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Channel: 建築エコノミスト 森山高至「土建国防論Blog」Powered by Ameba
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今年の流行語大賞は「P」だと思います。

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今年の流行語大賞のノミネートが揉めているようですね。

流行語というのは世相を反映し、多くの人がその言葉を使ったり、その言葉を二次使用してさらに広まったり、これまでなかった新語だったりするのが一般的なんだと思うんですね。

そういう意味では、方々で批判にさらされているように、

「保育園落ちた日本死ね」が果たして流行語なんでしょうか、、一時期話題にはなりましたが、そのことで待機児童問題が話題にはなりましたが、私のまわりで「保育園落ちた日本死ね」を使っている人など聞いたことがありません。

 

百歩譲って、この派生形「会社面接落ちた日本死ね」「資格試験落ちた日本死ね」「公団住宅落ちた日本死ね」でも、あった日には、まあ、流行っているといえなくもない。

 

しかし、こうして派生形を考えてみると、そのおかしさがはっきりします。

普通、何かに落ちたからといって、日本死ねとか、こういう言い方はしない。

 

そもそも、流行語大賞というものが、どういうものかを紐解いてみると、wikiによれば、

https://ja.wikipedia.org/wiki/新語・流行語大賞

結構、聞いたことがあるような、今ではすっかり忘れてしまったような言葉も数多くあります。

この中で、今でも使われたりその語彙が生き残っているもの等、稀です。

Jリーグ、無党派、リベンジ、雑草魂、IT革命、毒まんじゅう、マニフェスト、品格、アラフォー、政権交代、なでしこジャパン、くらいでしょうか。

 

後は、なんだかもはや、前後関係も意味も分からなくなっているものばかり。

昨年の「爆買い」は、まだ実感ありましたが、今年の「神ってる」については、えっ?いつこんな言葉流行したの?というくらいのものでした。

 

私個人的には、今年は、やはり「盛り土」でしょうと思いましたが、散々盛り土盛り土言われていましたが、豊洲市場問題以外で「盛り土」が出てくることはないし、昔から建設現場ではよく使われる言葉であって、新語でもない。

普段の生活で「盛り土ってるねえ」とか使われる汎用性はありませんでした。

 

そういう意味では、私が今年散々耳にした言葉としては、「P」の付く言葉がずいぶん多かったなあ、という印象です。

 

「TPP」

「PPAP」

「AP2.0」

「PT」

「HACCP」

全部、Pが付く。

Pだらけ。

今年はPの歳

 

「TPP」とは、環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement )

 

 

「PPAP」とは、ペンパイナッポーアッポーペン(Pen Pineapple Apple Pen)

 

 

「AP2.0」とは、荒川工事基準面から2.0メートルの高さ(Arakawa Peil)

 

 

「PT」とは、特別目的に編成された臨時の組織(Project Team)

 

 

「HACCP」とは、危害分析重要管理点(Hazard Analysis and Critical Control Point)

 

 

がそれぞれの略です。

 

それぞれがどういうものかを簡単に見ていきますと、TPPの方は自由貿易に関する国際的な協定のことです。参加国間で自由に貿易しましょうよ、という意味です。

自由に貿易?昔から言われているように、日本は資源がないから、どっかの資源国から原料を輸入して、加工品を輸出している、今でも自由にやっているんじゃないの?と思われるでしょう。

貿易における自由というのは、輸出入をおこなうことの自由を指すのではありません。

 

これ、たぶん翻訳ミスだと思うのですが、Free Trade Agreementを自由協定としてしまうと、なにやら、「気ままに自ままに好きなように行動できることは良いことだ」という風に結びついてしまい、なんで?なんで自由がダメなの?と現代の日本人は考えてしまうでしょう。

 

Freeというのは、「自由」という自発的な語意よりもむしろ、「束縛を受けない」「制限されない」という語意を強くもった言葉であり、Free Trade Agreementとは、「無制限貿易協定」と約すべきものだからです。

 

自由貿易というのと無制限貿易というのではずいぶんニュアンスが違って聞こえませんか?日本人は勘違いしている人が多いですが、Free Tradeの本当の意味は後者、自由ではなく無制限です。

 

フリーランスという言葉も、自由に契約して稼ぐ自由人という風にカッコよく解釈されていますが、語源をたどれば、「フリー」な「ランス=槍騎兵」であり傭兵、いわば無法な兵士です。

 

つまり、TPPとは、「無制限貿易のための環太平洋戦略的経済連携協定」ということなのです。

 

無制限貿易というのは具体的には関税の廃止です。

その他関税同様に作用する免許制度や許認可制度の廃止を意味します。

 

この一見、いいことのように聞こえる自由貿易ですが、その歴史は非常に最近のもので、概念が登場したのが19世紀前半、実行に移されたのは1842年のアヘン戦争からです。

 

 

 


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