原宿駅の現状略図はこんな感じです。
目白のように出口が1カ所というわけでもないのに。
1日の平均乗降客数を見てみますと、、、
お隣の代々木駅と比較しても、あまり変わらないどころか、、、代々木駅よりも少ないんです。
この25年間、ずっと7万人で推移、むしろ変化なし。
原宿駅込む込むは統計の数字では見えてこないんです。
おっかしいなあ、、渋谷駅以上の、身動きできない混雑ぶりなのに、、、と、休日に原宿を訪れた人は、そう思うでしょう?
渋谷駅の乗降客数は、、、ものすごい。
50万人以上、乗り換えもありますが、、100万人に迫る人の動きです。
例の東急地上駅廃止による地下迷路化工事によってJRの乗り換えが徐々に減ってきているのも気になる点ですが、それでも原宿の5倍近い乗降客数です。
て、ことは原宿駅の混み具合は、駅舎の大きさが直接の原因ではないことがわかります。
つまり、駅舎を大きくしても、新築の原宿駅にしても、その混み具合は解決されない可能性です。
山の手線の混み具合を調べた資料がありました。
これを見ると分かりますが、実は「山の手線は池袋から渋谷間だけが突出して混んでいる」ということなんです。
その原因はあきらかで、私鉄ターミナルの池袋、新宿、渋谷の乗り換えのせいであることが分かります。
その間に挟まれている、目白、高田馬場、新大久保、代々木、原宿の各駅は、駅に入ってくる電車が既にギュウギュウになっているということです。
さらには、原宿駅は休日やイベントによってその日の乗降客数が10数万人になることもあり、その乗降時間も午前中10時~午後6時くらいまでがピークで、偏っているということです。
にもかかわらず、この駅には大人数をさばくには、いくつかの欠陥というか、キャパオーバーに加えて、導線計画に無理があります。
たとえば、狭いホームのど真ん中に突っ込んだエスカレーター
このエスカレーターの脇には1メートルほどの通路スペースしか残っていません。
ここに電車が入ってくると、どうなるか、、
まず、電車から降りようとする人の流れ、ホームで待っている人の流れがぶつかる。
そこにエスカーレーターや階段を上ろうとする、降りようとする人の流れが合流、さらに渋滞。
そこに反対車線の電車が到着すると、同じことが両サイドで起こり膠着。
しかも、山の手線の混み具合で確認したように、乗ろうとする電車は既に満員。
逃げ場なし。というトラップが原宿駅ホーム上には、南北階段部分、エスカレーター部分、竹下降り口と4カ所あるのです。
ホームにやっと降りても難関が続きます。
最大の渋滞カ所は、川の流れといっしょで幅を絞ったところ、2階部分にあります。
わざわざ、左右からこの狭い通路で合流させているので、ホームから改札に向かう人と改札からホームに向かう人もぶつかって、流れが止まるのです。
こういうのを「ボトルネック」といいます。
なんらかのシステムの動きを制限する、隘路のことですが、物事の進行を邪魔するカ所のことですね。
コンピューターシステム等ではよく出て来る概念です。
ボトルネックというのは瓶の肩口のことですが、下記の図でも明らかなように、水の流れでも広いところから急に狭くして、ボトルネックがあると、その後を広げても、流れは速くも大きくもなりません。
渋滞したままです。
すーっと目的に近い出口に向かいたいにもかかわらず、この1メートル幅の通路を互いにすり抜けなければならないというトラップが、何カ所も仕掛けてある、造ってある。
原宿駅にはこのボトルネックがいっぱいあるのです。
いっぱいあるだけじゃない、ボトルネックどおしを掛け合わせてさらに、人の歩行を止めている。
現在の原宿駅は、観光客や若者が増えたとか、環境要因、外因、自然現象で混んでいるのではなく、わざわざ混むように導線計画をしてしまっているという、人為的要因ですね。
この流れを変えない限り、駅の機能的問題は解決しないのです。
原宿駅を普段使う方ならお気づきと思うのですが、原宿駅の西側の明治神宮の森の手前に、人が降りない謎のホームがあることはご存知でしょう。
これは、謎でもなんでもなく、年始の初詣のときにだけ使われる臨時ホームというものです。
改札もあります。
なので、原宿駅の概略図は本来以下のようなものなのです。
これを、活用しようと。
森山!なにわざわざここまで引っ張っているんだ?JRの計画でもそうなっているじゃないか!と揚げ足取りの御仁もおられるでしょうが、、
下図がJRの発表記事ですが、先ほどまでのボトルネックの解説でおわかりのように、この新駅計画では、神宮ホーム側に階段とエスカレーターを移しただけで、これまでの駅の不便さと大して変わっていない。
同じことやっているんです。
ボトルネックは温存したまま駅改札を少し広げただけ、トイレを増やしただけ、駅は龍と似ているといいましたが、新駅は「龍のアタマ」を大きくしただけで、外に出る足の数を増やせていないのです。
で、もって、現駅舎のことについては、どうするつもりなのか明示していない、「※現時点でのイメージ」と書いてあるように、今後は変わる可能性もある。
ならばよし!思い切って変えていただこうではありませんか!JRさん。
と、いうことで
原宿駅の改修計画を練るために、
交通計画コンサルタントの阿部等先生と原宿駅周辺の調査、視察といえば、なんだかかっこいいですが、、実際は付近をブラブラしてきましたよ。
▲付近にいらした観光客の人に撮してもらいました
やっぱり、平日の原宿はこんなもんでした。
天気も良くぱーん!と冴え渡る抜けた感じと緑
神宮橋の向こうは森
ちょうど、原宿駅前の交差点は、この辺で一番土地が上がっている場所なんです。
だから、東西南北どちらにも視界が抜けてて気持ちのよい場所です。
代々木オリンピックプールが見えますね。
確かに、遠目には神社の大屋根にも見える緩やかなカーブは、高度成長期のあのころの未来をいまだに感じさせてくれるものです。
昔、この交差点周辺は歩行者天国だったんですよ。
「ジュン・スカイウォーカーズ」とか、「リモート」とか、「ピンクサファイヤ」とか「ザ・ブーム」とか、「一世風靡セピア」とか、
ホコ天出身というのが、ちょうど今のニコニコ動画やユーチューブを使って楽曲をUPするみたいに、毎週いろんな若者がいろんな表現で、いろんな夢を見ていたんだよ、原宿は。
今、必要なのはビルじゃねえんだよ。
つづく
これが、なぜ混むのか?
少ないだけじゃない。