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内藤文書の解題6

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内藤文書の解題4
内藤文書の解題5


どんどんいきましょう。
続いて構文3

この3.から4.にかけては構文として不鮮明なところはあまりなく、むしろ饒舌にわかりやすく展開します。しかしながら、その結論に飛躍があるのです。
そして、まさかの場外乱闘!そして反則攻撃です。

3.主文 論点以外への解答行為

構文3-1 ストローマン導入

設計競技でもっとも重視されるべきは、審査過程に於ける公平性であることは言うまでもありません。審査委員会に、特定の意志が外部から働くようでは、審査も何もあったものではありません。

構文3-2 ストローマンを論破

この点に関して、わたしの知る限り、外部から働きかける特定の意志は、まったくありませんでした。審査過程で意見の相違はあったにせよ、審査結果は、あくまでも審査委員の責任に於いて、委員長によって取りまとめられたものと思っています。


ここは、もうそのままです。特に誰からも問われているわけでもないコンペの公平性について言及し、「そのような事実はない!キリ!」です。

ただのカカシであるストローマンをぶん殴って抑え込みフォール勝ちしています。

文全体が装飾です。


次はこの文中でもっともまともな構文です。

上記のストローマンに勝った勢いですんなり読むことができます。

「ではないかと思っています」も「かもしれない」も「そうなりがち」もありません。


構文3-3 すでに発表された事柄の反復

個性的なザハ・ハディドの案については、建築家諸氏には賛否があるはずですが、あの案の中にある生命力のようなものを高く評価することでまとまりました。

最後に決する際、日本を元気づけるような案を選びたい、という委員長のとりまとめの言葉は、委員それぞれに重みのあるものと受け止められたはずです。





次から場外乱闘が始まります。

この文中でもっとも卑怯なカ所、震災と福島原発事故への言及により、

後段を正当化しようとする最低のレトリックです。

新国立競技場の規模や景観とコンペプロセスについての議論に対する反論として、まさかの場外乱闘!そして反則技に持ち込まれてしまいます。

この段でフォール負けしてしまう選手も多いと思います。


4.主文 論点のすり替え

構文4-1 先験的な感情を惹起

あの時期のことを思い出してください。大震災の記憶が生々しく人々の脳裏に残っている時期でした。三陸の復興は先がまったく見えず、福島の原発は危機的な局面が続く迷走状態でした。多くの人が漠然とした不安を心の内に抱えていたはずです

。痛みや悔恨が世の中に満ちていて、未来への希望がなかったのです。オリンピックにしたところで、あの時点で東京が招致に成功するとは、ほとんどの人が思っていなかったはずです。


唐突に、東北の大震災と原発事故という話題を召喚しましたね。

これを出されると人として同意せざるを得んでしょう。

一読すると、本人こそが「社会的正義」の発言に聞こえるのですが、

よく読むと物凄い反則技を使ってあります。

そこからの流れで、後段を思い切り正当化しますから。



前段で福島召喚により肩慣らししたので、まず読者にすり寄ります。

構文4-2 同調による誘因

わたし自身も招致の可否については半信半疑でした。

招致が決まった今だから言えるきれい事もあります。


しかし、あの時期を思い起こせば、

ザハの案に決定して良かったと今は思っています。


あの時期を思い起こせば、、とくれば

オリンピックだからといって東京のみに予算集中投下があっていいのか。が、建築・土木にかかわる人たちの常識と思いますが、

違います。しかしなんか説得されそうです。


そして、招致が決まった今だから言えるきれい事

いったん、諸氏をバカにします。

この文は攻撃と同時に防御にもなって、後段で凶器として使われます。


しかし、あの時期を思い起こせば、

ザハの案に決定して良かったと今は思っています。


「震災も事故もあったんだから、ザハでいいのかな。」

これ、無関係の事柄なのに非常に説得力があるかのようなんです、が!

このカ所に注目してください。

ザハの案に決定して良かったと「今は」思っています。

言葉の入れ替えと得意の曖昧迷彩により本意が隠されていますが、


実はこの文


あの時期(震災・原発事故)を思いおこせば、ザハの案に決定してよかった。


ではないのです。


「今は」です。


「今は」は前後の関係から、「オリンピックの招致が決定した今は」と補完できるでしょう。


しかし、あの時期を思い起こせば、


の「しかし」は無意味な接続語であり

「東北震災や原発事故をおもえば、」は身を隠す藪(ブッシュ)、

として話の出汁につかっている。


あくまで思っているタイミングは「今」なのです。


あの時期(震災・原発事故)を思いおこせば、

ザハの案に決定して良かった 


だけではなくて、同時


ザハの案に決定して良かった 

と(東京オリンピック招致が決まった)今は思っています。
 

「ザハの案に決定してよかった」を重心にして左右がダブルミーニングに

なっており、ちょうどヤジロベエのようにどちらにも傾かせることができる

文章なんですね。
決定したのは前なんですけどね。

東北震災や原発にかけながらすごく変な文章なのは、

接続詞を取り換えてあるからなんです。


今はザハに決定してよかったと思う。

今は思う、とくれば通常は以前はそうでなかったんだが、「今は」
と使うべき流れですよね。そうだとすると、この文章を論理的に復元するなら


あの時期(震災・原発事故)
はダメだと思っていたけれど、「今は」ザハの案に決定して良かった。

となるはずなんです。
しかし、そうではない。ヤジロベエ状態に不安定なまま放置してある。
理由は、この文章の改造前の正しい形は以下だろうと推測できるからです。

しかし、あの時期を思い起こせば、

ザハの案に決定して良かったと「今も」思っています。


「は」ではなく「も」、「は」だというなら以前は良いと思っていないことになる。
結果として、震災や福島を召喚したうえで

今もザハだと思っている。


なんです。凄い反則攻撃でしょう?「今だからいえるきれいごと」と対関係です。


この場外における反則攻撃はミスター高橋もジョー樋口も見抜けんでしょう。
 




5.論点のすり替え2 

構文5-1 論点先取と多重尋問

これは好みや建築的な主義主張の問題ではありません。

あの案がオリンピック招致に果たしたであろう役割も思い出すべきです。あの思い切った形は、東京の本気度や真剣さを示すという大きな役割を果たしたはずです。


多重尋問とは、多数派に属さないと不利になるという脅迫論証を間接的に用いて、例えば「Cも早く予約するべきだ。みんなもそうしている」といった具合に、

説得するのが典型例です。

本文の前段4.で東北震災と原発事故という多くの人が納得する詭弁から「ザハに決まってよかった」と論証できているつもりなので、


これは好みや建築的な主義主張の問題ではありません。


ここでは、「個人的好みにこだわっている場合ではない」

「一個人の主義主張など問題とすべきではない」


(前段の東北震災の事故に比べれば)と諸氏の意見を矮小化、少数意見であるかのように追い込み、次の論点先取の詭弁にバトンタッチします。



論点先取というのは、本来これから議論すべき内容を主張の前提に含ませる詭弁の技です。たとえば、(Aさんがサボり癖があるかどうかがテーマの議論に)

「Aさんは勤勉だから怠けない。」と答えるような戦法です。


構文5-1などそのまま詭弁です。

あの案がオリンピック招致で果たしたであろう役割は、~~~~~大きな役割を果たしたはずです。




次は危惧ですね。危惧の正体はもうやりましたね


構文5-2 同情論証 警告3

高邁な論議とは異なる次元で、おおいに危惧していることがあります。それは設計者であるザハのやる気です。


築の設計者であれば誰でも了解できることと思いますが、建物のレベルは設計者の情熱の絶対量に掛かっています。


設計者がどれくらいの精神的なエネルギーを投下するのかによって、建築のレベルは大きく変わります。


ここまではすんなり読めますね、内藤文書を読み解いていくと気づくことがあります。それは、すんなり読めるまともな部分には、あんがいは主張は隠されていないんです。読めるところはブラフだったり本意を隠すための藪(ブッシュ)として機能しているケースが多いんです。


 

逆に、口語体(話し言葉)や「思っている」や「めんどくさい」が出たきら要注意です。そこに詭弁に紛らせて本意が眠らせてありますよ。


当選したけれど、あれこれ面倒くさいことばかりで嫌気が差し、担当者任せ、実施レベルの設計者に任せっぱなし、という状況が生じるとしたら、あの建物は規模だけ大きい二流の建物になってしまいます。


きました!
媒概念曖昧の虚偽とストローマンと因果律の破たんカ所です。

前回やったので、大体想像できますよね、ここの詭弁は


ザハにしてみれば、座敷に呼ばれて出かけていったら袋叩きにあった、という 気持ちかもしれません。


はい!「気持ち」と「かもしれません」きました!


構文5-2 論点先取と多重尋問
そうなれば、それこそ国税一千数百億を使った壮大な無 駄遣いです。
6.論点のすり替え3 
構文6-1 ザハをストローマン化

ザハはソウルで巨大な美術館を完成させつつあります。東京の建物はそこそこでいい、ソウルの建物こそが自分の作品だ、ということになったらこれ以上残念なことはありません。


ストローマンを立てて、媒概念曖昧の虚偽に循環論証という合わせ技は、

内藤文書でいうフィニッシュホールドなんです。

ボクシングでいうところの「ワンツー!パンチ」とか、

黒い三連星の「ジェットストリームアタック」に相当します。





で、構文6-2はあまりにひどい出来のストローマンでしたので、

削除されてしまいました。


恫喝も消えてしまいました、つまらん。


ここ、一番バカバカしいアングルで、かつてのラッシャー木村にも通するような、

「こんばんわ、ラッシャー木村です。世論を誘導している諸氏はその責任を取る覚悟があるんでしょうかー!!」
マイクパフォーマンスの見せ場だったのになあ。




構文6-2 ヌーベルをストローマン化
ジャン・ヌーベルの基本設計による汐留の電通ビルは、ヌーベルにとっては不本意な作品だと聞きます。彼にとっては、自分の作品ではない、ということなのでしょう。
実際、ヌーベルらしい切れ味はなく、中途半端な印象は免れません。あまり話題にもなりませんでした。
構文6-3 6-1、6-2を受けて一般化
神宮のザハは、汐留のヌーベルにしてはならないのです。
構文6-4 6-3から脅迫論証を導出。恫喝1
ザハのやる気に関して、今現在、世論を誘導している諸氏は、その責任を取る覚悟があるのでしょうか。


内藤文書の解題4
内藤文書の解題5







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