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Channel: 建築エコノミスト 森山高至「土建国防論Blog」Powered by Ameba
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建築の鉄人、村野藤吾とは

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昨年から、話題にはなっていたんです。
もしかして壊されてしまうかも、、、、、と

新国立競技場問題の陰に隠れていましたが。

国立競技場も解体されてしまったように、
2015年はですね、日本中で戦後の名建築と言われた建物が壊されるかもしれない、もう壊した、これから壊す、といったような建築の危機。

後世、平成27年2015年は建築解体年といってもいわれるようになるかもしれません。

私はこれを全国の建築解体危機として問題視しています。

と、いいましても、社会的背景を考えてみればやむを得ない面もあるっちゃあ、あるんです。

それは、戦後の復興で建設された各地の公共施設や社会インフラが、ほぼ50年を超えてきて、なんらかの社会的寿命を迎えているからなんです。

少子化で廃校になってしまった。
産業が衰退してしまった。
利用頻度が減った来場者が減った。
維持費がかかる。

といったような。

しかしながら、これらの公共施設は建設当時は「まさか50年も経たずして解体されるとは?!」思ってもみなかったようなものばかりです。

戦前の施設といえば公共でもなんでもほとんど木造。
そして、江戸時代から数えれば200年は経過していたものの、火事や災害、戦災の空襲で焼失した。

それに引き替え、燃えない建材としてコンクリートを推奨。

構造が、「100年以上持つ」と思われた、豪語していた当時の新しい技術(そして今もこれしかないのですが)、関東大震災以降に登場した同潤会アパートに見られるような耐震性、鉄筋コンクリート構造であったからです。

それが、50年ほどで解体。

以前より度々ご紹介している青木茂さんの例をひもとくまでもなく、これらの建築物の箱部分は、手を入れていけば本当はまだまだ使えるんですよ。

木造の建築物が数百年の時間を耐えうる、、というのも、ほったらかしではなく、随時手を入れていたから残っているんです。
同時に、社会の変遷で機能上使われなくなった建物は、新たな機能に転用してきました。

鉄筋コンクリート構造でも同じなんです。

なぜ、何が今、解体危機問題かといいますと、、

村野藤吾建築が解体危機です。
まった無しです。

村野藤吾?と聞いても一般の方々、九州地元の八幡の方々でも、あまりピンとこないでしょう。


もう、30年以上も前にお亡くなりになっていますが、戦前戦後を通じて日本の建築界を代表するような御仁です。

もっと世界的に有名になってもいい建築家です。

プリツッカー賞が建築界のノーベル賞とか言われていますが、当のジェイ・プリツッカーとやらがまだシカゴで最初の商売のモーテルを買う前から、村野藤吾は巨匠でした。

様々なジャンルでそういう方がいますよね。

世界的な世界で通ずる実力を持ちながら、たまたま時代や環境の制約、また世界基準に準ずることを潔しとしなかったことで、、という方。

レーサーではついにF1で走らなかった星野一義さんとか


メジャーにいけばもしかしたらイチローのごとく活躍した篠塚選手とか


孤高の天才数学者の岡潔とか


ま、村野さんもそのたぐいです。

日本が国際社会にデビューしたころには最晩年に達してらっしゃいました。

その村野さんが地元で設計した小さな図書館。

北九州市八幡図書館、1955年竣工。
60歳、還暦です。

と、聞きますと、よくある当時の地方の公共施設に見られるような、杉板の木目がガサガサして暗く重い感じのコンクリート打ち放し建築を思い浮かべるかもしれませんが、、

こんな建物です。

こちらの画像は「建築マップ:北九州市立八幡図書館」および
https://twitter.com/take_all_aさんによる以下のブログ
http://allxa.blog114.fc2.com/blog-entry-1221.html
の画像を引用させていただいています。

尚、当初の5月11日時点でhttps://twitter.com/take_all_aさんに了承無く引用させていただいたことをお詫びいたします。
その間の経緯http://togetter.com/li/974327



なんか、、、カワイイ。

何々、この模様、というかデザインパターン。

これは煉瓦タイルとコンクリートで作られています。
昔のマイコン、初代ファミコンのゲームキャラのドット絵みたいに


なんか、ですね。
北九州市はこの建物を壊そうとしているらしんです。

図書館の老朽化にともなう建て替え?ならしょうがないんじゃないか?
森山!なんでもかんでも残せ残せとかうるせい!思うむきもあるでしょう。

ところが!なんです。

既に新しい図書館は建っているんです。

だから!この旧図書館を壊して建て替えるわけではないのです。

じゃあ、なんで壊すんだ?と思われるでしょう。

ちょっとにわかには信じられなかったんですが、、、、

駐車場にするらしいです。

ただの地面に戻してアスファルト敷いただけの平面駐車場に。

ただじゃなくて、100円入れるTIMESみたいな無人機械式の駐車場かもしれませんが、、


そんなに駐車場不足してんのかよ!どんな大都会なんだよ!北九州市!と思って


調べて見ましたら
、、、
、、、



まわり、空き地だらけじゃん!


この北九州市の愚挙につきまして、

同時に、建築の鉄人である村野藤吾につきまして、

集中的に連載をかましときたいと思います。

つづく


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