がうまくいってないんだったら
ゼネコンに頼んだほうが確実なんじゃないのか
外苑再開発のことだってあるんだから

2014年10月
なぜ新国立競技場を目の敵にしなければいけないのか
こんなんだったら議員を辞めるんじゃなかった
だ、だ、談合?そこまでやれとは言っとらんじゃろう

で、今月になって
ちょっと実際に現地で確認してみようか、、
これなんかマズくないのか、、

(以上、妄想文責:森山)

とまあ、こんな感じなんじゃないのかと

この1年、出会う人、出会う人、森さんづくし、
先日などユリイカ誌の森博嗣特集で原稿まで書かせてもらう事態なんです。
そんな森ワールドの中に居る森山ですから、
森喜郎元首相の気持ちがなんか伝わってきてるんですけど。

その森さんに対し、今の都知事である舛添さんが会場の見直し論を言い始めたわけなんです。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/329980/
東スポWEB
五輪会場計画の“見直し宣言”した舛添都知事に自民党から批判の声2014年11月05日 08時00分

ここより転載

東京都の舛添要一知事(65)が、2020年に開催される東京五輪・パラリンピックの会場計画を“見直し宣言”したことに、大きな波紋が広がっている。外遊先のロンドンで競技場などを視察した舛添知事は「民間の知恵を入れて最初からやり直す」と語り、今週中にも五輪組織委員会の森喜朗会長(77)に民間との協力態勢を求める意向だ。

 国際オリンピック委員会(IOC)に対する大会開催基本計画の提出期限は来年2月。会場計画の見直しに強く反対する団体が出ていることから作業は難航することが予想されている。

「舛添知事は『時間までに必ず終わらせる』と意気込んでいます。大会の開催基本計画は、今月末に詳細な案がまとめられる予定になっていた。新設する施設は工期などの問題があり、今月中に内容を固めないとIOCに提出する基本計画の期限に間に合わない」と都政関係者は語る。 

舛添知事が会場計画を見直す背景には、東京五輪・パラリンピックで使用した競技施設を、大会終了後に“負の遺産”にしない狙いがある。

 2012年のロンドン五輪は、大会の計画段階から競技会場の再利用、運動機会の普及、選手村の開発と分譲、都市再開発のグランドデザインが描かれた。「債務危機に陥ったギリシャは、アテネ五輪の“負の遺産”と言われる施設が残っている。舛添知事は日本も新しい競技会場をどんどんつくればギリシャの二の舞いを演じる危険があると判断したのでしょう」(同)

 五輪開催に当たっては、あらゆる角度から民間企業の知見を求めることが必要との判断に至った舛添知事。ところが、お膝元の自民党からは「むちゃすぎる! 時間がない」と批判の声が上がる。

「森さんが『はい、そうですか』と言うとは思えない。知事は連携が取れているのか。民間にアイデアを求めるというが、人脈があるのか。見直すなら、ロンドンに行く前に一報入れておくのが筋というものでしょう」
 舛添知事の見直し案は果たして前進するか。

転載ここまで

という最新記事があります。
ここでは森さんが「はい、そうですか」は言わない、と書いてありますが僕はなんだか、言いそうな気がしてきているんです。
もちろん「はい、知事のいうとおり」」とは言わないと思うんですが、ラグビーワールドカップを成功させるためには、「ラグビーの聖地は今後どうするんだ!」は言うんじゃないかと思うんです。
それは秩父宮ラグビー場も含めての話だと思うんですね。

ラグビーの聖地は3つあります。
「秩父宮」、「花園」、「国立競技場」です。
このうち高校生の聖地はいわずとしれた「花園」ですよね。

大学や社会人だと、「秩父宮」か「国立」かということになりますが、
やはり「国立競技場」だと聞きます。

とすると、森さんが本当にラグビーを愛しているなら、本当は「国立」のことを気にかけているんじゃないのか、


あの「生カキをドロっと出したもの」から、磯崎新さんによれば「列島の沈没を待つ亀のような鈍重な姿」に変更に変更を重ねつづけている今の新国立競技場計画。その推進者のひとりに名を連ねてしまうことは本意ではないんじゃないのか、、

と、森ワールドに住む森山には聞こえてくるわけなんです。

この記事で舛添知事のいわれる
東京五輪・パラリンピックで使用した競技施設を、大会終了後に“負の遺産”にしない」
は、まったく正しい意見です。

というのもですね、オリンピックの歴史をひもといてみると、この会場施設問題というのは常に表裏一体ついてまわっているようなんですね。


4につづく




オリンピックは大丈夫なのか? 4

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ここで、オリンピック開催の歴史をひもときますと以下になります。
(夏季五輪開催地)

1896年(明治29)    第1回アテネ エジソンが活動写真を発明
1900年(明治33)    第2回パリ 義和団の乱
1904年(明治37)    第3回セントルイス 日露戦争
1908年(明治41)    第4回ロンドン 第1回ブラジル移民
1912年(大正1)     第5回ストックホルム 日本選手初参加。
 1916年(大正5)     第6回ベルリン 第一次世界大戦のため中止
1920年(大正9)     第7回アントワープ  国際連盟発足
1924年(大正13)  第8回パリ 明治神宮外苑競技場竣工
1928年(昭和3)     第9回アムステルダム 張作霖爆死事件
1932年(昭和7)   第10回ロサンゼルス 満州国成立
1936年(昭和11)    第11回ベルリン 二・二六事件
 1938年(昭和13)    第12回東京大会を返上。代替地にヘルシンキ
 1940年(昭和15)    第12回ヘルシンキ 第二次世界大戦のため中止
 1944年(昭和19)    第13回ロンドン 第二次世界大戦のため中止
1948年(昭和23)    第14回ロンドン 日独は招待されず
1952年(昭和27)    第15回ヘルシンキ サンフランシスコ講和条約
1956年(昭和31)  第16回メルボルン 公害問題水俣病認定
1960年(昭和35)  第17回ローマ  ベトナム戦争
1964年(昭和39)   第18回東京 名神高速道路、東海道新幹線開業
1968年(昭和43)  第19回メキシコシティー 三億円事件
1972年(昭和47)  第20回ミュンヘン 浅間山荘事件
1976年(昭和51)   第21回モントリオール ロッキード事件
1980年(昭和55)  第22回モスクワ イラン・イラク戦争
1984年(昭和59)   第23回ロサンゼルス グリコ・森永事件
1988年(昭和63)   第24回ソウル 東京ドーム竣工
1992年(平成4)   第25回バルセロナ ボスニア紛争
1996年(平成8)   第26回アトランタ 民主党結成
2000年(平成12)  第27回シドニー 小渕首相死去後任に森喜朗
2004年(平成16)    第28回アテネ 新潟中越地震・スマトラ島地震
2008年(平成20)    第29回北京 アイフォン発売
2012年(平成24)  第30回ロンドン スカイツリー竣工、円高77円台

2016年決定       第31回リオデジャネイロ
2020年決定       第32回東京


こう並べてみますと近代オリンピック32回(予定含む)のうち3回が中止され29回のうち、
開催国ではアメリカ合衆国の4回とドイツとオーストラリアで2回おこなわれています。
実質、同じ都市で2回目がおこなわれるのは、アテネ、パリ、ロンドン、ロサンゼルスそして東京です。



国際的スポーツの祭典ということでいろんな国々で開催されているイメージがありましたが、そうでもありませんでした。
冬季五輪も含めて考えると、もっと顕著で、
アメリカ7回、フランス5回、日本4回、ドイツとカナダとイタリアが3回となってきます。

あらためて考えてみると意外というか、なんだそうだったのか、なんだかんだで
これ結局、英米仏豪日独伊となるということですから、大戦の当事国ばっかりということになりません?
中止になった原因や当事国もけっこうかぶっており、オリンピックという祭典も国際的な政治の力学が働いているというのがわかります。

しかしながら、オリンピックは都市開催というのが原則ですので、
アテネ、パリ、ロンドン、ロサンゼルスに次いで同一都市開催が決定した東京の2020年に向けての開催方針は世界が注目するところとなると思います。

パリ開催の2回というのはどちらも100年近く前ですから、ちょっと参考になりにくいと思うのですが、
今から10年前の2004年アテネオリンピックのケースなんかは非常に参考になると思うのです。

スタジアムはこんなメイン会場でした。


あれっ、ここでもスタジアムを円形に覆うのではなく、竜骨状のアーチにデザインしていますね。なんかソチ五輪の会場もそうでしたけどスタジアムの形状に直線的な背骨を入れるのは、この10年くらいの流行だったんですね。
スペインの建築家、サンティアゴ・カラトラバの設計です。


なあんだ、新国立競技場コンペでは、「画期的!」「日本を元気にする!」「橋梁!見たことない!」とかで安藤忠雄審査委員長がホルホル大興奮で選んだと聞いたんだけど、、、カラトラバがそれなりにやってたのか、、。

ザハ案については以前解説していますからこちらをご参照ください
新国立競技場の基本設計は出来上がっていない!⑤


ただザハと違うのはスタンドの屋根庇を吊るための斜張橋のようにしていることと左右から三角にテンションかけて挙動を抑えてあります。


その辺は丹下健三先生の代々木オリンピックプールをはじめとする構造とデザインの融合が図られている系の建築です。

このあたりの構造とデザインの関係について、現在日本を代表する大空間ドームの構造家である斎藤公男先生がJIAマガジンのインタビューで詳しく解説なさっていますので、ぜひそちらをお読みいただければと思います。

              


「新国立競技場に対する2つの気持ち」
JIA MAGAZINE Vol.308
ネクスト:建築家のこれから–7 斎藤公男氏に聞く
 


アテネのメイン会場のスタジアムは、新国立競技場のザハ案の改悪ケースと違って、異形を先に決めてしまってうんうん唸って悩むんじゃなくて、カラトラバは元々土木のエンジニアだから、力学的な仕組みを先に検討したうえで、デザイン性を高めてあるので、まあ無理がない形状をしています。


ただし、屋根は開閉しない設定です。




さて、このスタジアムけっこうお金かけたんです。
海外サイトでも話題になっていましたが、アテネ五輪から10年を経てその会場施設がどうなっているのか、、といいますと


これがですね、残念なことに、


今こんなになってるんです。






メイン会場周辺も


あちゃー、荒廃してますねえ。


野球場などはオリンピックのときにはこんなに綺麗でしたが




今、このざまです。


ペンペン草です。


ふ~む、ギリシャだから野球が流行ってないからなんでしょうか
日本だったらプロ野球のホームにしたりして活用するから大丈夫だ!という声もあるかもしれませんが、、





なら、カヌー競技とかはどうなんだ?
流れるプールの超激しい判ですね、、


カヌーを渓流や湖でやる人はいるけど、競技カヌー施設はオリンピック後どうなるんだろう、、、







ペンペン草です。





ビーチバレー施設というのもありました。


おお!凄い。ジャンプして観客とハイタッチしてました。
今ここでは競技種目を問題視しているのではありませんよ。

施設の活用がどうなっているのか、、についてです。

このビーチバレー会場も







ペンペン草でした。



そのほかにも「アテネ五輪会場の10年後」について、いろいろと紹介されていましたが


まあ、ちょっとした廃墟ですね。



日本ではこうならない?日本ではならないでしょうね。

稼動するかしないかは関係なく、きっと定期清掃を入れ続けメンテし続けるでしょう。

その維持費が非常に問題になりますが、、、

だから、アテネと違ってぱっと見は廃墟化しないと思います。

ですが、槇先生がご指摘のように「沈黙の土木施設」として鎮座ましまして、普段は一般利用されることもなく延々と周囲を睥睨するような施設と化すんではないでしょうか。


その維持費が非常に問題になりますが、、、


たとえアイドルのコンサートに来ても、サッカーの試合を見に来ても、会場内に入る以外にはなんにも楽しいことはないでしょうね。

しかも出入りは激混みだし、呼び屋さんも芸能プロも、激混みに出来ないコンサートでは会場費を回収できないと思います。


その維持費が非常に問題になりますが、、、


今の計画のままだと、周囲には道路と人工地盤しかないのだし、今でも周辺の民間店舗が平時の利用頻度との関係でホープ軒とその他数軒しか成り立たないのですから、

結果として、よくある公共施設内のレストランやカフェのように建設コスト回収のために高額に設定された飲食店をしぶしぶ利用するしかない状況が予想されます。


その維持費が非常に問題になりますが、、、


そういえば、明治公園と公衆トイレがなくなるので、タクシー休憩も難しくなりそうだから、ホープ軒ですら生き残れるのかどうか分かりません。

ギリシャは元々怠けもの国だから経済破綻するんだ!という人もいます。

日本は国民全員が有事の際には、馬車馬のように働くんだから、全人口1億人以上がちょっと居酒屋に行って一杯飲む千八百円くらいを使えば、二週間のオリンピックを楽しめる新国立競技場を建てられると公の場で言い放なった人が居ます。

お爺さんもお婆さんも病人も小中学生も幼児も居酒屋で一杯飲む設定なんでしょうか

これはあまりに腹が立ちましたので、今まで話題にしませんでしたが、絶対に許しません。有志の方がそのうち動画UPしますから目に焼き付けてください。

あのなあ、この有事は避けられる有事なんだよ!
ふざけるのもいい加減にしろ!

ということで、ギリシャは全然ダメダメなのか、、といいますと

実は違います!
ここまでの紹介施設はダメダメでした。

しかし!オリンピック会場として素晴らしい施設計画をしました。
それはですね、1000年以上も前の古代建物の再生です。

しかも再生の再生です。


1896年(明治29) 第一回アテネ大会のときです。



この施設を108年後の2004年に再再生しています。


都市空間の緑のオアシスとしても活かされているのがわかります。



自然地形を活かした、、といっても元々1000年以上前のギリシャの建築家が既に活かしていたわけですが

それをさらに活かしたわけです。

オリンピックは大丈夫なのか? 5

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オリンピックは大丈夫なのか? 4
でご紹介した1896年の第1回オリンピックアテネ大会で使われ
2004年のアテネオリンピックでもマラソンのゴール会場として再利用されたスタジアム。



Panathinaiko Stadium「パナシナイイコスタジアム」といいます。
ギリシャ語では(Παναθηναϊκό Στάδιο)と表記するようですが
千年以上前といいましたが、本当はもっと途方もなく前です。
紀元前329年に建築されて、紀元前250年に改修されて、
紀元前131年には大理石によって再建されてました。


紀元前が出るとわかりずらいので、今から何年前かといいますと
2333年前に建築されて、2264年前に改修されて、2145年前に再建された。
ということになります。
この時代はですね、ローマ時代です。
と同時にマケドニアのアレクサンダー大王の時代です。

中国では戦国時代、秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓の七国に分かれており、
始皇帝とか出てくる前の孟賞君の頃です。
宮城谷先生の小説でずいぶん描かれていますが、中国史の中でも一番面白いころですね。
曹操、劉備、孫権らで有名な三国志のまだまだ前500年くらい前です。

日本はこのころはそうだったかというと、よく分かっておりません。
第6代の孝安天皇という記述が古事記や日本書記にあるだけです。


という風に途方もない歴史的建造物なわけですが、
この長い時間を越えてその価値が問われるという建築というジャンルの凄さです。
建築文化はその文明が滅びても後の世の人々にその姿を見せることができるんですね。
言葉が通じなくても、また失われたとしても、その数十世代過去の人たちと感性の交流を交わすことができる。

インカやマヤのように誰もいなくなった都市がジャングルの中から発見されたり、エジプトのように砂漠の中から掘り出されたり、人工衛星から発見されたりしていますよね。

建築学では本来そういった歴史的系譜の中でそれぞれの時代ごとに何が接木できるのか、、を考える学問なのですが、
日本の建築家の場合、そういった歴史的な教養を蔑視する傾向が戦後70年を経ても続いています。

それは、私がほうぼうで何度も繰り返し述べていますが、太平洋戦争で都市爆撃を受けて大規模に街や環境が失われてしまったことにもよりますが、

同時に建築教育やデザイン教育の過程で、なにかまっさらなニュートラルな敷地に各々が、個人的発露で自己表現をするのが建築デザインなのだという教育を、大学でもこの数十年おこない続けており、そういった人材教育がここ二世代続いています。

文化というのは三世代にわたり改組や変更を受けるとかなり危険な状況を生み出します。つまりおじいちゃんと孫までが同じ思想的フォーマットを植え付けられると、ゆり戻しがかなり難しくなってくるからです。

そういった意味では、新国立競技場問題において80歳を超える建築家の先生が一所懸命になって若者に呼びかけている意味を、今の20代の建築学を学ばれている学生や建築の仕事に就いた若者たちは真剣に噛み締めてください。

あなた方が、この80歳以上の老建築家の命がけの言葉を受け継げなかったとき、本当に日本の建築文化は死ぬのです。

同時に、私を含め40代50代の建築家はどうか目を覚ましてください。

この建築文化のバトンを受け渡すリレーの中心に位置しているのは貴方なのです。

と、また熱くなってきたので休憩します。

つづく










オリンピックは大丈夫なのか?6

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では、直近のオリンピック2012年のロンドン大会はどうだったんでしょうか。
そもそもロンドン開催は3回目ですからね
第4回の1908年と1948年に開催されています。(1944年は世界大戦のため中止です)

2012年のロンドン大会のメインスタジアムは新設です。


このスタジアムで開閉会式をおこない8万人を収容ということでした。
このときの数字を根拠に新国立競技場でも8万人収容でコンペ開いたんです。

ここまでアテネやロサンゼルスでは古い施設の改修再利用を説いてきたわけですが。

直近のロンドンでは8万人収容施設を新築してるじゃねえか、と新国立競技場のバカバカしい計画に携わっている諸兄は自己正当化してるんだと思うんです。
ロンドンさまがそうしたんやから東京も新築で8万人なんや!と

「ほんならロンドン死んだらお前も死ぬんか!」と言いたいところですが

ところがですね、さすがというかオリンピック開催慣れしているロンドン先輩は一味違います。
ロンドン五輪ではオリンピック後の施設をどうするか、オリンピック開催後の始末をどうつけるのか、についてよく考えていたんです。

これがスタジアムの全体像です。


一番下の層、ちょうど地形のように見える部分からゆるく下にある観客席部分の構造と、上に乗っかる二重三重のリング構造に支えられている観客席部分は脱着できるのです。


恒久的なパーマネント席として下部構造の2万5000人収容
一時的なテンポラリー席として上部構造の5万5000人収容

実は8万人じゃないんだよ。

8万人収容のスタジアムなどオリンピック終了後は大変なお荷物になってしまうんだ。

オリンピック終了後は利用方法を検討し、最悪の場合はコンパクト化できる設計になっていたのです。

新国立競技場の無駄馬鹿計画に、もはやラグビーワールドカップには間に合いもしないのに、いまだに固執している諸兄は、この事実をしかと見定めていただきたい。

では、ロンドンオリンピックのその他の施設がどうかといいますと
メインスタジアムと同様にイーストロンドンのオリンピック・パーク内にあるアクアティクスセンター(水泳競技のための施設)はこうです。


やはり、パーマネント席2500、テンポラリー席1万5000で、オリンピック後に取り外します。


そして予定どおり、減築されました。


中の様子もオリンピック中は
両サイドに伸びる巨大な観客席がありましたが、


会期後は取り払われています。

設計図もありました。

オリンピック時の断面形状

オリンピック終了後の断面形状

注目すべきはこの図面の左下を見てください。

「SECTION  LEGACY MODE」と書いてありますね。

「SECTION」というのは「断面図」という意味です。

「MODE」は、「俺、今仕事モード」とかいったように、コンピューターやゲームが普及した今では俗語化してつかったりしますが、「状態」とか「有様」、「形態」といった意味ですね。


「LEGASY」とは「遺産」「資産」といった意味です。

つまり、この施設は初めからオリンピック後の使われ方、資産としてオリンピック遺産として生き続けることを盛り込まれて設計されているのです。


オリンピック後に無用の長物と成り果て、管理にも事欠くようになり、廃墟化した施設もあります。同時にオリンピックの為だけに巨大なハコモノ化してしまって維持費用を垂れ流し財政を圧迫している施設もあります


そうならないように、ロンドンオリンピックのメモリーを残したまま再活用されやすいように計画が練られていたのです。

このアクアティクスセンターはオリンピック決定前から計画されていたようなのですが、なにを隠そう、新国立競技場コンペで選ばれた建築家ザハ・ハディドさんのデザインなんです。

このアクアティクスセンターは屋根の規模も長さ200m程度で、高さも30mほどでしかなく、新国立競技場の4分の一程度の大きさですし、可動部分もありませんから、ザハの形状を実現することもできたようですね。


アゼルバイジャンのヘイダル・アリエフ文化センターと同じように3次元の立体トラスの工法により「大きな舌」状の屋根構造を実現しています。

ただし、当初の予算から工事見積もりは3倍の2億4000万ポンドになり、最終的に6億ポンドになったようですが、

2020年東京オリンピック開催に向けて今の新国立競技場問題の最大要因である構造が成立しがたい巨大な規模とその形状についてですが、ザハがデザインするからといって必ずしも巨大化するわけではないことがわかります。

むしろ新国立競技場のコンペ要望を作成した有識者が真剣に考え、間違いのない要望を盛り込み、新国立競技場コンペの審査員が責任感をもって正しい判断をなされていれば、デザイナーがどういう人でも建築は成立していたわけです。

小さくつくるように、レガシーを継承するように、というコンペの要望だったなら、その範囲で建築家達は提案したでしょう。

ロンドンオリンピックは2005年に誘致決定したときに、「ロンドン・オリンピック・パラリンピック組織委員会(London Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games、LOCOG)」というものが設置されています。

同時にロンドン市はオリンピックを機会に、このイーストロンドンエリア(ハックニー区、ニューアム区、タワー・ハムレッツ区、ウォルサム・フォレスト区、グリニッジ区及びバーキング・アンド・ダゲナム区を加えたロンドンの6区)を、オリンピックホスト自治体と位置づけて、この6区が治安、学習到達度、健康、住宅の水準、平均寿命といった生活の分野でロンドン市の平均に追いつくことを目標に掲げた「戦略的再開発のための枠組み(Strategic Regeneration Framework)」という方針を立てました。

また、「オリンピック・パーク・レガシー公社(Olympic Park Legacy Company、OLPC)」という施設の再利用に責任をもつ機関も設けています。

今回の東京オリンピックにあたっては、いまだにこのような具体的かつ有効な都市政策を誘導するような組織も組成されていませんし、責任ある機関も現れていません。

ポエムと混乱があるばかりで、根本的に初めから終わりまで全ての問題の責任者である安藤忠雄氏は、いまだにその場限りの虚言と詭弁を繰り返し、一心不乱に逃げまどうばかりなのです。

東京都の舛添知事がロンドンのオリンピック施設を視察から戻られてから、多くの見直しが必要だ。と発言されましたが、見直すべき根本計画すら出来ていないのです。

為政者の方々は、まず大きな方針を立てて、次にこのオリンピックの機会に東京都は何を成すべきかを、都市計画的視点と生活者の視点から、これからの50年、100年にどのようなレガシーを残せるのか、またこれまでの50年、100年のレガシーをどう受け継ぐべきなのか、そういった第一義の問題を考えていただきたいものです。

そういった意味では、今の新国立競技場計画じゃラグビーのワールドカップに間に合わない、、とか、現国立競技場の解体が官製談合と騒ぎになり、多くの問題がいまだ未解決であることを多くの人が知る機会となり、舵を取り直すには良いチャンスだと思います。

この「ロンドンオリンピックレガシー公社」が施設の再利用をどのように進めているかの資料がありました。



つづく


メモ
http://www.independent.co.uk/news/business/news/olympic-stadium-conversion-costs-keep-rising--but-projects-manager-insists-taxpayers-wont-foot-the-bill-9811455.html
メモ
http://www.constructionenquirer.com/2013/09/17/olympic-stadium-retractable-seating-project-to-cost-20m/


オリンピックは大丈夫なのか?7

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一般財団法人自治体国際化協会ロンドン事務所
JLGC(Japan Local Government Centre)
Council of Local Authorities for International Relations(CLAIR, London)

ロンドンオリンピック施設の1年後についてのレポートが下記にあります。
大会終了から1年余、ロンドン・オリンピックのレガシー
http://www.jlgc.org.uk/jp/information/monthly/uk_oct_2013_01.pdf

「ロンドン・オリンピックでオリンピック・パーク内に建設された競技場とそれらの大会後の利用」より抜粋しますと

***********

バスケットボール・アリーナ 
ロンドン・オリンピックのためのみに建設された仮設競技場。撤去して再利用可能。既に撤去され、現在売却先を探している。

カッパー・ボックス
ハンドボール、フェンシング等の競技場として使用された。2013年7月に再オープンした。再オープン後は、バスケットボール、バドミントン、ハンドボールの競技場になっており、スポーツ大会の会場としての使用も可能。

イートン・マナー
もともとは名門パブリックスクールであるイートン校の卒業生が創設したスポーツ・センターであったが、2001年以降使われていなかったところ、ロンドン・オリンピックで競技場として再利用された。2014~2016年の車椅子テニス選手権、2015年の欧州ホッケー選手権の会場として使用される。

リバーバンク・アリーナ
再利用可能な仮設のホッケー競技場として建設された。既に取り壊され、前述の「イートン・マナー」に移された。

ベロパーク
トラックレース用自転車競技場「ベロドローム(Velodrome)」は、環境に配慮したエネルギー効率性の高い設計になっており、建築・設計に関する多くの賞を受賞している。オリンピック後は、リー・バレー地域公園局が所有・運営している。2016年UCIトラック世界選手権の会場として使用される。

アクアティクス・センター
客席17,500席のうちの15,000席とトイレは、「ビニループ(Vinyloop)」と呼ばれるポリ塩化ビニルのリサイクルシステムを使ってリサイクルされた。

ウォーター・ポロ・アリーナ
水球用の仮設会場として建設された。前述の「ビニループ」と呼ばれるシステムを使って再利用が可能。既に撤去済。


オリンピック・スタジアム
オリンピック後に観客席を縮小できる設計で建設された。スタジアムの外周を覆っていた「ラップ(wrap)」8と呼ばれる飾り付けは、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックを含むイベントでの使用に供するため既に売却された。
2016年に再オープンの予定。同年より99年間、イングランドのプレミアリーグのサッカーチーム「ウェストハム・ユナイテッド」が、同スタジアムの主たるテナント(anchor tenant)となり、本拠地として使用する。
さらに、「英国陸上競技連盟(UK Athletics)」は、2016年から50年間の毎年6月末から7月末まで同スタジアムのトラックを使用する権利を獲得している。
正式な再オープン前の2015年秋、ラグビー世界杯の会場として使われることが決まっているほか、2017年の世界陸上競技選手権大会の会場として使用される。

********

また、馬術競技がおこなわれたグリニッジパークでは日本人建築家も活躍しています。

グリニッジパークといえば、こんな敷地です。


ここに恒久的な建築を建てるのはちょっと問題ですよね。


オリンピックで馬術競技は無事行われたあとは撤去されました。


それが可能なのは、それこそお祭りと同じように仮設だったからです。


日本の祭りの竹やぐらのようにパイプを使って2万人収容の施設を設計・監理された山嵜一也さんのレポートが以下にあります。
五輪は選手が主役、建築は祭りのやぐら
オリンピックで活躍する日本人



今の東京オリンピック施設で起きている諸問題のグダグダと比較してみると、再利用とか仮設とかリサイクルとかの施設が多いと思いません?

アイドルのコンサート利用でペイしますたぶん、とか芝生が生えるかどうかわからないんですけど、きっと生えるでしょう、とか、建設費がいくらになるかどうかわからないんですが建てるしかないんです、とかと違って、ちゃんとした大人の対応ですよね。

5万5000席を取り外すことも検討してあったオリンピックスタジアムは結局取り外さなくなりました。
再改造して球技場と陸上競技場の併用が決まったからです。

ということで、オリンピックスタジアムはプレミアリーグの地元チーム「ウェストハム・ユナイテッドFC」のホームグラウンドになりました。

「プレミアリーグ」と聞いてサッカーファンの方々でしたらよく御存知と思うのですが、現在世界最高峰のサッカーリーグのひとつです。
ヨーロッパでは現在のようなサッカー競技について150年以上の歴史があります。
そのスタートはイギリスのロンドンだったのですが、各国にプロサッカーチームが生まれ国ごとに、サッカーのリーグ戦をおこなうようになったのです。
「セリエA」はイタリアの1部リーグですし、「リーガ・エスパニョーラ」はスペインの1部リーグです。
日本はご存じ「Jリーグ」ですね。

「プレミアリーグ」と聞くと一般名詞として、それら各国のトップディビジョンを指しているように思えますが違います。
「プレミアリーグ」はイギリスのリーグなのです。

イギリスのフットボールリーグは1980年代ごろから低迷し、施設の老朽化やフーリガンの事件など様々な問題を抱えていたのですが、サッチャー政権時代にテコ入れがなされ、1992年にそれまでのフットボールリーグの1部リーグから新たなFAプレミアリーグが組成され、放映権やスポンサー契約も可能になり、運営も成功することで、イギリスフットボールリーグの再生に成功し今に至っています。
イギリスにおけるサッカーの1stディビジョンがプレミアリーグなのです。

そのプレミアリーグに所属するウェストハム・ユナイテッドFCのホームとして、スタンドの一部を改修し5万4000席をキープするとともに、以下の機能が盛り込まれました。

サッカー試合時にスタンドがピッチに近づく機構を設計していました。


そんなにうまくいくのかな、と思っていましたら、うまくいったようですね。


ということでロンドンオリンピックの諸施設をみてきたわけですが、

そもそもこの今回のオリンピックのメイン会場となった地域はイーストエンドロンドンと呼ばれ、開発が遅れていたロンドンの下町です。
かつては過密で住宅事情も悪く1900年頃には単純労働に従事せざるを得ない貧困層と移民の街でした。

20世紀にはドック、工場、鉄道を始め工業地帯となっていましたが、第二次世界大戦中はドイツ軍の攻撃目標地点ともなり、その後も荒廃が続いていたそんな街です。

つづく





オリンピックは大丈夫なのか?8

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11月の5日にまたもやビックリするようなことが起きました。
それは、新国立競技場の現在の状況についての見解を建築家の磯崎新先生が報道各社に発表されたのです。
全文はarchitecturephoto.netさんの記事で読むことができますが、
http://architecturephoto.net/38874/

私も文書を入手しています。
原文は縦書き文書で改行含め気合い入っていますからこちらをご覧になった方が行間に込められた磯崎さんの気持ちが伝わるでしょう。

この文書が出されたとき、ちょっと困惑したんですね。

前段で、
「現状の新国立競技場
修正案は、当初のダイナミズムが失せ、まるで列島の水没を待つ亀のような鈍重な姿。
このままで実現したりすれば、将来の東京は巨大な粗大ゴミ」
ここまでは、そうだ、そうだ!と

以前私が解説しましたように
新国立競技場の基本設計は出来上がっていない!④
新国立競技場の基本設計は出来上がっていない!⑤
ザハの元々の提案が破綻させた状態で進行しており、このままでは何をやっているのかわからなくなるということです。

磯崎さんは、コンテクストを欠いた巨大な建築の批判をするとき、これまでもよくショッキングでキャッチ―な「粗大ゴミ」と評されています。


以前にも、バブル期の東京都の公共建築である東京芸術劇場、東京都庁舎、江戸東京博物館、東京都現代美術館、東京国際フォーラムの5作品を読売新聞紙上で「粗大ゴミ」と評したことでも有名です。


しかし、後段での
「今からでも遅くない。当選決定(国際公約です)の時点に立ち戻り、二年間の賛否両論はプログラムの検討スタディだったと考え」
ここまではいい。この後の
「ザハ・ハディドにその条件を受けてあらためてデザインを依頼する。彼女はそのような対応のできる建築家です。」
いやっ、それは違うだろうと、
ここに、本当に大丈夫かあ、、
と思っていました。

磯崎新さんはもちろん世界的にも著名な日本の建築家です。
同時に丹下健三先生の愛弟子のお一人でもあり1970年代から80年代にかけては日本の建築デザインだけでなく世界のポストモダンの潮流を作ったし牽引したともいえるでしょう。

非常にキレる人なのです。これまでも批評精神の方が旺盛で、相矛盾するようなことを同時に語られる、あえて分裂した論旨もかまわない、直交しないで平行したロジック、自己破壊的な言動も辞さず、といったちょっと天邪鬼(あまのじゃく)なところがある先生なんですね。

本を出しても「現代建築愚策論」とか「建築の解体」とか
あえて真面目な人を逆なでするような感じに言ってみたり、そのように悪ぶってご自分を見せたりする。
批評を先鋭化させるためにもロマン主義的アイロニーを駆使する人です。


だから、現時点でザハに再度やり直しさせろ、という言説は一見筋が通っているようですが、磯崎さん特有の不可能な正論、批判のための批判、ザハがやり直しに応じるわけないだろ、と思っていましたら

今度は先週のことですが、またまたビックリ
新国立競技場問題について磯崎新さん、ザハ事務所の大橋さんによる外国人記者クラブで記者会見があったんです。



当日、私もゆえあって会場におりまして、下記にご発言をツイッターでほぼタイムリーに報告し、トゲッターにまとめておきました。
磯崎新「新国立競技場問題について」外国人記者クラブ会見(11.19)

ご欄になるとわかると思うのですが、
この磯崎先生の会見がアイロニーゼロ、大きく曲がって落ちるスローカーブとかなし、遊び玉なし、すべて直球勝負で、内容が素晴らしかったのです。


磯崎新さんというと建築界ではその名を知らぬ人はいないと思うのですが、一般にはお名前とお顔が一致しないとか、作品は知らないとか、建物は知っているけど、どういった考え方の人か知らないという方も多いと思います。

磯崎新さんとはどんな人なのか

磯崎さんも槇さんといっしょで仕事を始めてすぐに、最初のお仕事でさっさと建築学会賞をお取りになっています。
36歳のときの「大分医師会館」という作品です。

今見ると、磯崎さんが何がやりたかったのかは、はっきりとわかるのですが、思いっきり浮かしたドデカイチューブのSF的な構造、その見え方とか、ちょっとな~って感じしません?

なんか、カッコイイようなかっこ悪いような、宇宙船的なような工場プラントの一部のような、スカッとしていない建築デザインですよね。

どちらかというと鈍重、丸いのか四角いのか、ずどーんとしていて、せっかくスーパーストラクチャーで浮かせたボリューム表現の下には、なんだか華奢な一般壁構造のコンクリートの低層部分がある。

特に窓、開口部が明るくない、スッキリ抜けていなくて窓というより配線や配管の接続ジャックやカプラーのような意匠に仕立てられている。

どちらかというと以前分析した「悪の組織のアジトにしやすい系」の建築です。
参考:悪の組織がアジトにしやすい建築

同時にスターウォーズのAT-ATウォーカーとか、弐瓶勉先生の「BLAME!」に登場する未知の機械「建設者」にも似て、なんかどこか未完成の土木プラントのような感じもします。

建築を宙に浮かすなら、未来志向なら、ヴィジュアルデザインのバランス感覚ならこうなるのが普通ですよね。左上から菊竹清訓「スカイハウス」右、下、丹下健三「クェート大使館」、「広島平和記念資料館」


磯崎さんの活動より数年ほど前には東京オリンピックが開催され、丹下健三先生の次の世代による日本の建築界ではメタボリズム運動というのが隆盛を極めていました。浅田孝、菊竹清訓、黒川紀章、大高正人、栄久庵憲司、粟津潔、槇文彦らによる高度成長期の都市の急激な膨張と人口増加に対応しようというもので次々と発展する工業化と技術開発で解決しようとするバラ色の未来志向、一種のユートピア志向でした。

磯崎さんはそれらの若手建築家と同世代であり丹下門下生でもあったのですが、東京オリンピックにもその後の大阪万博やメタボリズム運動の中心からも距離を置いています。

でも磯崎さんの大分医師会館が出来たころは1967年(昭和42年)という頃は、日本が戦後復興を果たし、東京オリンピックにより世界の潮流に復帰して、大阪万博の準備にも余念がなく、これから益々の高度成長に向かおうという時期だったのですが、


ベトナム戦争が激化し第三次中東戦争でイスラエルが周辺地域を制圧、アポロ1号の爆発事故、ソユーズ1号の墜落事故等もあり、工場のばい煙や排水による汚染で公害問題も発生していました。急激な工業化や科学万能の考え方に陰りの兆しが表れていたころです。

それをいち早くキャッチした。

そのような、明るい未来に相反する陰のようなところ、都市空間にある見えないインフラのようなものを、「大分医師会館」ではあえて、表に出してやろうというような、へそ曲がりなところが見受けられます。

宙に浮いたボリュームの下にチマチマとした居住ブロックを並べるという一見未来志向のメタボリズム的なフォームを持ちながらその意味を脱臼させて、脱構築している。

だから暗いというか、何をやっているのかはわかるのですが、なぜそうしているのか分かりにくい建築なのです。

世の中が繁栄を謳歌しようというときに、磯崎さんはその中にありながら批評の道を探っていたのです。批評にこだわるあまり届かない周縁の位置で皮肉を吠える人がいますが、磯崎さんの凄いところは中心に居ながら周縁的思考ができる、もしくは中心にいながら自らの寄って立つ基盤を揺らがせ壊そうとするところです。

この「大分医師会館」はクライアントには未来をユートピアと見せながら、建築的意味においては未来にはユートピアではなくディストピアだってありえるんだと表現している。
そのような矛盾した思考。

建築というのは作家が自分だけで表現できないジャンルなんです。

そして新築というのは基本お目出度たくなきゃいけないんで、
ロックや文学みたいに作品中に強烈な批判や毒を盛りにくい。

デスメタルとかハードコアパンクみたいに「デス」が入っていてはクライアントを説得するのは難しい、どころか通らないはずなんです。

それでも実現にこぎつけたという非常に難しい仕事なのです。


また、現在ちょうど会期中の展覧会もあります。
ワタリウムで開催中の「磯崎新12×5=60」展


オリンピックは大丈夫なのか?9

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磯崎新さんまでが反対の意を唱えている新国立競技場建設ですが、
いったい何が問題なのか、ここで再度整理しておきましょう。

この問題は非常に多岐にわたっており、戦後の日本の公共建設だけでなく、政治経済、文学歴史、科学技術、社会環境、芸能スポーツ、広告デザイン、ノンセクションと、かつての「クイズグランプリ」も真っ青なくらい難しい問題なのです。


この問題をちゃんと解かないと、解いたうえで計画を却下させないと、100万円の賞金にヨーロッパ旅行どころか、3000億円以上の借金と毎年数十億円のムダ金出費なのです。

まず問題点を時系列で、過去、現在、未来と考えてみます。

過去の問題
1.国立競技場の陸上および球技場としての機能の問題
2.国立競技場の民間コンサート利用時の騒音問題
(元々、上記2点の課題を解決するためだったはずなんです)
外苑再開発に関わるフィクサーの暗躍問題
東京オリンピック誘致にかかわる都知事の予算問題
施設プログラムにかかわる有識者会議の人選問題
コンペルールにかかわる有識者会議の人選問題
コンペ審査にかかわる審査員の人選問題
コンペ審査中における企画者の思惑と規則の問題
コンペ結果後のザハの監修契約と設計プロセスの問題

現在の問題
新国立競技場の工事予算増大の問題
外苑周辺の風致地区・都市計画変更の問題
外苑周辺環境と景観、利用方法の問題
新国立競技場ザハデザインの不可能性の問題
新国立競技場基本設計変更案の法律的違反の問題
建築学会・建築士会・建築家協会の組織意義の問題
新国立競技場の実施設計不可能性の問題
新国立競技場案の陸上および球技場の機能問題
新国立競技場のコンサート利用時の騒音問題
現国立競技場の解体工事談合の問題
周辺地域住民への影響と立ち退き問題
オリンピックおよび建築コンペにおける国際的信用の問題

未来の問題
新国立競技場の建設費増大の問題
新国立競技場の設計変更による設計費用増大の問題
新国立競技場のさらなる改悪変更によるデザイン性の問題
新国立競技場建設時の交通網や周辺への影響問題
新国立競技場の維持・運営費増大の問題
新国立競技場の周辺環境への悪影響の問題
新国立競技場の陸上および球技場の機能問題
新国立競技場のコンサート利用時の騒音問題
2019年ラグビーワールドカップ時の完成遅延問題
2020年オリンピック時の完成遅延問題
オリンピックおよび建築コンペにおける国際的信用の問題
外苑周辺の文化・歴史・環境破壊の問題
外苑周辺における災害時拠点施設としての機能問題
新国立競技場のオリンピック後の維持・管理の問題
新国立競技場のオリンピック後の周辺環境への影響の問題
新国立競技場のオリンピック後の利用方法の問題
上記すべてに関わる財政の問題

このように時系列に並べてみますと、元々は現国立競技場における過去の2つの問題点

1.国立競技場の陸上および球技場としての機能の問題
  
  ・サブトラックがないため正式な陸上の大会が開けない。
  ・スタンドに庇がないため雨天時は観客は大変
  ・スタンドの傾斜と距離がサッカー場には不向き
  ・スタンドの増席と売店・トイレ含めたアメニティ性の向上

2.国立競技場の民間コンサート利用時の騒音問題

  ・騒音が周囲に抜けて苦情が多い
  ・スタンドに庇がないため雨天中止の可能性がある。
  ・スタンドの増席と売店・トイレ含めたアメニティ性の向上
  ・コンサート開・閉場時の混雑の緩和

これを解決しようという計画だったと思うんです。
それが、問題を時系列に並べてみたときに、今現在、そして将来にわたってまったく解決できなくなっていることが分かります。
にもかかわらず、莫大な費用で建設を強行しようとしているのです。

だから、

槇文彦先生も「世紀の愚挙」、「愚かな行為」と言い切り、

伊東豊雄先生も「何も解決されていない」、「既存施設の再利用なら間に合う」とおっしゃり、

磯崎新先生も「粗大ゴミになる」、「施設巨大化要因のセレモニーを二重橋広場で」とおっしゃっているんですね。

そして、海外で活躍する若い世代の建築家坂茂先生も「神宮の森の環境に配慮するのは当然」、「選んだ側の問題です」と先日インタビューにお答えになっています。

エキサイトニュース「建築界のノーベル賞」が志向する、建築家の大切な使命とは


もう一度、ここで過去の問題を見直してみると
1.2.の根本課題を解決するのではなく、
新たな問題をそれ以降に作り出したことが分かります。
すべて人為的問題なのです。

そして、この問題を生み出した張本人は、
外苑再開発という絵図、そこに乗かってオリンピック誘致と関連付けた東京都知事と、これまた安易にイベント操作に乗った日本を代表する芸術的建築家の安藤忠雄さんなのです。そしてその追従者です。

計画の最初から現在までこの計画に終始一貫して関わっている建築の専門家は安藤忠雄さんただ一人なのです。

まわりの有識者も政治家も建築の素人なのだから、これらのプロセスで発言を求められ、質問にお答えになってきた安藤忠雄さんには、もの凄く重大な責任があるのです。

しかも、外苑再開発のフィクサーと呼ばれた方は既にお亡くなりになっています。元東京都知事の石原慎太郎さんもお辞めになっています。後任の猪瀬直樹氏も徳州会からのお金の問題で辞任されました。

最期に残った安藤忠雄さんはマスコミの取材も、政府の無駄撲滅PTでの会議への呼び出しも用事があるからと断り、海外からのプレスからの取材からも逃げ回っています。
で、あいかわらずご自分の講演会にはせっせと出席し、この問題には答えず、サイン本ばっかり売っています。


その姿を日本中の建築関係者、建築の仕事についたばかりの若者をはじめ建築を学ぶ学生達にも見られています。

このままでは日本の建築家の信用を本当に失ってしまう、
建築界が生み出した問題だからこそ、建築界で解決したい!

その想いで日本を代表する巨匠建築家の3名が立ち上がり、海外からも坂茂さんが声をあげ、建築士会、建築家協会、建築学会、建築士事務所協会が全面支援しているんです。

断言しておきますが、この問題は建築家どおしの争いとか、建てる建てないの二元論ではありません。
戦後の公共施設建設の評価と問題を巡る日本の建築業界のすべてを巻き込んでの自省と自戒。
行政と建築業界の関係まで含めた次世代に向けての建築業界のありよう、そして市民生活と都市環境の維持整備の方向性を占う大問題なのです。

つづく


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オリンピックは大丈夫なのか?10

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新国立競技場問題を考えるのつづきです。


設問1:現国立競技場にはサブトラックがないので陸上の大会が開けません、どうにかしてください。(配点20点)


設問2:現国立競技場をサッカーやラグビー等の専用球技場にしようと思います。ピッチまで遠くて、スタンド傾斜がゆるくて見えにくいです。
また雨の日対策でスタンドには庇もつけてほしいです。
どうにかしてください。(配点20点)


設問3:オリンピックのメイン会場として考えたときに、開会セレモニーのときに8万人を収容したいです。(配点10点)


設問4:現国立競技場でコンサートイベントも開きたいと思っています。スタッフ控室や売店、飲食店を併設してほしいです。(配点10点)


設問5:コンサートイベント時の近隣への騒音や入退場時に最寄駅の大混雑を緩和できませんか。(配点10点)


設問6:都心の解放緑地は皇居、東宮御所、明治神宮、新宿御苑、上野公園です。国立競技場周辺の明治神宮外苑も災害時の拠点施設としても考えてほしいです。(配点10点)


設問7:施設におけるバリアフリーやアメニティ性を高めてください。
(配点5点)


設問8:外苑周辺の緑地や歴史的景観との環境の調和を図ってください。
(配点5点)


設問9:オリンピック時もその後も維持管理コストに配慮してください。
(配点5点)


設問10:過去現在未来までの建築文化を考慮した今後の日本を代表するような建築のひとつとしてお手本となってください。(配点5点)


以上10の設問で合計100点満点とします。

設問1と2は必須解答です。
この2問で12点づつ取れてないものは失格となります。

そのため、一昨年におこなわれた全国選抜安藤ゼミナール模試の合格者はすべて失格となり、再試験となりました。


いきなり難しいところから入らないで、説きやすい問題から先に手をつけるように。


それでは講師の先生方の答えを見てみましょう。

オリンピックは大丈夫なのか?11

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新国立競技場問題の続きです。

10の設問に対してどのように考えればいいのでしょうか



それでは槇文彦先生のヒントを見てみましょう。



「マキクンノ コタエ」




「無蓋化し子供施設を併設」http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20140827/674791/?P=1


1.オリンピック時8万人収容の規模をもった有蓋施設は、建設費だけで容易に2,000億円を超えることが想像されるだけでなく、ポストオリンピックの50年以上、スポーツ、室内イベントに8万人の需要即ち市場性が恐らくないまま、厖大な維持、修繕費を支払い続けていかなければならない。

2.室外スポーツ、室内イベントは本来相反する機能を相互にもっている為に、理想的な室外スポーツ施設でもなければ理想的な室内イベントホールでもないという矛盾は永久に解決できない。スポーツ関係者は誰も有蓋化に賛成していない。

3.不完全な半屋外競技場の天然芝に365日間適正な日照、通風、芝表層に湿度を与える為に、高度な技術と莫大な維持費が必要とされることが明らかになったが、それですら普通の屋外競技場の天然芝のクオリティを再現できるという保証は全くない。

4.同様に施設の屋内化に必要な可動式屋根装置は、地上60mから70mの高所における膜式天蓋をスムースに可動、操作させ得る技術的信頼性の保証は全くなく、特に提案されているC種膜は耐久性が低く、又その為に必要とされる10年毎の全面取換えの容易性についての説明もないまま、膜式可動装置の支持材も含めて厖大なコストが建設費、維持費にかかることだけは明らかになっている。

5.一方室内イベントホールの性能はC種膜式可動天井による遮音性能欠如、スタジオジャンピングによる周縁への振動の影響に対する無対策、巨大なボリュームに対する電気音響、暖冷房コスト、市場性確保の懸念等、理想的なイベントホールから程遠いものであることが明らかになっている。又、健全な芝育成の為、使用頻度は年12日以内に抑制されている。

6.可動式有蓋複合施設に決定した唯一の理由は、年間平均12回のイベントからの収入に期待するところが大きいとしているが、その収支計画をみる限り、有蓋とした為に予想される厖大な修繕維持費(様々な支出の一部)はイベントによる7億円収入を遥かに超える額である。更に他の主要収入、源として公にされた特別ルーム、パートナーシップ制の需要についてまったく精細な説明がない。従ってこの施設の収支計画は希望的観測に過ぎず、既に破綻しているといえよう。

と現在、強引に進めようとしている新国立競技場計画案に対して厳しく批判してらっしゃいます。
要は「JSCはじめコンペプログラムはコンサートイベント活用を重視するあまり、スポーツ施設としての根本機能やオリンピック以降の活用と維持管理について破たんをきたしている。」と喝破されています。

おっしゃるとおりと思います。

だから、「開閉式屋根という現時点で限りなく不可能かつ維持管理に問題があり芝生の育成に支障をきたす全面屋根はやめて、スタンド上部の庇だけにしなさい。」というご意見です。

同時に、「次世代を担う子供達にこそ活用しやすいスポーツ施設としての市民に親しみやすい機能を拡充するべきだ。」とのご提案です。

ポストオリンピックを見据えた重要なご指摘を皆さん参考にしてください。

つづいて伊東豊雄先生


「イトウクンノ コタエ」






「改修だとコスト半分」
http://toyokeizai.net/articles/-/38360?page=2

現競技場の聖火台とは反対側のスタンド約4割を撤去し、2段または3段のメインスタンドと固定屋根を新たに造り、8万人の収容条件を満たす案。サブトラックは敷地南側に新設する。コスト高の要因となっているコンサートなどの利用は想定しない。

5月12日示されたイメージは配置やボリュームを当てはめた必要最小限の検討図。伊東氏らしい「軽さ」や斬新なデザインを期待していた向きには肩すかしだったろう。

伊東氏は「改修をするなら誰が考えてもこれに近い形になるのでは。シンプルでローコストでいい。費用は現在の1800億円ほどの計画に対し、ラフに見て半分で済むだろう。ただし、私自身がこれを進めていくつもりはないし、そういう立場にはない」と強調。傍らの中沢氏は「伊東さんが触媒となり、国民的な議論が広がることを期待したい」と述べた。

この伊東豊雄先生の改修案については以前解説したことがありますから、こちらも参考にしてみてください。
現国立競技場はチューンナップ出来るのか④


そして磯崎新先生です。



「イソザキクンノ コタエ」

つづく

オリンピックは大丈夫なのか?12

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新国立競技場問題について正解を考えてみようのコーナーです。

でもって俺の回答です。


「モリヤマクンノ コタエ」



まず
設問1:現国立競技場にはサブトラックがないので陸上の大会が開けません、どうにかしてください。(配点20点)


これについては以前に一度解答しています。

参照:新国立競技場の建設コンペをめぐる議論について13



サブトラックは現在のメインの競技トラックに近接することが望ましいですから、新国立競技場案で使用してもいいことになっている「四季の庭」か「明治公園」の敷地を活用すれば十分足ります。

そしてメリットとしては「日本青年館」も建て替える必要なし。

伊東豊雄先生もサブトラックは明治公園のところにもっていこう!でしたね。


設問2:現国立競技場をサッカーやラグビー等の専用球技場にしようと思います。ピッチまで遠くて、スタンド傾斜がゆるくて見えにくいです。
また雨の日対策でスタンドには庇もつけてほしいです。
どうにかしてください。(配点20点)


これが結構難問なんですよねえ。

とりあえず国立競技場にも屋根は付くんですよ。

槇先生ご指導にように「無蓋化(完全にふたをしない)」でやった方が芝生の育成にもいいですし、何より空が広いですからね。

ベルリンのスタジアムみたいに半透明で明るい屋根でこんなふうに



ね?これでいいでしょ。



この屋根に照明がつきますから、照明スタンドもなくすことができるので、絵画館前の景観にもなんら支障なくなります。

これでいいと思うんだよ。

ただ、これだけではサッカーのときのスタンド問題が残るんですよ。
ロンドン五輪のメインスタジアムでは稼動席で対応していましたよね?

イギリスのウェンブリースタジアムもサッカー専用スタジアムと思われていますが、実は陸上もできるような設定なのです。


このすり鉢状の断面で、陸上のトラックよりもサッカーのピッチのほうが小さいから、下記のような対応が可能になっています。


なるほどね。
底上げすれば陸上のトラックが取れるというわけか、、


ただ、この方法だと陸上のたびに芝生がヤラレてしまいますよね。

この1年間、いろいろとスタジアム関係について調査し多くの方々にインタビューしたり、またサッカー関係者の方々にもお会いしたりした結果、私個人的には陸上競技場と球技場の並存、併用はやめた方がいい、という結論に達しております。

正直、現国立競技場は耐震改修を施したうえで、付近に恒久的なサブトラックを設けて、正式な陸上競技場として再生するのが一番よいと思っています。

で、何かサッカーにしろラグビーにしろここは聖地なわけですから、プレミアムな試合のときにのみ使用されることもある、でいいんじゃないでしょうか。

建設費用が減らせるのだから、JSCも無理に無理を重ねて嘘八百で糊塗したイベント・コンサートに頼りきった事業収支もご破算でいいんです。

でもって、コンサートが雨天で中止になるのはイヤだとかいう芸能プロには屋根のある東京ドームや西武ドームで開催していただき、それでも国立競技場にレジェンドを求める強いファンの存在するグループだけが使えばいい。


続いて設問3の回答にいきます。

設問3:オリンピックのメイン会場として考えたときに、開会セレモニーのときに8万人を収容したいです。(配点10点)

この8万人についてなんですけどね、
なんか絶対そうしなきゃいけないんです!嘘になるんです!(泣
とか誘致した側の日本オリンピック委員会(JOC)は言ってるんですが
、実はとっくに答えは出てるんです。

五輪メーンスタジアム「収容人数の基準なし」とIOC担当者
http://www.tokyo-sports.co.jp/blogwriter-watanabe/12046/


昨年の11月、ちょうど一年前にIOC(国際オリンピック委員会)五輪競技大会エグゼクティブディレクターのジルベール・フェリ氏が、こう言ってます。

「五輪スタジアムは2つの目的を果たすことができる。開閉会式、そして陸上競技とサッカーの決勝の会場。東京では、開閉会式と陸上競技と聞いている。IOCはキャパシティーについて、最低基準は設けていない。開閉会式に関しては、できるだけ多くの人が入れるよう要請する。東京は8万人規模のものを造るということなので、そのスタジアムの建設をお願いしたい」

「IOCはキャパシティーについて、最低基準は設けていない。開閉会式に関しては、できるだけ多くの人が入れるよう要請する。


8万人じゃなくてもいいんです。
ましてや、スタジアムの観客席としてじゃないんですよ。
開閉会式のイベントに8万人が参加できれば、、、ということだから
フィールドも込みです。



だったら、今の国立競技場の5万人でいいじゃん。
いや、むしろもっと席間隔も座席も最新のもに変えて、車椅子の人も通りやすいように通路もゆったりさせて、4万人くらいまで減らしちゃえ。


IOC(国際オリンピック委員会)がいう「できるだけ多くの人が参加できるように、、」というのを真に受けるとするなら、
磯崎新先生の言われる「開閉会式のセレモニーをスタジアムから外に出せ!」というのもあながち過激な意見とはいえません。

スタジアム以外の都内にも開会式場を設けて、同時多チャンネルでインターネット中継も組み合わせれば、もっともっと多くの人、場合によっては数十万人プラスアルファが参加できていることになるんじゃないでしょうか。


で、8万人はなし!で答えになるかと思っていたのですが、
オリンピックに関してはそうなのですが、もうひとつハードルがあるんです。


それは、サッカーワールドカップです。

まだ、決まってもいませんが、このサッカーワールドカップを国内誘致する場合のスタジアム要件というのがあるんです。


JFA(日本サッカー協会)「スタジアム標準 サッカースタジアムの建設・改修にあたってのガイドライン」
http://www.jfa.jp/documents/pdf/basic/07/01.pdf

このJFA資料にはFIFAのスタジアム規定の細かい資料も載っています。

このガイドライン読んで思ったことはですね。

新規に建てるとしても、スタジアムの有効活用とか、長期に渡る維持とか将来への対応とか考えたら、コンサート対応優先じゃなくて、これ守るほうが大事なんじゃねえの?ってことです。


というのもですね。この中にFIFAのスタジアム要件というのがあるからなんですね。

オリンピックを理由にして、すでに破綻したザハの新国立競技場案をいつまでも引っ張ってる場合じゃねえ!ってことです。

この中にスタジアム施設の分類があるのですが、「クラスS」という基準を満たしていないとサッカーのワールドカップはおこなえないんです。
その内容を見てみましょう。

いやあ、よかったです。
「クラスS」だから絶対8万人というわけではななかったですね。

これで8万人要件は却下でいいんじゃないでしょうか。


設問3.の僕の回答は、
「国立競技場だけで考えない、ほかの場所と連携する。」です。


としたものの、どこにすればいいんでしょうか?
埼玉アリーナなんでしょうか?日産スタジアム、味の素スタジアムなんでしょうか?
都内にはそんな場所はないんでしょうか?

埼玉アリーナは屋内施設ですから空がないんです。


でも味の素スタジアムも日産スタジアムも陸上競技トラックと併設なんですよ。
あと、都心からも空港からも結構離れています。


味の素スタジアムは調布、実際は飛田給



日産スタジアムは新横浜ですしね。



じゃあ、やはり新築なのか?ということになっても
ポストオリンピック(オリンピック後の)ことを考えれば、陸上競技と球技場併設を
避けておいた方がいいんですよね。

ここで、もう一度ロンドンオリンピックのことを思い出しててみましょう。
オリンピックは大丈夫なのか?6

ロンドンオリンピックは施設を仮設建築にしたり再利用したりして、合理的に考えていたというはなしでした。

同時に、イーストロンドン、かつて産業革命期の重工業や商業、港湾施設等で賑わいながら、戦後はそれらの産業の空洞化で賑わいが薄れてしまった
地区の「戦略的再開発のための枠組み(Strategic Regeneration Framework)」と関係づけて、都市計画的な枠組みの起爆剤としてロンドンオリンピックを企画していましたよね。

かつての操車場とか港湾施設、工場なんかがあったリバーサイドを新たな文化拠点とする都市計画的視点です。


今の強引な明治神宮外苑エリアでのスタジアム建設では、そういった大局的視点も抜けていると思うのです。

ロンドンオリンピックのことを思い出してみると、リバーサイドならではの風景がよく見られました。

メインスタジアムとタワー夜景


タワーブリッジ


港湾地区の風情を残しながらオリンピックとともに開発が進んでいます。



スタジアムのライティングも運河に映えています。


イーストロンドン、これによく似た風景って東京にもあるぞ。
と思い出したんですね。

それは奇しくも、イースト東京ですよ。
隅田川です。


で、地図を眺めていると、あれ?川に沿ったこの緑のライン。


もっと拡大してみましょう。


左下は東京随一の観光地、浅草寺ではないですか!
右上の方にトラックらしきものが見えますね。


今戸の台東区リバーサイドスポーツセンターです。


なんか、素敵な敷地なんですけど
対岸にはスカイツリーも見えますね。


でもって浅草から歩いてすぐだし、成田からも近いんですが、、

「イーストトウキョー」にサッカー専用のスタジアム建ててオリンピックのメインスタジアムにするのはどうなんだろう。

浅草でオリンピック!

て、こたあよ
「江戸情緒でおもてなし」ってなあはどうでえ!


「GIANT KILLING(ジャイアントキリング)」というマンガがありましてね。


13につづく

オリンピックは大丈夫なのか?13

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東京オリンピック2020の心配は外苑のスタジアム建設がちっともうまくいってなくて、ホント大丈夫なのかい?ってとこから始まって、

森元首相が決めてきたといわれるラグビーのワールドカップにも間に合わねんじゃねえか?ということも心配になり、

費用がどんどんかさみながら、次の世代につながりそうもない計画。

外苑周辺の再開発とかいいながら極々一部のとこにしかその恩恵もないっていう不思議な計画になりつつあります。

なあんか、東京でオリンピックっつーたって、
なんだか東京っぽくねえなあと
東京の顔っていったいどこなんだ?青山通り?千駄ヶ谷?

思い出してみてください。

海外からのおもてなしと日本の元気を見せようってんなら違うはずですよね。

今でもずっと外国人観光客からの東京の一番人気っていえば

ここでい!


浅草の雷門です。
確かに僕も上京したての頃、都内の親戚にすぐ案内されました。
その後も外国からお客さんくると、ここに行きますね。


やっぱ、東京の強みは「江戸コンテンツ」だと思うんです。

オリンピックのメインスタジアムをどうするかについて
私が考える計画を発表します!

それは!「イーストトウキョウオリンピック」です。

隅田川沿いの台東区リバーサイドSCに、「隅田川スタジアム」を作りましょう。


とりあえず、ロンドンの「ウェンブリーススタジアム」を合成してみましたが、どうでしょう?なんかよさそうじゃないですか、これ。

そして、「GIANT KILLING(ジャイアントキリング)」に登場する、東京のクラブチーム「イーストトウキョウユナイテッドFC」をマジで結成しませんか?です。

それだけじゃないんです。

「江戸としての東京」を見なおすメリットはいっぱいあるんです。


つづく

国立競技場の解体工事が決まらない理由

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新国立競技場問題に関しまして
実はですね。
凄いものが手に入ったんです。

それは!

久米設計による2011年3月25日付け
「国立霞ヶ丘陸上競技場耐震改修基本計画」
「耐震改修基本計画書」

全資料です。

有志の方が僕のところに送ってくださいました。



その中の現況構造の調査書です。











なんか凄いでしょう?

本当はもっともっと資料あるんですけれど
既存躯体を200数十カ所コア抜きして調べたコンクリートの圧縮強度試験データもあります。

コア抜きというのは、よくエアコンの室外機までの配管とかでコンクリートの壁にでっかいドリルみたいのでポコッとコンクリート抜いてるのみたことないですか?

ちょうど、医者でいうと患部の一部をちょこっと取って顕微鏡で調べたりすることがあるでしょう?

それと同じように、コンクリート躯体の健康状態を調べる作業です。

それによると、設計基準強度の2倍~3倍あるところばっかりでした。
なんだ、全然ピンピンしてんじゃん、国立競技場ちゃん。

と思いました。

ちょっとですね、お肌が劣化しているくらい。
人でいうとちょうどアラフォーぐらいのいい女ということになります。
ここからはお肌のケアが大事です、といった程度。

もちろん、耐震改修のためにはいろいろと強化パーツを装着させなきゃいけないんですけれど、一番重要な肉体の健康度は大丈夫なんです。

なるほどなあ、、と感慨も深く眺めておったんです。
すると

次のようなニュースも飛び込んできました!

国立競技場、解体は年明けか 入札保留「経緯公表を」
http://www.asahi.com/articles/ASGD24RWLGD2UTQP00D.html
朝日新聞ニュース

引用ここから
 東京五輪のメイン競技場となる国立競技場の建て替えが進まない。解体工事の業者が決まらず、当初は7月に始まるはずだった工事の着手が年明けにずれ込む可能性が強まった。国が談合疑惑の調査に入るなど、「スポーツの聖地」に悪いイメージがついた。

 事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は、解体工事を来年9月末にいったん終え、一部の解体を本体工事と同時並行で行うことで、「(当初予定通りに)2019年3月の完成を目指すという工程表に変化はない」とする。ただ、計画通りに事が進んでいないのは明らかだ。

 5月に締め切られた1度目の入札では、建設価格の高騰などで、業者の入札額がJSCの予定価格を上回って不調に終わった。参加できる業者の条件を緩和して行われた2度目の入札は、一転して複数の業者が最低基準価格よりも安い額を示した。JSCは安価でも適正に工事が行われるか各業者を調査。その結果を受け、埼玉県内の業者を選定した。

引用ここまで


あ!またもや解体決まらず、いや解体決めたくならず、「国立競技場ちゃん効果」なんじゃないかと

そうだそうだ、これを解体するなんてなあ!と、
もう一度既存躯体を眺めておったわけです。

すると、大変なことが分かったんです。

これ、仮に解体するとしたって、ええーっつというようなことが!です。

それはですね。

この個所です。


足元のとこ!
ちょうどロボットの足みたいな、雪の上をあるくかんじきみたいなとこ!
その下!

棒みたいなやつが見えますよね。

これが、ひとつの足に6~10本ある。

これ、杭なんです。

こ、こ、これは、、、と平面図に戻ってみました。

基礎の平面図です。

基礎の図面を見るとこのプチプチした四角いカタチがわかりますよね。
これが先ほどの断面図の靴底です。
専門用語ではフーチングとか呼びます。


えっ?こんなに!

リングの放射する線に番号が振ってあるんですが、
一周で90番まであります。

で、内側から7本のリング線がありますよね。

てことは90×7だから630の交点があり、そこに4本以上は絶対に杭打ちされていますから、少な目に見ても2500本以上

そして、大外のリング68の放射に3つのリングが端っこで収束していますが、ここは4本どころか10本のところもあるから、、


ざっくり1000本はあるでしょう。

さらにはアプローチの直線スロープの柱下にもありますから、
おそらく全体で少な目に見て5000本以上の杭が打ってあります。

すっげえ。



これは、ちょうど華道で使う剣山を逆向きにしたようなものです
しかも剣が超長い。



みなさん、普通によく目にする木造の家や、4~5階建ての古いビルの解体工事って案外2~3日、一週間くらい、ちょっと目を離したら瞬間に終わってるから、

機械で乱暴にちゃっちゃと簡単に壊してると思ってるでしょう?
違います。

解体工事ってのは凄く大変なんです。

特に地上よりも地下が!

地下室よりも地下深く打たれた杭の解体は至難の業なのです。

それは!

基本、杭は引き抜かなきゃいけないからなんです。

つづく









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