医療機関の空間が感染症に対して脆弱なんじゃないのか?大丈夫なのか?についての続きです。 BBCで大変なニュースが流れました。東京圏の病院は「感染患者でひっ迫」 新型ウイルス専用治療室の内部 聖マリアンナ医科大学には感染症センターがあるのですが、そこのICUに新型コロナウィルスCOVID-19の患者さんを収容していて、これ以上患者さんが増えると大変な状況とのことです。 この映像にもあるとおり、ICU( Intensive Care Unit =集中治療室)では、呼吸、循環、代謝その他の重篤な急性機能不全の患者を、24時間体制で管理することになります。 通常、ICUは手術室を同じように清浄ゾーンとして管理されているかと思いきや、 重篤な急性機能不全を対象ということで、必ずしも感染症を対象としていないため、下図のようにICUは手術室とは違うゾーン管理です。 このレイアウト図のあるように、手術室まわりはどこの病院も清潔ゾーンと準清潔ゾーンの管理計画を元にプランニングされています。 しかしながら、新型コロナウィルスの患者を収容したICUはBBCのニュースで、イエローの先の汚染ゾーンと設定されます。 当然といえばそうなのですが、感染症患者を収容したICUは汚染ゾーンになるわけです。だから、そこで患者さんの治療にかかわる方々の入出管理が大変に重要なんです。 この映像でもわかるように、青いフレームのパーティションで廊下を臨時に間仕切って気密性を確保していますね。この工事をやらなきゃいけないんです。 今後、各地で新型コロナウィルスの患者さんに対応する医院では、発症者のケアと隔離封じ込めをやらなきゃいけない。しかし、通常の医院はそのように設計されていないんです。だから、既存プランの中から動線と空気の流れを考慮したゾーン管理と緊急的なリフォームが必要になってくるということです。 この映像でも廊下は安全ゾーンだけど、ICUに入るための前室は「この先黄エリア」と表記されていますね。つまり、この先は準清潔ゾーンの前室を介して、患者さんがウィルスを放出しているレッドゾーンなのです。 しかし、ICUというのは日本語で集中治療室というように、いろんな生命維持装置をつなぎ、患者さんの状態を常に経過観察しなくてはいけない状態です。大勢のスタッフがつきっきりで、生きるか死ぬかの患者さんを診ているそういう空間なんですね。 だから、通常はむしろ、オープン。さっと、行き来ができるように。 患者さんのプライバシーに配慮してカーテンだけとか、重篤な患者さんだったりすると意識もないのと、誰か部外者がのぞき込むわけでもないので、 少ないスタッフで、ベッドを回すためには、もうフルオープン。 そういう、空間です。急に状況悪くなることもあるし、急ぎで対処できるように、ヘルプも呼びやすいように、という意味でも。 ところが、ですね。新型コロナウィルスの感染患者さんをICUに収容したらどうなるか…というと、 海外の報道ではちゃんと伝えてくれていますが(日本ではなぜか報道しませんね)、 こうなります。こうしないといけません。 防護服にマスクだけじゃないんです。 よく見てください。マスクからチューブが腰や背中に伸びている。 全員、フルアーマー。この空間内は患者さんから排菌されるウィルスで満ちているからです。 なので防護服だけではダメです。「バーサフロー」が必要です。 バーサフローというのは、日本語で「送気マスク」と呼ばれるもので、もともとは医療機器ではなく、建設作業機器です。溶接や塗装作業時の有毒ガスから人間を守るものですね。 溶接のときになぜバーサフローが必要かと続きをみる
『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』