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本の街、神保町の最後のビル

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こんな記事がありました。

東京新聞の9月27日です。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/58048

 

 

 

茶色のスクラッチタイルに覆われた外観が特徴的な千代田区神田神保町の「旧相互無尽会社ビル」が、建て替えのため解体されることになった。昭和初期から九十年にわたり「本の街」を見守ってきた関東大震災後の復興建築の一つ。区は、記憶を継承するための部分保存を所有者に要望している。 (浅田晃弘)

 さくら通りに立つ、ビルの正式名称は「神保町ビル別館」。現在は小学館不動産が所有。地上四階建てで一部、五階がある。二年前の夏までは財団法人日本タイ協会の事務所がテナントとして入居していた。タイ関係の蔵書を集めた図書室があった。

 小学館不動産は、昨年夏にビルを購入。以前から所有していた隣地と一体的に開発し、新たな施設を建設する計画だという。年末までかけて解体する。

 日本建築学会編「日本近代建築総覧」によると、ビルは金融会社の「相互無尽会社」が一九三〇(昭和五)年に建てた。設計は安藤組(現安藤ハザマ)。スクラッチタイルで外壁を仕上げ、アーチ窓はテラコッタが縁取る。当時のビルデザインの流行を反映している。

装飾的な窓の格子

装飾的な窓の格子

 景観に親しんできた住民からは惜しむ声が上がる。区内で建築事務所を営む一級建築士の大橋智子さんらは、ビルの保存・活用を求める陳情と要望書を、区議会と小学館不動産にそれぞれ提出した。「地域の宝として位置付け、活用する」ことを求めている。

 区もビルの調査や、小学館不動産との協議に乗り出した。

 担当者は「全面的な保存は難しいとしても、特徴的な部分を少しでも残してもらえるよう要請を続けていきたい」と強調する。一方、ビルの保存を求める声が上がっていることについて小学館不動産は「コメントは差し控えたい」と回答した。

(東京新聞の9月27日記事より引用)

 

この記事中の一級建築士の大橋智子さんは友人なんですよ。

 

で、あれ壊すのか!!って驚いたんです。

 

 

この建物、素晴らしくないっすか?

素晴らし過ぎますよね。

 

いったいどこにあるんだよ、と

神保町どこよ、という方もいらっしゃると思うんですが、

じんぼうちょうというのですが、有名な神田古書街です。

古書だけじゃなく、子供達のあこがれ、小学館と集英社もある。

マンガ家の人なら持ち込みで何度も通ったようなところ。

学者の方なら専門書を探してまわったところ。

 

本の街のほぼ中心にあります。

日本の頭脳と教養と趣味と学問の中心地といってもいいでしょう。

 

 

そこに、こんな感じで建っている。
 

 

 

なんか、あれを想い出したんですよ。

有名な絵本



 

アメリカの絵本作家、バージニア・リー・バートンが1942年に描いた代表作です。
 

 

 

どういうお話だったかなあ、と確認してみました。
 

こんな自然の中にのどかに建っていた「小さい家」でしたが、
 

 

だんだんと開発が進み
田舎ではなく都会になっていく

 

ただの都会ではなく、大都会になっていく、超高層が建つ。

 

 

もはや、周辺の環境とはまったく相いれない状況になって

 

 

 

という意味では、「小さい家」の話ではなく、都市の話でした。

 

そうかあ、こんなハードなお話だったかあ、と子供のときに読んで以来でしたが、

子供心に衝撃だったんだなあ、この情景、と思い出しましたね。

 

同時に、この「The LITTLE HOUSE」は世界中で翻訳されて子供達に読まれていますから、

アメリカで初版が出たのは戦前ですけれども、もう80年以上も経過してますが作品の価値が失われていない。

そして、それが万国共通なんだ、ということです。

この絵本を初めて読んだであろう子供の世代は、もう既に90歳近いということです

 

この「小さな家」を通じて、

都市の形成によって何が起きるのか、

開発によって地域がの様相が変わっていく、

昔の風景や建物が失われていくことのもの哀しさ、

歴史や文化の喪失、

経済活動の発展と人間の生活環境の悪化という問題が、

世界共通の課題なんだということがわかります。

 

この絵本を読んで、子供心にヒドイ!と思った世代も、
大人になって建設会社や設計事務所、ゼネコンに就職し、

また、市長や町長、区長や県知事、代議士、国会議員になって、
都市化や開発をむしろ推進しているというのが現実です。

 

つづく

 


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