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知の闘魂と堀部安嗣と

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堀部さんのことを書いておりましたら、割と評判が良い。
そして!松原先生による『非常識な建築業界「どや建築」という病』の書評を読んで本を買っていただいた方も多い。

みなさん、ありがとうございます。

松原先生の唱える社会経済学がどのようなものであるのか。
はたまた堀部とは、安嗣とは。

ええ、堀部安嗣論をそろそろ本格的に始めてみるか、
という矢先のことです。

なんと!堀部安嗣さん、本日平成28年4月18日付けで、日本建築学会賞を受賞されました!!
https://www.aij.or.jp/2016/2016prize.html

これはですねえ、凄いことなんですよ。

1949年、敗戦後日本がまだ独立していないころに始まったもので日本でもっとも権威のある建築の賞です。


谷口吉生さんの御尊父、谷口吉朗さんに藤村記念館という作品で第1回の賞の授与を受けられ、今年で第68回。
毎年1件から3件、該当作無しのときもある。

ということは、68年間でざっと200件あまりしかない。
68年間で建築家200人しか受賞していない。
そんな賞です。


1世代に大学の建築学科や専門学校を卒業し設計実務に就く人は、つまりは建築の同級生というのは、日本中全部合わせて約4万人弱。

その中で、意匠設計の道に進む人が2割いるとして8000人。
その中でも、建築家と他人からそう見做される人、約1割の800人。
その中から、コンスタントに高い作品性をもった建築を設計する人1割強と見て100人とした場合に

68年間では6800人の優れた建築家が存在しているということになるわけですが

その6800人から、200人ほどしか日本建築学会賞受賞者はいないんです。

この68年間で建築を学んだ人約300万人からの200人
意匠設計に取り組む人約55万人からの200人
68年間の建築家の約5万人の中からの200人なんです、建築学会賞は。
1世代から1人受賞者が出るかどうかもわからない。

これは、どういうことかというと、学会賞ですから他の研究分野材料学や構造学、設備や環境学の博士論文で賞をもらうようなもの。

なので、建築学会作品賞の方は、そのまま大学教授になってしまうというくらいの業績ですね。

だから、2回目以降の建築家のお名前もアントニン・レイモンド、前川国男、村野藤吾、堀口捨巳、丹下健三、山田守、坂倉準三、吉村順三、といった歴史、歴史的ビッグネームが並びます。

物件も、戦後の復興を日本の高度成長期を担うような大型公共建設物。戦後の街の顔になったような建築物で皆さん受賞されています。


つまり、建築意匠の深みというだけでなく、各時代の社会情勢をも含めたその年代を代表するような作品でなければならない。

なので、住宅とかいった小さな物件での受賞者は非常に少ないです。

清家清、篠原一男、宮脇檀、安藤忠雄、林雅子、高須賀晋、伊東豊雄、石井修、山本理顕、坂本一成、石井和紘、村上徹、東孝光、岸和郎、齋藤裕、渡辺明、大谷弘明、椎名英三、、、20名ほど

しかも、長年の業績に対しの方々もいらっしゃるので

単体の小規模物件そのものでの建築学会賞は

宮脇檀、安藤忠雄、伊東豊雄、山本理顕、坂本一成、石井和紘、岸和郎、齋藤裕、渡辺明、大谷弘明、椎名英三

そして堀部安嗣

つまり、小規模物件でありながら、何かの時代精神を現し、巨大な公共建設物に勝るとも劣らない文化的な貢献をもった作品というのは、

68年間で20人しか受賞できないくらいのハードルなんです。

つづく








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