先月の2月18日の刊行の拙著『非常識な建築業界「どや建築」という病』
建築業界の隠された暗部?実際は別に隠していたわけでもなく、旧態依然とした業界が、情報発信をしてこなかった、情報発信を怠っていただけの話なのですが、、、
実際に建築業界の方々からは、「余計なこと言うな」とか「言い過ぎだ」とかいう声は聞こえてこなくて、
むしろ、
「よく言ってくれた」(大手ゼネコン幹部)
「これ読んで施主にあたる行政がもっと建築業界について興味をもってほしい」(開発コンサル)
「よく、少ない頁数で重要な建築問題を俯瞰しまとめたね」(建築評論家)
「建築家や建築デザインの邪道から本道に戻ってほしい」(建築学科教授)
「面白い、スカっとした。」(中堅建築家)
「これ良い本ですね」(建築家重鎮)
「この内容マジっすか?」(高校生)
「学校の気持ち悪さがわかった」(建築学生)
「アルアルだらけで大きくうなずいた」(設計事務所スタッフ)
といったように、面白がっていただけたようで大変嬉しいです。
同時に、私が本意とするところの、「建築業界批判よりも、一般の方々が建築のことを理解しないと、この状況は変わらない」という点についても多くの賛同をいただいております。
まずは、その建築理解の妨げになっている「どや成分」、本筋の周囲に蛎殻のように堆積してくっついている「どや殻」を取り除いて、核となる部分を剥き身にしないといけないのです。
と、いう思いもありまして刊行以来、本を置いていただいている書店さんにはご挨拶、置いていない書店さんには置いていただくお願い行脚をこの一ヶ月ほど行き当たりばったりに続けておりました。
その様子は適時ツイートしておりましたが下記にまとめてあります。
『非常識な建築業界「どや建築」という病』(光文社新書)著者突撃。
街の書店さん販促大作戦。
この書店さん回りは非常に勉強になりました。
大型書店の新書担当者の方や個人商店の店主さんに、出版不況と言われて久しい我が国の書店事情だけでなく、本も八百屋や果物屋さん花屋さんといっしょで、生もの、だということです。
そして、商店街に生活必需品の商店と並んで本屋さんがある。
旅行や出張、転勤等で海外に行くと如実にわかるのですが、本屋さんの数が違います。減ってきているといわれているものの書店の数はとっても多い、前はもっと多かった、日本人は本当に本が好きですね。
出版の統計を見ても、新刊本は毎年8万冊弱も出ている。
統計局http://www.stat.go.jp/data/getujidb/index.htm
全国出版協会http://www.ajpea.or.jp/rip/index.html
出版科学研究所http://www.ajpea.or.jp/rip/index.html
一ヶ月にすると、6666冊。
一日に222冊。
そんなに出ている?
と思いますが、実はそうでもない。
本には種類というものがありますから、歴史だとか文学だとか理工だとか。
その文学でも英米文学、ラテン文学、日本、古典という風に分かれている。
また、ジャンルだけではありません。
専門書、一般という誰向けなのか?という分け方に、単行本、新書、文庫といった書籍形態にも違いがあります。
日本には図書の分類を決めたコードというものがありまして、それを見ると、内容ジャンルとして約100、形態で10、対象として10。
組み合わせでいけば、一般向けで、単行本で、絵画・彫刻という風に、10×10×100の1万種類
約1万冊の中からの222冊ということになります。
年間で考えても1万種類に各8冊相当ということであり、めったに発刊されないタイプの本もあるということです。
たとえば、子供向けの新書で採鉱・冶金の本とか、実用の絵本で民族・風習の本といったものは、あまり見たことがないでしょう。
むしろ、社会科学系や技術系、文学の文庫が占める割合が多いです。
発行点数の中で文庫は約8000、新書で4000という感じです。
つまり、社会科学系の文庫、大衆文学の文庫のジャンルがもっとも多いということですね。
その中でも年間8万冊もの発行部数の中で、ベストセラーの上位になるということはものすごいことです。
発行される本としての競争が50分の1、その中から年間ベストセラー100位に入るなんていうのは、800分の1ですから4万冊に1冊ということなんです。
統計を見ると、1万種類の本の中で、50分の1の毎日200冊の中で多くを占めるのが、大衆文学か社会科学系、技術系の本ということです。
むしろ、そこが売れる本ということになるでしょうか
確率統計的にそのまま積み上げると、大衆文学で社会科学系で技術をウリにした本。
たとえば、「大衆文学の歴史とその書き方」もうすこし分かりやすくするなら、「佐伯泰英の描く江戸の地図」とか「池井戸潤と話す現代日本の経済学」といったものが売れるということになります。
逆に、執筆するのならば、技術的裏付けをもって社会の仕組みを描いた大衆文学を書けばいいということになります。
と、本の経済学というものを考えてみたわけですけれど
その本を取り扱う書店さんの数が近年減っているのです。
書店数の推移
http://www.1book.co.jp/001166.html