安藤忠雄研究1
内藤文書の登場などによりだいぶ間が空いてしまい、
年越ししてしまいましたが、安藤忠雄研究2です。
安藤忠雄さんといえば、知っている人は知ってると思うのですが、
キャッチフレーズは3つですよね。
1.独学の建築家
2.コンクリート打ち放し
3.大阪
たとえば、アメリカ横断ウルトラクイズの問題なんかを作るとして
「日本を代表する世界的建築家で、独学で建築を学び、コンクリートを打ち放しで、大阪を拠点に、、」
と最後まで問題を聞かなくても、
ポーン!
「安藤忠雄!」
正解!
ってなりそうなくらいです。
その1.の独学というキャッチフレーズが、案外そうでもない。
きっちり師匠について勉強させてもらっていた、
その師匠とは水谷頴介さんであった、というところまででした。
次のコンクリート打ち放しなんですが、
そもそも素朴な疑問としてコンクリート打ち放しのどこが凄いの?
と建築業界を知らない方々は、みなさんそう思われるでしょう。
というのも、「コンクリート打ち放し」そのものは今となっては、大して凄いことではないからです。それは、どこにでもあります、普通に。
たとえば、河川の護岸工事とか道路工事、崖のヨウ壁とか波止場です。
コンクリートの歴史については多くの資料や紹介記事がありますから、詳細にはそちらを参考にしていただくとして、簡単にその歴史的経緯と概略を説明しておきますと、
その大本は古代ローマです。
古代ローマ人が、火山灰と石灰、砕石を混ぜ合わせたものが水中で硬化し、強度を増すことを知って、伽藍や、橋や、水道橋などを造っていたといわれております。そのころころのカラカラ浴場や水道橋やパンテオンは今でも残っており、その耐久性を物語っています。
このころのコンクリートは石積と石積の間に流し込まれていたので一見コンクリートに見えませんが、現在のポルトランドセメントと同様の圧縮強度を誇っております。
同様にコロッセオも古代ローマンコンクリートで建設されており、2000年近く経た今でも十分に建築物としてその威容をはなっております。
しかしながら、この古代ローマでいったん確立されていたコンクリート建造技術は、その後1300年近くも失われていたのです。
17世紀に入って再度コンクリート素材が発見され、建築構造への応用が再開されました。
はっきりしているところでは1824年イギリスのタイル職人であったジョセフ・アスプディンが石灰岩を偶然現場で焼いてみたところその紛体が、後雨水と混ざって硬化したさまを見て発明したと言われています。
その硬化した後のさまがポートランドで取れる石に似ていたため、この製法で作るセメントは、今日までポルトランドセメントと呼ばれています。
つまり、コンクリートとは人工的に作られた石だという解釈ですね。
ここまでで、コンクリートの話がいつのまにかセメントの話がゴチャゴチャになってて、あれ?って思われたでしょう。
コンクリートとセメントって何が違うの?と。
この意味はですね、コンクリートを作る材料がセメントだということです。
セメントに砂や砂利などを適量入れて水と練って固めたものがコンクリートです。
食べ物でたとえると、小麦=セメントで、ホットケーキ=コンクリートです。
このコンクリートは固くて強かったんですが、それでもまだ近代の建築素材としては不十分だったんです。
固いだけだと塊では強いですが折り曲げようとすると折れる、衝撃で割れる。
その50年後に画期的な発明がなされました。
それは、鉄筋の導入です。
1853年アメリカ人のハイアットが、コンクリートに鉄筋入れたら強くなるんじゃね?
と考え、1855年フランス人のランボーがパリ万博で鉄網を入れたコンクリートボートを展示し、みんなをビックリさせました。
さらには1867年にフランス人のモニエが鉄筋を一定間隔で入れる今の鉄筋コンクリートに近い工法で特許を取得し、1890年代にドイツのバウシンガーが鉄筋コンクリートの力学的な原理を確立し、このころからコンクリートを板状にして橋にしたり、アーチにしたりと現在のコンクリート構造物と同等の仕組みが確立されたのです。
鉄筋を入れるコンクリートと入れないコンクリートの違いは以前解説したことがありますので下記を参照してみてください。
参考リンク
コンクリート打ちっぱなしって何?①お好み焼きに近いかなあ
コンクリート打ちっぱなしって何?②土壁派か漆喰派か
で、やっとコンクリート打ち放しの解説に移るのですが
続きはまたあとで
安藤忠雄研究1
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安藤忠雄研究2
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