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国立競技場の解体工事が決まらない理由 6

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現国立競技場の解体工事は大変なんだよ、の解説がつづいているさなか
昨日のことですが、選挙結果と関係あるのかないのか、
俺へのあてつけなのか、12月15日付けで

オスカー・ニーマイヤーさん死去(2012年12月5日)
12月15日生まれの建築家

他に12月15日生まれの気になる人は、
谷川俊太郎、早川義夫、ポール・シムノン、ホセ・カレーラス、近藤等則、松尾スズキとかかな


とりあえず次のような報道。

国立競技場の解体業者、決定 取り壊しは年明けに

東京五輪のメイン会場として建て替えられる国立競技場の解体業者が15日、決まった。事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は、2工区に分けて発注した競技場南側の業者として、関東建設興業(埼玉県行田市)と約15億円で契約したと発表した。当初7月開始予定だった取り壊しは、年明けになる見込み。
 JSCは8月、2回目の南工区の発注で関東建設興業と約18億6千万円で契約を結んだが、手続きミスを指摘され入札をやり直した。今月2日にあった3回目の開札では、複数業者の応札額が最低基準価格を下回り、適正な工事が出来るか調査していた。落札額が前回より3・6億円安くなったのは、工事で出るゴミをJSC側が処分するなどの内容に変えたためという。北工区はJSCが業者を調査しており未決定。

朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASGDH5WCGGDHUTQP01B.html

JSCのHPでも発表されています。






どこが落とすのかなあ、、と思ってましたら
なんと!
再度、埼玉県は行田市の関東建設興業さんでしたね。

でも、確か前回の2回目入札で官製談合うんぬんで調査と捜査をおこなっているとかいないとか、そしてその報告もないままなんですけどね。

で、因縁のフジムラさんがまたしても二着。

その辺については、私の知識の管轄外ですから現時点で何も申し上げることはないわけですが

これまでの解説で解体工事というのも現場の状況をよく調べ、次に何が建つのか、を考えて壊さないと大変なのが事実です。

建築業における解体工事の市場規模は、除却届を提出しているものが年間2500万㎡程度といわれており、実際は軽微なものを含めてその倍5000万㎡くらい、5000億円規模の業界といわれております。

ひとくちに、解体工事業者といいましてもふたつの在り様があります。

ひとつめは、建設業許可の管轄の総合建設土木業の全体の中で500万円以上の解体工事をやる業者→これは建設業許可業者。
ふたつめは、建設リサイクル法で登録している500万円以下の軽微な解体工事をおこなう業者→これが解体工事業者。

全国で1万社ほどの解体業者がいますが、後者がその8割を占めています。

結果として全社約2千社の建設業許可の解体業者、元請けポジションの会社があり、大型の公共案件等では大手、中堅、中小ゼネコンが受注したものを、下請け、孫請けに流していくという重層構造になっています。

一時、その社歌で有名になった日本ブレイク工業という会社がありました。解体業をもっと世に知らしめようということでずいぶん有名になりましが、同様にそんなに大きな会社ではありませんでした。残念なことに経営破たんしてしまったようです。

「天体戦士サンレッドのテーマ曲」も歌われている萬Zさんの「日本ブレイク工業社歌」好きだったんですけどね。




そのような解体工事業界ですが、

1500社が加盟している業界団体「社団法人全国解体工事業団体連合会」から社団法人全国解体工事業団体連合会提出資料 - 環境省なる資料が提出されており、業界の事情がよくわかります。

また東京都内の解体業者団体一般社団法人東京建物解体協会はHPもありまして、都内解体工事業の正会員企業さんが並んでいます。


足立区
 永島工業(株) [専務理事]
 (有)大内解体工業所 
 (株)三田土木 
 (株)黒姫 [監事
 春日解体工業(株) 
 川口解体工業(株) [理事] 
 麻生土木(株) 
 (株)カシモト 
 (株)萩生田商事
 (株)東陽クラブトウェンティワン 
 (㈱)明世建設
 (株)新政工業

大田区
 京浜運送(株) 
 金沢商店(株) 
 酒井建設工業(株) 
 カイタイ工業
 (株)伊藤解体工業 
 (株)八重洲組
 リプロ興業(株)
 板原工業(株)

北区
 ハウスブレーカー工業(株)
 南雲興業(株)
 津久波工業(株) [理事]
 (株)髙山工業 [会長] 
 深澤工業(株) 
 定山鋼材(株)
 髙成建設工業(株)

墨田区
 (株)高野工業所 
 (株)アサバ 
 (株)タジマコーポレーション 
 (株)柳原解体 
 (株)中橋工務店 [副会長] 
 三和解体工業(株) [理事]
 (株)丸初田中興業 
 木山興産(株)
 ベステラ(株)
 オカコー(㈱)東京支店

江戸川区
 桂興産(株) 
 (有)ホリグチ工務店 
 西川金属(株) 
 (株)フジムラ 
 (株)チップ興業
 (有)力開発

台東区
 大竹工業(株)
 (株)東京解体工事工業所 
 関東建設興業(株)東京支店 
 永井産業(株)

千代田区
 (株)阿野組
 (株)高橋工務店 [副会長]
 (株)光解体 
 (株)エコシスホールディングス

新宿区
 (株)内村工業 
 (株)ライフエコロジー
 (株)あさひコーポレーション
 互恵建設(株)

品川区
 (株)小林商店 [理事] 
 新栄興業(株) [理事]

港区
 東亜道路工業(株)
 (株)マツヒロ 
 新東洋土木(㈱)

中央区
 (株)大都 東京支店

渋谷区
  東京造園(株) 
 豊島区関東路材(株) 
 (株)杉山工事 

板橋区
 都商事(株) [理事]
 (株)六大工業

荒川区
 AOKI(株) 
 (株)関野工務店 

江東区
 (株)ナベカヰ 

世田谷区
 (株)未来  

杉並区
 山口工業(株) 
 (株)アーバン黒岡工業 [監事]
 (株)日向興発 
 (株)NIKKO

練馬区
 (株)朝日重機 
 (株)TNK 
 (株)サカキ重機

文京区
 (株)アサノ大成基礎エンジニアリング

武蔵野市
 (株)大島屋

三鷹市
(株)丸利根アペックス

府中市
 池田土木(株) [理事]
 (有)御幸工業 
 
国分寺市
 三和建設(株)
      
立川市
 (株)エコワス

多摩市
 (株)ジャパン・リサイクル・システム

東村山市
 古酒建設工業(株)

町田市
 アスベックス(株)   

あきる野市
 (株)三浦屋興業

稲城市
(株)川上商店

市川市
(株)枝川工業

所沢市
(株)ユーワ


都内の解体業者もいっぱいいるのに、彼らは今回は受注できないんですかね。それとも関東建設興業の下請けやるのかなあ。

そもそも、本来ならゼネコンが元請けに入るのが順当な大工事だと思うんですけどね。

この「社団法人全国解体工事業団体連合会」と「一般社団法人東京建築解体協会」両方で会長を務められているのが、北区の(株)高山工業ですが、HPの実績欄を拝見いたしますと、確かに両団体の会長というだけの実績です。

特に、平成に入ってからの都内の主だった解体工事実績が凄いですね。大型開発案件、インフラ系でも大活躍されています。

平成~

日本たばこ産業泰野工場 ジェイティ本社ビル 安田倉庫本館ビル
中央合同庁舎赤レンガ棟 日本郵船品川倉庫 東京国際フォーラム
ジェイティ古河倉庫 羽田国際空港ターミナル 成田第一ターミナル北棟サテライトフィンガー 勝永溜池ビル 川崎競馬場 永田町二丁目 日本都市センター会館 
聖路加国際病院 東海大付属高輪高校 ガレリア・ユギ 旧丸ビル 池坊御茶ノ水学院
帝蚕倉庫 日本精工多摩川工場 旧江東清掃工場 キリンビール東京工場 
第一ホテル大森 生涯学習センター ニッピ 明治製菓京橋本社ビル 東京ホテル浦島
日本フィルター朝霞 合同庁舎7号館 ニューロッテプラザ JR病院 芝浦4丁目計画
代々木ゼミナール 丸の内二丁目 御茶ノ水セントラル 六本木1丁目 丸の内2丁目計画新築工事躯体内装解体工事 御茶ノ水セントラルビル解体工事 御茶ノ水セントラルビル
解体工事(地上部)解体-2(躯体解体) 新日鐵ビル全館改修計画内装解体工事
KS4-6計画解体(地下部)他工事解体-1(本体解体) 東京都美術館改修工事 真如苑総本部改修工事 大伝馬町ビル解体工事 京王吉祥寺ビル解体工事 北品川5丁目再開発赤坂プリンスホテル解体工事 そごう八王子店内装解体工事 都立大泉高校解体工事
鉄鋼ビル解体工事 羽田国際線ターミナル ヒューリック新宿ビル 他


さらに本年のことですが、「解体工事業」は「とび・土工・コンクリート工事」から分離独立して、許可業種のひとつに昇格しました。

日刊建設工業新聞より
国土交通省は、建設業法で定める建設業の許可業種区分に「解体工事」を新設する。現行28業種に新区分を追加する業法改正案を24日開会の通常国会に提出する。許可業種区分の見直しは、1971年に建設業を登録制から許可制に切り替えて現行区分を設定して以来43年ぶりとなる。
この全解工連(全国解体工事業団体連合会)の会長、高山眞幸氏は「循環型社会を構築するため、解体工事業の知識と技術の必要性を訴えてきた」と感慨深かったそうです。
http://www.decn.co.jp/?p=4240

というように、解体工事も建築ストック活用、資源の再利用や廃棄物の適切な処理も含めて循環型社会における建築工事技術上の重要な役割と認識されたわけです。

といった全解工連会長の尽力と無関係のところで、なんだか焦りに焦って、やみくもに決めたことにした!決まったと上の者に報告したいんです!といった風のある国立競技場の解体工事業者決定の報です。

まず、工区割が間違っている。


これまで、地盤や杭や基礎の問題を見てきた今では誰でも分かりますよね。
これが現国立競技場の復元立面図です。(久米設計作成)


この建物は敷地が西に向かって下がっているんです。
同時に基礎の状況も南北ではなく東西で違うんです。

同時に、地上部だけを壊しても意味はない。
地下がある、杭がある。

だから、正しい工区割はこう!


しかも、報道で発表されたように想定解体費用の18億に対し、
13億円で落札し、だけど契約が15億ってなんだ?それ?
中身を見せろ!
消費税?デカいなあ。

同時に、一番妙なのが解体処分費用をJSCもち?だから値段が下がる?
処分しないで敷地処理というのなら減るというのは理解できるが、

処分費用別立てって
なんにも下がってねえじゃん!

むしろ、これからもっと増えるじゃん!

もしや、、、処分場見つかってないまま応札させたのか?

全解工連さんたちにちゃんと筋通して入札してんのか?
東京建築解体協会とかに話つけてる?

それに、今の入札額には俺がもっとも心配している杭の処理代金入ってないぞ。

これ、年越しまでのゴマカシなんじゃないんでしょうか。
それで文科省もJSCの中の人も異動の辞令を待ってるのかな。

そもそも二回目の入札での不可解な状況について多くの人は理解できていないと思うのです。

10月6日の東京新聞の記事をご紹介しておきます。


東京新聞(10月6日)
国立解体 不可解対応 入札やり直し 入札前日に費用内訳開封

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tokyo_olympic2020/list/CK2014100602100016.html



記事の引用

七月の再入札では、両工区に延べ十三社が参加。JSCは、入札前日から不可解な動きを見せていた。入札参加業者が入札書と工事費内訳書を持参し 七月の再入札では、両工区に延べ十三社が参加。JSCは、入札前日から不可解な動きを見せていた。入札参加業者が入札書と工事費内訳書を持参した際、入札前にもかかわらず、JSCの担当者が開封して中身を確認したのだった。

 「いきなり封を開けて中身を見たので『えっ』と思った」。業者の一人は目を疑ったという。内訳書を見れば、業者の入札額が分かるからだ。しかもJSCは同じ日に予定価格を決めた。業者側は「各社の入札額を先に確認してから、予定価格を決めたと疑われても仕方ない」と批判する。

 そして入札当日。両工区とも最低価格を提示したのは都内の業者だったが、JSCは「特別重点調査」の対象として契約は保留。南工区では二番目に低い価格を示した都内の別の業者も調査の対象とした。

 特別重点調査は、過度な安値落札による手抜き工事や「下請けいじめ」を防ぐため、国土交通省が二〇〇六年に導入した制度。過度なダンピングの疑いがあれば、発注側は業者から積算根拠などの説明を求め、合否を決める。国交省によると、同省が一二年度に発注した公共工事約九千件のうち、特別重点調査の対象はわずか五件で、うち失格は一件だけだった。

 調査に対し、両社とも大量の追加資料を提出し、見積もりの正当性を主張したが、失格。「JSCの調査は書類の形式的な不備などを挙げるだけで、具体的な指摘はなかった」と口をそろえる。国交省の担当者は「業者にとっては死活問題なので丁寧に調査する。書類の不備で失格とすることはない」と説明する。

 結局、南北二つの工区で両社の次に低価格を提示した埼玉県内の業者が落札した。落札額は計三十八億七千百八十万円(税込み)。最低価格を提示しながら失格となった業者が、検討委に苦情を申し立てていた。

特別重点調査の方法や内容について、JSCの担当者は本紙の取材に「国交省と同じ基準で適正に判断している。この低価格では適切な工事ができない恐れがあると判断した場合、失格としている」と説明。七月の入札で二社を失格とした理由については「どこが駄目だったかということは、業者の不利益につながるので言えない」と答えた。


五十嵐敬喜(たかよし)法政大名誉教授(公共事業論)の話 五月の入札は業者の入札金額が高すぎてやり直しになったのに、七月の再入札では安い価格を入れた業者を十分な説明もなく失格としており、不可解だ。検討委の指摘は形式的な手続きの問題点にとどまるが、JSCに入札のやり直しを提案したのは、それだけ疑惑が濃いということだろう。国会で追及すべき問題だ。

引用終わり

この記事を読んでもらえれば明らかなように、JSCが何をやったかといいますと

1.入札前に、各工事会社の見積もり金額を見た。

2.その後で予定価格を決めた。

3.北工区、南工区ともにもっとも安い入札額を示したのはフジムラ、次が関口興業

4.フジムラと関口に「書類の不備」と難癖をつけた。(国交省はありえないこと)

5.一番、二番を失格にして、関東建設興業に決定と発表。

6.フジムラが苦情申し立て、官製談合の疑いありとして捜査

以上の結果、三度目の入札となったわけなんですが今回は関口興業もみんな降りていて、再入札に参加しているのはフジムラと大和小田急建設と前田産業だけなんですよね。

ただ、ここで二回目の入札結果を再度見てみると、難しい解体工事の現場管理体制やその後の新築との連携を考えるなら、本来ならゼネコンの安藤・ハザマが順当なんですよね。
で、低入札でもいいから選ぶとすると、大和小田急建設なんですよ。

7月の強引な落札結果とそのプロセスを見る限り、JSCさんといえども役人さんなので、本来の性向なら、ここまで目立つ横車というか無理な行動、さらには捜査対象となるような危険な行為はまっさきに避ける、逃げるはずの人たちのはずなんですよねえ。

それが決死の覚悟で関東建設興業に落とさせたうえで、経緯の公開もないまま、三回目の入札でも決行しているその動機というか、思い切りの良さったら、政治家の行動に近くて役人であるところのJSCっぽくないんですよ。

何か確変したんですかね。

もし、そこまでの思い切りというか度胸が出てきたのなら、是非ここはさらに確変して、計画の見直しくらいまで言及してほしいものです。

以上。

久米設計の改修案の肝や概要の解説は別シリーズでやります。


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