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Channel: 建築エコノミスト 森山高至「土建国防論Blog」Powered by Ameba
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築地市場の豊洲移転が不可能な理由②

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築地とはいったいどういうところなのか?
普通、魚市場なんて誰も行ったことはないですよね。

実家が漁師でも、実家が魚屋でも、漁村や漁港のある街に育ってもなかなか行く機会はありません。
それに、この漁業の世界は荒くれ男の職場、っていうイメージもあるし。

私は瀬戸内海の港町近くの生まれですが、幼少の頃にそうした港で見た大人達の働く姿は、一般に荒くれ男の職場と思われている建設業以上に切った張ったのイキ越しに、圧倒された覚えがあります。
さらにいえば、その後太平洋に出る東北の港町や日本海に出る九州の港町、さらには外洋に向かう船舶が停泊する港街を見ますと、瀬戸内海なんてぜんぜんヌルかったのですが、

そのせいか、今でも港が大好きなのです。
建築と港だと、どちらかという港の方が好きなくらいです。
運河も好きですが、港と繋がる運河とかが最高ですね。


港にいると、こうなんていうか海と空にもっていかれる感じがするのと、港には大型船舶から小舟まで、いつもせわしそうに動き回っている、2サイクルのエンジン音が響き、そこに一定のリズムでザザー、ザザーの低音のリズムを奏でる波が寄せては返す。

港というのは朝と夕がいい。
埠頭の灯りやブイが光る夜もいい。
夏のキラキラする水面もいい、冬の寒天に立ち上る湯気もいい、台風のときの恐ろしい感じも、春のぼんやり曇天のベタ凪もいい、というわけで、港というのは余計な人為的企てが入り込む余地がないところ、自然と人工物がギリギリで拮抗している様がいいんでしょうね。

一方、重化学工業が展開するコンビナートとしての港にも相当シビれるものがあります。諸外国からやってきたタンカー、タグボート、クレーン船や浚渫船が狭い運河をたくみに行き交う。


港湾施設が生産施設そのもの、という重工業感は昨今都市からはずいぶん離れた場所に位置してしまいました。
小さな漁村もコンビナートも一日中居ても見飽きないんですよねえ。

と、このまま延々港論に走ってしまいそうなので、ここら辺にしておいて築地市場の豊洲移転が不可能な理由の②です。

築地市場の平面配置と間取りというのは、こんなカタチをしております。

なんだか、丸いんですよ。
その丸いカタチの周囲を取り巻くように様々な建物が並んでいて、この絵だけみると、ちょうどエンジンとか油圧ポンプのような、なにやら動くものの断面図のように見えますよね。

上の写真は重機の駆動や自動車のパワステに使われる油圧ポンプといわれる機械の断面です。


で、こちらが豊洲


こちらの方は、ちょうど電子回路のような、いくつもの部品やICやLSIが載ったパソコンの基板みたいですよね。

この写真はNECがかつて開発したTK85というマイコンの基板です。


築地と豊洲には、実はこのイメージどおりの違いがあるのです。
油圧ポンプ型が築地、電子回路型が豊洲です。

この違いは空間構成や導線計画のすべてに影響してくる話しなんです。

つづきはまた書きます。


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