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新国立競技場の建設コンペをめぐる議論について10

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次のようなニュース

新国立競技場、年度内に着手 補正に230億円見通し
財務省 は、2020年東京五輪の主会場となる新たな国立競技場東京都 新宿区 )建設の予算を、12月中にまとめる今年度補正予算 案に盛り込む方針を固めた。予算額は約230億円になる見通し。新競技場の建設準備が今年度から本格化することになる。・・・・
・・・・建設費は当初1300億円を予定していたが、約1850億円に膨らむ見通しとなった。
朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/TKY201311090617.html

独法ビル 便乗移転 新国立競技場 膨らむ事業費
国立競技場(東京都新宿区)を運営する文部科学省所管の独立行政法人・日本スポーツ振興センター(JSC)が、2020年東京五輪・パラリンピック大会の主会場となる新国立競技場の整備事業とは別の予算で、隣接する事務所ビルの移転、建て替えを計画している。
・・・・現在のビルは一九九三年完成で、まだ築二十年。使えるビルを新競技場の建設に伴って税金で移転、建て替えることになる。

・・・・新競技場の事業費の試算にはJSCなどの移転建て替え費用は含まれていないため、さらに費用がかかることになる。

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013111002000117.html


おいおいおい、なに焦ってんだ。
ちょっと待て!って。


焦りすぎじゃないですかね。
なんか、一気にもっていこうとしてるようですが、見直しでしょ?


もしかして先日の猪瀬知事の発表でなにかを見直したとでも
思ってるんでしょうか。


発表により552億増えているんだよ、当初予算よりも。
そこにさらに載せるつもりなのか、、、


う~ん、不思議だ。
そんなに簡単に計画が通るのか、、

私の知っている限りにおいて、外苑周辺の土地はですね。
明治神宮の意向が強いはずなんですよ。

そんなにほいほい東京都知事風情でどうこうならないはずの土地なんだがなあ。

そもそも、神宮外苑は元々徳川家康の譜代大名だった青山忠成氏の江戸屋敷
そして明治政府の接収されたかなんかして、青山練兵場
明治天皇崩御により明治神宮の造営に合わせて外苑となった。
その外苑内に設けられた競技場として明治神宮外苑競技場となり
GHQに接収されたのち、明治神宮の所有から昭和31年に文部省に譲渡

建築エコノミスト 森山のブログ
      前回のオリンピックのとき

建築エコノミスト 森山のブログ
            絵画館前を子供プールに開放(昭和34年頃)

という流れなのですが、その後の2003年からの神宮外苑再開発計画においても隠然たる影響力を明治神宮とその宮司である外山勝志さんがもっているはずなんですけどね。

その辺りへの説明責任とかは果たされているんでしょうか。

でなければ、実は明治神宮も外山氏も今回の建て替え計画を積極的に推し進めているか、なんです。

はてさて、どちらなんでしょうね。


大手新聞社の方、特に今回積極的に良記事書かれている東京新聞さん。
一度、明治神宮に取材に行かれてはいかがでしょうか




それはさておき、一般的な建築コンペに関する解説でした。

建築コンペっていうと、きっとみなさんは、
何百億、何千億円かける公共工事なのだから、、

多くのまだ見ぬ次世代の建築家が建築の設計書を作成して、
それが数百案も集まってしまって、
その内容をさまざまな側面から検討分析批評して
どこから見ても立派な審査員の先生方がうんうんうなって、
どの案がいいか悪いか喧々諤々、ああでもないこうでもない
少なくとも3昼夜くらいは徹夜で議論白熱して、ある案を推す人とそうでない人と
最後は掴み合い、取っ組み合いの喧嘩くらいにはなってしまって、
収拾つかなくなったあげくに、
審査委員長の英断、判断、皆を納得させるその判断基準、価値観でもって
最終結論が出ている、、

そう思いたいですよね。
そう、わたくしもそう思いたい、きっとそうであってほしい。


そのためには、審査員全員がある一定の評価の軸をもたなくては、
ならないんです。

なぜかというと

言葉では「良い建築」、「優れた提案」、「日本の未来」といくらでもいえるんですが
たとえば、

良い建築というのは、このケースどういうものをいうのか
優れた提案というのは、今回はどういったところで判断するのか
未来に向かっては、現時点でどのような未来を想定するのか

が具体的にわかっていないと審査できないですよね。

これが料理の鉄人なら、

絶対に岸朝子さんとか服部幸應さんじゃなくても
料理のことが分からないタレント審査員でも、よほどの味音痴じゃなければ
「美味しいかどうか」は、味覚、嗅覚、視覚と
原始的感覚の5感の中で即答できる。

それに万が一、専門家にのみ評価が高く、普通の人が食べたら高くてマズイ料理だとしても、そんな料理人の店に2度と行かなきゃいい。そのうちツブれる。

建築エコノミスト 森山のブログ

そこに、調理方法だとか、素材の加工方法、料理人の腕、
希少性といったものの解説と解釈が、

「本物の醸造しょうゆです!」とか
「これはあり得ない食材ですよ~」とか
「切り方も焼き方も申し分ない!絶妙です」
と補完することになる。

ところが、建築の場合。
そうはいかない。
五感が働かない。

働いても視覚だけ、見た目だけ、あとは難しそうな線と数字の乱舞。
解説を聞いても
環境に配慮した形態的な操作が周辺のアクティビティを喚起し、、、
祝祭性とシンボリズムが未来の躍動感を呼び覚まし、、、、

とか、

ちょっとした下手くそなポエム

首都圏に建つ高層マンションの分譲広告と大差ない講評の内容。
そんなポエム、自動占いと同じようにどんな形状にも機能にもあてはまる。

「今度の新型レクサスは環境に配慮、アクティビティを呼び覚ます。」
「次のiPhonは祝祭性とシンボリズムを備えた!」

とか、

広告代理店の新人なみのコピー、
いやそれ以前の広告専門学校の生徒の課題なみ

審査講評にコピーはいらない、解説をくれ!

ところが、解説は不要だという。公平性が失われるから。
人を舐めてますよね。


ただですね、
コンペの審査は大変なんですよ。

私は公共から民間までさまざまなコンペの裏方を務めた経験からいって、
いきなり審査に入るのは難しいんです。

そのため、わたくしがかかわったコンペティションでは大概において、
特に建築専門家ではない方々にも判断していただく基準として、
審査員とも応募者とも厳正に無関係な建築有識者による「タタキ台」を
事前作成しておくことをしていました。

どういうことかというと、
要望条件を機械的に最適化して積み重ねていった場合にはこうなりますよ、
という検討をしておく。
そこには創造性はないが機能的な破たん法的な違法性がない状態を全員把握する。

また、その中で整合しない要望かどうかも事前チェックしておく。
そのうえで、成り立つように募集要項にフィードバックして修正していく。
計画するうえで必要な情報に洩れがないかもその間に確認する。

その段階で、建築専門家ではない審査員の方々には審査のポイントを解説しておく

だから、すっげえ面倒、実際に設計作業しないといけないから時間もかかるし、
それだけの能力が必要。

その「タタキ台」はいってみりゃ、「噛ませ犬」みたいなものだから、
本当に日本の建築界を真面目に考えることのできる真摯で堅実な作業でなくてはならない。

野球でいえばさまざまな球種を自在に打ちやすい球として放れるバッティング投手みたいな裏方作業でなくてはいけない。

専門家以外の人にもストライクゾーンを周知したうえで、専門家がコースギリギリとか変化球のキレなんかを見抜くのが役目。

事前検証と審査基準の明確化

それちゃんとやっていたのかな、、、

その辺り誰も指摘しなかったのかな、、、

企画したシンクタンクか代理店かしらんが、
そういった配慮をしていなかったんじゃないのかな、、、
イメージパースだけで部屋を売ろうとするマンションデベロッパー専門の
代理店を呼んじゃったのかなあ。

リチャード・ロジャースが来るから、ノーマン・フォスターが来るから、著名だから抑え込めばいい。
そんな面倒かけなくても、もしオリンピックが決まったら、実施設計会社とゼネコンでなんとかするからいいんだ。

そう、丸め込まれちゃったかな、、、


そういう意味でも行政にも官僚内部にも一級建築士が必要なんですが、
しかも確実堅実な人が。

マスコミによる官僚悪キャンペーンで世の中の人たちは、
自分たちの命運を握る
ガバメント側のことをステレオタイプに揶揄、
もしくは嘲笑して溜飲を下げがちですが、
国土交通省にも文部科学省にもそういう気概のある
建築のもののふもけっこう居るはずなんですよ。


続きは11で



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