「俺の屍を越えて行け」という名作ゲームがあります。
通称「俺屍(おれしか)」です。
ゲームデザイナー桝田省治さんの15年前の作品です。
私の著書「マンガ建築考」と同じ技術評論社さんのシリーズで
「ゲームデザイン脳」という非常に面白い著書を出されています。
このゲーム、どこが画期的だったかというと、
通常のRPGではありえない設定。
ゲーム開始早々主人公が死ぬんです。
時は平安、京の都を荒らしまわる朱点童子に帝が送った討伐の勇者はことごとく打倒される中、お輪と源太というひと組みの夫婦が朱点童子に立ち向かうものの奮闘むなしく源太討死にし、お輪と幼子は朱点に呪いをかけられてしまいます。その呪いとは成長を早められ生後1年半から2年で死亡するという「短命の呪い」です。
ゲームのプレイ中に自分があやつっていたキャラが必ず死期を迎えてしまうため、一族の家系図が出来上がっていきますが
上図に並んだキャラクターの8割は既に亡くなった祖先たちですね。
結果として、ゲームをクリアするまでに何人もの勇者の死を迎えなければならない、何世代にもかけてひとつの目的を遂げたときの、達成感や寂寥さといったものがゲームを通じて体験させられてしまうという凄い設定なのです。
そんな「俺屍」を想い出してしまうのが、伊東豊雄先生の作品履歴なんです。
つづく
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新国立競技場のもう1つの可能性。ケンチクカボカン伊東豊雄②
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