Quantcast
Channel: 建築エコノミスト 森山高至「土建国防論Blog」Powered by Ameba
Viewing all articles
Browse latest Browse all 676

「ザ・ファブル」の建築的考察①

$
0
0
ここ数年で、ホント最高だよな!と私が思っているマンガ作品があります。それはですね 「ザ・ファブル」です。 作者は南勝久先生、「なにわ友あれ」その前編は「ナニワトモアレ」という、大阪の走り屋いわゆる暴走族、環状を舞台にしているので環状族ともいいますが、を舞台にした作品を15年もの長きにわたり連載されていました。 その作品の特徴はですね、いつもトーンがかけてある、夜を表現している。 そして、ドライな人の死、軽妙かつシリアスでリアルな会話、無音、そしてトボケタ味とハードボイルドな空気感ですね。読むと、ヒリヒリする、そういう作品。 あと車の描写がいい。ジェイソン・ステイサム先生の映画ワイルドスピードのすいぶん前ですからね。全部のコマに、トーンかかっているでしょう? ほぼフルトーン貼り。今はコンピューターでトーンは簡単に載りますが、今から20年前から、どんだけトーン貼っとんねん、という絵柄です。 とうの昔に、暴走族も走り屋もいなくなっているし、そういう世界はもはや、世の中に存在しないはずなのに、この「ナニワトモアレ」「なにわ友あれ」シリーズには、大阪のある時期のある青春が、すっごいリアリティで詰まっている。しかも、高校で田舎から都会に出ちゃった人には、存在しなかった、いわゆる地元の世界です。 ヤンキー漫画?とも思うのですが、ちょっと違う。ヤンキー漫画というのは、学校を舞台として世界を狭くすることで、ストーリーを単純化したり、またフィクションであることも伝わる。そこでのバトルというか暴力描写は、ヤンキー漫画ゆえの様式美みたいなものがありますから、そういうですね、暴力に対する、安心感があると思うんですね。 しかしですね、南勝久の描く世界は、リアルな暴力、目的なき暴力というか吹きだまり感、しかしそこにあるリアリティには、儚さとか哲学みたいなものが浮かび上がってしまうという純文学的なものなんです。 強いて上げるとすれば、私には、中上健次さんの小説に通ずるものを感じました。映画では、小栗康平監督作品ですね。 その南勝久のナニワトモアレは、最初の頃と最後の方ではずいぶんタッチも変わってしまうし、いわば違う作品ともいえるんですが、その南勝久の世界観を完璧に組み立てて、連載開始しキッチリと終わらせてみせたのが、 「ザ・ファブル」なんです。 週刊ヤングマガジン』(講談社)続きをみる

『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』


Viewing all articles
Browse latest Browse all 676

Trending Articles