ここへきて、豊洲市場について問題が噴出しています。
床の積載荷重不足の問題
そして!豊洲では掃除に海水が使えないという話。
さらに、建築物の構造強度不足の問題。
とりあえず、日刊ゲンダイさんがこの話題先行しております。
が!もはや、日刊ゲンダイだけに留めておくことは出来ない勢いなんですよね。
しかし、築地の機能をそのまま移してくれるもんだと思っていた豊洲が、床の積載荷重を700㎏しか見ていないって本当なんでしょうか。
なぜなら、築地に行った人は誰だって見たことあると思うんです、ターレトラック。
この写真に写っているのは、ニチユの「エレトラック」という機種ですが、築地に限らず通称「ターレ」と呼ばれる電動の運搬車両は様々な市場で使われる、はたらく自動車の代名詞。
このニチユは日輸車輌株式会社といいまして、2013年に三菱の子会社となってしまいましたが、小型搬送機械のベンチャー企業です。
グッドデザイン賞も受賞しています。
このターレトラック本体が930㎏の重量があります。
そして荷物の積載量が約1トン(1000㎏)です。
合わせて、2トン(2000㎏)の重量があります。
これが、ガンガン動きまわっているのは、建築の専門家じゃなくても、築地に出入りしている人なら、いや!観光目的の築地場外訪問者であっても、周知の事実。
にもかかわらず、豊洲の新市場は床の積載荷重が700㎏しか見ていない。
なぜなのか?本当なのか?一瞬、耳を目を疑いました。
そしたらですね、ありました。
豊洲新市場を建設するときの床荷重の設定表
ことごとく1トンを超えていません。
まったく築地の状況は無視。
ターレだけで1トンの重量がるにもかかわらず、そこに魚の箱をめいっぱい積むんですよ。
だから2トンにはなってしまうのに
建築の専門家とか関係なく、誰だって分かる話ですよね。
足し算ですよ、ターレが1000㎏、そこに1000㎏の荷物を載せる。
だから、合わせて2トン以上の重量が床にかかる。
だけど、設計したヤツは
その分を見込んで設計していませんでした!でも「にぎわい」とか、ライトアップとか、屋上緑化とかはしています!千客万来です!屋根のデザインは短冊状にしました!シンプルなカタチにしました!100年、200年は持つ施設です!
と言ったらしいけど、、、
寝言は休み休み言え!
と、いいながらも、設計事務所の仕事は提示条件の中で提案を考えるわけですから、東京都側から上記のような積載荷重条件を出されれば、いったんそれで検討せざるを得ないといえば得ない。
しかしながら、検討を進めていく過程で、打ち合わせをしていく過程で、「この積載荷重設定は運用上不足しないか?」と気付き、「荷重条件を見直ししませんか?」と都に具申するのがプロ。
それでも、都が「いや!業者はわしらの言うことを聞け!」と言ったなら、後々どうせ問題になることは目に見えているのだから、そのやりとりを議事録化しておくべきでしょう。
と、思っていましたら、、、
なんと!東京中央卸売市場の設計者選定はコンペではなく、プロポーザルではないですか!
20110304建設工業新聞
ならば、都の条件がおかしいとはいえないぞ。
コンペとプロポーザルとはどう違うかといいますと
コンペは設計競技と言われる以上、主催者が条件をガチガチに組んで、そのレギュレーションの中で設計せざるを得ないんです。
しかし、プロポーザルというのは、応募する側に企画の自由度というか提案力を見るので、「この条件でやれ!」ではなく、「市場はどうしたらいいと思う?」という募集方法なのです。
だから!積載荷重条件といったものも設計者の側で検討し指摘し提案できたはずなんだ。
上記記事でも分かるように、設計者は提案内容で評価決定したとなっている。
ではその提案とは以下の3つになっている
1.技術者の業務実績(30点) これまで類似施設の実績があるか?
これは、日建設計いっぱいあります。
しかも、前記事でご紹介した大田市場は日建設計の仕事です。
2.業務の実施方針・手法や、環境負荷低減や景観形成など設定課題への提案内容(40点)
続いて、仕事の進め方、何人体制でどういった組織構成で仕事に取り組むか?についてですが大企業ですからその点はクリアでしょう。
環境負荷、景観と言っていますが、まあこれは昨今の流行文句ですし、豊洲は埋め立て地ですからあまり周囲を意識しないで自律型の建築提案でかまわないでしょうね。
3.提案書の構成・表現や、ヒアリング審査(30点)
これは、まあ絵が綺麗とか、提案書が読みやすいわかりやすいかといったところですね。そして、ヒアリングはコミュニケーション能力含め審査する側からの質疑応答によります。
以上。
えっ?卸売市場に関する提案力は?流通チェーンに対するプランニングや企画力の審査は評価項目に入っていないの?
それか!
豊洲市場にたとえ様々な問題や、卸売市場として機能的欠陥があっても、考えられる設計者側の言い訳は
「言われたとおりやりました!」でもない
「築地を調査検討したけど気付きませんでした!」でもない
「言われてないんで、卸売市場としての提案はしていません!」
ということなんです。
つまり、
設計者側にはなんの責任もない、卸売市場として使えるか使えないかは知らん、問われていないから、
です。
どうするんでしょう?
各、仲卸しさんにあてがわれたブースが仕事にならないぐらい狭いんだそうです。
続いて、製氷装置の問題。
問題が次々と発覚しております。
東京都/豊洲新市場基本設計/日建設計を選定、12年度着工へ
東京都は、老朽化が進む築地中央卸売市場(中央区)を豊洲地区(江東区)に移転、再整備する計画で3日、環境配慮型プロポーザル方式を適用した「豊洲新市場建設工事基本設計」の委託先を決める公募見積もり合わせを実施し、8610万円で日建設計に決めた。4日に契約する。業務の履行期間は6月末まで。実施設計を経て12年度の着工、14年度の完成を目指す。工期は2年6カ月、施設の工事費は約970億円と見込んでいる。
都は、プロポーザルで日建設計を特定した理由について、▽技術者の業務実績(30点)▽業務の実施方針・手法や、環境負荷低減や景観形成など設定課題への提案内容(40点)▽提案書の構成・表現や、ヒアリング審査(30点)-の各項目に分けて100点満点で評価した技術提案書が最も優れていたとしている。同者の配点や、同者以外にプロポーザルに参加した企業は3日時点で公表していない。
新市場の計画地は東京ガス工場跡地の豊洲5~7街区(約40・7ヘクタール)。公設公営方式で5街区にSRC造地上3階建て延べ約7万平方メートルの青果棟、6街区にSRC造地上4階建て同約12万0350平方メートルの水産仲卸売り場棟、7街区にSRC造地上6階建て同約9万7000平方メートルの水産卸売り場棟とS造地上5階建て同約2万0150平方メートルの管理棟を整備する計画で、これらが基本設計業務の対象施設となる。
新市場の整備に向けては、計画地の土壌汚染対策工事も並行して行うため、先に関連設計作業を応用地質と中央コンサルタンツに委託して進めている。土壌汚染対策工事には1年8カ月(11~12年度)を要すると見込んでいる。千客万来施設など民間が所管する施設については14年度の開場に間に合うよう、市場関係者が独自に設計、工事などを発注する予定だ。